2019.08.14 Wednesday

リペア ファイル その556

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    ヤマハ LS−TA /   ピックガード交換

     

    数年前に発売され徐々にお茶の間に浸透しつつあるヤマハの「トランスアコースティックギター」。アンプを通さず生演奏なのにリバーブやコーラスがエフェクトできる不思議なギターです。

    以前 楽器店で試奏して一度驚いていましたが、持ち込まれた楽器をまじまじと見れば見るほど ヤマハの技術力と発想力に改めて感激した次第です。

     

    オーナーは透明なピックガードに飽き足らず"べっ甲"柄のピックガードに交換を望まれました。

     

    完成!と「いたって簡単」に見る向きはちょっと待って。ピックガードは簡単に剥がれないようにしっかり接着されていますので、ドライヤーの熱で剥がすときも結構神経を使うものです。

      

    無理に剥がすとトップ材も一緒に千切れてくっついてしまうので、少しずつ慎重に剥がします。また両面テープがトップに多く残ってしまうとテープの残骸の駆除もやっかいな作業です。今回は割とスムーズに剥がれて安堵しました。

     

    ピックガード一枚で本体の雰囲気がすっかり変わります。

      

     

    これが噂の「TransAcoustic™」のコントロール部。”リバーブ”・”コーラス・””ボリューム”をシンプルに制御しています。

      

    バックを振動させるユニットが組み込まれています。生音をデジタル処理してエフェクト信号に変換しリバーブなどを掛けるのだろうと想像しますが、それにしてもよく実現したなぁ。関心します。(スマホから出力した信号でテーブルなどをスピーカー替わりにする技術も同一線上かと思います)

     

    ネックにはローズが挟みこまれて強度アップを計っています。ヘッドは継いでありますね。アコギのこういうタイプは国産でなく海外産であることが多いですね。(マレーシア産だったかな?)

      

    エンドピンジャックの下側に仕込まれたBOXがあり単3電池2本で駆動します。

     

    ヤマハの「トランスアコースティックギター」が米国でも販売されているようですが、高値で売買されているようです。それだけ人気があるというでしょう。アンプを使わず生楽器の演奏をするシーンがまだまだどこの国でも多いかと思います。そんなときこのギターが登場すれば皆ビックリするでしょうね。

    新技術で新たな市場を開拓することが求められていると思います。

     

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    2019.08.09 Friday

    リペア ファイル その555

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      K・yairi  LO-90 Custom /  PU取り付加工

       

      K・ヤイリのギターにLRバックス社の”ELEMENT ACTIVE SYSTEM”を取り付け加工します。

       

      岐阜県のギターメーカーといえば「K・ヤイリ」と「タカミネ」があり、メーカー規模では「タカミネ」の方が大きいです。それでもイメージとしては「K・ヤイリ」の方が”職人気質”って感じがするのは”質朴さ”があるからかな。(私も若かりし頃憧れたメーカーでしたhttp://9notes.jugem.jp/?eid=212

       

      ボトムにエンドピンジャック用の穴を開けます。内部を覗くと裏板用の力木の珍らしい形のを発見。エンドブロック前に力木を配置することで、裏板にエンドブロックの角が立つのを避ける意味かと推測します。

        

       

      アンダーサドルタイプのピエゾ”エレメント”を通します。ピエゾは薄い平紐状に仕込まれています。

        

       

      ピエゾの厚み分、サドルの下面を削って”弦高”を加工前と同じにします。

        

       

      ヴォリュームと電池バックを内部に取り付けて完了。

        

      トップはシトカ・スプルース、サイド&バックはマホガニー。ドレットノートを一回り小さくしたようなデザインのシンプルで美しいギターです。

       

      サウンドホール裏にボリュームを設置。ついでにK・ヤイリ独特のトラスロッドを見ました。マーチンのトラスロッドは14Fまでしか効きませんが、ヤイリのは18F付近まで伸びていてロッドの効く範囲が広いです。

