2017.05.13 Saturday

リペア ファイル そのファイル312

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    グレコ MRー800(or 600) / ブリッジ・アース加工 アウトプットジャック交換・ポット洗浄

     

    1970年代に製造された「グレコ/Greco」のアーティストモデルです。バッド・カンパニーのギターリスト『ミック・ラルフス』のモデルとして作られたようで、依頼主は80年代の入手したとのこと。ダブルカッタウエイですが、ギブソンのそれとはデザインが違います。まさにオリジナルモデルですね。 「弦高が高い、ノイズが出る」のでチェックしました。

     

     

    細部まできちんと加工されているのがキャビティ内の処理で解ります。バダスタイプのブリッジが標準ですが、バダスは弦高調整がやりにくいうえ、ブリッジが前掛かりになって弦高が高くなる嫌いがあります。これもそうでした。おまけに独自のアース取りがされていて、ブリッジが下げられません。(左写真のPUの下の楕円のパーツにアースが落ちていて、そこがブリッジと接触するようになっている。そこを外せばブリッジをさらに2ミリ下げることが可能)アースはスタッドを抜いてそこで接触するように加工しました。

     

       

     

    楕円パーツを外してもまだ弦高が高いのでサドルの弦溝を「切り直し」をして弦高を下げました。バダスタイプのブリッジは、ブリッジとテールピーズが一体型なので 弦が『つ』の字状に留まる構造で、モーメントにより”後ろ”が上がってしまうのです。そのため設定より弦を張ると弦高が高くなってしまいます。

     

       

     

    キャビティ内は友人のリペアマンによりすでにきれいに配線引き直しとシールド加工がされていました。(Good job!)ノイズの原因はアウトプットジャックの劣化でした。このパーツは消耗品とお考えください。ジャックの抜き差しでそのたびにわずかずつ磨耗するのですから。

     

       

     

    ヘッドもオリジナル。「グレコ」は「神田商会」が「フジゲン楽器」にOM生産させているブランドです。この時期に「ブギー・Boogie」とかオリジナルを連発させていましたね。

    ネックはマホガニーでなくメイプル、ヘッドにはボリュートがついていてネック折れにも強い構造になっていました。

     

       

     

    ハイポジションまで弾きやすい深いカッタウエイ。ボディ形状はややボトムのボリュームがあります。2V2Tの配置は、ギブソンのフロント・リアの位置関係と逆ですね(逆台形)。レスポールよりも裏板材のマホガニーが薄く作ってありました。

     

       

     

    P−90ピッアップのズ太いサウンドが抜けよく響きます。ハンバッカータイプもあるようですが、ルックス的にはこのタイプの方がオリジナル感が強く感じます。 ”ジャパン・ヴィンテージ”としてこれからさらに希少性が高くなるでしょう。

     

           

     

    「Free」は好きでよく聴きましたよ。ポール・ロジャーズのまったりした歌と、スローなテンポがパンク世代には却って新鮮に感じました。「バッド・カンパニー」は現役バンドですが、ミック・ラルフスは病気でリタイヤされたようです。

     

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    2017.05.09 Tuesday

    9notesオリジナル ”E−902” (東京ハンドクラフトギターフェス2017出品モデル)  

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      今年の”ギターフェス2017”に出品する”9notes改造ギター”『E−902』(プロトタイプ)のご紹介。

       

      この楽器のベースになっているのは『FENDER Acoustic / Alkaline Trio Malibu』で、ミドルスケールのアコースティックギターです。これをエレキギター化したのが『E−902』です。つまり最初からエレキギター出力を前提に改造してあります。どんな場面で使うかって声が聞こえそう。歌伴用としてどうか・・・(ボーカルがローコードやパワーコードで歌の伴奏用に演奏するのです)

       

      ホームページにあるSHOPで販売致します。 (¥168000) 税込み ¥181,440  (送料・ハードケース込み)

       

       

      ピックアップはフロント・Duncan「APS-2」リア・Duncan「SSL-2」です。サウンドホールの位置でしかPUを取り付けられないので(ブリッジ寄りにはXブレーシングが通っている)2シングルのサウンド違いを選ぶというより、”シングル”と”ハーフトーン”をトグルスイッチで選択する感じにしました。

       

         

      弦交換用に裏蓋がついています。(マグネット式)

       

