2017.11.03 Friday

リペア ファイル その412

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       Orville  by Gibson  LPカスタム /  ネック折れ修理(補強材入れ・塗装無し)・ポット洗浄

     

    友人から友人へと受け継がれているギターだそうで、裏面には前の所有者が張ったシールが残っていました。ネックが折れてしまい使えないので、当工房へ持ち込まれました。

     

    折れた断面に沿ってマスキングして接着剤が余分なところに着かないようにガード。接着剤を充填してから当て木をし、クランプで圧着しています。手早く作業するため一度シュミレーションしてからかかっています。

      

     

    メイプル・マホガニーの二層構造(強度を稼ぐため)になっているスプライン(さね)を割れ部をまたぐ様に入れます。(カットがないですが、スプライン様の溝切り加工をルーターでおこなっています)

      

     

    スプラインをカンナや切り出し小刀で整形して塗装面と”つらいち”になるように仕上げました。今回は「塗装なし」で仕上げるためなるべく塗装を傷つけないように作業しました。(結構、神経を使う)

      

     

    細かいペーパーで研磨した後、バフで磨き上げました。「傷跡」はギターの勲章だと思う方は「塗装なし」仕上げもありですね。(割れ部に段差が生じている場合は、もっと木地がでてしまいますが・・・・)

      

     

    Orville(オービル)は日本製のギブソンと思ったらいいんじゃないかな。塗装がウレタンなのとアッセンブリのグレードが本家に劣る以外はよくできています。(フレットはオーバーバインディングなのが演奏上Good!)

      

     

    ブラック・ビューティーの呼び名にふさわしいレスポール・カスタム。スタンダードより粘っこい音が特徴です。黒いボディに上下2本の太めのバインディングが楽器を引き締めてくれますね。スタンダードとはまた違った味がありカッコいい。

     

     

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    2017.10.29 Sunday

    リペア ファイル その411

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      テイラー NC-32CE / ネックリセット・シム作製・フレットすり合わせ・サドル加工(音量調整)

       

      弦高が高くなってしまい演奏しにくくなって出番が少なくなったテーラー・エレガット。ネックの仕込み角度を変更すれば、弦高を下げられるので「ネックリセット」することになりました。

       

      テーラーは「ボルトジョイント・ネック」ですので、ネジを弛めてやればネックを外すことができます。テーラー専用の道具は持っていないので自前の道具を改良してあり、それを使ってネックを外します。

      テーラー社に持ち込めば専用シムの交換をするのでしょうが、私はそれを作製することになります。

       

      このショットで複数のシムが見えますが、白っぽいメイプル製と一番奥のローズのシムは私が製作したもの。テーラーのはマホガニーでできています。シムにはテーパー加工がしてあります。右の写真はそれを組んだものです。(オリジナルの上に作製したシムを載せてあります)

        

       

      ネックを組み直してから、磨り減ったフレットを修正するために「フレットすり合わせ」作業に入ります。ピークを整えてから(台形になる)再びピーク(山頂)を切り出して、その後一本一本磨いて行きます。

        

       

      ネック仕込み角度が変更されました。黒檀指板の下にテーパーシムが挿まれているのが解りますか?こうするとネックの方から弦に近づいて行くのですよ。その結果、ナットとサドルの高さを変更することなしに、「弦高を下げる」ことができます。これが「ネックリセット」作業の結果となります。そのメカニズムは原寸図面を書くと解りやすいですが、言葉で説明するとややこしいですね。

       

      エレガットの出力バランスが悪く、出音にバラつきがあるとのことで、その解消のためサドル底面に加工をしています。アンダーサドルピエゾの場合、1弦と6弦は隣の弦の干渉が片側だけなので2〜5弦と比べて小さくなる傾向があります。そこで底との接触面積を小さくするため弦の真下に穴を開け、ピエゾの掛かる圧力を調整します。それで音出したら2と3弦はまだ大きかったのでさらに面積を減らして調整しました。生音も大切なのでその塩梅も必要です。

        

       

      底面で調整しているので見た目は変わりません。ピエゾは思った以上にデリケートですのでゴミなどが挟まったりしても、音量差が出ます。カッタウエイのガットギターはハイポジションの演奏性にたけていますね。

        

       

