2018.04.14 Saturday

リペア ファイル その450

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    グラスルーツ LPカスタム / PU交換・キャビティ内導電塗装・ポット交換・コンデンサー交換・配線材交換

     

    ESPの姉妹ブランド「GrassRoots」のレスポールカスタム・モデル(型番は不明)です。ESPにはほかに「LTD」とか「EDWARDS」とか「E-II 」とかありますね。どのようにブランドの住み分けしてるのかな?「Navigator 」は昔からあるブランドなので解りますが・・・(Navigator のトロッコというオール単板の335タイプが憧れでした)

    今回持ち込まれた楽器は、大音量にするとハウリングがひどくて使えなかったそうです。そこでPUとアッセンブリを総取っか換えすることにしました。ボディとネックの作りはさすがESPの流れを組んでいますのでOKでしたが、電装系が弱かったです。

     

    交換パーツは、ポットは米国CTS社製に アウトプットジャックはスイッチクラフト社製に コンデンサーはオレンジドロップに 配線材はベルデン♯8503 にしました。本当はトグルスイッチも交換したかったですが、ゴールドパーツの在庫がなくて断念しました。

    ピックアップは、フロントがセイモアダンカン社製「SH-2n・JAZZ」リアが「 SH-4・JB」という王道の組み合わせです。すべてのキャビティ内には導電塗料を塗って外来ノイズ対策もしておきます。

      

    リア一発という依頼主のプレースタイルでしたが、フロントのJAZZモデルは”おいしい音”なのでお勧めしました。

     

     

    トグルスイッチとポットを繋ぐケーブル4線はベルデン♯8503を撚(よ)って作ります。レスポールタイプはこの距離が長いのでここで音の劣化・ノイズ対策が大切ですね。ポットの穴は国産より大きいので広げておきます。

      

     

    蓋には銅箔を貼り、キャビティ内にはアースを落とします。はんだはケスター♯44を使っています。見落としていたのがノブでした。米国ポットはインチなので国産/センチ用のノブは入りません。急いで取り寄せました。

      

     

    完成!真っ白なカスタムもいいですね。この個体はずい分軽かったのでおそらくボディは「バスウッド」でしょう。これだけ軽いレスポールもめずらしいです。音の定位は高域よりではありますが、ボディ厚はあるので音圧がないことはありませんでした。

      

     

    これでマーシャルで鳴らしても問題ありません。大定番の「SH-2n」「SH-4」という組み合わせでしたが、このサウンドを元にしてほかのPUをチョイスしていけば迷路に落ち込みません。例えばもっとハイゲインにしたいとかモダンにしたいとか、ここからスタートすれば解りやすいですよ。

     

     

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    2018.04.10 Tuesday

    リペア ファイル その449

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      マーチン D−28 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・駒上面削り

       

      トラスロッドのないマーチンのネック反りは、「ネックアイロン矯正」か「フレットタングを楔状にして打ち込む(フレット交換)」かで修正するしか方法がないと思います。また弦高が高くなる原因は、ネックの反りだけではなくトップの膨らみが進行してなるケースもあり、多くはその複合です。

       

      まずは「アイロン」で熱をかけてネックを矯正します。木材は熱を加えると曲がる性質があり、それを応用するのです。

        

      「ネックの反り」と「仕込み角度」とそれぞれ修正してやります。

       

      経年変化でネックのねじれや狂いが生じていますので、ネック矯正後にフレットピーク(頂点)を平ヤスリで真っ直ぐにします。ピークが平らになるので、それを半丸ヤスリや三角ヤスリでピークをつけ直してやります。

        

       

      それからヤスリ痕をペーパーで磨いて落として行って、最後は”金属磨き”で拭き上げピカピカに。

        

       

      仕込み角度を付けてやっても充分に弦高が下がらなかったので、駒(ブリッジ)の上面を1.5ミリほどカンナで削って落とします。この駒は元々厚かったので駒の形状もほとんど変わらないで仕上がりました。

        

       

      駒の上面を削った結果、ブリッジピン穴からサドルの頂点までの立ち上がり角度が生まれました。これで弦振動がしっかりサドルへ伝わります。

       

      「ネックの反り」がなくなり「仕込み角度」も付いています。

       

