2018.05.12 Saturday

リペア ファイル その457

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    ギブソン  ES−175 /  フレット交換(オーバーバインディング)・アーチトップ用ブリッジ交換(オフセット加工)

     

    ジャズギタリストの依頼者が持ち込まれたギブソンES-175。フルアコと呼ばれるタイプです。ジョーパスやパットメセニーも使っていた記憶があります。ジャズからフュージョン・ロックまで使えるギターです。

     

    長年の使用でフレットが磨耗した(ジャズの方はどのポジションも均等も減るのが特徴ですね)ので「フレット交換」になりました。バインディングのあるタイプなので、フレットもバインディングをまたぐ様に端を加工してから使います。まず、フレット溝を専用のノコギリを使ってキレイにしながら、深さを均一にします。そしてフレットタングを調節しながら打ち込んで行きます。

      

     

    打ち込み後、フレットピークを均して(フレットすり合わせ)からフレットを磨いて行きます。フレット高が高くなったのでナットも交換します。

      

     

    フレットはギブソン・ジャンボに近いJescar♯57110を使用。背はギブソン純正よりやや高いです。これにより早いパッセージが楽になるでしょう。背の高いフレットで左手の負担が減るとも言われています。

      

     

    弦は定評のあるトーマスティックのフラットワウンドです。アコギ並の太いゲージを使われますね。中空の本体を鳴らすにはこのくらいのゲージが必要になります。

      

     

    ブリッジも交換します。ブリッジの底面をアーチトップに膨らみに合うように加工します。またサドル部をオクターブ調整が正確になるようオフセット加工しました。

      

     

    3対3のギブソンヘッドはすべてのメーカーの手本です(もう一社がマーチン)。フルアコは伝統的にメイプルネックが使われることが多いですね。これはたぶんギブソン社がバイオリン属を作っていた名残だと思います。ヘッド裏にはボリュートがあります。(レスポールもこうすればいいのに)

      

     

    PUは’57クラシックが搭載されています。ポットはひとつずつ金属の筒状の箱に収められていてノイズ対策が施されています。さすが高級機! トップ&バックは合板製で”L5”とか”スーパー400”のような単板削り出しではないですが、その分 大出力での演奏はこちらの方が分がいいと思われます。

      

     

    ジャズ演奏にはフルアコと思われがちですが、昨今はソリッドタイプのエレキで演奏するミュージシャンも多いそうです。ただしかし、フルアコの方が絵になりますね。また、ふくよかなサウンドはこのボディからしか生まれません。フロントPUから奏でられるメローでジャジーなサウンドが即興で自在な世界を作り出します。

     

    関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

     

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    2018.05.08 Tuesday

    リペア ファイル その456

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      マーチン HD−28V / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換・ロングサドル交換(オフセット加工)

       

      きれいに使われているマーチンHD−28V。世界大戦前に作られていたドレットノートの復刻版ですね。ブレイシングの位置が現在より少しサウンドホール寄りになっている『フォワード シフテッド ブレイシング』が大きな特徴で、トップの剛性は落ちますが、トップ振動幅が大きくなって”鳴り”がいいと言われています。”剛性”を取るか”鳴り”を取るか悩ましいところ・・・

       

      トラスロッドが入っているタイプですが、弦高が高くなっていました。「ネックアイロン矯正」で仕込み角度をつけながら ネックも少し逆反りさせます。

        

       

      数度の矯正で仕込み角度がついたネック。ここでフレットの頂点(ピーク)を整えてやります。平ヤスリで「フレットすり合わせ」をします。頂点がヤスリで少し平らになるので、再び鋭い頂点をつけるべく三角ヤスリや半丸ヤスリで フレットを一本一本削り出します。

        

       

      最後はフレットを磨いて仕上げます。ナットも交換します。ミカルタでしたが牛骨に。ミカルタは音の定位が高めで明るいサウンドですが、牛骨だともう少し下がって太めのサウンドに感じます。

        

       

      ロングサドルも牛骨に交換します。下の写真はオリジナルです。これを観ると普通のロングサドルだと思うでしょ。私もそう思いました。ロングサドルは底が接着されていて外せませんので、いつものように”あぜ引きノコ”でサドルの中央を切り込んで、パチンと割って外そうとしたのですが・・・外れない・・底より底がある・・・どうなってるの?

