2019.08.27 Tuesday

リペア ファイル その559 / 黒檀ブリッジピン・サドル・ナットの販売

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    ”スモークド乾燥処理”済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Setの販売

     

     

    黒檀のブリッジピンとサドルとナットを『スモークド乾燥』しました。黒檀はダイナミックレンジが広い素材です。スモークド乾燥によりレスポンスが改善されています。また従来の牛骨にはない角が取れた音”ウッディートーン”が特徴です。

     

    黒檀ブリッジピン:弦誘導用の溝穴付き。(Top5.3ミリ〜bottom4.2ミリ / 各個多少バラつきあり)

    黒檀サドル:105ミリ×14ミリ×3.3ミリ

    黒檀ナット:66ミリ×12ミリ×6.2ミリ

     

    *サドルとナットは素材ゆえギターに取り付けるには加工が必要です。

     

    HP内のShopで販売しています。

    『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Set 税込み・送料込み ¥4000

     

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    Three S  F−180 /  ナット・サドル・ブリッジピン交換

     

    上のスモークド乾燥処理済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』をオール合板製のスリーエスのOMモデルに装着しました。

     

    スモーク乾燥処理された黒檀ナットは大きめにカットされているので、それぞれのギターに合うようにナットを加工する必要があります。ノコギリやヤスリなどでラフカットした後は、外した前のナットに位置に正確に収まるように加工します。

      

    弦のサイズに合わせたナット溝を切ります。牛骨よりやや柔らかいか。

     

    細かいペーパーで磨くと艶が出てきます。

     

    この機のペグは精度の高いゴトー社製のオープンタイプのものに交換されています。

      

    70年代の国産普及機には安価なペグが使用されていますので、スムーズな弦の巻き上げができませんでしたが、ゴトー社製に交換することによって安定したチューニングが可能になりました。

     

    プラスチック製のナットをスモーク乾燥処理された黒檀サドルに交換します。この素材も大きめですのでブリッジのサドル溝にぴったり合うように加工します。

      

    ブリッジピンのテーパーも各ギターによってわずかに違っています。ジャストフィットするためにはブリッジのピン穴をリーマーで調整してやるとピッタリ合います。

     

    ブリッジはローズ製ですが、黒く染めてありました。

    ブリッジ・ピン・サドルなど全体がブラックに統一されてクールですね。

     

    さて その出音は”ブルージー”でした。サスティーンはさほどなく単音の切れがよく音の粒立ちが感じられます。倍音も控えめでゴージャス感がないのが逆に魅力です。合板トップとの相性がいいかも。

      

    上のセットをご購入下り、ナット・サドル交換をご希望の方には¥10,000(サービス可価格)で御取り付け致します。(税別)

    詳しくはメールでお問い合わせください。

     

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    または 080-2660-2284 まで

     

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    2019.08.23 Friday

    リペア ファイル その558

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      ギブソン J−45 / スモークド乾燥処理・ペグ交換

       

      ホームページの「スモークド乾燥処理」のブログを見ていただき、遠方から依頼をいただきました。昨今はネットと宅配の普及で日本国内の情報と流通のスピードの格差はずいぶんなくなりました。地方に住む私にとってもありがたいことです。

      「楽器のスペックも作りもいいのに、どうも思ったような音がしない・・・」と感じたられた場合、当工房の「スモークド乾燥」処理はいかがでしょうか?

