2017.09.08 Friday

リペア ファイル その401

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    ヤマハ FG−302  / フレットすり合わせ・ブリッジピンの弦溝加工

     

    リサイクルショップでゲットしたギターだそうですが、とても美品で使用感がほとんどありません。それを手元の置いてしばらく爪弾いていたらフレットが減ってしまい、バズるので「フレットすり合わせ」に見えました。当時の(1980年頃か)フレットは硬度が低いのかも知れませんね。

     

    フレットの凹んだ箇所を”平ヤスリ”で消えるまで削ると、フレットの頭は「平ら」になってしまいます。これではイントネーションも悪いし出音もクリアになりませんので、再びフレットピーク(山頂)が付くように”ヤスリ”を換えて削り直します。これが「フレットすり合わせ」作業の内容です。同時に全体のフレットのピークを揃えて、フレットピークで直線が描けるように整える作業も「フレットすり合わせ」の大事な目的になっています。

     

    指板に傷がつかないようにマスキングテープで養生します。低くなったフレットにピーク(山頂)を付け直すに時に、半丸のヤスリでピークを切り直すのが基本ですが、フレットが低くなると横長の”楕円”状のピークになりやすく、弦との接触する点が広くなる傾向にあります。そのため、なるべく鋭角なピーク(山頂)を切るには半丸ヤスリは有効でなく、三角のヤスリや目立てヤスリを使う必要が出てきます。(最近ではStewMacでZヤスリなるものが売り出されました。持ってないがちょっと使ってみたい)

     

    フレットにヤスリ傷が付きますので、それを♯180 ♯240 ♯320 ♯600 ♯1200番のペーパーを使い磨いて行きます。最後はコンパウンドで磨きます。指板には「フレットボード・コンディショナー・オイル」を塗って仕上げています。オイルはさまざまなタイプがありますが、私はサラッとした仕上がりのダダリオ製のを使っています。

      

     

    ブリッジピン穴からサドルピークへの立ち上がり角度が弱いので、弦の誘導溝をドリメルで切りました。こうすることでサドルへの圧力が増えるので音の輪郭、音量大などの改善が見られます。

      

     

    ヤマハFGのヘッドはすっきりしていていいデザインだと思います。トラスロッドカバーはローズでできていて”音叉”3つの組み合わせのロゴも入っています。昔はチューニングメーターなんてなかったから、”Aの音叉”で5弦をチュー二ングしたものです。5つの笛(EADGB)を持つハーモニカのような器材もあったな。

      

     

    マーチンのOMに相当する小ぶりなボディ(ただしオリジナルラインなのでコピーじゃない。ヤマハのこだわり)でリビングに置いてちょっと弾きにはもってこいの楽器です。オール合板製なので倍音は少ないですが、雑味のないサウンドで気持ちよく演奏できます。

      

    全盛期のモーリスと共にヤマハFGシリーズは日本のフォークシーンを作りましたね。ギターが売れた業界にとって「いい時代」の象徴です。

     

    ヤマハFG修理:http://blog.9notes.org/?eid=550

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    2017.09.04 Monday

    リペア ファイル その400

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      ギブソン J−45 /  ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ブリッジプレート増設(弦アース付き)

       

      ブラックフェイスのJ45、カッコいい。アコギにカラーリングするのはギブソンの得意技ですが、ほかのメーカーがやると安っぽくなっちゃうのはナゼだろう?

       

      トップがやや膨らみかかっていたのと「ネック元起き」で弦高が高くなっていました。トップの矯正まではやらなくてもいい、と判断しブリッジプレート増設のみ行い(進行を止めるため)ネックは「アイロン矯正」して「元起き」を修正しました。

        

       

      「アイロン」後は「すり合わせ」が定番ですが、丁度ローフレットがずい分減っていたので、ローポジションを強めに「すり合わせ」してフレットピークレベルで「仕込み角度」をきつくしました。フレットピークをヤスリで削り出すのに老眼鏡が欠かせません。

        

       

      ヤスリ傷をペーパーで取り、最後はコンパウンドで磨いてあります。フレットは合金でどうしても酸化しやすく、雲ってしまいますが、表面が磨かれているフレットの出音は、クリアでイントネーションもしっかりします。磨き作業は大切です。(ただし”すべる”ので好まぬプレーヤーもいます。プレースタイルに合わせるのも大切ですね。かつてクラシックギタリストにサドルをあまり磨かぬように指定されたことがあります。やはり滑るとの理由からです)

