2019.11.27 Wednesday

リペア ファイル その618

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    マーチンD-28 / ナット交換

     

    マーチンギターはケースを開けた途端、マーチン独特の匂いが漂います。どこかノスタルジーをそそる懐かしい匂いに感じますが、私だけ?

    ナットの弦溝が低くなっていました。長年 弦をチューニングしたり緩めたりしているとナットのところで摩擦が生じ、弦溝が擦れて減ってフレット高より下がってしまう現象がおきます。こうなったら「ナット交換」ですね。

     

    大きめの牛骨ブランクを指板幅に合うようにカットします。

      

    それを今度は厚みを揃えるために、片面を細かいペーパーで磨いて仕上げてから、反対の面を欲しい厚みまでベルトサンダーで一気に削り、最後は平らな面にペーパーを張り付けたところで微調整しながら削ってネックにタイトに納めるように仕上げます。(最近のマーチンのナットは底面が斜めでないのでその分労力が助かります)

     

    ナット端は末広がりになっているので、その角度に合うようにジグを使って削っていきます。

      

    荒いペーパーを使い角度を出すのですが、最後はピカピカ面に仕上げたいので前のペーパー痕が消せるように、番手を順次変えながら削っていきます。その際ネックの幅より短くならないように気をつけます。(ピカピカになったけど短くなってしまったりする失敗も時々やりかします。そうなったらもう一度作り直し・・・)

     

    写真のようにしてナットにフレットRを写し取ります。

      

    その線までベルトサンダーで削り落とします。

     

    1〜6弦までの弦溝をマーキングしました。基本的には以前と同じ間隔で写し取りますが、「フレット交換」した後では適度に修正した間隔にすることもあります。

      

    弦と弦との間隔は、弦の中心を等間隔にする場合と 各弦の太さが違うことを考慮して弦の端と端が等間隔になるようにする場合と2種類あります。

     

    ナット弦溝を専用ヤスリで切ってから、ナットの整形をする方法を私は取っています(ナットを外して整形する人もいます)。ネック上でヤスリやペーパーで整形するので、本体に傷がつかないようにうまく養生してやることが大切です。

      

    完成しました。

     

    最近のマーチン社は”ベアクロウ(熊の爪痕)”が入ったトップ材を使うようになりました。昔はどのメーカーもこれを嫌ったこともありましたが、個人製作家が高級機でこれをあえて使うようになったことから、メーカーもやるようになりましたね。杢が曲がってこう見えるのでよくないという説がある一方、腰のある材が多いから良しとする説いろいろあります。

      

    私は個人的に”ベアクロウ”材が好きな方です。きれいだと思うし、基本的にいい材であることから”はねる(使わない)”理由に当たらないからです。古い職人さん古い店員さんはダメ出ししますが、天然素材であるのでまったく無傷・無垢ばかりとはいきませんよ。天然資源枯渇と言われる昨今 基準も変えていかねばなりません。

     

     

    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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    2019.11.23 Saturday

    リペア ファイル その617

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      PRS SE CUSTOM /  フレットすり合わせ

       

      人気のあるPRS(ポール・リード・スミス)の廉価版である”SE”シリーズ。上級機のいいところを継承しているので安心感があります。

      ギブソンLPとフェンダーSTの中間のスケールであり、ハンバッカーPUとシングルPUの両方の出音を再現できるので”一粒で二度おいしい”と使い勝手に定評あり。

       

      弦高を下げたときにビビり音がでなきいように、またイントネーションも改善するように「フレットすり合わせ」をしました。フレットに轍(わだち)ができるとピッチ/イントネーションが不安定になります。

         

      フレットを平ヤスリで削るとフレットピーク全体に凸凹があったのが判明。最近はフレットの打ち込み技術が向上しているので、多くのメーカーでも出荷前に「すり合わせ」をしなくなっていると思われます。”PLEK”なる全自動フレットすり合わせマシーンを導入しているメーカーはそれを使っているでしょうが、手作業でも同じレベルの仕事はできます。