       

      お預かりのギターに装備されているパーツをすべて外して裸にスモーク乾燥庫に吊るします。油分の少ない広葉樹を薪にして煙を庫内に充満させて燻煙していきます。2日から3日に分けて30時間以上「スモーク」乾燥しています。

        

      火の粉が庫内に舞うこともあるのでギターにはカバーを掛けてありますが、布の隙間から煙/ガス/熱がギターに浸透して木材の細胞に変化を起こします。

       

      『スモークド乾燥』を施すと細胞レベルで下記のような変化があると思われます。

      「木材の細胞には、多くのセルロースと少量のリグニン・ヘミセルロースなどの物質があり、セルロース間に結合水が存在する。その結合水がスモーク効果によって減っていくと、セルロース同士が結びつき強固になっていく。そのため剛性がアップし、また音の伝導率がアップされる」科学分析はしていないですが、このように考えています。

       

      ボディに付着したヤニをアルコールで拭き取り、バフで磨いて仕上げます。

      燻した結果、トップの材木がやや痩せたり白いバインディングとかに焼け色(黄色系)が付いたりすることはあります。

       

      ペグを交換します。近年製はグローバーのロトマチック式ペグが標準装備されていますが、以前のJー45に使われていたクルーソン式ペグに交換です。オープンタイプのペグの方が軽いのでサウンドも開放的で明るくなる傾向があります。(この交換にはポスト穴を加工なしで行える”コンバージョンブッシュ”が必要です)

        

      また「ネック折れ」回避にもいいです。(ヘッドが重いと倒したりぶつけたりしたときのダメージが大きいので)

       

      ボディ各所に歴戦の痕が・・・

        

      ナット・サドルはオリジナルのままです。

       

      完成!どうしても燻した匂いが残るのですが、この点はご了承ください。(この匂いでバーボンが飲めると言ってくださる方もいました)

      依頼主から”感想”をいただきました。

       

      *

      音はといいますと、チューニングしてる時からはっきりと振動が強く伝わって来る印象でした。解放弦でジャラ〜ンとストロークした瞬間、「な、何ィ!!こ、これは!!!」と音が飛んでいく印象でした!!そしてデカい!! とても面白くて、しばらく弾き倒してました!! 軽やかとは違う、キレ味といいますか、スモークする前と同じギターとは思えません!!これは最高です!!アタックの音がガンガン飛んでいく、ガラッとしたキレ味のある音に見事変わりました!! 弾いていて楽しいです!!! J-45を購入時に親しい知人に見せびらかしたのですが「これがギブソン?」とイマイチな感想しか頂けませんでしたが、説得力あるサウンドに変化したので、早速見せびらかして来ます。笑 低音の「ギャッ」とも「グジャッ」とも言えるアタック音がクリアに出てきた感じは凄くします!! ジャキジャキにデカい音、弱く弾いても綺麗に輪郭を感じます!! スモーク前はどこか湿った感じでした。 勝田さんにお願いして大正解でした!!

      *

      こちらこそ、ありがとうございました。

       

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      2019.08.18 Sunday

      リペア ファイル その557

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        エピフォン・カジノ 1965製 / ネック折れ(接着・補強・タッチアップ)・フレット交換(オーバーバインディング)・ナット交換

         

        ジョンレノンが持っていた65年製のカジノと同じ年代製(カラー違い)で、オーナーはもちろんビートルズマニアの方です。ネックが折れてしまったのでその修理の際にいっしょに減ったフレットも交換しました。

         

        ヘッドに”びっしぃ”と割れが入っています。

          

        ライブで現役で使うギターですので、接着だけでなく「スプライン・さね」を入れて補強します。

         

        スプラインを入れる小穴/溝をトリマーで切削します。

          

        その小穴/溝にスプラインを挿入し接着。

         

        表はマホガニー材ですが内側はメイプルの二重構造になって剛性アップを図っています。

          

        飛び出している部分をネックのカーブ合わせて切り出してから、軽くサンディングして”目違い”を掃って、スプラインを全体と同じトーンに着色しました。

         

        今回は塗りつぶしでなく「タッチアップ塗装のみ」としたため、回りと違和感がないようにサラッと仕上げました。

          

         

        弾き込まれてベタベタだったフレットを交換することに。

          

        オーバーバインディング仕様にするため一本ずつフレットタング(脚)をカットしてから、専用のジグにセットしてタング部をクラウン(頭)のみになるよう削って処理します。

         

