2012.11.25 Sunday

研ぐ

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    小鉋の刃を研いでいる時、ふと思いました。
    この景色はどこかで見たなぁ。


    砥石から鉋刃を研ぐことで、研ぎ汁が出てきます。
    番手の細かい白い仕上げ砥石と名倉砥石を使っているのですが、そこに黒い研ぎ汁が湧き出して来る姿がどこかと繋がっているのを感じたのです。


    10数年前くらいから硬めの仕上げ砥石を使っています。
    その前は天然砥石を手に入れたのでそっちを使っていたのですが、水につけっ放しだったので割ってしまいました。もろくなってしまったのです。


    軟らかめの仕上げ用の天然砥石で、刃物が鉛色に仕上がり日本刀の様でした。
    それが最高と思っていました。


    ある時、親方が私が仕上げた「桐」の板材を見て、切れが悪いと指摘されました。それまで、硬い両逆(りょうざか・どちらからも逆目になる板)の欅材も仕上げていたので鉋仕上げは自信があったのですが、軟材の桐材は苦手だったので図星でした。


    木工の「解説本」では、鉋刃の仕込み角度について硬め材は立ち気味、軟材は寝せ気味に仕込むとあったと思います。そうだったので自分は硬めの板用の鉋しか持っていないので軟材はうまく削れないとの認識程度だったのです。


    でもそれは、違っていました。「刃先まで刃を付け切っているか?」と親方は指摘。
    「刃先まで刃を付ける」とは、刃先の研磨の仕上がり具合を指しています。

    つまり刃先の研磨具合が鈍かったということです。


    軟らかめの天然砥石が割れたのを契機に、刃の先端まで力を入れて研ぐため硬めの砥石に変えました。


    断っておくと「天然砥石」は最高です。研いでで気持ちがいいものです。お値段もいいものは抜群に高く、仕上がりも抜群だと聞きます。


    貧乏職人には、あまりお値段が高い天然物には手が出せないので、経験値が低いのが現状です。(硬さよりも砥石の質がものを言う世界です。)


    だからもちろん天然砥石で、しっかり刃先に刃を付けることができます。
    私の持っていたものでは、刃先に刃が付け切らなかったのです。


    既成品の仕上げ砥石は、苦しまぎれで使ったのですが、刃先まで刃を付け切ることは可能でした。結果、「桐」に鉋掛けもしても、いい鉋屑が出てきました。納得の仕上がりです。


    さて、話は最初に戻ると「ふと」感じた景色とは、硯で墨を摺るときの景色です。


    墨の濃淡が白い砥石に映っていました。


    硯で墨を摺り、筆にたっぷり墨を付け、白い紙の上に墨で文字を書く世界は、
    精神を研ぎ澄ます「空」の世界に通じ私の憧れの世界です。


    「研ぐ」行為もそれに似ていると感じた一瞬でした。

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    2012.10.10 Wednesday

    ジグ

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      木工用語で使う「ジグ」という言葉は英語の「jig」のことですが、
      これを日本語の漢字に当てて「治具」と書きます。私はあるときまで、てっきり日本語だと思っていました。


      まさに道具を治めて(安定させて)使う工具のことを指すからです。


      木工で正確な工作が要求される時にジグが必要です。また同じものを多数作るときもジグが必要になります。



      写真はネックにトラスロッドを仕込む際のジグです。
      このジグ作りのあれこれが今日のネタです。


      日本の木工のジグと言えば、「留め」を切る際のガイドや板接ぎの際の直線・直角出しのガイドがありますが、基本的に簡単なものが多いですね。


      日本の道具は引いて使うものが多いので、身体が道具や材料をホールドして使うのです。それに対し外国の道具は押して使うので、その材料を止めておくジグなどが必要になり発達してきたと、私は推測しています。


      ジグが英語でその言葉が日本に入ってきた理由は、向こうの視点の工具だからです。


      数々のジグの説明・作り方を書いた本が、輸入本でありますが、内容はそりゃーよく考えられていて感心しきり、読んでて目から鱗が落ちることばかり。例えばハンドルーターを駆使しています。


