2018.06.11 Monday

リペア ファイル その464

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    マーチン D-45 VR /   ピックアップ取り付け

     

    マーチン社のフラッグシップモデル D-45。品質・材料・仕上げ・音質、どれを取っても最高級であることが求められます。Dタイプはボディマスが一番大きいモデルなので音量やダイナミックレンジが大きいですが、ライブではマイク出力が必要になって来ます。ピックアップを取り付けました。

     

    いろいろ考えたあげく、一番無難なLRバックス社の「iBEAN Active」に落ち着きました。大きな改造なしに取り付けられますし、オールマイティなPUですので会場を選びません。後付け型のピエゾPUでアクティブなのでボリュームコントロールもできます。(「Lyric」はエアー感がよくこれも考えられますが「iBEAN 」よりハウリングに劣ると判断しました)

      

    「iBEAN」には電池駆動でないパッシブもありますが、こちらはあまりお勧めできません。出力が低くノイズがのりやすいですし、PA側でのコントロールも面倒になりますから。もしパッシブを選んだらプリアンプも必要とお考え下さい。

     

    専用のジグでサドル下に位置決めし、両面テープで圧着して固定します。プリアンプ内臓のアウトプットジャックは、エンドピンの穴を拡張して取り付けます。

      

     

    電池バックはネックブロックに取り付けるのが一般的ですが、私はブロック下の裏板に取り付けることが多いです。理由はブロックのロゴやシリアルナンバーが隠れない様にするためと、その位置だと案外電池交換がしにくいとの判断からです。ボリュームコントロールノブはサウンドホール脇で、ここしか取り付ける場所はありません。(これが落ちるケースもありそれが悩み。どうしてもノブを動かすときに下方向にも力が掛かかるのと、スポットライトでトップに熱が帯びるから)

      

     

    45VRのポジションマークはヘキサゴンでなくスノーフレーク/キャッツアイ。サイド&バックは柾目のインドローズ。裏表全体に貝が巻いてあるのが45の特徴ですね。ネックヒールの脇にも入っています。

      

     

    CFマーチンのロゴが指板にインレイされています。トップは目の細かいシトカスプルース。たぶん材料選択の段階でタッピングトーンを聞き、よい響きのものを45に使っていると推測しています。木材は一枚一枚タピングトーンが違うものなので、すぐれた音質を保障するならその作業は必要でしょう。(一度マーチン社に訪れて尋ねてみたいです)

      

     

    縦ロゴとロングサドル。ロングサドルですと、手の込んだ加工をしないとアンダーサドルピエゾを仕込むことができません。ですのでLRバックス社の「Anthem」が容易に選択できないです。

      

     

    グランドピアノのようなダイナミックレンジと煌びやかさがゴージャス感を醸しだします。PU出力ではやや大人しい感じがしますが、アコギ用PUに決定版がないため生音とPU出力した音とは別モノと考えた方がいいでしょう。しかしながら45はさすが45だと感じました。

     

    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

     

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    2018.06.06 Wednesday

    リペア ファイル その463

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      ギブソン 1968年製  J-45 / ブリッジプレート増設

       

      トップ”妊娠”(表板の膨らみ)を心配されて持ち込まれたヴィンテージJ-45。弦高は問題なくアジャスタブルサドルの可変範囲も適正でした。たしかにやや膨らんではいますが、矯正するまでないと判断しました。矯正し補強材を入れるとサウンドが変化するので慎重な判断が必要です。ただアジャスタブル用のスタッドが前掛かりになっています。サドルをネック側に押し倒す力が長年掛かっていたので傾斜したのでしょう。

        

       

      なので、弦のボールエンドの位置を下げてサドルに掛かる力・作用(ベクトル)を増やす加工を施すことにしました。弦裏にブリッジプレートを増設します。固定は両面テープを使用で接着剤は使わないことに、理由は将来、駒を外したり、アジャスタブル用のアンカーを交換するようなことがあったりした時に作業しやすいように です。

        

       

      駒裏のショット。アンカーとブリッジを留めるビスが見えます。それらを外した位置にプレートを増設しています。

       

      見た目は変化ありませんが、サドルに下向きに掛かる力が増えている計算です。

       