        フレット溝に合うようにタングを調整しながら、ロッドに頼らなくても剛性が出るようなネックにすべくフレットを打ち込んで行きます。

          

        飛ぶ出した端をカットし斜めに削ってから、フレットピークを平ヤスリで修正します。その後半丸ヤスリなどでピークをつけ直して磨き上げて完成です。

         

        チョーキングしても音詰まりしないようにハイフレット部はアールをやや弱くしてあります。

          

         

        ヘッドには折れた痕跡はないです。ヴィンテージ感満載でいい味出ていますね。ナットも新調してあります。

          

        このヘッドで特筆すべきは現在のものよりヘッド角が深く作られているところでしょう。後年これが浅くなって行くのは、「ヘッド折れ防止」の意と「コスト面」からと私は推測しています。サウンドの違いは「深い」と「浅い」ではたしかにあると思います。

         

        Pー90が搭載されています。金属カバーはプラスチック製よりシールド効果が高いです。(裏側にも金属プレートがありシールド効果をより高めています)

          

        ピックガードのEpiphone の”E”を模したマークが、印象的ですね。

         

        出音にネック折れの影響は全くありませんでした。ヴィンテージP−90サウンドがVoxアンプから”カラッと”抜けよく響き渡ります。

        それは、ロックの初期衝動をそのまま表現した音に聞こえました。

         

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        2019.08.14 Wednesday

        リペア ファイル その556

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          ヤマハ LS−TA /   ピックガード交換

           

          数年前に発売され徐々にお茶の間に浸透しつつあるヤマハの「トランスアコースティックギター」。アンプを通さず生演奏なのにリバーブやコーラスがエフェクトできる不思議なギターです。

          以前 楽器店で試奏して一度驚いていましたが、持ち込まれた楽器をまじまじと見れば見るほど ヤマハの技術力と発想力に改めて感激した次第です。

           

          オーナーは透明なピックガードに飽き足らず"べっ甲"柄のピックガードに交換を望まれました。

           

          完成!と「いたって簡単」に見る向きはちょっと待って。ピックガードは簡単に剥がれないようにしっかり接着されていますので、ドライヤーの熱で剥がすときも結構神経を使うものです。

            

          無理に剥がすとトップ材も一緒に千切れてくっついてしまうので、少しずつ慎重に剥がします。また両面テープがトップに多く残ってしまうとテープの残骸の駆除もやっかいな作業です。今回は割とスムーズに剥がれて安堵しました。

           

          ピックガード一枚で本体の雰囲気がすっかり変わります。

            

           

          これが噂の「TransAcoustic™」のコントロール部。”リバーブ”・”コーラス・””ボリューム”をシンプルに制御しています。

            

          バックを振動させるユニットが組み込まれています。生音をデジタル処理してエフェクト信号に変換しリバーブなどを掛けるのだろうと想像しますが、それにしてもよく実現したなぁ。関心します。(スマホから出力した信号でテーブルなどをスピーカー替わりにする技術も同一線上かと思います)

           

          ネックにはローズが挟みこまれて強度アップを計っています。ヘッドは継いでありますね。アコギのこういうタイプは国産でなく海外産であることが多いですね。(マレーシア産だったかな?)

            

          エンドピンジャックの下側に仕込まれたBOXがあり単3電池2本で駆動します。

           

          ヤマハの「トランスアコースティックギター」が米国でも販売されているようですが、高値で売買されているようです。それだけ人気があるというでしょう。アンプを使わず生楽器の演奏をするシーンがまだまだどこの国でも多いかと思います。そんなときこのギターが登場すれば皆ビックリするでしょうね。

          新技術で新たな市場を開拓することが求められていると思います。

           

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          2019.08.09 Friday

          リペア ファイル その555

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            K・yairi  LO-90 Custom /  PU取り付加工

             

            K・ヤイリのギターにLRバックス社の”ELEMENT ACTIVE SYSTEM”を取り付け加工します。

             