        

       

      ”Angel”が飛んでいますね。ネック裏のボリュートも美しく切り出されています。

        

      ネックは薄く平べったい感じ。

       

      透明なピックガードが塗装塗り込まれてついているので、一見はピックガードなしに見えますね。

      細部まで丁寧に作られたギターです。オール単板モデルですので弾き込んでいくとさらに豊かなサウンドになるでしょう。いいギターです。

       

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      2019.08.05 Monday

      リペア ファイル その554

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        シェクター・ダイヤモンドシリーズ / PU交換・アッセンブリー交換・フロイトローズ調整

         

        HM/HR御用達”SCHECTER”。オリジナルは、アーチトップでフロイトローズ搭載24F仕様、EMGピックアップが載っていましたが、ディマシオPUに交換しました。それに伴いアクティブ系のアッセンブリーをパッシブ系に交換します。

         

        ノイズがなくクリーンサウンドを出力する”EMG81”を外して高出力のディマシオPUに載せ替えました。(フロント:DP193 リア:DP207)

         

        3wayスイッチはそのまま流用して ポットはハムバッカー用の500Kに コンデンサーは0.022μF に取り替えました。配線材はベルデン、2V2TでフロントV・リアV・マスターT仕様に。

          

         

        リアPUのマグネットに一部はバータイプになっています。ベンド/チョーキングしても音痩せしないですね。

         

        チューニングは6弦はドリップCで1~5弦は一音下げとテンション感ゆるめのチューニングです。この設定に合うようにフロイトローズを調整しました。

          

        弦高は1.5ミリ以下なのでビビり音は発生しますが、音は完全につぶして出力するそうなので問題ないでしょう。

         

        SCHECTERはHM/HRミュージシャンに人気ですね。アイバニーズと同じように7弦・8弦ギターも用意されています。重低音を表現するのに最適なPU選びが今回の交換かもと考えましたが、どうだったかな・・・

        PUの載せ替え作業は、いくつになっても「どんな音するか 気持ちがワクワクする」仕事です。

         

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        2019.08.01 Thursday

        リペア ファイル その553

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          ギブソン J−45 / トップ割れ補修

           

          この夏はおかしな天候で、6月初旬は暑くその後長い梅雨に入り明けたら猛暑 とその気温の落差に身体も付いていけません。そういうときはギターも同じでコンディション維持が難しくなります。

          オーナーがうっかりギターを自動車内で置き忘れ、気が付いたときにはトップがセンターライン沿いに切れて割れてしまったそうです。高温により極度に乾燥が進んだ結果だと推測します。

           

          長年連れ添ったギターで十分乾燥していると思われる個体でも急激な変化にはトラブルが起こるのですね。

           

          持ち込まれたギターを壁で吊るして1週間ほど置いておいたら割れ部は自然に回復しました。

            

          その割れ部に接着剤を摺り込んでサイドから圧力を掛けて接着しました。

           

          割れ部に沿て”パッチ”を貼っていきます。私は0.5ミリの薄いマホガニーをポンチでくり抜いて木目が交差するように張り合わせたオリジナルの”パッチ”を使います。こうすることでどの位置で貼り付けてもトップに対して木目切れがないように貼ることが可能になります。伝統的な”パッチ”はスプルース材を◆型にして貼り付けるのですが、トップ裏に正確に木目に垂直方向に貼るのは難易度が高く現実的でありません。トップを剥がして目視できるような状態でのみ有効かと思います。(または口輪付近のみ)

            

          ブリッジ下側はトーンバーが2本入っているのでそこを避けながら”パッチ”をロングクランプを使って貼っていきます。

           

          段差がないように剥ぎ合わせたので接着後は水研磨してバフで磨いて完成です。塗装の必要はありませんでした。(塗装なして仕上げるように作業したともいえる)

            

          今回はトップの回復がよかったのでパッチ補強で終えましたが、ケースバイケースで隙間に板を差し込み方法も考えられます。参照:http://blog.9notes.org/?eid=811

           

          ヘッドはヴィンテージタイプでクルーソンペグ。

            

          暑さによるネックの被害はありませんでした。

           

          アンダーサドルピエゾが仕込まれていましたが、サドルにはこんな仕掛けがされていました!