      D−28はローズサイドバックできれいな倍音が特徴ですね。倍音がフルオーケストラのような響きを作っています。ローズウッド材は重く硬く、またバラのようなに匂いがします。この匂いが「ローズ(バラ)」ウッドの由来でしょう。

      近頃、ローズウッドは『ワシントン条約 付属書供戮忙慊蠅気譴燭燭瓠∋挫呂両斂製颪ないと輸出が許可されなくなりました。これまで違法な伐採や密輸により木材資源が枯渇しようとしている現状でしたので、なんらかの規制はしかたないところです。限られた資源を守り、子孫に残して行きたいですね。

       

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      2018.04.05 Thursday

      リペア ファイル その448

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        マーチン Dー35  /  ブリッジ剥がれ・再接着

         

        駒(ブリッジ)がめくれかかっていたので修理に訪れたマーチンD−35。依頼主と協議して「駒を外さないで隙間に接着剤を流す」処置で済ますことにしました。ではではとクランプで仮締めしてみたところ、くっつかない! よく見ると駒が変形していました。

         

        そのため依頼主にもう一度連絡を取り、「外してから再接着」することに同意してもらって作業開始。パレットナイフをお湯で温めて駒下に差し込んで駒を外します。

          

         

        取れました。

         

        駒の前方(左側)が少し折れ曲がっているのが解りますか。弦の張力で徐々に曲がってクセが付いてしまったんですね。黒檀ですのでクランプの圧力だけでは元の位置に戻りません。そこで「アイロンヒーター」を使って熱を加えながら復元させます。

          

         

        トップも変形しており、そのまま接着することはできません。トップの上側はストーブの天板で温めた別の駒を、下側はこれも温めたブリッジプレートの形のブロック材を、トップの両面からゆがみを矯正するべくクランピングしました。(これを何度も繰り返し、変形を修正)

         

        そこでやっと接着準備。駒形にトップの塗装をノミで はつって平面を出しておきます(正確にはトップにはゆるいアールがついている)駒側もトップのアールに合わせて削ってあります。裏側に当て木をしてからニカワで接着します。

          

         

        完成。

          

        この楽器のブリッジピン穴は、サドルに近いですね。6弦は特に近すぎて弦の折れ曲がり角度がちょっときつい・・・太い弦ほど曲がり難くいので弦高が少し高くなる現象が起きます。(カーブを描くように曲がるため)

         

        3ピースバックのD−35。『リペア ファイル その444』でも取り上げましたが、D−35は28に比べてブレイシングが低く作られていて、トップの鳴りがD−28とは別物にチューニングされていることが解りました。この個体は低音がズーンと響き 和音のスケール感が大きく感じます。

          

         

        D−28に慣れた耳には新鮮なサウンドに感じます。このD−35を求める人は28に飽き足らない人が多い気がします。「18や28でない」ところがこの機種を選ぶ動機になったりしてますね。35の方が価格設定も高めですが、満足させるだけのコンテンツが詰まっています。

          

         

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        2018.04.01 Sunday

        リペア ファイル その447

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          GALLAGHER GUITAR /  アコギにシンクロナイズド・トレモロを搭載加工(9notesカスタム01 加工)

           

          肩が尖ったカッタウエイ『フローレン・カッタウェイ』仕様の”ギャラガー・ギター”です。このギターに「シンクロナイズド・トレモロ」を載せるための加工をして行きます。アコギでアームプレーができるようになる「改造」です。

           

          ギャラガーギターはマーチン社やギブソン社とともに日本人には憧れのブランドであった時期があります。米国製と国産寺田楽器製がありますがこの楽器がどちらかは不明。いずれにしても丁寧な作りで上級なギターです。

           

          ブリッジを加工して下写真のように加工します。同時に裏板をくり貫き、そこから内部を補強して行きます。Xブレイスの位置がメーカーによって違うので、その都度その楽器に合うように補強のポイントを変えながら加工しています。

             

          裏板の穴からの加工ですので、「お酒の空瓶の中に帆船模型を組み立てる」ような作業の連続です。ときどき「なんでこんなやっかいなことを考えたんだろう」と思うことも・・

           

          今回は『ゴトー社』製のシンクロ・ブリッジを採用しています。表板にはシンクロを動かす力が掛かっても大丈夫なほどの補強がされ、かつアコースティックな響きが残る程度のフレキシブルさは残してあります。スプリングに掛かる力はボディサイドに逃げるようにしてあり、その分 表板には負担が掛かりません。