            岐阜県のギターメーカーといえば「K・ヤイリ」と「タカミネ」があり、メーカー規模では「タカミネ」の方が大きいです。それでもイメージとしては「K・ヤイリ」の方が”職人気質”って感じがするのは”質朴さ”があるからかな。(私も若かりし頃憧れたメーカーでしたhttp://9notes.jugem.jp/?eid=212

             

            ボトムにエンドピンジャック用の穴を開けます。内部を覗くと裏板用の力木の珍らしい形のを発見。エンドブロック前に力木を配置することで、裏板にエンドブロックの角が立つのを避ける意味かと推測します。

              

             

            アンダーサドルタイプのピエゾ”エレメント”を通します。ピエゾは薄い平紐状に仕込まれています。

              

             

            ピエゾの厚み分、サドルの下面を削って”弦高”を加工前と同じにします。

              

             

            ヴォリュームと電池バックを内部に取り付けて完了。

              

            トップはシトカ・スプルース、サイド&バックはマホガニー。ドレットノートを一回り小さくしたようなデザインのシンプルで美しいギターです。

             

            サウンドホール裏にボリュームを設置。ついでにK・ヤイリ独特のトラスロッドを見ました。マーチンのトラスロッドは14Fまでしか効きませんが、ヤイリのは18F付近まで伸びていてロッドの効く範囲が広いです。

              

             

            ”Angel”が飛んでいますね。ネック裏のボリュートも美しく切り出されています。

              

            ネックは薄く平べったい感じ。

             

            透明なピックガードが塗装塗り込まれてついているので、一見はピックガードなしに見えますね。

            細部まで丁寧に作られたギターです。オール単板モデルですので弾き込んでいくとさらに豊かなサウンドになるでしょう。いいギターです。

             

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            2019.08.05 Monday

            リペア ファイル その554

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              シェクター・ダイヤモンドシリーズ / PU交換・アッセンブリー交換・フロイトローズ調整

               

              HM/HR御用達”SCHECTER”。オリジナルは、アーチトップでフロイトローズ搭載24F仕様、EMGピックアップが載っていましたが、ディマシオPUに交換しました。それに伴いアクティブ系のアッセンブリーをパッシブ系に交換します。

               

              ノイズがなくクリーンサウンドを出力する”EMG81”を外して高出力のディマシオPUに載せ替えました。(フロント:DP193 リア:DP207)

               

              3wayスイッチはそのまま流用して ポットはハムバッカー用の500Kに コンデンサーは0.022μF に取り替えました。配線材はベルデン、2V2TでフロントV・リアV・マスターT仕様に。

                

               

              リアPUのマグネットに一部はバータイプになっています。ベンド/チョーキングしても音痩せしないですね。

               

              チューニングは6弦はドリップCで1~5弦は一音下げとテンション感ゆるめのチューニングです。この設定に合うようにフロイトローズを調整しました。

                

              弦高は1.5ミリ以下なのでビビり音は発生しますが、音は完全につぶして出力するそうなので問題ないでしょう。

               

              SCHECTERはHM/HRミュージシャンに人気ですね。アイバニーズと同じように7弦・8弦ギターも用意されています。重低音を表現するのに最適なPU選びが今回の交換かもと考えましたが、どうだったかな・・・

              PUの載せ替え作業は、いくつになっても「どんな音するか 気持ちがワクワクする」仕事です。

               

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              2019.08.01 Thursday

              リペア ファイル その553

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                ギブソン J−45 / トップ割れ補修

                 

                この夏はおかしな天候で、6月初旬は暑くその後長い梅雨に入り明けたら猛暑 とその気温の落差に身体も付いていけません。そういうときはギターも同じでコンディション維持が難しくなります。

                オーナーがうっかりギターを自動車内で置き忘れ、気が付いたときにはトップがセンターライン沿いに切れて割れてしまったそうです。高温により極度に乾燥が進んだ結果だと推測します。