      フランジング・ルーターを使えば何だってできちゃう気がします。本を読む限りでは・・・・


      実際はそうはいきませんよ。手で抱えるのルターを使うとジグの精度は高くても±1ミリ程度。


      もっと大型のピンルターマシンを使えば±0・1ミリの誤差まで縮められ、電子制御のNCルーターならば±0・001以下の精度が出ます。


      100ボルトの手でホールドするハンディー機では、精度の限界がありますね。それを高めるのは、ジグと機械の癖を見抜き手で加減してやるほかありません。


      これが「工房」木工の現実です。一方、メーカーや大型機械を導入している工場では、精度の高い仕事を早い速度でこなしていきます。電子制御の工作機は当たり前ですし、汎用機でなく専用機を使うので精度が高くスピードがでるようになっているのです。


      専門学校や訓練校でも精度の出る機械を導入していることが多いので、卒業生はそれがあたり前に感じるでしょう。


      しかし、ひとたび独立すれば資金が不足しますので、汎用機やハンディー機が仕事のメイン機になります。そこでジグの出番です。
      よりよい精度とスピード化のためジグを凝らします。


      やった事のない方は解りづらいかも知れませんが、往々にしてジグを作るのに、ジグを作るためののジグが必要になります。ワンステップで精度の高いジグが作れないのです。


      また材料も動きが少ない材を用意し加工する必要があり、それらすべてコストとして経営にのし掛かります。ジグひとつですが、負担が大きいのが常ですね。(作り直しも当たり前ですし・・・)


      「ジグひとつ」なんですが結構大変なのが、木工の世界です。

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      2012.09.14 Friday

      栗 その2

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        栗の木工のお話。


        以前べつのブログでも書いたことがありますが、「栗の家具」で有名な方が中津川市付知町におられました。
        早川謙之輔さんです。



        黒田辰秋氏(人間国宝)の知遇を受けて木工界で頭角を現しながら、孤高を貫きました。伝統工芸ではなく「木工作家」というスタイルを作った先駆者でもあります。


        「栗丸太を何本も所有して見計らったころに製材しその杢に一喜一憂する」そのくだりは早川さんの著書からで、木工のリアルな描写で本に釘付けになりました。


        職人がペンを振るうのを良しとしない時代で、早川さんはその「筆力」でひっくり返してきました。上梓された4冊の本は一部文庫化され今でも目にすることが出来ます。


        早川さんのペンを当時それをバックアップした人に雑誌「室内」元編集長山本夏彦さんがおられましたが、「付知」を木工の聖地のように雑誌では扱っていたように感じました。


        さて、その「栗」材の家具ですが、杢は欅のように細かな杢は出ませんが、おおらかで力強い杢が特徴です。拭き漆との相性もよく欅より明るめに仕上がります。


        著書「木工のはなし」の挿し絵では、座卓や飾り棚の写真が見られますし、2003年の東京近代美術館「現代の木工家具」展のカタログでは、栗のチェスト椅子などの写真が楽しめます。


        先日のブログでも紹介した中津川市の和菓子屋「すや」にも早川氏の作品が見られます。


        ところで銘木に「真・行・草」があると言うのを聞きかじったことがあります。
        桑・檜・欅・黒柿などが「真」とされていました。「行」「草」に関しては覚えていませんが、木味・杢などがその判断基準でしょう。


        栗がどれに属していたか定かではありませんが、独特の木味は「草」のように思います。
        これが解る人は少ないと想像しますが、「欅」や「楢」にも近いようで違うその味は、好みになるとやめられない味になるんですよ。


        やっぱり栗はうまい!