      近年はガットギター用の弦は進化しており、音質や音量もかなり選ぶことができるようになりました。プロのガット演奏者はそれを熟知して自分好みの音を作っています。勉強になります。 

      弾きやすくなり出音もバランスよくなり再び出番が多くなりそう とのこと。うれしいです。

       

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      2017.10.25 Wednesday

      リペア ファイル その410

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        First Man  Bass  / トラスロッド折れ・トラスロッド交換・指板交換・アッセンブリやり直し    その2

         

        リペアファイル その409 でお届けした「ネック再生工程」の後「ネック塗装」と「組み立て」に入りました。

        ネックに指板を取り付けると、どうしても目地の段差が出るのでそれを払うと木地が出てしまいます。そこを黒く塗る必要がありますし、指板脇にもクリアーを吹く必要があります。クリアーラッカーで仕上げて水研磨・バフ磨きします。

         

        中空ボディです。バイオリンのように「魂柱・サウンドポスト」が立っています。ただこれはトップが下がらないための”つっか棒”でしょう。PUの配線をやり直し合しアウトプットジャックを米国製パーツに交換しました。ブランコテールピースに繋がる弦アースも配線します。

          

         

        フロントパネルにフロントPU・リアPUのオンオフスイッチに1V1Tの配置がされています。なぜかサイドにもジャック用穴が開いていたのでそこはダミーのジャックを取り付けてふさいでおきました。

         

        ネックポケットの加工をやり直しました。仕込み角度が曖昧でネックとポケットの間に隙間がありました。角度をつけたシムをローズ単板で作製して装着。

         

        完成しました。ベース弦の張力にも余裕で耐えられる剛性の強いネックに生まれ変わりました。

        ファーストマン独特のピックガード。バットマンみたいですね。

          

         

        ヘッドはヘフナーにはない堂々たる”スクロール(渦巻き)”が付いています。バイオリンに近づけようとしているのが解ります。バイオリンと比べると簡易のスクロールですが・・・ここが最大の特徴ですね。

          

         

        黒い塗装で全体が締まって見え 精悍な出で立ちです。全体も磨いてありますので黒光しています。サウンドは「らしい」音です。何にって?思われるでしょうが、”時代の音”がします。エレキが来日した頃の・・・(私はまだ幼少で記憶にないですが、昔の音源からありありとイメージできます。その音と一致しているのです)

          

         

         

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        2017.10.21 Saturday

        リペア ファイル その409

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          First Man  Bass  / トラスロッド折れ・トラスロッド交換・指板交換・アッセンブリやり直し

           

          若い人には馴染みのないブランドかも知れないですね。「ファーストマン」は日本のブランドです。GSブームの頃「ブルーコメッツ」が使用していたブランドだそうです(私もGSブームのころは知らない) この楽器は”ヘフナーBass”に似たタイプですが、もっと角が尖がったヴァイオリン型のギターとベースもありました。

          ロッドが折れてネックが大きく反っていました。またアッセンブリも外されていたので、そこも修理して音が出るように直しました。トータルすると大掛かりな修理だったので2回に分けて紹介します。

           

          指板が薄くフレットタングの張りだけでベース弦の張力に耐えられないと判断。そこで指板を1ミリ厚くし黒檀指板に張り替えることにしました。当然ロッドも交換します。フレットを抜いてからアイロンなどを使い指板を剥がしました。ロッドはギター用のものが使われていてネックエンドまで届いていませんでした。

            

           

          いろいろ探しましたが、ミディアムスケールBass用のトラスロッドは既製品で見つかりませんでした。なのでギター用を改良して使うことにし、エンド部は黒檀ブロックを2本挿入して補強することにしました。(完成品のネックで加工する時に保持するのが難しく思ったより手間取った)

            

           

          ロッドが”くの字”にカーブするように溝が加工されています。エンドは黒檀で補強。縞黒檀の指板材を用意して、12Fの倍数から算出したスケール表とオリジナルのスケールと確認しています。昔は結構アバウトなフレットスケールが多かったもので・・・しかし、ほとんど計測表と一致していました。優秀!