        

       

      なんと、掘り込んであったのです。私の知る範囲では”掘り込み式”のロングサドルでは、端が丸くなっていて一瞥してそれと解るのですが、HDでは端を四角にして普通のロングサドルと区別つかないように加工していました。ロングサドルは溝が浅くなりサドルが前屈みになりやすい傾向があるため”掘り込み式”が考えられたと思うのですが、深くなって安定したならば接着しないでもいいのではないか・・・と突っ込みたくなります。 見栄えは大戦前仕様であるが実は最新式であるところがマーチンのこだわりですね。

        

       

      ブリッジピン穴に弦通し用の溝がないため、6弦などがピンがきつくなりやすく弦交換がしづらいので、溝を切っておきました。ブリッジピンの頭がこれで揃います。

        

       

      ピッチ調整のための「オフセット加工」も施しました。

       

      弦高が下がってもサドル高は変わらないで仕上がりました。サウンドは音の輪郭がはっきりし雑味のなく品があります。材料もいい素材で構成されているので、これからさらに育ってくると思います。

       

      往年のヴィンテージマーチンファンも唸らせるHD−28V。マーチンはこれからも歴史を積み重ねて行くのでしょう。

      バタービーンズ・タイプのペグボタンがかわいいですね。

       

      関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

       

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      2018.05.04 Friday

      リペア ファイル その455

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        Guo Yulong CONCERT  / トップ割れ・破損修理・再塗装

         

        ”ガオユーロン”と表記してきましたが、中国語の発音上”クォーユロン”が近いとのこと。これからはそう表記したいと思います。

        バッハ協会理事長の加藤政幸先生のクォーユロン・コンサートモデル。海外演奏旅行中に飛行機事故で表板が大きく破損してしまいました。たぶんケースごと落下したのだと思います。底をぶつけてトップの弱い部分・力木沿いに割れたのでしょう。

         

        ボトムが「くしゃ」とつぶれています。サイドも割れています。力木に沿って亀裂が数箇所入っています。Guoのギターは”ダブルトップ”仕様なのでトップは『杉・ハニカムコア・杉』と3層になっています。単板の割れとは違うので構造を理解したうえで修理しました。

          

         

        まずトップの歪みを取りながら割れ部分を接着します。接着剤をある程度擦り込んで接着し乾燥させてから、さらに接着剤を流して固定します。ハニカムコアゆえその隙間にどんどん接着剤が侵入して行きますから、いったん割れ部分で膜をつくってせき止めてから断面を接着するイメージです。

          

         

        このコンサートモデルは”ダブルバック”仕様でもあります。ジリコテの裏板の内側にもう一枚裏板が張ってあります。つまりギター内部が2層になっているのです。そのためギター内部に手が入りません。クランプを工夫して使いながら、パッチを貼り付けて行きます。

          

         

        自作のパッチ。0・5ミリのマホガニー2枚を木目を互い違いにして貼り合わせています。丸いのと半丸を用意して、力木のすぐ脇は半丸、もう少し離れている割れ部は丸いパッチを貼りつけています。(シープレス材のダブルバックが見えますか?これで低音部をバスレフ効果で増長しているのでしょう)

          

         

        ボトムの亀裂はライナーに沿って木目を分断しながら入っています。ここの処理をどうするか考えた末、亀裂部をまたぐように薄板を貼り付けることにしました。強度を稼ぐためです。まず型を作ってルーターで表面を取り除きます。薄っすらハニカムコアが見えます。(ダブルトップはコア内の隙間分 軽くなりまた強度があり理想的なトップ材です)

          

         

        バイオリン用の杢のある薄いメイプル材を貼り付けました。この楽器にはアームレストが標準装備なので、そのデザインとマッチするような補強材の形にし かつ着色しました。

          

         

        トップ全体を塗装します。Guoはウレタン塗装なので同じくウレタンで仕上げています。

         

        完成。アームレストもつけ直しました。サイドの割れも修復してあります。

          

         

        ブリッジはダブルホール仕様。サイド&バックはジリコテ材です。うつくしい杢目ですね。

          