        関連ブログ
        www.takamineguitars.co.jp/blog/2010/06/9.html - 33k -

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        2012.08.24 Friday

        木の椅子

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          カットは出荷間直の椅子たち。
          東京の私学・初等部の食堂椅子です。ギターの仕事の合間に少しずつ木取り・加工・組み立てし、よやく10脚完成させました。今までに200脚以上納品させてもらい、時々メンテナンスで戻ってきます。

          学校の建築がフランクロイド・ライトの弟子の設計で、空間が建築的なので私も建築的なつくりにしてあります。リートフェルトと言うオランダの建築家・デザイナーが好きで、その影響を受けたデザインです。

          直線的なラインを出してありますが、その理由はコストのためでもあります。
          依頼の条件として丈夫で壊れにくく、また素人でも修理できること、とありました。脚はビス留めにして簡単に直せるようにしてあります。ホゾもなるべく使わなかったです。ホゾ修理は素人では精度がでませんので。

          板材で構成されている分、丈夫ですが、小学生が運ぶのにはちょっと重いのが難です。ゴメンナサイ。

          椅子つくりは木工の中でも、建築に一番近い木工としてやりがいのある仕事です。多くの木工家・デザイナーがオリジナルの椅子を完成させようとやっきになっています。

          「難しさ」も挑戦しがいがありますね。強度と構成美が相反するのがその理由のひとつです。
          納得行くまで何度も試作を重ねなくてはいけませんが、生業にしているとそう何度も試作ができないものでもあります。
          注文仕事を糧に改良を重ねることになります。

          私は「パイプオルガン工房」出身ですが、もっぱらオルガンのキャビネットを製作していました。
          楽器作りのキャリアと家具作りのキャリアが重なっているのです。その後米国のギター製作学校を経てギターリペアに転向しましたが、30代では「家具工房」を主宰しています。

          木工はプロとしての自覚があります。また木についての経験も多い方だと思います。
          ギターの材は、刺身に例えるとトロです。木の一番いいものだけを使用しているのです。
          トロばかり使っていると、雑魚はザコに見えるでしょうねぇ。でも雑魚にも特徴があり良さもあります。

          私はその木工の経験をギター作りに生かしてみたいですね。もちろん楽器は鳴るための理論がありますので、そこも検証しながらになりますが。

          このカットは製作したスツールです。デザインは米国のシェーカー教団で使われたミルク・スツールをアレンジしてあります。
          シェーカー家具と呼ばれる木工家具は、洗練された線と清楚なデザインが特徴となっています。その愛好者は世界中にいます。

          また、建築家も好んでそのデザインを取り得れています。(これが一方の雄ならば、もう一方の雄が朝鮮半島の李朝期に確立された「李朝家具」ですか。こちらはおおらかなラインと宙に浮く感じのデザインが特徴です。)
          「シェーカーと李朝」共にコンクリート打ちっぱなしのマンションにも合うデザインとして現代性があります。




          これも私の製作した楢材で作った椅子です。拭き漆が施されています。

          なるべく部材の点数を減らしながら強度を持たせる工夫がしてあります。

          依頼があれば、もう少し改良したいです。背もたれ部をギターの曲げの技術を応用してみるつもりです。

          ギターの仕事を家具製作に生かすのも有りですね。


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          2012.08.09 Thursday

          製材日記

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            先日15年ものの栗材を隣町の木工所で製材し板に加工しました。長さ2メートル・幅広いところで70センチ・厚さ75ミリの耳付き材(木の皮部分つき)を幅50センチ・厚み45ミリまで落としました。


            このケースでは、両耳を丸ノコで切り落とした後、製材機に掛けて55ミリに挽き、最後にワイドプレナで45ミリまで落とします。


            自分の材を製材機に掛けるのは稀なケースですので、挽いてもらう仕事を見るのも楽しく感じます。


            丸太の材を挽き割って板にする「製材」ですが、木の目を読みその素材の最高の杢目を取ったり、歩留まりがいいように換算するなど経験がもの言う世界です。


            私は丸太の買い付けをしてなくて、すでに挽いてある「製品」と呼ばれる板を買いますが、それでも素性が良く安い板を探します。良い板は高いのが常ですので、この栗材は真ん中に節が入たので比較的安かったと記憶しています。


            それを15年も寝かして、厚さを30ミリも落として使うのですから、高価といえば高価な材ですよね。


            丸太から板取りするとき2寸5分や3寸に挽くケースが多いです。それは材が反ったりすると結果削って薄くなるのを見計らって厚く挽くのですが、一本の丸太からたくさん材を木取ろうとして2寸に挽いたりすると、乾燥途中で割れや反り・ねじれで、結局使える板が減ってしまうのです。