       

      フレットピークを揃えたら、今度は再びフレットピークを三角ヤスリと半丸ヤスリを駆使して鋭角に研ぎ出します。

        

      ネックは弦を張った状態と緩めた状態ではピークが変化しますので、どの程度変化するか見越してピークの調整がしてあります。それを再現するジグも”StewMack”から発売されていますから、それを使う工房も増えていますね。

       

      当工房は勘を頼りにやっています。(それでも数をやっていますからご安心ください。小僧のときは半日に3本くらいやるのがノルマでしたから・・・もっとも昨今のフレットワークは私がリペア工房で見習い/小僧やっていた30年前より質があがっているので、そんなに早くはできないですが)

       

      フレットを一本一本磨いて仕上げます。(指板面もクリーニングしてあります)

      「すり合わせ」は単にピークを揃えたりするだけでなく、チョーキングしたときに音詰まりしないようにフレット上で”コンパウンド・ラディアス”(円錐形)のように調整してあります。

       

      3:3のヘッド。ストラト似の”Slvir Sky”もこの形状だったのでPRSは3:3こだわっていますね。

        

      操作性がよく安定感のあるトレモロユニット。トーンノブをプッシュ・プルしてタップできます。

       

      上級機ほど彫りが深くないボディフェイス。それでも”杢”にこだわっているところがPRS。

        

       

      「フレットすり合わせ」をするとフィンガリングのストレスが軽減し、イントネーションはもとより音の立ち上がりやサスティーンも改善されます。フレットは徐々に減っていくので劣化はあまり感じられないのが実情ですが、「フレットすり合わせ」をするとその違いを感じられることでしょう。

      いつか”Slvir Sky”のSE版もでるのかな?

       

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      2019.11.18 Monday

      リペア ファイル その616

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        Chaki ウッドベース / ボディ・バック剥がれ

         

        チャキ製のウッドベースです。フォークやブルーグラスで使えば”ウッドベース”と呼ばれ、オーケストラなら”コントラバス”と呼ばれますが、同じ楽器です。前者は主に指弾きで後者は弓弾きの違いはありますが。

        (チャキはアーチトップの楽器を得意としていました。憂歌団の勘太郎が持っていたアーチトップのジャズギターもチャキ製でした)

         

        合板製のとトップ&バックですが、バックの合板ラミネート層が剥がれて広がってしまっていました。そのため異音がします。(振動で共振するためでしょう)

         

        マスキングテープで養生し接着剤(タイトボンド)を隙間から流し込んでから、パレットナイフで奥まで届くように広げます。

         

        クランピング。

        はみ出したボンドはお湯に浸した布で拭き取ります。

         

        ボンドが乾いてから音を出して共振していないか確かめました。大丈夫です。

        塗装が剥がれていた箇所にセラックを塗っておきました。

         

        オール合板の普及機ですのでパーフリングは木象嵌ではなく、手書きでラインが入れてあります。(これはこれで職人技ですね)

         

        一見ネックに”杢”が入っているように見えるでしょ。実は塗装の”ぼかし”でそれを表現しているのです。(これもすごいよ)

        日本では”茶木”や”鈴木”がヴァイオリン属の楽器を製造していましたが、主に普及機やスチューデントモデルでした。安価な楽器の質がどうのこうのと言う人がいますが、そういうモデルがあってこそ多くの人が楽器に触れることができたのです。その中のわずかな人が後々名プレーヤーになって高価な楽器に移っていきます。普及機から高級機まであってこそ、音楽シーンが存在するといっても過言ではないでしょう。

         

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        2019.11.14 Thursday

        リペア ファイル その615

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          GIBSON  ファイヤーバード /  ヴァイブローラ取り付け加工・フレットすり合わせ・ナット交換

           

          依頼主が高校生のときに手に入れた70年代製のギブソン・ファイヤーバード。ストップテールピースをトレモロユニットの”ヴァイブローラ”に交換させて再び使用したいとのこと。