                 

                長年連れ添ったギターで十分乾燥していると思われる個体でも急激な変化にはトラブルが起こるのですね。

                 

                持ち込まれたギターを壁で吊るして1週間ほど置いておいたら割れ部は自然に回復しました。

                  

                その割れ部に接着剤を摺り込んでサイドから圧力を掛けて接着しました。

                 

                割れ部に沿て”パッチ”を貼っていきます。私は0.5ミリの薄いマホガニーをポンチでくり抜いて木目が交差するように張り合わせたオリジナルの”パッチ”を使います。こうすることでどの位置で貼り付けてもトップに対して木目切れがないように貼ることが可能になります。伝統的な”パッチ”はスプルース材を◆型にして貼り付けるのですが、トップ裏に正確に木目に垂直方向に貼るのは難易度が高く現実的でありません。トップを剥がして目視できるような状態でのみ有効かと思います。(または口輪付近のみ)

                  

                ブリッジ下側はトーンバーが2本入っているのでそこを避けながら”パッチ”をロングクランプを使って貼っていきます。

                 

                段差がないように剥ぎ合わせたので接着後は水研磨してバフで磨いて完成です。塗装の必要はありませんでした。(塗装なして仕上げるように作業したともいえる)

                  

                今回はトップの回復がよかったのでパッチ補強で終えましたが、ケースバイケースで隙間に板を差し込み方法も考えられます。参照:http://blog.9notes.org/?eid=811

                 

                ヘッドはヴィンテージタイプでクルーソンペグ。

                  

                暑さによるネックの被害はありませんでした。

                 

                アンダーサドルピエゾが仕込まれていましたが、サドルにはこんな仕掛けがされていました!

                「音の分離」がよくなるように”橋げた状”に加工されています。

                  

                弦を張っても変化なし。これで大丈夫でしょう。補強によるサウンドへの影響もほとんどなし。オーナーも納得されていました。

                 

                それにしても自動車で移動するのが当たり前の時代、ギターを車内に置いておかないといけない状況って案外あると思われます。そんなときは、ケースから出して直射日光が当たらない後ろ座席の足元に白っぽい布を掛けておくのが、ひとつの方法です。本当は少し窓を開けておくといんですが・・・・昨今は盗難も怖いし、難しいかな。

                まだまだ暑い日々が続きます。皆さまもご自愛ください。2019/8/1

                 

                 

                ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

                 

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                2019.07.27 Saturday

                リペア ファイル その552

                0

                  スモークド乾燥処理”アルダー”ボディのストラト製作

                   

                  カスタム・ストラトの製作を依頼されました。スモークド乾燥処理をしてあるネックとボディを使ってどんな理想のギターを作るか、依頼主と相談のうえ ボディは「2Pアルダー」、ネックは「メイプル指板」で「P−90を2個」乗っけた「木目が生きる」カラーリングのストラトにすると、決まりました。

                  ボディのカラーリングを決め、それに合うピックガードとパーツ類の色も決めました。(今回は基本的にホワイトに統一しました)

                   

                  すでに「スモーク」してあるボディを手直しし、ネックも好みの握りと指板アールに各種刃物を使って修正しました。

                    

                  ネックは”ミズメ”という国産希少材です。カエデより腰がある材でかつては「弓」に使われた材です。(ミズメ:カバノキ属 「梓(あずさ)」とも、桜材にも似ているので”ミズメザクラ”とも呼ばれる)ネックには最適材と私は考えています。

                   

                  ピックガードやPUの位置決めをするため仮組みします。ピックガードは”白ラメ”素材で作製しました。

                    

                  ボディをザクった後 塗装しました。見本の写真を見ながら「LPのチェリーサンバーストよりも赤系を抑えた」カラーリングを施しました。依頼主の希望に沿う色を表現するのはなかなか難しいです。

                   