            

           

          フレット溝を手ノコで切り込んでいます。昨今はNCルーターの時代なので0.00以下まで切り分けることができるようになっていますが、1本だけその作業を外部に依頼する訳にはいかないです。ホスコのベイシックな道具ですが、これを駆使して手ノコで加工。(ただし、正確に切れるように創意工夫がしてありますよ)  端の処理をしてから(下図)、指板アールゲーシで確認しながら台直しカンナとペーパーブロックで指板を完成させます。

            

           

          オリジナルと同じ径のポジションマークを入れて行きます。お次はフレット打ち(ロッドが交換されたといえども、ここでも指板の剛性を意識してやっています)。

            

           

          フレットピークを整えるため「すり合わせ」してから、ピークをヤスリで切り直し、最後は磨き上げます。ゼロフレットが採用されています。その下には真新しいロッド用のネジが。細かな所でオリジナルに合わせて作り直さないといけないパーツがあり、このネジの受け部分も真鍮を切り出してはめてあります。

            

          これからネックは塗装に入ります。次週”続き”を報告します。

           

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          2017.10.17 Tuesday

          続・モディファイ(modify)・テレキャスターbyスクワイヤー

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            以前アップしていた「モディファイ(modify)・テレキャスターbyスクワイヤー」にずっと手を入れていました。

            なんとなく、気に入らないところがあったので自分好みに改造を加えました。その結果、オリジナルのパーツはスモークド乾燥処理してある”ボディ”と”コントロールパネル”と”ジョイントプレート”だけになってしまいました。

            この楽器をHP内のShopで販売します。 ¥129,800(ケースなし)(まったくもうけなしのサービス価です)

             

             

            ネックも差し替えてあります。国産の既製品・単品ネックで当工房の「スモークド乾燥」処理が施されているものです。

            ボディも赤く塗り替えました。赤色といっても千差万別で人によってイメージが違いますので、市販の塗料を使いました。GSLクレオスの「Mr.COLRE レッドFS11136 サンダーバースカラー」(色の確認したい方は検索してみてください)ラッカー仕上げです。

             

             

            ピックガードも白ワンプライで製作して、以前とはまったく違うイメージになっています。

             

             

            ワイヤリングも換えてあって、3way スイッチを 4wayスイッチにしてあります。その結果、フロント+リアの配線が「シリーズ」と「パラレル」の切り替えができるようになり、より太い音が出せるようになりました。カントリーからブルースまでこなせます。またボリュームポットにスムーステーパーフィルターを搭載したので、ボリュームを絞ってもこもらないでハイ落しません。

             

              

             

            差し替えたネックには”9notes"のロゴを入れました。燻してあるのでネックはくすんだ色ですが、よく鳴ってくれるネックに仕上がっています。(もちろんボディも)

              

             

            仕様

            ネックおよびボディ 「スモークド乾燥処理」
            ネック:国産ワンピース”メイプル”ネック 21F ヴィンテージタイプフレット
            ナット:牛骨
            ペグ:ゴトー社製 SD91
            ボディ:アルダー(ボディ厚40ミリ)
            ブリッジ:オールパーツジャパン社製3連ブラスサドル
            ピックアップ:フロント 国産ビンテージタイプPU(ギターワークス社製)
                    リア   国産ビンテージタイプPU(ギターワークス社製)
            4WAYスイッチ:Oak社製(USA)
            アウトプットジャックプレート:キャッツアイ型
            ポット:CTS社製(USA)×2 スムーステーパーフィルター付き
            キャパシター:オレンジドロップ(USA)
            シールド:ベルデン社製♯8503
            ハンダ:ケスター社製”44”
            総重量 3.3kg

             

            〈ウイークポイント〉

            ネックを途中で差し替えることにしたのでネックポケットは前の寸法でできています。そのため左右にわずか隙間ができてしまいました。隙間にカラーリングをしたシムを挿んであります。仕込みはタイトに仕上がっているので振動ロスはありません。

             

            4年ほど少しづつ手を加えてやっとついに完成しました。赤いギターは見ているだけで元気が出ますね。サウンドも多彩でありながらテレキャスサウンドの特徴が生かされています。弾いてて愉しくなるギターだと思います。「乞うご期待!」

             

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            2017.10.13 Friday

            リペア ファイル その408

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              ヤマハ Lー6  / ロッド折れ・アイロン矯正・フレット交換(オーバーバインディング)・力木はずれ・ネックひび割れ