           

          弦アースを新たに取らなければならないので、ブリッジアンカー部より取ることにしました。

            

           

          ブリッジはサドルが回転してアーミングをスムーズにする「Tone Pros」製に交換。

            

          いろんな画像を検索しながらオリジナルの位置に近いところへヴァイブローラの位置決めをしました。

           

          取り付け完成。

            

          一度取り付けたのですが、弦留めからサドルへの立ち上がり角度が浅いためテンションがゆるいことに気が付きました。仕込み角度の関係だと思われます。なのでビス止めにスペイサーを作製して挟み、弦留め位置を下げる加工をしました。

           

          元々太く低いフレットでしたが、弾き込んであったので結構減りが激しかった。きつめにヤスリ掛けしてから半丸ヤスリと三角ヤスリを駆使して再びアールを付け直しました。

            

           

          フレットに残ったヤスリ傷をペーパー各種の番手を変えながら磨き上げて行きます。

            

          ファイヤーバードといえばミニハンバッカーPU。60年代製がマウントされていて惚れ惚れする出音でした。

           

          ナット溝もすでに低くなっていたので交換しました。

            

          バンジョータイプのペグもこの機を決定づけるトレードマークでしたね。

           

          2V2Tの配列も微妙で独特。

            

          ファイヤーバードの特徴を製作者目線で語ると、ルックスやヘッドではなくて”スルーネック”構造だと言いたい。ヘッドからのボディエンドまで一本の材木で作る構造は、それまで例がなかったのではないかな?この構造は製造現場ではやっかいなんですよ。取り回しが大変だし、材木も長いものを用意してくちゃならない。生産効率を考えるとあまりいい方法でない。

           

          しかしながらこの後、アレンビックとかBCリッチとかスルーネック構造が出て来ました。ルックスや構造など時代を先取りしていた感があります。ギブソン社は元々革新的なメーカーだったんです。

           

          ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

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          2019.11.10 Sunday

          リペア ファイル その614

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            アイバニーズ AEB10EN /   トップ塗装面ひび割れ

             

            シニアになる根っからのベースマンがメインで使用しているアコギベース。軽くて取り回しがいいのが その理由だそうですが、たしかにウッドベースでは大きいしエレキベースでは重いですね。

            ”アンプラグド”シーンでも使用頻度が高い機種で、各メーカーで作られています。隠れたヒット商品とも言えます。

             

            炎天下の自動車の中に置いておいたらトップの塗装に”ひび割れ”がおきました(今年はそんな例が多い)。合板トップのおかげか”ひび割れ”は塗装面だけなのが不幸中の幸い。

            ポリエステル塗装であったので、隙間に瞬間接着剤を流し込ん”割れ面”を塞ぎます。

             

            はみ出した接着剤とわずかな段差を♯1000番〜のペーパーをブロックに包んで取り除きます。

              

            バフで磨いて元通りに。(ラッカー塗装塗料ではこうはいきませんが・・・・)

             

            フラットワウンド弦を使用していました。

              

            アンダーサドルPUで弦振動を拾いアンプで増幅して出力しますが、ボディが中空構造なのでふくよかなアコースティックサウンドになります。サスティーンはウッドベースより長くエレキベースより短いかな。

             

            国産品ではないですが、全体がうまくまとめられたコストパフォーマンスの高いBASSになっていました。

              

            年齢が高くになるにつれ軽い楽器を欲する傾向があります。日本では45歳から65歳くらいの現役プレーヤーが多いので、この世代にあった楽器の開発(本物を知る世代なので安かろう悪かろうではダメで、少々高くても質のいいものが欲している)が望まれます。

             

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            2019.11.06 Wednesday

            リペア ファイル その613

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              マーチン D−45 VR /  バインディング剥がれ

               