          「音の分離」がよくなるように”橋げた状”に加工されています。

            

          弦を張っても変化なし。これで大丈夫でしょう。補強によるサウンドへの影響もほとんどなし。オーナーも納得されていました。

           

          それにしても自動車で移動するのが当たり前の時代、ギターを車内に置いておかないといけない状況って案外あると思われます。そんなときは、ケースから出して直射日光が当たらない後ろ座席の足元に白っぽい布を掛けておくのが、ひとつの方法です。本当は少し窓を開けておくといんですが・・・・昨今は盗難も怖いし、難しいかな。

          まだまだ暑い日々が続きます。皆さまもご自愛ください。2019/8/1

           

           

          ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

           

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          2019.07.27 Saturday

          リペア ファイル その552

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            スモークド乾燥処理”アルダー”ボディのストラト製作

             

            カスタム・ストラトの製作を依頼されました。スモークド乾燥処理をしてあるネックとボディを使ってどんな理想のギターを作るか、依頼主と相談のうえ ボディは「2Pアルダー」、ネックは「メイプル指板」で「P−90を2個」乗っけた「木目が生きる」カラーリングのストラトにすると、決まりました。

            ボディのカラーリングを決め、それに合うピックガードとパーツ類の色も決めました。(今回は基本的にホワイトに統一しました)

             

            すでに「スモーク」してあるボディを手直しし、ネックも好みの握りと指板アールに各種刃物を使って修正しました。

              

            ネックは”ミズメ”という国産希少材です。カエデより腰がある材でかつては「弓」に使われた材です。(ミズメ:カバノキ属 「梓(あずさ)」とも、桜材にも似ているので”ミズメザクラ”とも呼ばれる)ネックには最適材と私は考えています。

             

            ピックガードやPUの位置決めをするため仮組みします。ピックガードは”白ラメ”素材で作製しました。

              

            ボディをザクった後 塗装しました。見本の写真を見ながら「LPのチェリーサンバーストよりも赤系を抑えた」カラーリングを施しました。依頼主の希望に沿う色を表現するのはなかなか難しいです。

             

            フレット打ちを済ませてネックも塗装します。「スモーク」ですでに焼け色が付いていますので、全体のトーンを揃えるため若干ブラウン系の色を載せました。

             

            塗装完了後、フレットに載った塗装を取りつつ フレットピークを整え磨いて完成させます。

              

            電装系のセッッティング。アセンブリは米国系パーツでPUは”ディマジオDP167”ペグとブリッジはゴトー製です。

             

            1・6弦を張ってセンターラインの確認をしてPGをボディにネジ締めして取り付けます。

              

            ネックの仕込み角度も確認。サドルの「イモネジの頭が引っ込み過ぎず出過ぎず」がブリッジの基本設計に沿ったところに収まるのが正解。

             

            2PUなので3wayスイッチで1V1T仕様です。P−90はシングルでもパワーがあるのでポットは300Ωで、コンデンサーはオレンジドロップの0.033uFを選びました。

              

            白ラメのピックガードは煌びやかで高級感がありますね。

             

            ネックはミズメ材に張りメイプル仕様です。ネック強度のアップを計ってエボニー材で補強してあります。

              

            中央にスカンクラインが走っています。

             

            「9notes」のロゴが入ります。ペグはゴートー製でHAP機能付き。

              

            1~4弦までポストの出を短くしてナットからのテンションを稼いでいます。

             

            ネックの握りは、1F裏から15F裏まで厚さが均一になるよう加工してあります。

              