         

        レイズドフィンガーボード仕様。最近のGuono力木はラティスブレイシングではなくトーレスタイプのファンブレイシングを採用しています。サドルとナットは先生自身の手が加えれられていました。ベストな弦高設置はご自身で行うのがベストですね。

          

         

        どうやって修理するか考える時間が結構必要でした。楽器としてうつくしい形を維持したうえ強度を保ち、音質をできるだけ損なわないようどう修理をするか、勉強にもなった仕事でした。

         

         

        クラシックギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=648

         

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        2018.04.30 Monday

        リペア ファイル その454

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          タカミネ PT207 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・駒下補強・弦アース加工・サドル交換

           

          ノンカッタウエイ/コア材仕様のタカミネです。ネックの元起きとトップ膨らみがやや進行していたため弦高が高くなっていました。トップの膨らみは駒の後方のみでさほど問題ではないですが、弦のボールエンドを下げてサドルへ掛かるモーメントを増やすべく駒下に補強材を入れました。

           

          ネックアイロン矯正で仕込み角度の調整を行います。なかなか戻ってくれませんが、何度も熱と圧を掛けて少しずつ動かします。14フレット以降で逆折れ気味にするためフレットピークを整える必要が出ます。

            

           

          「フレット擦り合せ」をピークを調整して、再び各種ヤスリを駆使して山頂を切り出します。その後ペーパーを使い磨きピカピカに。

            

           

          タカミネのピックアップを取り外してバラしました。(この作業は得意です。なんたって何万本もやっていますから)補強材に銅箔を貼って弦アースを取れるように加工してあります。アウトプットへ繋いでノイズを低減させます。

            

           

          補強材を圧着します。
            

          タカミネのピックアップシステムは、大きな圧電素子を上下からボルト締めしてあるのでハウリングに強いです。この強さがウエスとコーストのミュージシャンのロードツアーで証明されたことから、タカミネの評価が高まったと聞きます。

           

          サドルは2wayで弦長補正・ピッチ調整に優れています。端が欠けていたのでサドルも作り変えました(オリジナルは少々ルーズな作りなので、弦交換のときにサドルを落として逆向きに付けられた個体を時々見ます。一応説明しておくとルーズなのはわざとで、この方がピエゾに圧がかかりやすいからです)

            

           

          逆折れぎみに仕込み角度が付きました。

           

          ラージヘッド。イーグルスの故グレン・フライもラージヘッドのタカミネを愛用していました。タカミネ「グレンフライ」モデルもノンカッタウエイの「丸」型でしたね。

            

          タカミネの古い職人さんが「昔はコアのタカミネと言われたもんだ」と言った言葉を思い出しました。合板ですが裏面にも杢入り付き板を使用していることから、コアが豊富な時代なことがあったことが解ります。

           

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          2018.04.26 Thursday

          リペア ファイル その453

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            SUZUKI”4”ウクレレ / ボディサイド(胴)割れ修理

             

            日本で最初の楽器メーカー”SUZUKI(鈴木)”製のウクレレです。”鈴木”は明治時代よりヴァイオリン製造をはじめ、後にマンドリン・ギター・ウクレレなど弦楽器をファクトリーメイドで生産しました。名古屋市が発祥の地だったので、関連会社(楽器問屋・楽器材木商・メーカーなど)がこの地域に多く生まれる結果となります。(ほとんど同時期に浜松からは、オルガンの”ヤマハ(山葉)”が出ました。この2社が日本の楽器つくりの元祖ですよ)

             

            名古屋の本社のほか、岐阜県恵那や長野県木曽にも下請け/関連工場を持っており、低価格帯のバイオリンを中心に生産していました。それ以外の楽器「ギター・マンドリン・ウクレレ」はこの2社で作られたものです。

              

             

            ボディサイドがパカーンと割れてしまっています。ペグが回らず叩いたら胴/側が裂けてしまったそうです。ネックブロックも割れていました。サイド&バックは桂(かつら)材の単板で出来ていてサイドは柾目板なので裂けたのです。(合板ではこうならない)

              

             

            ニカワを流して接着します。あて木を作っておいて素早くクランプが掛けられるようにしてあります。ボディボトムも接着。(接着面が長いので2回に分けて作業しました)