        

       

      ブリッジ後方が膨らみやすいのですが、まだそれほど顕著な症状が現れていません。ただその兆候はあったのでブリッジプレートを増強してその進行を止めることにしました。その際に「弦アース」を取るようにちょっとついでに加工すれば、PU出力する時にノイズを減らすことが出来ます。(下写真のプレートは上下逆で取り付けることになります)

        

       

      このようになります。

        

      「仕込み角度変更」でサドル高を変えなくて「弦高を下げる」ことに成功しました。この結果ブリッジピンからサドルへの立ち上がり角度を保ったまま弦高を下げられ、サドルへの圧力が減ることがなかったのでサウンドの劣化が回避できました。

       

      ナットはブラックタスク。

        

       

      ブラック塗装は製造過程でカスリ傷がつきやすく工程ロスが起るのですが、営業成績はいいので定番機種になっています。(反対色の白は傷が目立ちにくいです)

      ブラック(黒)は、コムデギャルソンの川久保玲じゃないけど「破壊」と「創造」のカラーに感じます。

       

      ギブソンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=631

       

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      2017.08.30 Wednesday

      リペア ファイル その339

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        グレコ ハワード・ロバーツModel /  電装系チェック・PU交換・ジャック交換・ポット交換・配線やり直し

         

        レアなジャパンヴィンテージがやって来ました。ギブソンのコピーモデルですが、出モノが少ないギターでカタログでしかお眼に掛かったことしかありません。

        3時間以上弾くと途中から音が出なくなるといいます。あれこれ「電装系」を調べましたが、PU裏側がずい分錆びていて汗か何か入ったと思われます。PUも「線が細いサウンド」が気にいってなかったそうで、ここはPU交換および電装系を一新することにしました。

         

        古いPUを外して”bartolini”のPUに交換することに。ジャズギター系には定評のあるPUです。

          

         

        ネックのせり出した部分に挿むように取り付けるのですが、ネック幅はギターによってまちまちですので、幅を可変できる仕様になっているバルトニーニは有り難い作りです。左図は下穴を開けています。普通の「電動ドリル」ではボディにぶつかってしまうので「手揉みドリル」が活躍します。

          

         

        アーチトップゆえネックと平行に取り付けることができません。なるべく弦に近づけつつ、ハイポジを弾いてもPUに弦が触れることがない位置を選んであります。

         

        ヴォリュームノブが国産ポット径なので、国産ポットを選択しました。合わない径で無理やりポットにねじ込むと、ギブソン系のハットノブは亀裂が生じます。アウトプットジャックは”スイッチクラフト” コンデンサーは”オレンジドロップ” 配線材は”ベルデン”に。オリジナルは1V1Tに抵抗を可変して音色をシングルっぽくするノブが付いていましたが、ほとんど使わないので外してダミーにしてあります。

          

         

        ブランコテールピースは弦アースはもちろんのこと、テンションが変えられるような加工がしてありました。なかなか手が込んでいます。ヘッドもゴージャスですね。

          

         

        フローレイタイン・カッタウエイにオーバル・サウンドホール。ギーター内部に「綿ホコリ」が丸まって入っていました。これがあると「音がいい」との伝説があります。つまり”時間”と”弾き込み”が積み重なっている証左なのでしょう。

          

         

        元々生鳴りがよかったので、電装系の一新により「味のある」サウンドが素直にアウトプットされるようになりました。

        渋いルックスですね。

         

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        2017.08.26 Saturday

        リペア ファイル その338

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          Kヤイリ RF−90 / フレットすり合わせ   ナット・サドル・ロッド調整

           

          故 矢入一男氏に材料をチョイスしてもらったという”Kヤイリ・RF-90”。小ぶりなボディで女性プレーヤーに持ってこいですね。トップ/スプレース、サイド&バック/マホガニー仕様で軽いです。ギブソンB−25と同じような位置付けでしょう。

           