      3連ペグに金色のロゴ。ブッシュが金属の”打ち抜き”でできています(うすっぺらな 感触がヴィンテージ感を醸し出しています)

       

      全体にクラックが入っていて貫禄万点。サウンドが軽めになるため、アジャスタブルサドルそのものを固定式の通常サドルに交換する方もいますが、これはこれでこれでしか出ない音になっておりそれを好むミュージシャンも見えます。エレキのブリッジのアイデアを持ち込むところが面白いですね。その当時フェンダーに負けず劣らずギブソンも革新的にメーカーだった訳です。経営破たんしたギブソン社ですが、ぜひぜひ復活して欲しいです。

       

      関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

       

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      2018.06.02 Saturday

      リペア ファイル その462

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        ウード /  指板交換・仕込み角度変更・弦高を下げる・木芯入れ

         

        Oud(ウード)はアラブ圏の民族楽器でフレットのない5コース11弦の”撥弦楽器”(弦をはじく楽器)だそうです。私もはじめて見ました。演奏には細長いヘラのようなピック(プレクトラム)を使用していました。

         

        弦高が高く演奏しにくいので指板を張り替えて、弦との間隔を近づけるようにして欲しいとの依頼でした。指板を演奏者 自ら貼って改造してありましたが、それを外して新たに作り直します。ヒーターで熱をかけて指板を外しました。その下からオリジナルの指板が現れてきました。表板とフラットな作りだったのですね。

          

         

        ネックがずい分反っていたのでネック強度不足と判断し、黒檀の「木芯」を入れる加工をしました。ルターで溝を掘って黒檀棒を埋め込みます。木製の”トラスロッド”のようなモノです。

          

         

        指板面と表板には若干角度が付いていましたので、それを「面一(つらいち)」にするべく 薄いローズを貼ってネック上面をサンディングブロックで「平面を出し」をしました。それからローズ指板を貼り付けます。

          

         

        今度は弦と平行になるように指板面をクサビ状にカンナを使って整形しました。事前に計算して有りますが、実際弦を張らないと解らない部分もあり一度弦を張ってチューニングして指板面との距離を計測し、再びカンナで削り直して指板を完成させました。

          

         

        ナット部で4ミリ サウンドホール部で7ミリ。ナットも新調します。ヘッドは折れ曲がっていますので弦はナットに巻き付く感じになります。弦高は2ミリ〜3ミリ。

          

         

        12本のペグがありますが、11弦分だけ使います。サウンドホールは大1・小2。内部は覗けないですが、たぶんラダーブレイシングでしょう。駒から直接 弦が張られてサドルはありません。これは琵琶もそうですね。

          

         

        民族楽器ゆえ若干アバウトに作られているところもあり、精度が求めらるリペアがやりにくいところがありました。楕円形の胴には見事な象嵌で装飾されていました。

          

        演奏を聴かせていただきましたが、平均律ではない音階・音程で摩訶不思議な感じを受けました。そこがアラブ・中近東の音楽のミソでしょうね。音楽にはリュートや琵琶に繋がる”シルクロード”のかほりがしました。

         

         

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        2018.05.29 Tuesday

        リペア ファイル その461

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          フェンダー・ジャパン プレシジョンBass / トーンコントロールが効かない(コンデンサー欠線・交換)

           

          最近人気が出て中古市場でも高値がつくようになってきた『Fender Japan』。フェンダー社が日本法人を作り特約店でしか『フェンダー・ギター』が買えなくなったのと、神田商会の『フェンダー・ジャパン』が廃止されたことから、市場に品薄感があるからと推測しています。新品の”レリック”を買うなら”中古”でいい、となりますよね。

           

          「トーンコントロールが効かない」とのことでピックガードをオープン。点検するとコンデンサーの脚が切れていました。根元から切れており、交換するしかないです。ハンダを『吸い取り器』で取り除いて外しました。

            

           

          コンデンサーを0.1ufから0.047ufのスプラーグ社”オレンジドロップ”に交換しました。効きはゆったりでソフトな感じな音になります。

            

           

          アウトプットの接触も悪くジャックの接点をクリーニングしておきました。ピックガードが変形しているのがわかりますか?この感じがヴィンテージ感を醸しだしていて良いですね。"塩ビ"ではなく"セル"なのでしょうか?