            「木目を生かす」塗装なので基本はシースルーでサンバースト部でも木目が透けて見えます。

             

            スモーク効果で「反応の速さ」が特徴でしょう。また「コンプ感」も感じられます。ノイズも少なく生鳴りもいいです。

            目止めにウレタン系を1回使い、後はニトロセルロース・ラッカーで仕上げています。将来、ラッカークラックが入りヴィンテージ化しても愛され続けているギターであることが、製作家の願いです。

             

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            2019.07.22 Monday

            リペア ファイル その551

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              Tunesaburou Kurosawa  1B  /  表板割れ・表板塗装・サドル交換・糸巻交換

               

              『クロサワ楽器』の創始者でクラシックギター製作家でもあった”黒澤常三郎”のギターです。半世紀以上前に購入したというこのギターの出音は、ほかの名器に引けを取らないとのこと。

                

              トップに陥没と割れがあったのを修復しました。​

               

              サウンドホール下の力木に強い力が加わったのか、裂けて割れて陥没しています。

                

              割れ部に接着剤を流し込み、外からはクランプで中からはジャッキで力木を持ち上げて元通りにします。

               

              トップの腰に辺りにひび割れと打痕があります。

                

              隙間に接着剤を流し込んで割れ部を留めます。

               

              ブリッジ下の表板中央が割れて隙間ができていました。

                

              引き裂かれた「夏目」部の隙間を修正しながらトップと同材の「杉(シダー)」を用意して「夏目」部をスライスしておきます。(針葉樹は夏目と冬目がハッキリしていますね)

               

              シダーピースを割れ部に合うように成型して、接着・ジャッキアップ・クランピングします。

                

               

              飛び出たところをカンナで取り除き、サンディングしておきます。

                

               

              トップの腰のひび割れ部とブリッジ下の割れ部を内側から補修するため”パッチ”を製作します。当工房では、極薄いマホガニー材2枚を木目が交錯するように張り合わせ”パッチ”としています。

                

              軽さと強さを兼ね合わせた”パッチ”をすべての割れ部裏に当て接着しました。これで補修は万全です。

               

              さて次は割れ部が目立たないように塗装に入ります。

                

              全体を軽くサンディングしてクリアーラッカーを吹き付けました。

               

              完成!(色が落ちた部分は筆でタッチアップして色調整してあります)

                

              古い楽器だったので塗装をはじくピンホールが結構あって、思ったより時間がかかってしまいました。

               

              動きが悪くなった古い糸巻をゴトー製の新品と交換しました。

                

              若干、新旧ポストの位置が合わなかったので修正しておきました。

               

              弦高を適正にするべくサドルも交換しました。

                

              指板はナット部から最終フレットにかけて薄くなっています。仕込み角度に変化を付けて音量アップを計るための工夫かと思いますが、50年前からこういう理論は経験上解っていたということなのでしょうか?(ラミレスでも同じような指板を見かけました)

               

              トップは杉、サイド&バックはローズ単板で全体的にシンプルな作りなれど、弾き込んであるため反応が良く音に深みを感じました。

              黒澤常三郎は、現在クラシックギター製作家として有名な黒澤澄雄の叔父だということですが、澄雄氏の息子さんの黒澤哲郎氏も活躍されていますから、日本の”ハウザー家”のようですね。

               

              クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

               

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              2019.07.18 Thursday

              リペア ファイル その550

              0

                フェンダーJAPAN オールローズ・テレキャスター/ 塗装剥がし・ラッカー塗装(オープンポア)・フレット打ち換え・パーツ研磨

                 

                ジョージ・ハリスン使用で有名な”オールロース・TE”のフェンダージャパン製モデル。すでにジャパンビンテージになるような楽器でしたが、オーナーは「ウレタン塗装」を「ラッカー塗装」に変更をご希望されました。すでに価値が定まった楽器でしたが、オリジナルに近づけるべく塗装をすべて剥がしました。