              

             

            今回は塗装はなしで接着のみ。塗装も薄く仕上がっていましたので結果この方法がよかったです。(ウクレレは塗装が薄いに越したことはないです)

             

            カワイイ! トップはスプルースです。その出音のやわらかでふくよかなこと。たまたまリペア依頼で見えていたギターの先生が欲しがっておりました。このウクレレはヤフオクで3000円ぐらいだったと聞きます。オール単板でしかも珍しい国産材の”桂”が使われているのでお買い得でしたね。まぁ、これは昔の量産品ですから付加価値がつくような楽器ではないのですが、依頼主は大満足で「心地いい!」と喜んでくれました。

              

             

             

            関連ブログ:日本のヴァイオリン製作の先駆者「鈴木政吉」

             

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            2018.04.22 Sunday

            リペア ファイル その452

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              Killer Guitars  KB-CRIMINAL BASS Twin JB / 塗装割修理

               

              国産ハイエンドギター・ブランド「キラー」のベース。ESPの関連会社で高崎晃のギターを製作・プロデュースし名を上げました。”ヘビメタ”御用達ブランドとも言えます。細部まで作り込んであるのが特徴です。

               

              塗装面に亀裂が生じました。木部が動いたのかどうか不明ですが、塗装面にわずか段差ができています。キラキラのファイヤーバードはシールだと思われます(最近は本物の貝に肉薄する表現がシールでできるようになりました)。亀裂に接着剤を充填して乾燥後にペーパーで段差を解消してからバフで磨くしか手がありません。亀裂が解らないように修復するのは無理でした。

              黒い塗装に入った亀裂は特に目立ちます。白系ならばもう少しごまかせるんですが・・・

               

              黒色は傷も目立ちますので、全体もバフで磨いて艶を出しておきました。

              PUはフロントはPBタイプでリアはJBタイプが2連にしてあります。1ボリュームにミックス用のバランサーというシンプルな回路です。JB2連というのは面白い仕様ですね(ハンバッカーに近い配線なのかな?)。トップに船型ジャックプレートがあるベースは珍しいですが、なるほどこれは使いやすいですね。

               

              ブリッジは一段落とし込んであります。これでサドル高を稼げますね。その結果弦通し穴までの立ち上がり角度が取れます。後ろがザクってあるので弦交換もスムーズです。細かい芸が出ていますね。

               

              ヘッドはフェンダーよりやや小ぶりです。またペグが扇状に並べられていて人間工学的に優れもんです。

               

              ネックはデープジョイントでボディに差し込まれていて強度・サスティーンに有利な構造です。トップの左半分は斜めに削られていて大きなエルボーカット面が施されています。ボディはアルダーか、軽いです。トーンポットをつければどのジャンルにも対応できる汎用性の高い楽器だと感じました。

               

               

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              2018.04.18 Wednesday

              リペア ファイル その451

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                ギブソン ハミングバード2016 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・サドル調整・ナット調整

                 

                Gibson Hummingbird Standard   なんと言ってもこのピックガードが特徴です。ハチドリが蜜を吸っている図柄がいいですよね。スクエアーショルダーはマーチンのドレッドノートとほぼ同じですが、カラーリングやピックガードなどの違いから(もちろんサウンドからも)ファンを作って来ました。

                今年になってGibson社の経営不振が報道されており、ファンの多くが心配して動向を見守っています。

                 

                「ネック元起き」で弦高が高くなっています。ネックを「アイロン矯正」して仕込み角度をつけてやります。一度では狙った角度にならないので複数回で曲げています。それからフレットの頂点(ピーク)の高さ(レベル)を整えるために「フレットすり合わせ」を行います。

                  

                 

                平ヤスリでピークを擦ってあるので、再び鋭角なピークをつけるため 三角ヤスリなど専用のフレットファイルを使って整形します。その後はフレットに残ったヤスリ傷をペーパーの番手を変えながら 磨いてきれいに仕上げます。

                 

                ご覧の通りピカピカに。ピークレベルが下がったためナット溝も少し切り込んで調整します。

                  

                 