      ブリッジはTEのハンバッカーマウント用の半分の長さのものを使用。軽めのブリッジを選択しました。ペグもゴトー製に交換してあります。9notesのロゴの転写。

       

        

       

      赤べっ甲のピックガードの形はオリジナルですが、”ムスタング”よりも”リード”を意識したデザインです。スイッチ類は力木の間を縫うように配置してあります。ハイポジションははっきり言って弾きにくい。ハイポジは捨ててください。あくまでローポジションの演奏スタイルで。

       

        

       

      アコギがベースなのでフルアコっぽいサウンドです。1ハム使用も面白いと思いましたが(ノイズにも強いし・・・シングルなのでノイズがやや載ります)、ムスタング奏者やジャズマスター奏者がフロントPUのみしか使わない例がありますので、ここはフェンダーっぽく2シングルでまとめて見ました。

       

       

      カスタムゼロワン(改めA−901)と並べてみました。右のA−901はドレットノートボディのロングスケールですが、E−902は小ぶりなボディにミディアムスケール(ギブソンスケールと同じ)になっていて、抱えやすいボディです。(ボディ厚90ミリ)エレキにしては太い弦を張ってあります。(011、014、018、030、042、052) 生でも鳴っています。多少共振しやすいところが難。

       

         

       

      《E−902仕様》

      ボディ:フェンダー・マリブ

      指板:ローズ20フレット(ギブソンスケール 24 3/4インチ)

      ブリッジ:オールパーツ製 JB TE ブリッジ

      フロントPU:セイモアダンカン「APS-2」

      リアPU・セイモアダンカン「SSL-2」

      3WAY:スイッチクラフト社製トグルスイッチ

      ポット(1V1T):CTS250Ω

      コンデンサー:SPRAGUEオレンジドロップ

      アウトプットジャック:スイッチクラフト社製・エンドピン一体型

      配線材:ベルデン♯8503

      ペグ:ゴトー社製

      使用弦:ダダリオEXL116 11〜52ゲージ

      ハードケース付き

      (ここで使用したフェンダー・マリブは「ikebeモデル」でスプルース合板トップです。通常のマリブはマホガニー合板トップです。フェンダーのサイトはここ

       

       

      またバカな改造をやってしまいました。でもね。提案でもあるのです。ギター市場は停滞しています。新しい市場開拓は必要ですよ。アコギがエレキだっていいじゃないか。ギブソンJ−160Eもあるし。バンドで使うエレキとしてありじゃない?

       

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      2017.05.07 Sunday

      インフォメーション

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        ダブルトップのクラシックギター「Guo Yulong」の日本代理店だった「輝カンパニー」と「9notes」の取引が

        今月6日に終了したのに伴い、「Guo Yulong」と「シノマン」の販売を終了します。

        今後はリペア・修理にますますに力を入れて行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

         

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        2017.05.05 Friday

        リペア ファイル その311

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          フェンダー・ジャパン J M & グレコ・LP  / フレットすり合わせ・ロッド調整・弦高調整・オクターブ調整

           

          お客さんがお客さんを紹介してくれたら、こんなに有り難いことはないですね。信用してもらっていると感じます。で、2本いっしょに仕事に取り掛かりました。1本目は音詰まりやビビリ音で安定しないジャズマスターです。ブリッジでの弦の進入角度が浅いため、構造的に軽い音(ブラッシングトーン)になるのがJMの特徴ですが、音詰まり・ビビリは解消したいところです。

           

           

          基本はフレットピークをシビヤに修正することです。「フレットすり合わせ」をしてフレットピークを均一にします。その後 台形になったフレットを再び 丸くて鋭い山にすべく各種ヤスリを使い整形します。

           

            

           

          ヤスリ傷がついたフレットをペーパーの番手を変えながら磨きます。完成。ピカピカのフレットで雑味のない音に。

           

            

           

          ジャズマスターのブリッジ・サドルはムスタングのもの交換されていました。これで「弦落ち」が解消されます。 チューニングしてオクターブを合わせます。オクターブ調整とは弦長補正を適切にするということです。

           

            

           

          オルタナ系のアーティストに人気のJMですが、依頼主は”ベンチャーズ”を演奏するのにこの楽器を使うそうです。たしかにモズライトを除けば、ベンチャーズにはこれが定番になりますね。

           

           