               

              ジャパン・ヴィンテージ・アコースティックの中でもずっと評価の高いヤマハのL-6。オール単板モデルで表板は”エゾ松”。スプルースでなく国産材で音のいい表板 ”エゾ松”を探し当てたのですからヤマハさんもたいしたものです。私もそれに惹かれて”エゾ松”ブロック材を銘木屋から入手して持っています。(作れる日はいつ来るのだろう・・・)

                

               

              ロッドが切れていました。反りがひどくて弦高が高くなってしまい弾けません。こうなったら(指板を外して)「ロッド交換」か、ロッドのないマーチンで行う技法のフレットタングでネックの剛性を作る「フット打ち換え」になります。今回は「フレット交換」で対処します。ネックが反ったまま、指板面をストレートに調整すると指板の先端とはじが薄くなってしまうので、「アイロン矯正」でフレットを真っ直ぐにしてから「交換」します。

                

               

              ネックにひびが入っていたので、ここは「アイロン矯正」の前に修理しておきした。

                

               

              シマ黒檀が染めてあっての「黒い指板」でしたので擦っていくと縞が現れます。でもこれも味があっていいですね。アール定規で計測しながら指板を真っ直ぐに整形。その後フレット溝を右下の写真のような道具を使って掃除しながら、溝の調整をします。(なるべく広がらないように)

                

               

              フレットタングで指板をクサビを打つ感じで、反りの具合を見ながら、また溝の幅をゲージで計測しながら、タングを調節して打ち込んで行きます。その後、フレットピークをヤスリで均して・・・

                

               

              少し台形になったピークを専用ヤスリでピークをつけ直し、ペーパーで磨いて完了。

                

               

              力木も外れていました。この写真はトップの力木をくっ付けている図ですが、主な「力木外れ」は裏板でして忙しくて写真を撮り忘れてしまいました。過去に直してあったのですが、その周辺がまた外れて・・・結局全部の裏板の力木を再接着しました。そんな力木外れのL-6は何本も見ましたから、当時の材木の乾燥具合に問題があったのでは・・・と推測しています。(ヤマハの名誉に掛けて言いますと、70年代のヤマハの材料管理は業界随一だったと昔の職人さんから聞いています。なので昨今の移住空間の乾燥が猛烈だから、と言い換えます。昔はオール単板モデルは少なかったからなぁ)

               

              ”Y”をモチーフにしたヘッドデザイン。ロッドカバーはローズ(プラスチックでない)。

                

               

              ピックガードはセル製で現代の塩ビとは趣きが違います。出音はゴージャスな感じで倍音が多いです。それでいて基音もしっかり発音されていますから、単音の抜けもいいです。

                

              修理を施しながら何代も残り続けて欲しい日本の名器ですね。(いい楽器が残ってこそ日本のポピュラー音楽シーンにも歴史が積み重なれていくと思うのです)

               

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              2017.10.09 Monday

              リペア ファイル その407

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                マーチン 1997 limited edition CEO-1R / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換(匠製)・サドル調整

                 

                日本の市場ではあまり見かけない仕様のマーチンギターです。”CEO’s choice"でとありシリアル番号入りでした。CEO自ら厳選した素材を使用したということでしょう。質のいい材料が使われています。

                 

                ロッドのあるタイプでしたが若干の順反りが見受けられます。アイロン矯正で仕込み角度を付けてサドル高を上げてなお「弦高を下げる」まで角度変更にトライ。ネックは個体差があるので全て狙い通りにはなりませんが、なるべく希望設定に近づけるようアイロン矯正を繰り返します。

                  

                 

                アイロン矯正後は「フレットすり合わせ」して最終的にフレットを磨き上げて終えます。中抜きしてあるペンタゴン・インレイが斬新ですね。最終フレットにはCEOのサインのインレイが入っています。 14Fから「仕込み角度」が付いています。

                  

                 

                ナットも交換しました。しっかりくっ付いていましたので”アゼ挽きノコ”でナットに切り込みを入れて割って外します。交換パーツは「匠製」のナット。密度の高い牛骨ナットです。

                  

                 

                ぴったり合うように加工して、依頼主の要望でやや鋭角な形のナットの整形しました。タイトなサウンドで音の立ち上がりの良さが見込めます。

                  