          ローフレットの演奏で1.2.3フレットの1弦・2弦だけ減ってしまいました。それらのフレットは結構減っていますが、ほかはコンディションはいいのでローフレットを強めの「すり合わせ」して「交換」を回避しました。

            

          フレット浮きがないか各フレットをチェックしてから「すり合わせ」に入ります。

           

          この時、ロッドも調整ます。(ロッドは行き成り締めたりせず、一度弛めてどのくらいロッドが回されているか確認してから締めることにしましょう。そうすればトラブルが避けられます)

           

          油目の平ヤスリを使い「すり合わせ」します。1.2.3フレの轍を取る目的ですが、ロー側を強くするようにしてフレット上面で仕込み角度を作るようなイメージで擦っています。こうすれば弦高を下げることが可能です。ただ「すり合わせ」を行うだけでなくサウンドの改善が計れるように作業しています。

            

          低くなったフレットもヤスリを駆使して鋭角なフレットピークを切り直しました。

           

          フレットをペーパーの番手を変えながら磨いて行って、最後はピカピカになるまで仕上げてあります。指板面もクリーニングして気持ちよくプレーしてもらえるよう心掛けています。

           

          サドルを低くせず弦高を下げられました。(仕込み角度が少し強くなったことと、フレットを擦った分 ナット溝も低くしたので弦高を下げられた)また、ナット・サドルの弦との接地面も精度を出してあります。

           

           

          フレットが弦によって轍(わだち)/凹みが出来て、それが無くなるまで強く擦るとフレットの内部が露わになります。金属は表面より内部の方が柔らかいので、一度擦ったフレットは減り具合が早くなります。それでも結構持ちますので、ほんの2・3本の一部が減ったフレットならば、「交換」より「擦り合せ」をお勧めすることが多いです。

            

          もちろん、指板の状態がよくないケースでは、「交換」した方がコンディションがよくなりプレー感が向上しますので、そちらを勧めることもあります。ケースバイケースですね。

           

           

           

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          2017.08.23 Wednesday

          リペア ファイル その337

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            Stafford  SSC400    /フレット部分交換・フレットすり合わせ・指板欠け補修・ペグ交換

             

            元バブルガムブラザーズのギタリスト・土門秀明 氏の”戦友”です。英国に渡り日本人初の地下鉄”バスカー”(大道芸)として数々の演奏をこの楽器でこなして来たそうです。外国人の労働規制が強い英国でバスカーとして認められることはスゴイことなんです。

             

            ギターの裏やサイドに「許可書」をベタベタ貼ってありますね。年季を感じさせます。

              

            たくさんのギターを所持している土門氏ですが、合板製の普及品のこのギターが「いい音」なので手放せないとのこと。

             

            あちこち傷だらけですが、指板修正するのでついで「欠け」補修しました。

              

             

            私は部分フレット打ち換えは勧めない方ですが、プロである土門氏から、現状の設定を変えないで減ったところだけ修理して欲しいと依頼されたので4本だけ打ち換えることにしました。

              

             

            同じ幅のフレットを選択して、タング調整しながらフレットを打ち込んで行きました。

              

             

            ”背”は高いので残りのフレットと同じレベルになるように「すり合わせ」します。同時に全体もバランスを取るように「すり合わせ」して行きます。このように指板調整ができないので「すり合わせ」でレベルを合わせるのですが、フレットが減るくらい使いこなすと指板調整も必要な時期になっていることが多いです。プロの方はフレットの減りが早いので指板の狂いがそんなに進んでいないケースもあり今回はそれです。

              

             

            フレットのピーク(山頂)はなるべく鋭角になるよう手間かけて削ってあります。指板の凹み(指跡)は、接着剤とローズ粉を練って盛って置きました。

              

             

            ハードテンション弦を張りましたが、ネックはピクリとも動きませんでした。音のいい理由はここにあり!だと感じました。アコースティックは「棹」より「箱」が大事だと思われていますが、「箱」のグレードと共に「棹」の良さも音質に大きく影響するのです。反対に弦振動をしっかり受け留めてくれるネックは少ない とも言えます。

              

            「ペグ」にガタが来ていましたので新品に交換しました。「ペグ」は消耗品だとお考えください。

             

            この風貌が全てを語っていますね。私はクラッシュ/ジョーストラマーのテレキャスを思い出しました。

            このギターでまた新たな”伝説”を作ってくれることでしょう。

             