                 

                フェンダージャパンは初期のロット以外は、ウレタン塗装がメインだと思います(ポリエステルの可能性もある)。耐久性もあり作業効率的もいいウレタンですが、塗装膜が厚く いかんせん”木材”の感触が感じられません。このモデルはオールローズとう贅沢な仕様ですので、木材本来の良さを生かすべく厚い塗装をひたすら剥がしました。

                  

                埃まみれになる作業です・・・

                 

                全塗装ですので指板面もやり直しです。

                  

                ネックもローズ・ワンピース材でウレタン塗装を剥がした後は「フレット打ち直し」になります。(フレット打つ前に一度ラッカーで下塗りしてあります)

                 

                ここからラッカー本塗りです。オーナーと話し合った上、カスタムショップ仕様であった木目が生きる「オープンポア」で仕上げることにしました。普通はサンディングシーラーで肉付けしますが、そうせず初めからニトロセルロース・ラッカーを繰り返し塗り上げて行きます。

                 

                塗装が済んだらフレットに載った塗料を剥がしつつフレットレベルを整えます。指板レベルがよいと ほとんどフレットピークを修正しなくてもいいです。

                  

                あとはで軽く丸めて磨き上げフレットワークは完成です。

                 

                次は組み上げです。くすんだパーツは研磨材で磨いて元の輝きに。

                 

                オールローズ製なのですべてソリッドだと思っていましたが、解体するとキャビティ部とその丁度反対の部分はくり抜いてありました。シンラインのような作りなのが解りました。軽量化が図られていたんですね。

                 

                塗装面は、薄っすらと導管が浮いています。下地からニトロセルロース・ラッカーだけですので透明性が高く ローズの木目が鮮明です。ウレタン塗装でラッピングされていた木部が解放されて『木』そのものを感じられます。

                 

                これだけのいい素材が使われていたのが、ウレタンでその質感が消されていたのではもったいなかったですね。オーナーの判断が正しかったのが、完成されたが楽器から証明されました。

                 

                ボディ上下部の間にメイプル薄板がサンドイッチされています。

                 

                全塗装で「Made in Japan」の文字は消えましたが、フェンダージャパンのシリアルナンバーはTEブリッジに刻印されているので出自は保証されています。貴重なローズ材のギターが生まれ変わった仕事でした。

                 

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                2019.07.14 Sunday

                リペア ファイル その549

                0

                  テーラー Baby Taylor /  トップ割れ補修(パッチ補強)・タッチアップ塗装

                   

                  可愛いミニギター”ベビーテーラー”。ほかにマーチン社やSヤイリ社製のミニギターも似たようなシリーズがありますが、「ちょっと弾き」に最適で人気があります。どれもトップ単板仕様でしたね。その結果、置かれた環境の条件が悪くなるとトップ中央で”剥ぎ切れ”が起こることがあります。トップの塗装が薄いためかと思われます。

                    

                  このギターも剥ぎ面が切れて隙間が出来ていました。湿度調整で隙間が回復する範疇を超えていましたので、薄く長く仕上げたスプルースピースを挿入して接着し修理しました。。

                   

                  スプルースピースを面一に整形して軽くサンディングしました。その後裏側から「パッチ」(補強材)を当てます。(パッチは極薄いマホガニーを2枚張り合わせて丸く抜いたものを使用しています)

                    

                  (当てがるところにパッチを仮置きしたカット)

                   

                  パッチに接着材を塗ってロングクランプで固定します。

                    

                  (パッチは2枚のマホ薄板の木目が交錯するように作ってあるので、どの方向で貼り付けても、トップの縮もうとする引っ張り強度に対して対応できます)(木材は木目に対して垂直方向の力に弱く引き裂けるを考慮してあるのです)

                   

                  タッチアップ塗装を施し全体のトーンを整えました。

                    

                   