            

           

          『フェンダー・ジャパン』のPGに"セル"のPGが使われていたという情報は持っていませんが、この”ゆらぎ”感が堪りません。

           

          糸巻きは通常とは”逆回し”タイプが使われています。これも渋いところをついていますね。ヘッド裏にはストラップピンが装着されていてヴィンテージPBを忠実にコピーしています。

            

           

          細かいところですが、スラブ張りロース指板の断面がやや丸みを帯びているところが「いいね!」。サドルは螺旋切りされておりヴィンテージタイプ。アジャスト用イモネジはマイナスネジが使われています。

            

           

          と、ここまでUSAビンテージ感満載でしたが、ボディ厚が42ミリとやや薄いところと木材が”アッシュ”ではなく”栓(せん)”であるところが日本的でした。これはこれで良いと思います。栓の木目が日本調なんですよ。なんたって『フェンダー・ジャパン』ですから。

           

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          2018.05.24 Thursday

          リペア ファイル その460

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            ギブソン・レスポール・クラシック / ネック折れ修理(接着・タッチアップ塗装)

             

            ”チェリーレッド サンバースト”のレスポール。これが紫外線などで退色すると”レモンドロップ”になるんでしたよね?たしかそう。赤系の塗料は安定しないと言われていて、変色・退色して行きます。これはこれで面白い変化で味になります。

             

            「ネック折れ」で”亀裂”が入っています。割れ部を”接着”だけで修理することになりました。余分なところに接着剤がつかないようにマスキングしてから、粘度の違うエポキシ系接着剤 2種類を使って接着しました。

             

            エポキシ系接着剤は硬化まで時間の余裕があるので慌てず作業できますが、一度シュミレーションして工程を確認してから本番に入ります。接着後はサンディングしますので多少塗装面の色の濃い薄いができます。そこを”ぼかす”ように少し濃い目のチェリーレッドでタッチアップ(部分)塗装します。

              

             

            半艶のクリアー塗料をのっけて”使用感”のある感じで仕上げました。ヘッド表にはダメージはありませんでした。”クラシック”モデルはクルーソンのブシュタイプのペグ使用しています。

              

             

            PUはオープンタイプ。ストップテールピースの位置は、フロントボリューム・ノブの中心とテールピースの後ろのラインが重なるような位置関係です。

              

             

            『ヒスコレ』とレギュラー生産の『クラシック』では細部の忠実な表現は『ヒスコレ』に軍配が上がりますが、それでもヴィンテージ感は『クラシック』もいい線いっています。

            ’57とか’59とか元々どのモデルも仕様違いの年度別のレギュラー品でしたが、のちに評価される年度品が生まれると

            ピックアップされて、そのモデルに近づける製品が誕生するのは面白い現象ですね。

             

            関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

             

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            2018.05.20 Sunday

            リペア ファイル その459

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              Breedlove  Premier D / ネック簡易リセット・フレットすり合わせ・サドル調整

               

              ブリードラブのこの機種ははじめて見ました。単板モデルで全体シンプルながら要所を押さえたいいギターですね。

              弦高が高くなっていて「ネック元起き」が起っていたので「リセット」しました。

               

              ”ボルトオン”タイプなのでヒール部は簡単に外せますが、指板は接着してあります。こういうタイプの”ボルトオン”ネックはときどきあります。指板部は熱を加えて接着剤を弛めて外しました。

                

               

              仕込み角度をつけるためヒール部をわずか削って行きます。何度か「仮組み」して角度調整し最終確認してからボルトを締め、指板部は接着します。”ダブテール”ジョイントネックよりは比較的短い時間で「リセット」できますので、私はこのタイプを「簡易リセット」と呼んでおります。

                

              日本人は”ダブテールジョイント”のギターの方を好まれる傾向があります。米国人は合理主義なのかあまり気にしないと聞いております。日本人は法隆寺に代表される「宮大工」の国だから伝統的に”木組み”に安心感があるのかも知れません。音は両者に差がないと感じています。

               

              仕込み後のフレット調整の意味と一部減ってバラつきが出ていましたので「フレットすり合わせ」もします。平ヤスリでフレットピークを整えてから半丸ヤスリ・三角ヤスリを使い再び山頂(ピーク)を削り出します。