              マーチン社の最高峰、泣く子も黙る”D−45”。最高級の木材を贅沢に使用し 外周には貝を散らばめゴージャスなルックです。サウンドもまたゴージャスで豊饒な音の渦を感じます。その特徴を生かしたアルバムがニールヤングの『ハーヴェスト』、名盤でしたね。

              このモデルはプリウォースタイルでヘキサゴンインレイではなくスノウフレイクインレイ。

               

              トップ・腰のバインディングが縮んで剥がれて来ています。セル製なので縮むことがあります。

              本当は腰の部分でバインディング少し切って貼り付けると密着するのですが、切るには忍びない・・・

               

              そこでパイプクランプで圧を掛けて接着することにしました。

                

              セルをドライヤーで温めながら柔らかくしてから接着剤を差し込みクランピングします。

               

              完成。

              はみ出した接着剤をサンディングしてからバフで磨いてあります。

               

              マーチンCEOのサインが入っています。

                

              角ばったヘッドに縦ロゴ。

               

              表裏は当然ながらネックヒール部やサイドバインディングの上下ともに貝が巻いてあるところが”45”ですね。

               

              ロングサドルにべっ甲柄のピックガード。

                

              以前このタイプにピックアップを取り付けたことがありました。http://blog.9notes.org/?eid=715いずれにしても生鳴りが基本であることは変わりありません。

              メンテナンスを怠らずいつまでも最高の状態で演奏して欲しいです。

               

              関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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              2019.11.02 Saturday

              リペア ファイル その612

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                S.yairi  YD-305 /  ブリッジピン脇の割れ補修・ブリッジ染め直し

                 

                ジャパンヴィンテージ・アコースティックの中でも人気が高い”S・ヤイリ”。後期と呼ぶ80年代に入ってからのモデルとお聞きしましたが、S.yairi ファンの方は細かいところまでよくご存じなのでこちらが勉強になります。

                私の親方がS.yairi で修行された方なのでS.yairi にシンパシーを感じています。

                 

                ブリッジがピン穴に沿って割れています。ピン穴上に木目が来てたまたま裂けてきたものでしょう。そんなにあることではありませんが、これはローズを染めてある代物で本物の黒檀よりは若干強度は落ちますね。

                  

                接着剤を内部に十分浸透させながら接着し、隙間は黒檀の粉で埋めてあります。

                 

                目違いをサンディングして面一にしてから、

                  

                ピン穴の面取り部が小さくなったところを再び面を取っておきます。

                 

                全体をサンディングしてから一度水拭きして毛羽立たせてから、もう一度細かいペーパーで仕上げます。

                  

                「黒染め」します。私は「ビゲンの髪染め」を使っています。(メーカーでは薬品で焼きます)

                 

                最後は番手の細かいスティールタワシで磨きます。

                  

                後期のYD-305はボディ側に”ロッド締め”がありますが、古いのはナットの下に”ロッド締め”が隠されていてのを見たことがあります。なので簡単にロッド調整できなかったですね。

                 

                ロゴ以外はどこまでもマーチンをコピーしています。

                  

                ダイモンドボリュートは手で仕上げてあるので少し丸みを帯びています。シャーラーペグですね。

                 

                トップ単板・バックは3ピース単板仕様でサイドはローズ合板です。これがオール単板だと後期のYD-306になるとのこと。

                  

                上機モデルにはハカランダを使ったYD-308がありますが、前期のYD-306には一部ハカランダを使っているらしく、ややっこしいです。

                 

                古いメーカーの内情を少しは知っていますが、昔は結構アバウトな管理体制で仕様変更も現場ではあまり徹底されていなかったようです。シリアルナンバーも元々生産管理のためにつけているので、外部の人には分かりにくくしてあります。(でないと経営状況とか解ってしまいますから)

                70年から80年にかけて「フォーク」ブームでとにかくギターが売れた時代です。出来栄えは玉石混淆でしたが、この楽器はもちろん”玉”。爆鳴りしてました。音がでかい!です。

                 

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                2019.10.24 Thursday