            

           

          ロックペグはなしですが、通常にストラトのようにアームダウン後にどれくらいアームを戻せば 元のチューニングに戻るかのコツを掴めば、チューニングの問題は解消されます。 

            

          たなびく旗のようなデザイン「ギャラガー・ヘッド」。ペグはグローバー製。

           

          カッタウエイがアームと似合っていますね。裏板はマグネット式ではなく以前採用していたネジ留め式がご要望でした。

            

           

          弦交換するときにマグネット式だと裏側をオープンにできるので簡単ですが、ネジ留めの場合は”ストロー”を使います。少々慣れが必要ですが、裏板が透明なのでそんなに問題ないと思います。

            

           

          今後PUを増設する予定 とのこと。PU出力前提の改造ですが、スプリング・レバーブの掛かった独特のサウンドは面白い存在だと思います。アームプレーともども”感性”をフル活用して演奏してください!

           

          9notesカスタム01 関連ブログ http://blog.9notes.org/?cid=1

           

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          2018.03.28 Wednesday

          リペア ファイル その446

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            ギブソン LG−0 / トップ矯正・ブリッジ交換・作製 ボディ再塗装・フレット擦り合わせ

             

            60年代製のギブソンLG-0を”オーバーホール”しました。

             

            ギブソンでは『スチューデントモデル』としてラインナップされていた”LG−0”のブリッジは、プラスチックで作られトップにネジ留めされています。そのため経年変化で劣化して変形して来ます。出音もプラスチック製なので薄い音になります。そこで木製に交換することに。(このタイプの定番改造です)

              

             

            LGー0の力木は”ラダーブレイシング”といって横棒が並列されたタイプです。そのためXブレーシングよりトップの膨らみが進行しやすいです。この個体もブリッジ後方が膨らんでいました。今回 塗装もやり直すので直接木部にヒーターを掛けても問題が残らないので、トップを「アイロン矯正」しました。

              

             

            下がったトップを固定するためローズの”ブリッジプレート”を増設しました。古いブリッジプレートの上に貼り付けましたが、ブリッジピン穴が劣化してユルユルになっていたので、そこの補強も兼ねています。

              

             

            ブリッジ(駒)の新規作製。オリジナルからピン穴を写し取ってエボニー製の台木にボール盤で穴を開けます。ブリッジピン穴を使いトップに仮留めして、弦長を計測しサドル位置を決めます。

              

             

            サドル溝を専用ガイドを使い掘っておきます。全体をオリジナルに似せて整形し完成。

              

             

            全体の塗装がほとんど落ちていたので、今後のメンテナンスを考えて薄く「ラッカー塗装」することにしました。トップ・サイド・バックをサンディングして木地調整します。

             

             

            目止めしない「オープンポア」でかつ「つや消し」で仕上げてあります。ホンマホ(ホンジュラス・マホガニー)ですので、軽い濡れ色でもこんなに深い色合いになりました。

             

            フレットも調整して弾きやすく。「フレットすり合わせ」してからピークを削り出し、その後ピカピカに仕上げます。

              

             

            指板はローズでないです。ハカランダです。この時代は材料は豊富だったのがうかがえますね(スチューデントモデルにもハカランダですから)。糸巻きはクルーソン3連ペグ。

              

             

            塗装が完了したらブリッジを接着します。サドルを牛骨で新調し作業(オーバーホール)完了!

              

             

            セル製のピックガードはネジ3点留め。トップは柾目・バックは板目の木取りです。サイドは合板製。オール・マホガニーの渋いギターです。

              

             

            枯れたサウンドです。耳に付く倍音がありません。それでいて温かく気持ちのいい音。ラダーブレイシングなのでサスティーンは短めですが、それが歯切れのいいサウンドを作っています。ウクレレのようでありながらもっとレンジ感と立体感があります。

            ヴィンテージの良さですね。いつまもでも弾いていたくなるギターでした。

             

            ギブソンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=631

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            2018.03.24 Saturday

            リペア ファイル その445

            0

              Framus Classic WGermny / 駒再接着・ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ

               

              普及器ですが単板モデルのドイツ製クラシックギターです。クラシックギターといえばスペインが有名ですが、ドイツも主要な生産国です。なんたって”ハウザー”を生んでいますね。ドイツ製は質実剛健のイメージですが、実際は繊細で洗練されています。