                14フレット付近から若干角度が付いています。ネックも逆反りぎみに「矯正」してあるのでトラスロッドにも余裕が生まれした。

                 

                仕込み角度が付いたため 弦高を下げながらサドル高を”かさ上げ”することになりました。黒檀の薄板をサドル溝に敷きます。最近のギブソンアコギにはL.R.バッグス社のアンダーサドル式ピエゾ『エレメント』が搭載されていて、サドルの下にピエゾが敷かれています。その上に薄板を敷く格好になっています。

                  

                 

                パワフルによく鳴る個体です。ギブソンアコギの多くはマーチンと違ってバック&サイドにはローズを使うことが少なくマホガニーなので倍音こそ少なめですが、深いローと抜けたハイ・厚いミッドが塊となって出音します。そこがロック向きだと思われる由縁でしょうが、実際はオールマイティーな楽器だと思います。

                  

                ギブソン社はなんとしても今後も残ってもらわないといけない米国の企業・ブランドです。救済されんことを祈る!

                 

                ギブソンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=631

                 

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                2018.04.14 Saturday

                リペア ファイル その450

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                  グラスルーツ LPカスタム / PU交換・キャビティ内導電塗装・ポット交換・コンデンサー交換・配線材交換

                   

                  ESPの姉妹ブランド「GrassRoots」のレスポールカスタム・モデル(型番は不明)です。ESPにはほかに「LTD」とか「EDWARDS」とか「E-II 」とかありますね。どのようにブランドの住み分けしてるのかな?「Navigator 」は昔からあるブランドなので解りますが・・・(Navigator のトロッコというオール単板の335タイプが憧れでした)

                  今回持ち込まれた楽器は、大音量にするとハウリングがひどくて使えなかったそうです。そこでPUとアッセンブリを総取っか換えすることにしました。ボディとネックの作りはさすがESPの流れを組んでいますのでOKでしたが、電装系が弱かったです。

                   

                  交換パーツは、ポットは米国CTS社製に アウトプットジャックはスイッチクラフト社製に コンデンサーはオレンジドロップに 配線材はベルデン♯8503 にしました。本当はトグルスイッチも交換したかったですが、ゴールドパーツの在庫がなくて断念しました。

                  ピックアップは、フロントがセイモアダンカン社製「SH-2n・JAZZ」リアが「 SH-4・JB」という王道の組み合わせです。すべてのキャビティ内には導電塗料を塗って外来ノイズ対策もしておきます。

                    

                  リア一発という依頼主のプレースタイルでしたが、フロントのJAZZモデルは”おいしい音”なのでお勧めしました。

                   

                   

                  トグルスイッチとポットを繋ぐケーブル4線はベルデン♯8503を撚(よ)って作ります。レスポールタイプはこの距離が長いのでここで音の劣化・ノイズ対策が大切ですね。ポットの穴は国産より大きいので広げておきます。

                    

                   

                  蓋には銅箔を貼り、キャビティ内にはアースを落とします。はんだはケスター♯44を使っています。見落としていたのがノブでした。米国ポットはインチなので国産/センチ用のノブは入りません。急いで取り寄せました。

                    

                   

                  完成!真っ白なカスタムもいいですね。この個体はずい分軽かったのでおそらくボディは「バスウッド」でしょう。これだけ軽いレスポールもめずらしいです。音の定位は高域よりではありますが、ボディ厚はあるので音圧がないことはありませんでした。

                    

                   

                  これでマーシャルで鳴らしても問題ありません。大定番の「SH-2n」「SH-4」という組み合わせでしたが、このサウンドを元にしてほかのPUをチョイスしていけば迷路に落ち込みません。例えばもっとハイゲインにしたいとかモダンにしたいとか、ここからスタートすれば解りやすいですよ。

                   

                   

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                  2018.04.10 Tuesday

                  リペア ファイル その449

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                    マーチン D−28 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・駒上面削り

                     

                    トラスロッドのないマーチンのネック反りは、「ネックアイロン矯正」か「フレットタングを楔状にして打ち込む(フレット交換)」かで修正するしか方法がないと思います。また弦高が高くなる原因は、ネックの反りだけではなくトップの膨らみが進行してなるケースもあり、多くはその複合です。

                     