                  フレット打ちを済ませてネックも塗装します。「スモーク」ですでに焼け色が付いていますので、全体のトーンを揃えるため若干ブラウン系の色を載せました。

                   

                  塗装完了後、フレットに載った塗装を取りつつ フレットピークを整え磨いて完成させます。

                    

                  電装系のセッッティング。アセンブリは米国系パーツでPUは”ディマジオDP167”ペグとブリッジはゴトー製です。

                   

                  1・6弦を張ってセンターラインの確認をしてPGをボディにネジ締めして取り付けます。

                    

                  ネックの仕込み角度も確認。サドルの「イモネジの頭が引っ込み過ぎず出過ぎず」がブリッジの基本設計に沿ったところに収まるのが正解。

                   

                  2PUなので3wayスイッチで1V1T仕様です。P−90はシングルでもパワーがあるのでポットは300Ωで、コンデンサーはオレンジドロップの0.033uFを選びました。

                    

                  白ラメのピックガードは煌びやかで高級感がありますね。

                   

                  ネックはミズメ材に張りメイプル仕様です。ネック強度のアップを計ってエボニー材で補強してあります。

                    

                  中央にスカンクラインが走っています。

                   

                  「9notes」のロゴが入ります。ペグはゴートー製でHAP機能付き。

                    

                  1~4弦までポストの出を短くしてナットからのテンションを稼いでいます。

                   

                  ネックの握りは、1F裏から15F裏まで厚さが均一になるよう加工してあります。

                    

                  「木目を生かす」塗装なので基本はシースルーでサンバースト部でも木目が透けて見えます。

                   

                  スモーク効果で「反応の速さ」が特徴でしょう。また「コンプ感」も感じられます。ノイズも少なく生鳴りもいいです。

                  目止めにウレタン系を1回使い、後はニトロセルロース・ラッカーで仕上げています。将来、ラッカークラックが入りヴィンテージ化しても愛され続けているギターであることが、製作家の願いです。

                   

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                  2019.07.22 Monday

                  リペア ファイル その551

                  0

                    Tunesaburou Kurosawa  1B  /  表板割れ・表板塗装・サドル交換・糸巻交換

                     

                    『クロサワ楽器』の創始者でクラシックギター製作家でもあった”黒澤常三郎”のギターです。半世紀以上前に購入したというこのギターの出音は、ほかの名器に引けを取らないとのこと。

                      

                    トップに陥没と割れがあったのを修復しました。​

                     

                    サウンドホール下の力木に強い力が加わったのか、裂けて割れて陥没しています。

                      

                    割れ部に接着剤を流し込み、外からはクランプで中からはジャッキで力木を持ち上げて元通りにします。

                     

                    トップの腰に辺りにひび割れと打痕があります。

                      

                    隙間に接着剤を流し込んで割れ部を留めます。

                     

                    ブリッジ下の表板中央が割れて隙間ができていました。

                      

                    引き裂かれた「夏目」部の隙間を修正しながらトップと同材の「杉(シダー)」を用意して「夏目」部をスライスしておきます。(針葉樹は夏目と冬目がハッキリしていますね)

                     

                    シダーピースを割れ部に合うように成型して、接着・ジャッキアップ・クランピングします。

                      

                     

                    飛び出たところをカンナで取り除き、サンディングしておきます。

                      

                     

                    トップの腰のひび割れ部とブリッジ下の割れ部を内側から補修するため”パッチ”を製作します。当工房では、極薄いマホガニー材2枚を木目が交錯するように張り合わせ”パッチ”としています。

                      

                    軽さと強さを兼ね合わせた”パッチ”をすべての割れ部裏に当て接着しました。これで補修は万全です。

                     

                    さて次は割れ部が目立たないように塗装に入ります。

                      

                    全体を軽くサンディングしてクリアーラッカーを吹き付けました。

                     

                    完成!(色が落ちた部分は筆でタッチアップして色調整してあります)

                      

                    古い楽器だったので塗装をはじくピンホールが結構あって、思ったより時間がかかってしまいました。

                     