               

              ブリッジ(駒)が剥がれていました。接着するときに表板の裏側から力木を外した”あて木”を添えます。米国のスチュアート・マクドナルドの紹介されていた『ウレタンフォーム』を使った”あて木”を作ってみましたが、使用した『ウレタン系のスポンジ』では弱すぎてダメでした。新たに”木”で作り直してブリッジをクランプで挿み接着しました。

                

               

              ネックの元起きが起り「弦高が高い」状態でしたので、ネックアイロン矯正しています。

                

               

              アイロン後はフレットピークを平ヤスリで整えて、三角ヤスリで再び尖がったピークを削り出します。

                

               

              ヤスリ傷をペーパーの番手を変えながら磨いて行って、最後はコンパウンドで仕上げます。指板面もクリーニングしておきました。

                

               

              ネック仕込み角度が付いた状態のカット。弦高も下がりました。(12Fで1弦2.5ミリ/6弦3.5ミリにしてありますが、6弦は4.5ミリあってもいいでしょう。ナイロン弦の振幅は広く、強くアルアレイ奏法するとビビルことがあるからです)

               

              弦の引っ張る力は、弦の種類にも依りますが60キロ前後もあります。ハイテンション弦ほど張力が強く張りのある芯の強い音がしますが、それように作られていない楽器では「ブリッジ(駒)剥がれ」や「トップが盛り上がる現象」が起きることがあります。

              最近のナイロン弦は進化していろいろなタイプが発売されています。フロロカーボン弦もそのひとつで鳴らない3番線(G線)が「鳴って」くれたりするので重宝します。(ダダリオの「プロアルテ」やサバレスの「アリアンス」など)

               

              弦によってメーカーや種類を変えたりすることもあります。流行っているのが 村治佳織さん使用の1〜3弦はAUGUSTINE(オーガスチン) Inperialで4〜6弦のSAVAREZ(サバレス) CORUM Highにするという張り方です。

               

               

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              2018.03.20 Tuesday

              リペア ファイル その444

              0

                マーチン D-35  / バインディング剥がれ修理 (D−28とD−35の力木の違いについて)

                 

                依頼主が久々にギターケースを開けたらギターの”バインディング”が大きく剥がれていてビックリ! !マーチンギターのバインディングには「セル」が使われており、経年変化で縮んでしまって こういうケースがたびたび起ります。ある意味マーチンゆえの”仕方ない”現象です。

                 

                セルが縮むと特にボディの腰の辺りに「剥がれ」が起きやすく、この個体ではトップ1箇所・バック2箇所で「バインディング剥がれ」が起きていました。今回のケースでは「縮み」が大きく そのままくっ付けても無理があるので、腰部分でカットしてから接着することにしました。

                  

                 

                トップ・バックに接着剤がはみ出さないようにマスキングしてから、バインディングに粘度の低いエポキシ系接着剤を刷毛塗りして強力なテープを巻きバインディングを固定します。まだ寒い時期でしたのでストーブをガンガン焚いて部屋の温度を上げて接着力を助けてあげます。

                  

                 

                バインディングが短くなってカットした部分には”隙間”ができてしまっているので、同色のバインディングを用意してスライドカッターで薄くカッティングして”隙間”にはめ込みました。

                 

                1から3ミリほどの「セル」がはめ込まれています。後は余分な接着剤をスクレーパーで取り除き、細かいペーパーで段差をならしバフで磨き上げて完成です。

                  

                 

                指板やボディ全体もクリーニングしておきます。バインディングも収まり、これで再びステージで演奏可能です。

                  

                さて、「3ピースバック」と「指板にバインディング巻き」が特徴のD−35ですが、力木にも秘密があることを確認しました。

                 

                D−28はトップとブレイシングの合計の厚さが18.5ミリであることに対して D−35はトップとブレイシングの合計の厚さが15ミリでした。つまりD−35の方がブレイジングの高さが低く設計されているのです。

                 

                この意味が何かと言うと、トップの厚さがD−28とD−35が同じならばD−35のトップの方が硬い材を使っていると推測できるでしょう。トップが硬いゆえブレイシングを弱くすることができる(高さを低くすることができる)と言い換えられます。