                    まずは「アイロン」で熱をかけてネックを矯正します。木材は熱を加えると曲がる性質があり、それを応用するのです。

                      

                    「ネックの反り」と「仕込み角度」とそれぞれ修正してやります。

                     

                    経年変化でネックのねじれや狂いが生じていますので、ネック矯正後にフレットピーク(頂点)を平ヤスリで真っ直ぐにします。ピークが平らになるので、それを半丸ヤスリや三角ヤスリでピークをつけ直してやります。

                      

                     

                    それからヤスリ痕をペーパーで磨いて落として行って、最後は”金属磨き”で拭き上げピカピカに。

                      

                     

                    仕込み角度を付けてやっても充分に弦高が下がらなかったので、駒(ブリッジ)の上面を1.5ミリほどカンナで削って落とします。この駒は元々厚かったので駒の形状もほとんど変わらないで仕上がりました。

                      

                     

                    駒の上面を削った結果、ブリッジピン穴からサドルの頂点までの立ち上がり角度が生まれました。これで弦振動がしっかりサドルへ伝わります。

                     

                    「ネックの反り」がなくなり「仕込み角度」も付いています。

                     

                    D−28はローズサイドバックできれいな倍音が特徴ですね。倍音がフルオーケストラのような響きを作っています。ローズウッド材は重く硬く、またバラのようなに匂いがします。この匂いが「ローズ(バラ)」ウッドの由来でしょう。

                    近頃、ローズウッドは『ワシントン条約 付属書供戮忙慊蠅気譴燭燭瓠∋挫呂両斂製颪ないと輸出が許可されなくなりました。これまで違法な伐採や密輸により木材資源が枯渇しようとしている現状でしたので、なんらかの規制はしかたないところです。限られた資源を守り、子孫に残して行きたいですね。

                     

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                    2018.04.05 Thursday

                    リペア ファイル その448

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                      マーチン Dー35  /  ブリッジ剥がれ・再接着

                       

                      駒(ブリッジ)がめくれかかっていたので修理に訪れたマーチンD−35。依頼主と協議して「駒を外さないで隙間に接着剤を流す」処置で済ますことにしました。ではではとクランプで仮締めしてみたところ、くっつかない! よく見ると駒が変形していました。

                       

                      そのため依頼主にもう一度連絡を取り、「外してから再接着」することに同意してもらって作業開始。パレットナイフをお湯で温めて駒下に差し込んで駒を外します。

                        

                       

                      取れました。

                       

                      駒の前方(左側)が少し折れ曲がっているのが解りますか。弦の張力で徐々に曲がってクセが付いてしまったんですね。黒檀ですのでクランプの圧力だけでは元の位置に戻りません。そこで「アイロンヒーター」を使って熱を加えながら復元させます。

                        

                       

                      トップも変形しており、そのまま接着することはできません。トップの上側はストーブの天板で温めた別の駒を、下側はこれも温めたブリッジプレートの形のブロック材を、トップの両面からゆがみを矯正するべくクランピングしました。(これを何度も繰り返し、変形を修正)

                       

                      そこでやっと接着準備。駒形にトップの塗装をノミで はつって平面を出しておきます(正確にはトップにはゆるいアールがついている)駒側もトップのアールに合わせて削ってあります。裏側に当て木をしてからニカワで接着します。

                        

                       

                      完成。

                        

                      この楽器のブリッジピン穴は、サドルに近いですね。6弦は特に近すぎて弦の折れ曲がり角度がちょっときつい・・・太い弦ほど曲がり難くいので弦高が少し高くなる現象が起きます。(カーブを描くように曲がるため)

                       

                      3ピースバックのD−35。『リペア ファイル その444』でも取り上げましたが、D−35は28に比べてブレイシングが低く作られていて、トップの鳴りがD−28とは別物にチューニングされていることが解りました。この個体は低音がズーンと響き 和音のスケール感が大きく感じます。

                        

                       

                      D−28に慣れた耳には新鮮なサウンドに感じます。このD−35を求める人は28に飽き足らない人が多い気がします。「18や28でない」ところがこの機種を選ぶ動機になったりしてますね。35の方が価格設定も高めですが、満足させるだけのコンテンツが詰まっています。

                        

                       

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