                 

                下の写真は元の状態です。サドルの出代が少ないです。ブリッジに注目してもらいたいです。ブリッジピン穴からサドルへ向かって弦の誘導溝がルター加工で切ってあります。それもかなり深く。ブリッジピン穴の真ん中くらいから弦がサドルへ向かって立ち上がって来る感じで理想的な設定です。日本仕様のほかのマーチンにも付けてもらいたいくらい。ただピンが若干硬かったのでリーマーで修正しました。

                  

                 

                サドルは作り変えずに依頼主と相談のうえ底面にローズを貼り付けました。ウッディなサウンドも加味されます。右の写真のようにサドルの出代が多くなったのが解りますか。

                  

                 

                力木のパターンも通常とは少し違っていました。サウンドホールの補強ブレイシングがネックブロックに繋がっていたりして、かつて修理した”マーチンとトーマス・ハンフリーとのコラボしたクラシックギター”と似た補強の仕様で、ここに新たな理論が採用されているように感じました。トップ全体を鳴らそうとしているのかと想像しています。(通常はエックスブレイシングの上の部分は鳴らさない構造なので)

                音の質もクオリティーが高くマーチンの新たな境地を見た思いです。

                 

                マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                 

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                2017.10.04 Wednesday

                リペア ファイル その406

                0

                  フェンダー・JAPAN ストラトキャスター/ ナット作製・ポット交換・5wayスイッチ交換・シンクロ用のザクリ穴埋め

                   

                  神田商会が企画していたFender JapanのSTです。現在はフェンダー本社が日本法人を設立したので、この頃のギターは中古市場でしか入手できません。ただ最近、日本で作られたFender / Japan Exclusiveシリーズが発売されたので、少し混乱します。

                   

                  このフェンダージャパンSTはミディアムスケールのストラトで、弦長がギブソン・レスポールと同じです。本来のSTより短く 弾き安さとテンション感緩めが特徴になっています。また22Fです。こういう仕様は一時期スティーブ・ルカサーが使用して一世を風靡した”ヴァレー・アーツ”にもありました。このスケールならではのサウンドがあり面白い設計だと思います。

                   

                   

                  ナットが不良でしたので新たに作りました。指板の底がアールになっているタイプで、ナット下面にアール加工します。専用のサンディングブロックを作って正確なアールを作ります。

                    

                   

                  日本製の指板はナット下面がまっすぐなタイプが多いですが、ここは本家と同じですね。まっすぐなナットだと指板自体にアールがついているので弦下の質量がバラバラになるので、アール仕様の方が音のバランスがいいと言えます。(わずかですが・・・)

                   

                  この楽器は2点支持のシンクロでフローティングするようにザクリ加工がしてあります。使用者はベタ付けをお望みだったのでザクリ部を木で埋めてフラットになるようにしました。

                    

                   

                  サドルが錆び錆びでイモネジが動きません。”クレ550”をシューと振りかけて何とか外しました。裏蓋にもザクリ加工がしてあります。手が込んでいますね。蓋が大きく嵌らなかったのでサイズダウン加工しました。

                    

                   

                  トーンポットが破損していたので交換しました。ミリサイズでできていますので、いつは交換に使用する米国産のポットではなく、日本製のポットを付けました。5wayスイッチも劣化していたので交換。これは米国製パーツにしました。

                    

                   

                  トラスロッドはヘッド側からできるような仕様です。ロッド穴は一度ローズで埋めてそこに再び穴開けしてあります。手が込んだ加工。ヒールもカットしてあり、アジャスト用の穴が開けてあります。フェンダーの”いいとこ取り”って感じですね。

                    

                   

                  フジゲン製のフェンダージャパンは、中古市場でも人気があります。作りがいいからですが、後にフェンダージャパンの主力工場になったダイナ楽器製も負けずにハイクオリティーだと思います。USA製と日本製の大きな違いはラッカー塗装かウレタン塗装か、アッセンブリの耐久性(米国製の方がいい)、金属パーツの剛性(米国製の方がいい)かなぁ。加工技術とセッティングは日本に軍配が上がるかも。いずれにしても、フェンダージャパンがなくなったのは、さみしい・・・