          お次は80年代のグレコのオール単板モデルのレスポールです(重い!)。「ジャパンヴィンテージ」として今や世界的に人気が出ています。こちらも音詰まりなどが気になるとのこと。

           

           

          フレットピークの不揃いやフレットピークが鈍角になると音詰まりの原因になります。ほかにフレットが浮いていてもそうなりますので、そこもチェクポイントです。「すり合わせ」してからフレットを丸くて”鋭峻(えいしゅん)”な形にヤスリで整形します。JMは細めのフレットでしたが、LPはジャンボフレットで太いので、それ用のヤスリを使います。

           

            

           

          ポットを交換してありましたが、ノブが斜めになっていました。原因はポットについている「足」(左写真に見える四角い突起物のこと)が邪魔をしていたからです。これをニッパーで切ってから使うのが正解。ほかにギザギザのついたワッシャーを2枚履かせるのもいいです。レスポールはロングシャフトのポットを使うのでボディ表面の出を均一にするには、ワッシャーを上手に使い 高さ合わせするといいでしょう。

           

            

           

          ネックはマホガニーでなくメイプルが使われていました。このあたりに独自性が出ていますね。

           

            

           

          高校生の頃に入手した楽器を40代50代で復活させる人が増えて来ました。バンドで音出すと仕事のストレスも吹っ飛びますからね。いくつになっても”ギター小僧”は永遠です!

           

           

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          2017.05.01 Monday

          リペア ファイル その310

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            マーチン D−35/ ネックアイロンヒーター・フレット交換(オーバーヴァインディング)・ブリッジ削り合わせ

             

            友人のマーチンです。他県に住んでいたのに中津川市が”フォークジャンボリーの地=聖地”であったので移住して来た人です。その感覚はなんとなく私にも分かります。私にとっては『伝説』の”中津川フォークジャンボリー”ですが、伝説になる土台がこの地にあったということです。中津川・恵那エリアは人口密度計算では音楽愛好家の数が、全国有数だそうです。

             

             

            ネックの反りがあって弦高が高くなっていました。またフレットも相当磨り減っています。フレット交換しますが、ネックの反りを「ネックアイロン」で矯正してから指板調整します。いきなり指板を削って指板調整すると部分的に薄くなったりして、ネックの強度が落ちてしまうからです。(そうなるとまたネックが反ることになる)

             

              

             

            D−35はバインディングが巻いてあるので、オーバーバインディング加工を施します。フレットタングニッパーとフレット端を処理してくれる最近購入した新しいジグを使って作業しています。前は一本一本手でヤスリ掛けしていましたが、ジグを使うと正確で早く仕上りますね。

             

              

             

            フレットタングを調節しながらフレットを打って、弦を張って真っ直ぐになるような指板/ネックの反りを作ります。その後、すり合わせし、磨いて仕上げてあります。ナットもフレット高に合わせて新調します。マーチンのナットは、2面 末広がりなのでちょっとやっかい。(ここが王者マーチンたるゆえんでもあるのですが・・・)

             

              

             

            ネックの仕込み角度をややきつくして、サドル高は同じでも弦高を下げることに成功しています。ブリッジが充分な厚みがあったので、ブリッジピンからサドルピークまでの立ち上がり角度を付けるため、ブリッジを削ってやや薄くします。これにより適正になったのは、修正した角度だけじゃなく ブリッジ自体のウエイトも下がり トップが軽くなった分よく振動することです。

             

              

             

            サドルの出も充分になりました。サドルに掛かる力も以前より増しています。

            ナットも以前のナットよりも弦の接地面を減らして、よりブライトなサウンドになる様にしてあります。

             

              

             

            ピンピンで剛性があるネックとピカピカで立ち上がり鋭いフレット。

             

              

             

            ネックの反りとフレットの減りで少しずつ劣化していたサウンドが一気に回復し それ以上になりました。友人にも大満足してもいました。彼はピックアップを使わず、自身の歌声と生ギターで『歌声喫茶』を音でいっぱいにします。手元だけでなく遠くまで音が届くこともいいギターの重要な条件です。

             

              

             

            関連ブログ : マーチン・ギター修理 インデックス

             

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            2017.04.26 Wednesday

            リペア ファイル その309

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              ROSE 1971 M100C / 駒外れ・再接着・ヒール部補修・弦高調整