                  ネックはデタッチャブル式でなんと指板面からビス留めしてあります(合理主義の権化)。

                    

                   

                  バインディングなど簡略していますが、うまくまとめているところがさすがテイラー社! デザインと技術力が光ります。

                  量産品メーカーは低価格帯の製品と高級品と両方作らねばならず、低価格帯にもそのブランドに恥じない品質が求められます。そこをクリアーすることは難題ですが、クリアーできるからこそ一流メーカーたる所以でしょう。これは自動車メーカーを観てても同じだと思いました。

                   

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                  2019.07.09 Tuesday

                  9notesオリジナル Fender”マリブ” レモデリング・ギター”E−903”の販売

                  0

                    9notesオリジナル Fender”マリブ” レモデリング・ギター”E−903”を販売致します。

                     

                    フェンダー製の小型アコースティックギター「Alkaline Trio Malibu」 をエレキギターに改造(Remodeling)しました。 木製のブリッジをST用のブリッジに交換し、ストラト風ピックガードにリップスティック型PUを載せました。 歌の伴奏用ギターに、バッキング用ギターに、ブルースギターに、などなどホローボディギターとしてお愉しみください。

                     

                    当工房のHP内にあるshopで販売します。 ¥108,000(税込み・送料込み) (クリックするとShopへ繋がります)

                     

                      

                     

                    最初からエレキ化することの念頭に改造(Remodeling)しました。本体はフェンダー製のアコギで楽器店より買い求めため新品です。この改造は、自動車でいえば例えばスズキ製のハコバンを、街の自動車修理屋がキャンピングカーにして販売するようなものです。

                      

                     

                    PU :セイモアダンカン SLS-1
                    ブリッジ :SCAD6way
                    裏蓋 : プラネットwave (弦交換はゴム製の裏蓋を外して行います)
                    ポット: (1V1T) CTS製
                    コンデンサー :オレンジドロップ
                    アウトプットジャック : スイッチクラフト社製
                    配線材 : ベルデン
                    弦 :ダダリオex116 11-52

                    Body Back: Laminated Mahogany
                    Body Sides: Laminated Mahogany
                    Body Top: Laminated スプルース
                    Neck Material: Maple
                    Neck Shape: Vintage "C"
                    Scale Length: 25.5" (648 mm)
                    Fingerboard Radius: 7.25" (184.1 mm)
                    Number of Frets: 20
                    Fret Size: Vintage-Style
                    String Nut:Graph Tech NuBone
                    Nut Width: 1.625" (41.3 mm)
                    Neck Finish: Gloss
                    Fingerboard: Rosewood
                    Position Inlays:Pearloid Dot
                    Tuning Machines: Vintage-Style with Aged White Plastic Buttons
                    ソフトケース付き

                     

                    ピックアップはリップスティック型『セイモアダンカン SLS-1』で1ボリューム1トーン仕様です。ポットはCTS製でコンデンサーはオレンジドロップを使用しています。SLS-1は金属ケースに入っているためノイズが少ないのがホローボディと相性がいいです。割りとエッジのあるサウンドでナチュラルからトーンを絞ればブルージーにも鳴ってくれます。

                      

                     

                    ブリッジは6wayストラトタイプのハードテイル仕様で、弦はバックのゴム蓋を開けてトップへ通します。

                      

                     

                    アコギのサウンドホールを塞ぐためのゴム製のキャップを裏蓋として使いました。(プラネットウエイブ 製)

                      

                     

                    ヘッドは6連フェンダーオリジナルで、裏面に「ALKALINE TRIO」のロゴが入っています。改造を施した当工房のシールも貼らせていただきました。

                      

                     

                    オリジナルはハート型のサウンドホールでしたが、それにストラト風の黒1プライPGを載せました。これはこれでかっこいいでしょ?どことなくダンエレクトロも意識しています・・・

                      

                     