            2寸材(6センチちょっと)から45ミリ材を取れれば、一枚の板がもっと安くなるのに、そううまくいかないのが木工の世界です。


            今回は10ミリの栗の鏡板(薄い板・扉の表板などに使う)が余材として取れましたが、使うことがあるのかないのか解りません。


            この栗材はエレキのボディ材として使うつもりです。栗はスワンプアッシュのように軽く、また弾性係数も高いと思われます。鳴ってくれること間違いなし、と勝手に思い、さらに安定化を図るためにスモークド乾燥をします。


            一枚板の栗材のストラト・テレキャスを作るぞ−。

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            2012.07.03 Tuesday

            梅雨空に漆

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              梅雨で湿度が高くなるこの季節にする仕事に、「漆塗り」があります。


              日常使いで剥げてきた「拭漆」のお椀を塗りなおします。
              メンテナンスです。


              漆は湿度が高くなると乾きやすい性質(ウルシオールが水分と結合する)があるので、梅雨空で気温も高めのこの時期が一番、漆が塗りやすいのです。


              ふつう乾くのは、温度が高く湿度が低くが常識でしょうから、湿度で漆が乾くとは不思議でしょう。


              ギターの塗装で使うニトロセルロース・ラッカーは、湿度が高いと白濁してしまい、塗装ができなくなってしまいギターの仕事はあがったりなんですがね。漆はまったく逆になります。


              せっかく覚えた漆塗りの技法なんですが、最近はめっきり使うことがなくなりました。全身漆かぶれになるという代償を払って覚えたのですが。


              今回は3年ぶりの漆塗りなので、またかぶれないかドキドキしています。
              でも独特の艶はきれいですね。においも好きです。


              漆は最古の接着剤であり塗料です。縄文時代の漆塗りの櫛が出土しています。酸にもアルカリにも強い漆は最高の塗料であることは、化学物質が発達した現在も変わりがないそうです。また、環境にも負荷を掛けませんね。


              いつかギターにも使ってみますよ。「拭漆」の技法を使うと塗装膜の薄さは他の比ではありませんから、楽器が鳴ること請け合いです。

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              2012.06.03 Sunday

              宮大工「西岡常一」

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                宮大工という言葉は木工を志す職人にとって特別な響を感じさせられます。
                職人の頂点といった趣きです。


                その中でも「西岡常一」は「法隆寺の鬼」と呼ばれた宮大工棟梁で、我々の年代50代以上の木工職人・建築関係・お寺さん関係では知らない人はもぐりだと思われるくらい有名でした。


                「でした」と書くのはその下の年代の方は、西岡棟梁が亡くなられてから仕事に就かれた方で、氏を知らない方が多くなったと実感するからです。だから過去形になります。


                なぜ西岡棟梁が有名だったかと改めて考えてみると、法隆寺大工棟梁としての腕はもちろんのことですが、法隆寺の昭和大修理や薬師寺伽藍復興の中で文部省の役人や大学の教授・学者との丁々発止の論争をし、テレビや新聞でよく取り上げられていたからです。


                権威の方々を相手に一職人が頑としてその信念を曲げない様に、多くの職人が溜飲を下げる思いで見守っていたから、記憶として鮮明なのでしょう。


                「木のいのちのことは、大工が一番知っている。」
                この信念が絶対のものとして西岡棟梁を貫いていました。


                代々の棟梁としての口伝も、聞き書きや著書などで惜しげもなく披露しています。その仕事の全ぼうも多くの本で読むことができ、職人に職人たるや何をすべきか、伝えてくれています。