                D−28とD−35の出音の違いはこのトップの作りの違いが大きいと思われます。昔からD−35は「遠鳴りするなぁ」と思っていました。音が遠くまで届くのです(遠達性がいい)。トップの振動の波形が大きく、お寺鐘の音が遠くまで聞こえるのと同じ原理で「遠鳴り」すると思われます。D−35の方がトップ全体の上下運動が大きく水平波が出ていると推測しています。つまり倍音は少なめだが低域がよく出ていると感じます。

                 

                実際にはトップはもっと複雑な動きをしているでしょうが、D−28の倍音が多い音作りとは違いは明確ですね。

                D−35がますます面白く感じて来ました。今後も研究して行きたいです。

                 

                 

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                マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                 

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                2018.03.16 Friday

                リペア ファイル その443

                0

                  MusicMan  スティングレーBass  /   ナット交換・ロッド調整・ポット洗浄・全体クリーニング

                   

                  70‘sのヴィンテージ・スティーングレーです。現行のアクティブ回路の1V3T(ベース・ミドル・トレブル)ではなく、1V2T(ベース・トレブル)仕様。押入れで眠っていたのを再び始動させます。

                   

                  ネックの反りに関してはロッド調整内でクリアできました。ネックの首まわりが太く作られていますね。ここの太さがヘッドの歪みを押さえます。”レオ・フェンダー”がフェンダー社でできなかったことをMusicMan 社でが表現しています。(その他いろいろと試しているのがスティングレーBassです)

                   

                  ナットが折れていたので新調します。指板アールがきつく手持ちの専用ジグが使えなかったので、まず1・ボール盤に取り付けたドラムサンダーでナット底面アールを削って、2・指板にテープ状のサンディングペーパーを貼って、その上でナットをスライドさせてピッタリのナット底面を作成しました。このときナットの両はじ2点がペーパー面に当たっていることが大事。そうすることによって1の作業で基準面と直角に出来た底面の角度が狂うことなく指板面と同じアールを写すことができるからです。

                    

                   

                  完成。ヘッドのペグロケーションは3対1でこの当時斬新なアイデアでした。4連だと1弦のチューングでは腕をめいっぱい伸ばすことになるから、それを修正したのでしょう。ペグポストも軸の底に行くにしたがって細くなっています。こうすると弦は下側に押されて巻かれて行きますから、ナットからのペグへの角度が適正に保たれます。

                    

                   

                  ハンバッカーPUにアクティブ回路搭載。この時点のアクティブ回路はトーンがブーストされるまでいかなくて、パッシブに毛が生えた程度。ただパッシブに慣れた人にはこの程度の方が使いやすいかも。素直なトーン可変です。

                    

                   

                  極太のブリッジサドル。プレシジョンと比べるとこちらの方が断然質量があります。弦がミュートができる機能が付いていました。が、スポンジが劣化してしまって使えません。石油製品は結構劣化が激しいですね。

                   

                  ネックジョイントビスが3点止め(角度変更用イモネジ付き)で同年代のストラトと似ています。弦は裏通し仕様です。こうすることでボディも充分鳴らせますが、4弦のブリッジサドルを弦長補正のため後ろに寄せると、弦がサドル上で直角に近い角度で曲がるため、弦の剛性作用のためサドルより弦が浮いてしまう現象が起きてしまうことがあります。(弦が硬くて曲がりきらない)

                    

                  その後の仕様ではブリッジ後方で弦を通すようになりましたね。


                  ”ホコリ焼け”していたボディをクリーニングしたら、少しクラックが入っていて”いい感じ”の古びさ加減でした。ウレタン塗装でこういう感じでクラックが入るのはあまり見たことがないですが、ホワイトがクリーム色になるとか 深くない傷跡とか ヴィンテージ感満載でクリーニングしながらうれしくなって来ました。

                   

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                  2018.03.12 Monday

                  リペア ファイル その442

                  0

                    YAMAHA SG-2000 / フレットすり合わせ・ロッド調整・弦高調整

                     

                    Japan Vintage・日本の名器と呼ぶにふさわしい「ヤマハSG2000」、高中正義のメインギターでこの楽器も”タカナカ・ブルー”に塗られています。サンタナや野呂一生もヤマハSGを使っていますが、やはり高中のイメージが強く残っています。

                     

                    ハイポジションでビビリがあるため「ロッド調整」と「フレットすり合わせ」して行きます。フレットピークを平ヤスリで整えてピークを均一に仕上げ、その後 平ヤスリで台形になったピーク(山頂)を三角ヤスリなどで削り出して再び尖ったピークを作り出します。