                    ミディアムスケールなのでテンションも軽くそれでいて張りのある音で鳴ってくれます。小さめの音のアコギとして室内で爪弾いたり、ライブでエレキとして使ったり、この改造ギターをそれぞれの場面で愉しんでもらえればうれしいです。

                     

                    以前に改造した2PU仕様の『E−902』も合わせてご覧下さい。http://9notes.jugem.jp/?eid=614

                                                  http://shop9notes.thebase.in/items/6596579

                     

                    アコギにシンクロ・アームを搭載した9notes「カスタム・ゼロワン」(フェンダー・ソノランtype)もあります。

                    http://9notes.jugem.jp/?eid=532  http://shop9notes.thebase.in/items/3361457

                     

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                    2019.07.05 Friday

                    リペア ファイル その548 その2

                    0

                      SINOMAN ファンフレット・クラシックギター その2 / スモークド乾燥処理・フレット交換(フレット端の丸め処理)・ナット交換・サドル交換・ペグ交換

                       

                      ファンフレットのクラシックギターを30時間燻しました。このギターは『スモールマンタイプ』でトップが非常に薄くできています。内部から光を当てると力木のシルエットが透けて見えるほどです。力木は『ラティス』で格子状になっています。トップが薄い分全体を補強しているのですが、その力木も非常に細いです。”軽いトップ”を目指してこういう構造になっています。

                      なぜ、軽いトップを目指しているのかと言えば、弦振動を音信号に変えるとき「効率」を考えてのことです。その結果、音量がアップしまた反応が早くなります。昨今の音楽シーンのニーズに応える現代的なギターが『スモールマンタイプ』と言えるでしょう。(あるいは、『ダブルトップギター』もそう)

                       

                      糸巻を交換しグレードアップしました。(ゴトー 35G3600C)

                        

                      ナットも交換しました。ナットも斜めなのでいつもとちょっと勝手が違います。

                       

                      フレットはジャンボタイプです。オリジナルもこのタイプが打ってありましたが、太く背が高いフレットを使うのも昨今の流行です。(セーハが楽になると言われています)

                        

                      レイズドフィンガーボードを採用しています。ハイフレットの演奏性向上のためとトップへの弦進入角度が強くなるため振動効率がよくなると言われています。

                       

                      アームレスト付き。ボディサイドにモニター用の小穴が開いています。バックはこの写真でうまく表現できていませんが、アーチドバックです。本物の『スモールマン』はハカランダ削り出しですが、この楽器は整形合板で作られています。アーチドバックにすると内部に力木が必要なくなるので音の反射がよくなるでしょうね。

                        

                       

                      『スモールマンタイプ』はトップを「軽く」作るため弦張力に弱くなるのをカバーするために、トップの下側に型枠が入っていて強度を稼ぐ工夫がされています。表側はスタンダードなクラシックギターのようですが、内部構造はまったく新しいデザインがされています。この独創性は、オーストラリアの製作者『グレッグ・スモールマン』の長年の研究によって生まれました。

                      英国人ギタリスト”ジョン・ウイリアムス”がオーストラリアの山中に住む”グレッグ・スモールマン”に会いに行く動画は感動的です。

                      https://www.youtube.com/watch?v=E2Dq2x8CeS4&feature=youtu.be

                       

                      この楽器はその『スモールマン』を”ファンフレット”にしているという画期的なものです。それをさらに”スモークド乾燥”するという世界的に見ても初めての試みだと思われます。

                       

                      依頼者からコメントを頂きました。

                      ケースを開けてみると香ばしい燻製の香りがしました。・・・・約一ヶ月ぶりの演奏になりますが、音の変化は明らかでした。まず音量が上がり、コシのある音になっています。レスポンスも早くなり、もともと低音が強めの楽器でしたがより低音が響くようになって印象を受けました。悪くなったところは何もなく、良い意味で想像以上の変化を感じました。

                       

                      ありがとうございました!

                       

                      クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

                       

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