                  小さな楽器店からフェンダーの名が消えて久しくなり、フェンダージャパンを懐かしむ声が強くあります。(特約店しかないからです)

                   

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                  2017.09.30 Saturday

                  リペア ファイル その405

                  0

                    サウンド・エナ EK-100 / フレット交換・ナット交換・弦高調整

                     

                    ネックの順反りで弦高が高くなっていました。フレット端の処理にもムラが見られるため「打ち換え」て一新します。「フレットタングでネックにクサビを入れる」様なイメージでネックに剛性を持たせます。

                     

                    昔はフレットタング(脚)は平らで、そこに垂直に金属を当ててタングに出っ張りを作っていました。これを抜き去りタングが太いフレットに交換します。まずは指板を修正します。指板面で仕込み角度を付けたいため、ヘッド側を強めに削ってあります。

                      

                     

                    フレット溝の幅が不規則でしたのでゲージで計測しながらタング幅を調整が必要でした。指板には木製のバインディングが巻いてありますので、「オーバーフレット」加工は必要です。タングニッパーとオーバー部(端)の処理をするヤスリを使います。

                      

                     

                    打ち込んだフレットは、指板に沿って指板と同じラインで仕上がるのが理想ですが、実際はわずかに不均一になってしまいます。この打ち込み方式をプレスで仕上げる方式に変えると もっと精度が上がるのでは?と考えてそれも試していますが、トラスロッドのないクラシックギターや古いマーチンでは、フレットタングの調整で剛性のあるネックを作りますので、プレスではどの程度指板にタングが効いているのか解り難くかったので、打ち込み方式に戻した経緯があります。

                      

                     

                    それから、ボディ内に伸びた12フレット以上はプレスが掛かり難いです。ここは指板裏に金属を当てて打ち込む方式が有効ですね(ここのタングは緩めにしときます)。「フレット打ち」にボンドを使って留める方法もありますが、私は採用していません。ボンドが入る隙間が徐々に締まって、結局「反り」の原因になるように思えるからです。ただし、その方法で真っ直ぐなネックを作っている製作家も見えますから、「やり方」の問題かも知れませんが。

                      

                     

                    ナットも交換(骨枕とも言う)。ネックはクラシックギターでは珍しい虎杢のメイプル材でできていました。

                      

                     

                    トップはスプルース。サイド&バックもクラシックギターでは珍しいメイプル(虎杢)でした。バイオリンのような作りですね。これはススキバイオリンのOEM生産をしていた恵那楽器製だからでしょう。出音は倍音はやや少ない傾向で、すっきりした感じでしたが、音の輪郭と余韻がよくて面白い楽器だと感じました。

                      

                     

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                    2017.09.26 Tuesday

                    中津川ソーラーブドーカン2017から考えた『 環境型フェスの未来』

                    0

                      2017・9月23日・24日 岐阜県中津川市において野外フェス”中津川ソーラーブドーカン2017”が行われました。

                      私は2日目の24日に行って来ました。私の住む恵那市はその隣街で、家から会場となった「中津川公園」までは車で20分。

                       

                       

                      この地で2013年から行われている”ソーラーブドーカン”はずっと晴天に恵まれて来ています。ほんの一週間前は台風のすごい風で恐ろしい思いをしたものですが、両日共秋晴れでした。この天気が「太陽光」のありがたさをオーディエンスと出演者がしみじみと感じることになります。

                       

                      東北の震災と福島第一原子力発電所のメルトダウン事故を受けて、フェスの電源を「太陽光」で賄おうという発想が佐藤タイジあり東京の「武道館」で始まったのがスタートだと聞いています。「武道館」で使われたその「太陽光パネル」が中津川市の企業のものであったのと、日本発の野外フェス「中津川フォークジャンボリー」がこの地であった縁で中津川市で行われるようになりました。

                       

                      このフェスとしての特徴は「太陽光発電」と「蓄電池」にあると思います。

                       

                       

                      太陽の光りをパネルで受けて発電させます。パネル内のシリコン半導体に光りが当たると発電する現象を利用するとのこと。それを蓄電器で貯めます。その電源をフェスのPAシステムや照明に当てている訳ですね。

                       