                      

                     

                    フレットの両脇から攻めて山頂が細い線として残っています。そうやってフレット一本一本山頂を削り出してからその傷をペーパーで研いできれいに仕上げ、最後はバフで磨き上げます。

                      

                     

                    完成。もともと使用感の薄い いい状態のフレットでしたが、幅の広くて背の低いフレットが使われていました。なぜこんなに背の低いフレットを使うのだろう・・この当時はこのようなフレットが流行っていたのかも。ジムダンロップの”♯6100”がポピュラーになってから背の高いフレットが認知されたのかも知れません。

                      

                     

                    ブリッジの下には真鍮のブロックが埋め込まれてサスティーンを伸ばす工夫がされています。ノブの位置もLPとは若干違います。アウトプットはトップにあります。このあたりはギブソンSGに近いですね。

                      

                     

                    ヤマハのPUには3つの高さ調整ビスでエスカッションに取り付けられていますが、2点で支持するより安定感がよく傾きも調整できる優れモノです。(オープンタイプですがカバードタイプのようなPU)

                     

                    ”2000”はスルーネック構造です。ボディ材も中央のメイプル材にトップ・メイプルとバック・マホガニーが組み木のように接合されていて複雑です。

                     

                    ヘッドがやや白濁していましたが、状態はいいです(ビンテージ化して味が出るにはラッカー塗装であることが必要ですね。せめてトップモデルくらいはオールラッカー仕上げにして欲しいと私は思っています)

                     

                    ギブソンのヘッドよりペグの付いている位置が上寄りです。

                     

                    ”だるま”の愛称もあったヤマハSGですが、近年のタイプはもっとトップの彫りを深くしてありました。それがどうもそれが評判がよくなく打ち切られたみたいです。PRSに対抗して彫りを深くしたのでしょうが、この時期のSGはすでに完成度が高いのですから自信を持って続けてもらいたいです。

                     

                     

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                    2018.03.08 Thursday

                    リペア ファイル その441

                    0

                      チャキ P−100 1985製 /  ネックリセット(タッチアップ塗装・フレット調整・クリーニング)

                       

                      Chakiの古いピックギター(ジャズギター)です。私等50代には、このギターと来たら”憂歌団のギタリストである内田勘太郎”を連想してしまいます。(現在彼はKヤイリのアコギを使っておられますが・・・これをツアーで使うとコンディション維持が難しいのだそうです)

                        

                       

                      ヒール部がガタガタしてて弦高が低くなっていました。一度外して再接着し、仕込み角度を適正にしてやる必要があります。

                       

                      エスプレッソメーカーで蒸気(スチーム)を発生させてネックジョイントを弛めています。ダブテールの深さが解らない(マーチンならば15フレット下だと解っているが・・・)ので隙間から蒸気を入れながらさらに奥に進む、のを繰り返し無事外しました。

                        

                       

                      バインディングも弱っていたので修理します。ダブテールの”メス”部にシムを挟んできつくし、オスを差し込みながら接合部全面が均等に当たるようにノミを使いながら調整して行きます。

                        

                       

                      ネックに対してダブテールがやや小さいですね。ネックヒールが完全密着するように仕込み角度を修正しながらヒール部の精度を上げて行きます。その後 木口(こぐち)接着がうまくいくように「サイジング」(接着性がよくなるように接着剤で導管をあらかじめ固めておくこと)しておきます。

                        

                       

                      タイトボンドで接着。すかさずクランプでかしめます。定規で角度とセンターがきちんと出ているか確認。乾燥後、塗装が剥離した部分をタッチアップで修正しています。

                        

                       

                      完成。 ピックギターの指板面はボディから浮いていますのでアコギよりもネック強度が低いですね。この構造の宿命です。

                        

                       

                      ブリッジで充分高さが確保できました。これでトップに圧がかかり弦振動をしっかり受け止められます。

                        

                       

                      貫禄のアーチトップ・カッタウエイ。Chakiの個体は当たり外れがあると聞きますが、こいつは当たり。モコモコした音ではなくチャキチャキした甲高いサウンドで鳴ってくれます。それでいてローもしっかりあるので生音が迫力あります。PUを使わないでこのままプレーして欲しい楽器ですね

                        

                       

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