                山崎佑次著「宮大工西岡常一の遺言」が1995年に亡くなった氏について書かれた最新の本になるかと思います。


                その中で次代の職人へのメッセージが語られています。


                「棟梁というもんがあってその下に集まってる人は、思い切って仕事をやれ。間違えば棟梁が腹を切るんだから、これ以上できんという仕事をやってもらいたい。」


                「道具を上手に砥げても腕前が足りんといけません。それには魂を込めて研ぐ。上手とか下手を通りこして、これ以上は砥げんというぐらいに砥げということです。」


                「功利的ことを考えずに、時間がかけてもいいから、本当の仕事をやってもらいたい。ごまかしやなしに、本当の仕事をやってもらいたい、そう思います。」


                恥ずかしくなるばかりです。
                命がけの仕事をする人のありさまを前に小さくなっていく自分が解ります。


                この本の著者は西岡棟梁の死を「美しい日本」の死、と表現していますが、米代の心配をしなくなったのは還暦過ぎといい、宮大工の仕事がない時期も民家には手を出さず、田畑を耕し自給自足し、仏の道を歩き、いざ仕事となれば鬼となって木のいのちを生かす、本当の職人、本当の日本人が終焉になることを認めています。


                そうかも知れません。


                「ワシなんかたいしたことはない。本当に凄いのは飛鳥時代の工人です。」と語る西岡棟梁。
                代々の工人・職人はそれが普通だったのでしょうが、現代ではそういかん、とつい言い訳したくなります。


                職人なんて言葉は死語になりつつあります。職人になりたくても職人を生かす仕事がありません。
                また、「現代の匠」などという言葉は技術だけを指し、「木のいのち」を見る慧眼を持つ人を指す言葉ではなくなりました。


                大変な時代です。



                「これ以上は砥げんというぐらいに砥げ」何事にも通じますね。


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                2012.03.02 Friday

                古楽器を見て感じたこと。

                0




                   写真は今度「スモーク乾燥」する古楽器たち。
                  かわいい顔してますね。


                  コントラバス製作者の友人作のフィドルとそこに修理に来たフィドルが「スモーク乾燥」されます。


                  古楽器は「ゆるい作り」でほっとさせられます。
                  ガンガンと完璧に作るのも大切ですが、ゆるく作るのもありですね。


                  これは、「李朝家具」から学んだことです。


                  朝鮮半島の「季氏朝鮮」時代に作られ続けた木工家具ですが、「李朝工芸」と言えば「白磁の壺」が代表です。(チャングムの背景の調度品がそれらです。)


                  日本にも愛好者がたくさんいます。1900年代に彼の地に渡った「浅川兄弟」がその美を盛ん日本に伝えました。


                  中国の白磁は管窯(かんよう・朝廷の窯)で焼かれた完璧の焼き物ですが、朝鮮半島ではもっとくだけた感じになり、それが日本の茶道では好まれるようになりました。(井戸茶碗のたぐい)



                  日本の”ものつくり”は、世界一だと日本人は誇りにしているし、事実そうだとも思うのですが、完璧な”ものつくり”は”商品つくり”であって、後世に残る”味のあるもの”にはなり難いと私は感じています。(そうなったのは、明治以降で、拍車の掛かったのは高度経済成長期か。)


                  職人・技術者は同業者から技術が低いと思われるのを極端に嫌います。
                  また、販売者もお客さんからクレームが付くのを避けたいがため、完璧を求めます。結果「硬い作り」になってしまします。そんな傾向があると思います。


                  「ゆるい作り」を見てそんなことを感じました。


                  一度「硬い作り」にはまると、抜け出しにくいですね。私がそうです。
                  それでも、”味のあるもの”を求めている「眼」があると信じて、「手」と一致させるべく精進・精進。

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                  2012.02.22 Wednesday

                  ウインザーチェアの村上富朗

                  0


                    皆さん、どうぞ季刊誌「住む。」(農文教発行)の2012年冬号がまだ書店に積んであるうちに、立ち読みしてください。


                    何の記事を、と云うと「木工作家・村上富朗が遺したもの」をです。


                    癌に侵された村上さんが、最後の力を振りしぼってウインザーチェアーを仕上げる様子を記録しています。


                    ウインザーチェアーについて少し説明を。17世紀後半からイギリスで作られるようになった椅子で「大きな木の座」と「丸棒で組みあがった背」が特徴です。18世紀にはアメリカでも作られるようになり、いろんなバリエーションがあります。木で人を包みこんでくれるような、おおらかさを感じます。