                リペア ファイル その610

                0

                  鈴木楽器製作所 大正琴・蘭 / 調整・弦長補正・ブリッジ加工・アクション部割れ補修

                   

                  大正時代の発案されたという”大正琴”。タイプライターと琴のハイブリッドミックスですね。この楽器は、それがPU出力できるようになっています。

                   

                  音程(ピッチ)が正確でないとのことで当工房にやってきた楽器をチェックしました。まず最初に調べたのが「弦長」と各フレット位置に当たる「節」が合っているかどうか。フレット音痴ではなさそうです。(フレット位置に鍵盤キーがある構造)

                   

                  その仕組みは、鍵盤キーを押すとバーが弦を押し下げて「押し弦」した格好になり音階を刻むことができるようになっています。

                    

                  調べていくと「弦高が高く」なっているせいで、下がったバーにより「弦がベンド」された状態になりピッチがシャープしていました。原因のひとつですね。

                   

                  蓋を外して内部も点検。簡単な構造で各バーの微調節はできないようです。

                   

                  ハイポジションのアクション部の木部にひび割れを発見したので補修しておきました。

                   

                  駒・ブリッジは2wayになっていましたが、細い3本の弦と太い1本の弦(3本は"G"でユニゾンチューニング、太いのは一オクターブ下の"G"チューニング/本当はもう一本開放弦もあるが、それは取り外して使用していた)との弦長補正の差がこのブリッジでは正確に補正できないこともわかりました。弦高を下げるためブリッジの底面をぎりぎりまで削ったうえ、ピッチが合うようにブリッジを斜めに固定しました。

                    

                  本当は斜めではなく正確な補正に合うブリッジを作り直すのがいいのですが、今回はこれでしのいでもらいます。

                   

                  『蘭(ラン)』と命名されています。

                    

                  PUはオリジナルで、さらにアクティブ仕様になっています。(チューナー内蔵)

                   

                  面白い楽器ですね。音は「琴」そのものでサスティーンが短くアタックが強いです。複弦ですので”きらびやか”で倍音が多く感じます。大正琴はいろんな流派がありますが、依頼者はこれをバンド内で演奏しています。面白い!

                   

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                  鈴木楽器製作所 大正琴BASS・蘭 / 調整・弦長補正

                   

                  こちらはベース仕様です。同じくピッチに問題がありました。

                   

                  弦長補正を行いました。

                   

                  こちらはパッシブPUでした。出力を稼ぎたいのでPUをアジャストビスで少し持ち上げておきました。

                    

                  これを弓弾きするそうです。大正琴ではそのような演奏スタイルもあるようですが、私はまったく知りませんでした。今回この楽器に触れて、古典や歌謡曲の演奏だけでなくもっと幅広い使い方ができる「未来琴」のように思えて来ました。

                   

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                  2019.10.20 Sunday

                  リペア ファイル その609

                  0

                    タカミネ NPT-012BS /  フレット交換(オーバーバインディング)・ナット交換・全体クリーニング

                     

                    長渕剛ファンならご存知『タカミネ012』。いわゆる”ジャンボ”タイプのギターで”ドレットノート”より大きいサイズです。最近の長渕は同社の小振りの『500シリーズ(TDP-512BK)』とか『700シリーズ(DMP-751)』を使っていますが、このボディですと生鳴りの迫力はほかとは桁が違います。

                    (このモデルは海外でも定番で評価も高いです/元タカミネの証言)

                     

                    フレットがずいぶん摩耗しています。「すり合わせ」の限界を超えていましたので「フレット交換(リフレット)」しました。

                      

                     

                    オーバーバインディング仕様でしたので、フレット溝を専用ノコギリでクリーニングしながら切り込んでいます。

                      

                    フレット端を処理しています。タングを専用ニッパーでカットしてからクラウンだけ残るようにヤスリを掛けます(専用ジグを使う)。

                     

                    フレットを打ち込んみます。アコギは14フレット以上のフレットを打ち込むのが難しい(内部が中空になっているので収まりが悪い)ので、鉄ブロックを指板下に添えて打ち込むようにします。