                      逐電器の電圧(V)が100Vよりも高いためギターアンプの出音がいいらしいですよ。それがミュージシャンの受けがいいようです。たしかに英国の電圧は240Vなのでアンプの鳴りがすごいと聞いたことがあります。”中津川ソーラーブドーカン”においてそれが実現できているとなれば、出演者は気持ちよく演奏できているのでしょう。

                       

                      それは、いいことですが、そこで思考停止してしまっては「脱・原子力発電」になならないですね。原子力が放射能という副産物を生む存在であること。放射能の半減期はおそろしく長いこと。また放射能の環境・人体への影響は甚大で致命的であることなどなどを考慮して「原子力発電」に頼らない「野外フェス」を目指しているのが「太陽光発電・ソーラー」でのフェス実現でしたね。

                       

                       

                      しかし、「太陽光発電・ソーラー」であればまったくクリーンであるとはいかないでしょう。「太陽光パネル」の耐用年数は案外短いと聞きます。「蓄電池」本体の寿命もどうでしょう。そんなに長いとは考えられないです。それらが古くなれば「産業廃棄物」として捨てられて行くことになります。それは後世の負担になることは想像に難くないです。

                       

                      中津川市周辺は、木曽の入り口で山々に囲まれて長閑な田園を形成していますが、最近それらの山の樹木を伐採して「ソーラーパネル」を設置することがブームになっています。植林された国産の材木の価格が低迷しているため、少しでも山で利益を出そうと樹木を切り倒し「ソーラーパネル」を斜面一面に取り付けるのです。山だけではありません。農地でも見れます。当初は補助金目当てでしたが、投機の対象になっている感じです。

                       

                      そういう事実を知らず、風光明媚な景色を想像して山間地をドライブしてて突如出現する「太陽光パネル郡」におののくことでしょう。

                       

                       

                      それから、まだ認識されていない事実があります。それは「太陽光」は人間だけのものでないということです。「太陽光」だけでなく「地熱」も「風力」も「海流」も人間のエレルギーとして利用されるべきものとして存在している訳ではないってことです。

                       

                      例えば「太陽光」をパネルで受けてしまえば、その下の大地に光りが届きません。当然草も木も育ちませんし、土に生きる小動物・昆虫・微生物・細菌も太陽光の恵みを受け取れません。地温が上がらず周辺の気温にも影響するでしょう。雨の恵みも同じです。そこにパネルがあれば土壌が洗い流されてしまうかも知れません。その影響は計り知れません。

                       

                      少し視野を広げて考えてみれば、この地球は太陽の恵みを受けて奇跡的に存在する星であることが解りますね。偶然とも必然ともいえない摩訶不思議な出来事の積み重ねが、この星を生み、育み、生命を誕生させたと言えるでしょう。そこは人智をはるかに超えています。

                       

                      それを小さな知恵で「エネルギー」源として消費してしまったら、奇跡的に存在するこの星・地球のバランスを欠いてしまうと思うのです。「太陽光」も「風」も「海」もだれのものでもありません。

                       

                       

                      それでも人間は何かしらのエネルギーを必要とする存在だとしたら、もっと謙虚にそのエレルギーを頂戴するようにしないといけないのではないか・・・

                       

                      「リサイクル」や「リユース」はその発露でしょう。

                       

                       

                      核のゴミを捨てる場所がない「原子力発電」を続けることは、破滅の道であることは間違いありません。それを踏まえて「ソーラー発電」にスポットを当てるのは至極真っ当だと私も思います。

                       

                      であってとしても、「ソーラーご機嫌」と言ってしまうことにいささか抵抗を感じています。こういう形のフェスが増えて欲しいし、脱原発の流れが大きくなることは祈っていますが、「太陽光はだれのもの?」という素朴な疑問も大事にしたいと感じます。

                       

                      ちょっと先の未来は「太陽光」に感謝して少し音量を落としたフェスして行くとか、フェスの規模を適度にするとかして、エネルギー消費削減を探ってはどうでしょうか?

                       

                      持続可能な社会を実現していかないと音楽自体が存在しなくなってしまいます。

                       

                       

                       

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                      フェスのリポートは公式サイトが充実しているので、そちらを参考にしてください。

                      https://www.barks.jp/news/?id=1000147184

                       

                       

                       

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