                    そのウインザーチェアー作り・日本での第一人者が村上さんでした。(もちろん「松本民芸」などいち早く製作した会社もありますが、個人製作者では村上さんでした。)


                    人呼んで「ウインザーの村上」。本人は木の椅子をいろいろ作っていますし、家具も作っていましたが、やはりウインザーが有名でした。

                     


                    村上さんの余命を知った旧知の方々(建築家・中村好文さんなど)が、彼の仕事を記録するべく動きます。DVDの撮影とこの雑誌の特集です。(DVDもユーチューブで観られます。)


                    大きな座板をざくる仕事は、長年の手で覚えたラインを平面から立体へと鉋で見事に掘り出して行きます。また、丸棒を座に組み込む仕事も手回しハンドドリルで穴をあけています。


                    手仕事の美しさを感じるところですね。


                    昔ながらの作り方でしょう。それでいて仕事は速く正確。こういうもの作りが見られるのは、少なくなっています。


                    生前一度、名古屋の椅子の展示会で、村上さんと少しお話させてもらったことがあります。こだわりの職人と言うより、何にでも興味のある冒険家といったイメージを持ちました。


                    ウインザーチェアーは、作られる場所によって材料も仕口も変化して行きます。これは、村上さんの文章から知ったことですが、例えば楽器製作でも応用できる発想だと私は考えています。


                    「手でつくり、手で考える。」
                    柔軟な作り手でありたいと改めて思います。


                    村上さんのご冥福をお祈り致します。

                     

                     

                    2012.01.27 Friday

                    木を見て森を見ず

                    0


                      「木を見て森を見ず」ではありませんが、私のように木材を扱う者でも立ち木に関し、知識不足になりがちなので少し調べて見ました。。


                      ダーゥインの『進化論』通りなら、私たちのルーツは猿族までさかのぼり、森で暮らしていたことになります。


                      日本に絞って考えてみれば、縄文人は森の恵みを受け暮らしており、一部稲作も伝来し出した様でもありますが、豊かな森の木の実を主食にしていたようです。


                      栗やクヌギ類のどんぐり、椎の実、栃の実などアクも上手に抜きながら食していました。(もちろん貝とか獣の類も食したでしょう。)


                      今でも「栃」「栗」などの字が地名に残っているのは、縄文以来、日本人が木の実のなる木と共に生活してきた名残です。


                      また、建築材としても森を利用して来ました。三内丸山遺跡の栗材の柱材の遺物や2005年に出雲大社で発見された3本一組の栗の柱材など、腐りにくい栗の特性をしりつくした技です。(出雲の幻の宮殿は高さ48メートルにもおよぶと話題になりましたね。)


                      栗は奥山より人里近くの日当たりのいい場所を好み、材は裂け易い特性があります。板にもしやすいのです。(木曽地方では、「そぎ板」と言って屋根に葺いたりしました。)人にとって使い勝手の良い木でした。


                      その結果、巨木は資源として枯渇してしまい、人は他の材を求めるようになります。代表的なのがコウヤマキや檜です。古事記にも「棺」に使うとか記述があったように思います。


                      古都の奈良から京、そして築城材として針葉樹が使われましたね。檜は建築材として一級です。するとまた資源が枯渇して・・・


                      一方、里に暮らす民は森と共存して来ました。里山です。針葉樹と広葉樹の混合林は人と多くの獣を生かしました。


                      冬は山から芝刈りに薪調達場として、秋は大量の木の実にきのこ類を。落葉し見通しがよくなれば猟場として多くの恵みをもたらしてくれました。


                      照葉樹林もありますね。樫とか楠とか椿とか。宮崎にその原生林があるそうですが、そこでの森との付き合いはどうだったのか。もっと学びたくなります。


                      今の現状と言えば、戦後禿山になった山に杉が植林され、その後輸入材に価格負けし「価値がない」と見捨てられた荒れた日本の山林。


                      もう一度森と人との関係を問い直し、再生の道を探りたいです。




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