                

               

              ヤスリ傷が完全になくなるまでペーパーの番手を変えながら磨いて行って、最後は金属磨きで拭き上げます。ドットの位置が独特ですね。

                

               

              仕込角度を強めにしたのでサドルをかさ上げしました。アンダーサドルPUの上に1ミリの”ベークライト板”を敷きました。オベーションでもこれを使っていますね。

                

               

              仕上がったヒール部。

                

               

              「元起き」に対して「アイロン矯正」も考えられましたが、指板裏の補強材が薄く効果が少ないと判断し「リセット」としました。

                

               

              女性オーナー手作りのピックガードが添えられてかわいくなっていました。携帯でもスマホでもかわいく飾る能力は女性の方が高いです。自分で手を加えて愉しみながらオリジナルなモノに変えていくのは素敵なことですね。楽器業界も もっともっと女性の声を反映させて行くべきでしょう。

               

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              2018.05.16 Wednesday

              リペア ファイル その458

              0

                Sunny D ukuleles / フレット音痴(フレットスケール補正・フレット打ち換え・サドル作製・オフセット加工)

                 

                ウクレレ愛好家には有名だという”サニーおじさん”の作った一品。このおじさん 結構アバウトなのでピッチが狂っていてもおかまいなし、のよう・・・ それも味だと言われたらしい。でもコードが不協和音・・・直らないかと相談にみえました。(耳がいい方です)

                 

                 

                12フレットの位置からフレットスケールを割り出します。それを透明な板に写してフレットに当ててみます。少しズレていますね。また弦長を計測したらサドル位置もちょっとおかしい・・・

                  

                 

                「5フレット以下は使わない」と依頼者が言われるので、5フレットまでやり直すことに。まずフレットを抜いて、それからローズの薄板をフレット溝に埋め込みます。

                  

                 

                サンディングしてフレットを均して、正確なピッチに合わせてノコギリで溝を切り込みます。そしてフレットを打ち込んで・・・

                  

                 

                平ヤスリで「フレットすり合せ」をして5フレット以降の”フレット高”と同じレベルに調整します。フレットの山頂(ピーク)を三角ヤスリで「すり合わせ」で台形になったフレットを鋭角な山頂(ピーク)に切り出します。

                  

                 

                その後 磨いて完成。これでピッチが安定するでしょう。

                  

                 

                お次はサドルを作り直します。オリジナルのサドルの位置より少し前に正確なポイントがありましたので、サドルを”L”型に作製して、サドル溝を切り直すことなく正確な補正ができるようにしました。この楽器は”ローG”なので4番線には太い弦が張られています。そのため補正は後方にしてあります。

                  

                 

                オールコアで作られて、トップの厚さは2ミリと薄く作られています。形はドレットノートのようですね。演奏するにはピッチが正確なのがいいに決まっていますが、”ハワイアン”のゆるい雰囲気はピッチの正確性だけでは表現できないところもあるようです。というのは、ウクレレ製作家が「ギター製作家が作るウクレレは小さいギターでウクレレじゃない」「ウクレレは自由なのよ」と言われたからです。

                  

                フラダンスやハワイアンキルトなどハワイアン文化の中にウクレレ・ミュージックがあって、その全体が”癒し”を醸しだしていると感じます。ユル〜い人間じゃないとウクレレが作れないと言われれば、そうかも知れないと頭の硬い私は思うのでした。

                 

                 

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                2018.05.12 Saturday

                リペア ファイル その457

                0

                  ギブソン  ES−175 /  フレット交換(オーバーバインディング)・アーチトップ用ブリッジ交換(オフセット加工)

                   

                  ジャズギタリストの依頼者が持ち込まれたギブソンES-175。フルアコと呼ばれるタイプです。ジョーパスやパットメセニーも使っていた記憶があります。ジャズからフュージョン・ロックまで使えるギターです。

                   

                  長年の使用でフレットが磨耗した(ジャズの方はどのポジションも均等も減るのが特徴ですね)ので「フレット交換」になりました。バインディングのあるタイプなので、フレットもバインディングをまたぐ様に端を加工してから使います。まず、フレット溝を専用のノコギリを使ってキレイにしながら、深さを均一にします。そしてフレットタングを調節しながら打ち込んで行きます。