                    動きが悪くなった古い糸巻をゴトー製の新品と交換しました。

                      

                    若干、新旧ポストの位置が合わなかったので修正しておきました。

                     

                    弦高を適正にするべくサドルも交換しました。

                      

                    指板はナット部から最終フレットにかけて薄くなっています。仕込み角度に変化を付けて音量アップを計るための工夫かと思いますが、50年前からこういう理論は経験上解っていたということなのでしょうか?(ラミレスでも同じような指板を見かけました)

                     

                    トップは杉、サイド&バックはローズ単板で全体的にシンプルな作りなれど、弾き込んであるため反応が良く音に深みを感じました。

                    黒澤常三郎は、現在クラシックギター製作家として有名な黒澤澄雄の叔父だということですが、澄雄氏の息子さんの黒澤哲郎氏も活躍されていますから、日本の”ハウザー家”のようですね。

                     

                    クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

                     

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                    2019.07.18 Thursday

                    リペア ファイル その550

                    0

                      フェンダーJAPAN オールローズ・テレキャスター/ 塗装剥がし・ラッカー塗装(オープンポア)・フレット打ち換え・パーツ研磨

                       

                      ジョージ・ハリスン使用で有名な”オールロース・TE”のフェンダージャパン製モデル。すでにジャパンビンテージになるような楽器でしたが、オーナーは「ウレタン塗装」を「ラッカー塗装」に変更をご希望されました。すでに価値が定まった楽器でしたが、オリジナルに近づけるべく塗装をすべて剥がしました。

                       

                      フェンダージャパンは初期のロット以外は、ウレタン塗装がメインだと思います(ポリエステルの可能性もある)。耐久性もあり作業効率的もいいウレタンですが、塗装膜が厚く いかんせん”木材”の感触が感じられません。このモデルはオールローズとう贅沢な仕様ですので、木材本来の良さを生かすべく厚い塗装をひたすら剥がしました。

                        

                      埃まみれになる作業です・・・

                       

                      全塗装ですので指板面もやり直しです。

                        

                      ネックもローズ・ワンピース材でウレタン塗装を剥がした後は「フレット打ち直し」になります。(フレット打つ前に一度ラッカーで下塗りしてあります)

                       

                      ここからラッカー本塗りです。オーナーと話し合った上、カスタムショップ仕様であった木目が生きる「オープンポア」で仕上げることにしました。普通はサンディングシーラーで肉付けしますが、そうせず初めからニトロセルロース・ラッカーを繰り返し塗り上げて行きます。

                       

                      塗装が済んだらフレットに載った塗料を剥がしつつフレットレベルを整えます。指板レベルがよいと ほとんどフレットピークを修正しなくてもいいです。

                        

                      あとはで軽く丸めて磨き上げフレットワークは完成です。

                       

                      次は組み上げです。くすんだパーツは研磨材で磨いて元の輝きに。

                       

                      オールローズ製なのですべてソリッドだと思っていましたが、解体するとキャビティ部とその丁度反対の部分はくり抜いてありました。シンラインのような作りなのが解りました。軽量化が図られていたんですね。

                       

                      塗装面は、薄っすらと導管が浮いています。下地からニトロセルロース・ラッカーだけですので透明性が高く ローズの木目が鮮明です。ウレタン塗装でラッピングされていた木部が解放されて『木』そのものを感じられます。

                       

                      これだけのいい素材が使われていたのが、ウレタンでその質感が消されていたのではもったいなかったですね。オーナーの判断が正しかったのが、完成されたが楽器から証明されました。

                       

                      ボディ上下部の間にメイプル薄板がサンドイッチされています。

                       

                      全塗装で「Made in Japan」の文字は消えましたが、フェンダージャパンのシリアルナンバーはTEブリッジに刻印されているので出自は保証されています。貴重なローズ材のギターが生まれ変わった仕事でした。

                       

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