                      

                     

                    フレットピークを整えます。

                      

                    その後、再び丸く整形してからペーパー各種を使って磨いて仕上げます。

                     

                    ナットも交換しました。

                      

                    ラージヘッドです。

                     

                    2wayサドルはイントネーションが正確でタカミネギターの代名詞のようにもなっていますね。

                      

                    つや消し仕様ですので、バフをつかって磨くことはできませんので、「水」「ジッポオイル」「シンナー」を使いながら汚れを落としました。

                    ------------------------------------

                    もう一台”長渕愛用”モデルのご紹介

                    タカミネ DPS-215 / ロッド・サドル・ブリッジピン穴修正・プリアンプ交換

                     

                    弦高調整はトラスロッドで「反り」を修正してからです。ブリッジピン穴からサドルけの立ち上がり角度が弱いので、まずピン穴に弦が逃げるための「切り込み」をジグソーを使って入れています。

                      

                     

                    それから、「弦の誘導溝」を小型ルーターでブリッジトップへ掘り込みます。

                      

                    2wayサドルの底面を擦って弦高を下げました。これで適正な弦高とサドルへの立ち上がり角度を確保できました。

                     

                    デジタルアンプ”AD-1"搭載モデルですが故障していました。”PTU”に交換しました(交換できるような構造であるので大きな改造なして使い続けられます)。

                    (”AD-1"は廃版になりましたが評価の高いアンプでした。”AD-2"を作って欲しいですね)

                     

                    依頼者から長渕がタカミネ DPS-215 を使っている動画を教えてもらいました。

                    https://www.youtube.com/watch?v=PaHzWl1hkFU

                     

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                    2019.10.16 Wednesday

                    リペア ファイル その608

                    0

                      マーチン 000-28  /  バインディング剥がれ・力木剥がれ

                       

                      70年代には「ウエスタン・タイプ」に対して「フォーク・タイプ」と呼ばれた、腰のくびれたタイプのアコギですが、正式には『000(トリプルオー)』もしくは『OM(オーエム)』とマーチン社では呼ばれています。

                      この楽器は『000(トリプルオー)』です。『OM(オーエム)』とボディサイズは一緒ですが、スケールが少し短いのでテンションが弱くなります(25.4インチ(645mm)と24.9インチ(632mm)の13ミリ差がある)。エリッククラプトンがこのスケールを好んで使うので市場で人気があります。

                       

                       

                      裏板から異音がするときは「力木外れ」を疑ってください。湿度変化によって裏板が伸び縮むするのに耐えきれず、力木の接着力が弱くなってしまう現象で、主に力木の”端っこ”が浮いてしまいます。

                        

                      前の接着剤を取り除いてから新しい接着剤を隙間に充填しクランピングします。はみ出た接着剤はクリーングしておきます。

                       

                      裏板のバインディング”腰の部分”が切れて浮いていました。

                        

                      作業中のカットを取り損ねましたがご覧の通り元通りにくっつけました。

                       

                      ヘッドの”Marthin&Co”ロゴマークは厚みのある立体的なスタイルで独特ですね。

                        

                      ”28”はサイド&バックがローズウッド材で貝などの装飾がないシンプルかつパワフルなシリーズになります。(”18”はマホガニーのサイド&バック)

                       

                      弦長が短い”000”なれど「大きな音」がする当工房での調整済みの個体で、ソロギター演奏で活躍してくれております。

                      『000(トリプルオー)』と『OM(オーエム)』はわずかな弦長の違いですが、テンションの違いのほか微妙にブリッジ位置が違ったりしてトップへの弦振動の伝わり方が音の変化として現れます。望みのサウンドやプレースタイルに合わせて選ばれたらいいでしょう。(指が短いとかチョーキング/ベンドには000が有利ですし、低域の伸びにはOMが有利ですね)

                       

                       

                      関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                       

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