               

              古いクラシックギターです。1960年後半から1970年代にかけて「ギターブーム」があり、その時期に作られたギターでしょう。多くの普及品は合板製でできていますが、それが普通でした。ネック強度とトップの剛性不足が否めませんが、若かりし日に購入したギターは生涯の友であることに違いありません。修理にはそれなりの費用がかかりますが、楽器は復活が可能です。

               

               

              駒(ブリッジ)の後ろ部分が浮き上がっていました。一旦外して再接着することにします。ヘラを差し込むと簡単には外れてしまいました。以前に接着剤を流し込んだのでしょう。そのカスが見えます。接着剤を流すときはクランプで圧着しないときちんとくっ付きません。

               

               

               

              クランプするためのジグ(当て木)を作製します。クラシックギターは「ファンブレイシング」が多いのですが、そのファン(扇)の数は楽器によってまちまちです。そのためその楽器用の「当て木」を作らないといけません。

               

               

              表板に残る塗装や接着剤をノミで取り除き、木部を露わにします。。駒裏と表板がぴったり着いてはじめて接着剤の効果が出ます。駒の上側と下側から「当て木」を当てて専用クランプで圧着します。

               

                

               

              ネックのヒール部にヒビが入っていました。これでは弦を張ると開いてしまいます。また弦高が高くなってしまいますね。接着剤を流し込み、しっかりクランピングして圧着します。

               

                

               

              サドル高の調整とナット溝の調整で弦高を下げます。順序としてはナット溝の深さを決めてから、サドルを削ります。弦を張るとネックが反ったり表板が膨らんで、張らないときより弦高が高くなるので一度チューニングして計測してから、どのくらいサドルを下げたらいいのか計算します。12フレットの適正値との差が0.5ミリならばサドルではその倍の1ミリ下げることになります。

               

               

              完成。全体にバフをかけて「埃(ほこり)焼け」を取り除くと ごらんの通り美しく!つやつやフェイスは気持ちがいいものです。またこのギターで新鮮な気持ちで練習に勤しんでいただけたら嬉しいです。

               

               

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              2017.04.22 Saturday

              リペア ファイル その308

              0

                テイラー Taylor 812-C  /  ピックアップ交換・サドル下にスペーサー/シムを挿む

                 

                初期のテーラーの生ギタータイプで後付けでLRバックス社の『デュアル・ソース』が搭載されています。小振りボディで各弦のバランス優れ、倍音豊かで 依頼主によって弾きこまれおり よく鳴っていました。

                 

                 

                『デュアル・ソース』を同じくLRバックス社の『Lyric(リリック)』に交換することに。『デュアル』のアンダーサドルPUは通常の位置でしたが、コンタクトピエゾが貼ってある場所が表板でなく 裏板にウレタンに包まれて張り付けられていたのが珍しく、また「なるほどなぁ」と感じさせてくれます。

                 

                 

                『Lyric(リリック)』はブリッジ裏で特殊マイク(Tru-Mic)で集音するシステムです。エンドピンジャックにプリアンプが組み込まれ、コントロールはヴォリュームのみですが、専用のドライバーを使って"プレゼンス"を調整することができ 響きのいいところを さぐることができます。

                 

                  

                 

                『デュアル・ソース』のアンダーサドル/ピエゾを取り除くとその分「サドル高」が低くなってしまいます。新たなサドルを作るという選択肢もありましたが、依頼主のサウンドは”タスク”の軽やかな音が似合っていましたので、サドルはそのままでサドル下にスペーサー/シムを挿むことにしました。黒檀のブリッジと同じ素材の黒檀の薄板をテーブルソーを使って切り出し、サドル溝の底に敷きました。

                 

                  

                 

                『Lyric(リリック)』はエアー感がある出音が特徴です。最近のテーラーのシステムとは違う味付けのサウンドですね。ハウリングにもまずますの対策がされているようです。指板のポジションマークもなかなか凝ったデザインでした。米国代表のマーチンを凌駕するブランドに育っている”テーラー”、その斬新なアイデアが人気の秘密でしょう。

                 

                  

                 

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                2017.04.18 Tuesday

                リペア ファイル その307

                0

                  マーチン D−35 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ

                   

                  マーチンのD-35はバックが3ピースになっているだけじゃなくて、指板に”白のバインディング”が入っています。28や18との正面フェイスの違いはここです。

                   