                    

                   

                  打ち込み後、フレットピークを均して(フレットすり合わせ)からフレットを磨いて行きます。フレット高が高くなったのでナットも交換します。

                    

                   

                  フレットはギブソン・ジャンボに近いJescar♯57110を使用。背はギブソン純正よりやや高いです。これにより早いパッセージが楽になるでしょう。背の高いフレットで左手の負担が減るとも言われています。

                    

                   

                  弦は定評のあるトーマスティックのフラットワウンドです。アコギ並の太いゲージを使われますね。中空の本体を鳴らすにはこのくらいのゲージが必要になります。

                    

                   

                  ブリッジも交換します。ブリッジの底面をアーチトップに膨らみに合うように加工します。またサドル部をオクターブ調整が正確になるようオフセット加工しました。

                    

                   

                  3対3のギブソンヘッドはすべてのメーカーの手本です(もう一社がマーチン)。フルアコは伝統的にメイプルネックが使われることが多いですね。これはたぶんギブソン社がバイオリン属を作っていた名残だと思います。ヘッド裏にはボリュートがあります。(レスポールもこうすればいいのに)

                    

                   

                  PUは’57クラシックが搭載されています。ポットはひとつずつ金属の筒状の箱に収められていてノイズ対策が施されています。さすが高級機! トップ&バックは合板製で”L5”とか”スーパー400”のような単板削り出しではないですが、その分 大出力での演奏はこちらの方が分がいいと思われます。

                    

                   

                  ジャズ演奏にはフルアコと思われがちですが、昨今はソリッドタイプのエレキで演奏するミュージシャンも多いそうです。ただしかし、フルアコの方が絵になりますね。また、ふくよかなサウンドはこのボディからしか生まれません。フロントPUから奏でられるメローでジャジーなサウンドが即興で自在な世界を作り出します。

                   

                  関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

                   

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                  2018.05.08 Tuesday

                  リペア ファイル その456

                  0

                    マーチン HD−28V / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換・ロングサドル交換(オフセット加工)

                     

                    きれいに使われているマーチンHD−28V。世界大戦前に作られていたドレットノートの復刻版ですね。ブレイシングの位置が現在より少しサウンドホール寄りになっている『フォワード シフテッド ブレイシング』が大きな特徴で、トップの剛性は落ちますが、トップ振動幅が大きくなって”鳴り”がいいと言われています。”剛性”を取るか”鳴り”を取るか悩ましいところ・・・

                     

                    トラスロッドが入っているタイプですが、弦高が高くなっていました。「ネックアイロン矯正」で仕込み角度をつけながら ネックも少し逆反りさせます。

                      

                     

                    数度の矯正で仕込み角度がついたネック。ここでフレットの頂点(ピーク)を整えてやります。平ヤスリで「フレットすり合わせ」をします。頂点がヤスリで少し平らになるので、再び鋭い頂点をつけるべく三角ヤスリや半丸ヤスリで フレットを一本一本削り出します。

                      

                     

                    最後はフレットを磨いて仕上げます。ナットも交換します。ミカルタでしたが牛骨に。ミカルタは音の定位が高めで明るいサウンドですが、牛骨だともう少し下がって太めのサウンドに感じます。

                      

                     

                    ロングサドルも牛骨に交換します。下の写真はオリジナルです。これを観ると普通のロングサドルだと思うでしょ。私もそう思いました。ロングサドルは底が接着されていて外せませんので、いつものように”あぜ引きノコ”でサドルの中央を切り込んで、パチンと割って外そうとしたのですが・・・外れない・・底より底がある・・・どうなってるの?