                   

                  ネックが「順反り」しています。トラスロッドが入っていないタイプなので調整が出来ません。そこで「アイロンヒーター」を使ってネックを「矯正」して真っ直ぐに直します。やや「逆反り」になるようにして弦を張ってチューニングしたときに、「真っ直ぐ」になるのが理想であります。

                   

                   

                  数度の「アイロン矯正」でやっと希望設定になりました。それからフレットピークを「平ヤスリ」で整えてから「半丸ヤスリ」で台形になったフレットを丸くなるように整形してやります。一本の「半丸ヤスリ」だけでは鋭敏なフレットピークをつくれないので、ほかに「目立てヤスリ」や「三角ヤスリ」などを兼用してフレットを整形しています。

                   

                    

                   

                  弦高を確かめるために1弦と6弦を実際に張って、12Fで計測します。(サドルのアールが指板アールと同じなら残りの2〜5弦の弦高も適正値になる計算です)12Fで 1弦2ミリ/6弦2.5ミリになるようにサドル下を削って弦高調整しますが、近い値になったら6弦とも弦を張ってチューニングして実寸計測して、高ければ弦を弛めてサドル下を再度削ります。削りすぎて低くなったらアウトですので、少しずつ低くして希望設定まで持って行きます。なので弦を張ったり弛めてサドルを外して削る・・・の繰り返しをやってピッタリの弦高に合わせています。(手間が掛かるのが”調整”です)

                   

                    

                   

                  完成。ネックが真っ直ぐになるとサウンドにも腰が出ます。「順反り」していると弦を強くヒットするとネックもそれに吊られて たわんで、腰がなくなるからです。”弓”を想像していただけると解り易いかも・・・

                   

                   

                  新旧のマーチンのネックヒールを比べて見ました。新しいタイプの方がヒールが大きいです。ネックの剛性アップには適っていますが、今までの華奢なヒールの方は”粋”な感じを受けますね。マーチンの魅力は田舎モノでなく「sophisticated」されたところが日本人には憧れの存在だったと私は分析しています。いかがでしょう・・・

                   

                   

                  「sophisticated」(サフィストケイト) 都会的な・洗練された・高性能の 意

                   

                  関連ブログ : マーチン・ギター修理 インデックス

                   

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                  2017.04.14 Friday

                  リペア ファイル その306

                  0

                    ギブソン J−45 /  表板の膨らみ矯正

                     

                    トップのブリッジ後方にやや膨らみが出ています。いわゆる「妊娠」という現象で、弦のひっぱり張力にトップの剛性が耐えられなくて表板が膨らんで来ます。クラシクギターやアコースティックギターでは、構造的な問題で膨らみが進行してしまいます。こうならないようにするには、力木を強くすればいいのですが、そうなると「鳴り」も抑えられてしまいます。

                     

                     

                     

                    元々、ギタートップには「ドーミング」と言ってやや膨らみが最初から付けてあります。これは橋のアーチ構造と同じで上からの圧力に耐えるため と 音を遠くに飛ばすため 音の波形を”弧”にするべく 表面を円くする必要のためそうしてあります。

                    ただ、それが張力でさらに膨らんでくると音がデッドな響きになったり、弦高が高くなって弾きにくくなってしまいます。この楽器では、まだそれほどひどい状態でないですが、依頼者と相談し「進行」を止める加工をすることにしました。

                     

                      

                     

                    J−45ではブリッジ後方が膨らむことが多く、表板裏のブリッジプレート端からトーンバーに沿って膨らんでいます。Jー45のトーンバーは、1弦側がブリッジに近くから6弦側後方に斜めに入っていますから、6弦側の剛性がやや弱い(低音が出す工夫から)です。ここに力木を増設する方法もありますが、私はサウンドをなるべく変えたくないので「薄板」を増設します。型紙を切り出し3種類の板(左からメイプル・スプルース・マホガニー)の中から今回は「スプルース」を選び、トップの木目に直角になるよう貼り付けました。

                     

                     

                    トップの「妊娠」の進行具合で「温度を掛けたり」「湿度調整」したりして矯正することもありますが、、今回はそれほどひどくないのと、塗装割れを防ぐため(矯正で塗装面にヒビが入ることもある)に適度な圧力で「薄板」を接着することにしました。表と裏から合板で作った「当て木」を作りましたが、板に切り込みを入れてフレシキブルにしてあります。

                     

                      

                     

                    それからブリッジピン下にメイプル製の「アース付きプレート」を増設します。これはボールエンドの位置を下げることでサドルに掛かる力を増やし、トップがめくり上げる作用を減らそうとする対策から取り付けることにしました。弦アースはPUのノイズを減らす効果があるので、ここで同時に施行しときます。「プレート」は両面テープで接着してあります。(この位置に将来PUを取り付けることがあれば、外せるように)

                     

                      

                     

                    「スプルース薄板」でも結構強いので矯正してくれます。それに「軽い」のでサウンドへの影響が一番小さいですね。(ケースによってはメイプルでもっと強く矯正することもあります)

                     

                     

                    依頼者からメールを頂きました。

                    「ギターは無事に届きました。全体的に音に締まりが出た感覚で、硬めではありますがギブソンらしい低音感がしっかりあり満足しております。これから使って行って今回リペアして頂いた所も馴染んでくると思います!!また、楽しみが増えました!ありがとうございました。」 うれしい便りでした。

                     

                     

                    "J−45トップ矯正" 関連ブログ・リペア ファイル その255

                     

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                    2017.04.09 Sunday

                    リペア ファイル その305

                    0

                      マーチン D−28 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・PU取り付け

                       

                      比較的新しいマーチンですが、「ネック元起き」「ネック順反り」しています。ロッド調整で「順反り」はある程度戻りますが、「元起き」とロッド回しの余裕を取り戻すため、「アイロンヒーター」を使ってネックを矯正します。

                       

                       

                      14フレットで「腰が折れる」ようにネック(正確には指板が)が曲がっています。マーチンギター(ほかのメーカーのアコギでも)しばしば起る現象で「ネック元起き」とか呼ばれています。その対策として各社は独自のアイデアをこの部分につぎ込んでいます。

                       

                      例えば 14フレット以降もネックの延長部分がトップに食い込むように延びていたり、この部分に金属やカーボンを埋め込んだり・・・(マーチンはそれをしないで昔ながらの方法を取っています。ただこれもいい面もあります。それはネックを外して調整することが可能で、こうすることで楽器の寿命が延びている、とも言えます)

                       

                       

                      「ネックアイロン・ヒーター」を使って矯正してやります。「元起き」すると弦高が高くなるので「仕込み角度」を強くしてやり弦高をさげるべく希望の設定になるまで、何度もアイロンと温度た時間・角度を調整してネックを矯正して行きます。「ネック順反り」もこのとき「やや逆反り」になるように矯正してやります。こうするとロッドの回し代に余裕が生まれます。

                       

                       

                      そして、フレットを”平ヤスリ”で「すり合わせ」してフレットピークを整えます。やや台形になったフレットピークを”反丸ヤスリ”で再び丸く整形してから(右の写真)、ぺーパーの番手を変えながらフレットに着いたヤスリの傷を磨いて取って行きます。

                       

                        

                       

                      弦を張ったショット。少し「仕込み角度」が強くなっているのが解るかと思います。こうすることでサドルの下面を削らないで、サドル高を充分保ちながら「弦高を下げる」ことが可能になります。

                       

                       

                      ピックアップも取り付けました。LRバックス社の「LYRIC」です。最近このPUが人気がありますね。マイクで集音するので「エアー感」のあるサウンドが表現できます。(ブリッジ裏で集音するタイプ。アームマイクで集音するよりハウリングに強いような構造になっている)

                       

                        

                       

                      ”デーのニッパチ”独特の倍音がきらびやかなサウンドが気持ちいいです。これはローズウッドの硬質な倍音や反射音の影響です。太い音はDタイプの深い胴のためで、000やOMとの音質の差はボディ容量の差です。


                       

                      最近、ローズウッドが『ワシントン条約付属書供戮忙慊蠅気譴燭里罵⊇估に規制が掛かるようになりました。輸出入にはローズ入手の証明書があればいい、と聞いていますのでまずます大丈夫でしょうが、日本には違法伐採の材木が大量に入っているとの情報もあります。地球の資源は有限ですので、皆が意識して資源を大切に使う視点も必要ですね。

                       

                      関連ブログ : マーチン・ギター修理 インデックス

                       

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