                      

                     

                    なんと、掘り込んであったのです。私の知る範囲では”掘り込み式”のロングサドルでは、端が丸くなっていて一瞥してそれと解るのですが、HDでは端を四角にして普通のロングサドルと区別つかないように加工していました。ロングサドルは溝が浅くなりサドルが前屈みになりやすい傾向があるため”掘り込み式”が考えられたと思うのですが、深くなって安定したならば接着しないでもいいのではないか・・・と突っ込みたくなります。 見栄えは大戦前仕様であるが実は最新式であるところがマーチンのこだわりですね。

                      

                     

                    ブリッジピン穴に弦通し用の溝がないため、6弦などがピンがきつくなりやすく弦交換がしづらいので、溝を切っておきました。ブリッジピンの頭がこれで揃います。

                      

                     

                    ピッチ調整のための「オフセット加工」も施しました。

                     

                    弦高が下がってもサドル高は変わらないで仕上がりました。サウンドは音の輪郭がはっきりし雑味のなく品があります。材料もいい素材で構成されているので、これからさらに育ってくると思います。

                     

                    往年のヴィンテージマーチンファンも唸らせるHD−28V。マーチンはこれからも歴史を積み重ねて行くのでしょう。

                    バタービーンズ・タイプのペグボタンがかわいいですね。

                     

                    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                     

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                    2018.05.04 Friday

                    リペア ファイル その455

                    0

                      Guo Yulong CONCERT  / トップ割れ・破損修理・再塗装

                       

                      ”ガオユーロン”と表記してきましたが、中国語の発音上”クォーユロン”が近いとのこと。これからはそう表記したいと思います。

                      バッハ協会理事長の加藤政幸先生のクォーユロン・コンサートモデル。海外演奏旅行中に飛行機事故で表板が大きく破損してしまいました。たぶんケースごと落下したのだと思います。底をぶつけてトップの弱い部分・力木沿いに割れたのでしょう。

                       

                      ボトムが「くしゃ」とつぶれています。サイドも割れています。力木に沿って亀裂が数箇所入っています。Guoのギターは”ダブルトップ”仕様なのでトップは『杉・ハニカムコア・杉』と3層になっています。単板の割れとは違うので構造を理解したうえで修理しました。

                        

                       

                      まずトップの歪みを取りながら割れ部分を接着します。接着剤をある程度擦り込んで接着し乾燥させてから、さらに接着剤を流して固定します。ハニカムコアゆえその隙間にどんどん接着剤が侵入して行きますから、いったん割れ部分で膜をつくってせき止めてから断面を接着するイメージです。

                        

                       

                      このコンサートモデルは”ダブルバック”仕様でもあります。ジリコテの裏板の内側にもう一枚裏板が張ってあります。つまりギター内部が2層になっているのです。そのためギター内部に手が入りません。クランプを工夫して使いながら、パッチを貼り付けて行きます。

                        

                       

                      自作のパッチ。0・5ミリのマホガニー2枚を木目を互い違いにして貼り合わせています。丸いのと半丸を用意して、力木のすぐ脇は半丸、もう少し離れている割れ部は丸いパッチを貼りつけています。(シープレス材のダブルバックが見えますか?これで低音部をバスレフ効果で増長しているのでしょう)

                        

                       

                      ボトムの亀裂はライナーに沿って木目を分断しながら入っています。ここの処理をどうするか考えた末、亀裂部をまたぐように薄板を貼り付けることにしました。強度を稼ぐためです。まず型を作ってルーターで表面を取り除きます。薄っすらハニカムコアが見えます。(ダブルトップはコア内の隙間分 軽くなりまた強度があり理想的なトップ材です)

                        

                       

                      バイオリン用の杢のある薄いメイプル材を貼り付けました。この楽器にはアームレストが標準装備なので、そのデザインとマッチするような補強材の形にし かつ着色しました。

                        

                       

                      トップ全体を塗装します。Guoはウレタン塗装なので同じくウレタンで仕上げています。

                       

                      完成。アームレストもつけ直しました。サイドの割れも修復してあります。

                        

                       

                      ブリッジはダブルホール仕様。サイド&バックはジリコテ材です。うつくしい杢目ですね。

                        

                       

                      レイズドフィンガーボード仕様。最近のGuono力木はラティスブレイシングではなくトーレスタイプのファンブレイシングを採用しています。サドルとナットは先生自身の手が加えれられていました。ベストな弦高設置はご自身で行うのがベストですね。

                        

                       

                      どうやって修理するか考える時間が結構必要でした。楽器としてうつくしい形を維持したうえ強度を保ち、音質をできるだけ損なわないようどう修理をするか、勉強にもなった仕事でした。

                       

                       

                      クラシックギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=648

                       

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