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            2017.08.19 Saturday

            リペア ファイル その336

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              Sugi Guitars NB4 MH / フレットすり合わせ・調整

               

              Made in Japanのハイエンドギター(エレキ)を製造している”Sugi Guitars”。精巧な作りと厳選された木材がそのサウンドを支えています。ちなみにアコースティックギターでも”Sugi”を名乗るブランドがあります。杉田健司 率いる『SUGI CRAFT 』。『Sugi Guitars』のSugiさんは杉本眞。

               

              磨り減ったフレットのコンディジョンを高めるため「ロッド調整・すり合わせ」します。が、その前にフレット浮きがないか一本一本叩いて調べます。丁度、鉄道員が線路を叩いて調べるように。 異音がすればそこにアロン一滴を流して固定し、それから「平屋ヤスリ」でフレットピークを整えます。

                

               

              指板が傷つかないようにマスキングしてから、各種ヤスリを使って台形になったフレットに山頂をつけ直します。なるべく鋭角な山にしたいので、半丸ヤスリより三角ヤスリを使うことが多いですかね。(その分時間が掛かるが・・・)

                

               

              ヤスリ傷をペーパーを使って均して行って、最後はコンパウンドで磨きます。指板面もクリーニングしてあります。

              バインディングに見える白いラインは、白木の薄板がサンドイッチされていて、面をカットするときにバインディングに見えるように削り出してあります。トップのメイプルは着色してありますから、白木の部分はマスキングしてから塗装してあるようですね。手間がかかることをあえてやっています。

               

              指板エンドとF・PUの間に”こうもり”のインレイがワンポイントで入れてあります。おしゃれ。ここに入れるのは”センス”だけが頼りなので勇気がいります。もちろん大成功。フレット端は”ハイエンド・ギター”の定番の「丸め処理」がしてあります。

                

               

              ネック・ヒールは3次元にカットさせています。トラスロッドカバーの杢はヘッドと合わせてあるところなど、細部まで手が込んでいます。

                

               

              知人の若手のリペアマンの手で「フィンガーリスト」が増設されていました。よくできた楽器を手にすることでプレーヤーもリペアマンも育ちます。ポリシーを感じさせる「Sugi Guitars」のBASSでした。

               

               

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              2017.08.14 Monday

              リペア ファイル その335

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                フリッツ・ミューラー 8弦ギター / 指板補強・フレット交換・ナット補修・肘当て補修

                 

                若手ギタリスト大手文明氏の8弦ギターが調整にやってきました。前にネックのリセットを行い弦高を下げたのですが、ネックの「腰折れ」でやや弦高が高くなって来ました。このミューラーは特殊な楽器であちこちに工夫が施されています。指板下には穴が何本も開けてあり、ネック自体を鳴らすようになっています。だがそのためにネック強度にやや難が見受けられます。(トラスロッドは12フレットまで効く構造)

                 

                ネック強度を上げるためとセーハを楽にするため「ジャンボフレット」に交換することにしました。(タング調整でネックにクサビを打つかっこうで剛性を作る)それと14フレット以降に補強を施します。ネックはボルトオンジョイントなので一旦外します。指板調整しますが、黒檀は極薄くほとんど削ることができません。おまけに「トーションネック」(ねじれた構造)なので、軽く指板面をペーパーで均す程度に留めてあります。

                  

                 

                各フレットの溝の厚みをゲージで計測しながら、それよりフレットタングを厚くなるように調整し一本ずつ打ち込んで行きます。

                 

                ナット下をご覧ください。薄い黒檀の下は柾目の松材で 指板エンドから穴/トンネル(空洞)が上まで貫通しています。

                  

                 

                ステンレスの円棒をその穴に通し10フレット下を補強します。一弦側の方が「腰折れ」現象が強く現れていましたので、1弦側に2本ステンレス棒を打ち込み固定しました。すべての穴に補強を入れたらもっと強くなることは解っていますが、プロの方の楽器は鳴りが生命線です。「補強してネックは強くなったが、鳴らなくなった」では許されません。一度に大きく作り変えることはリスクが高いので、控えめにしてあります。(問題が残れば次回に手を打てばいいのです)

                  

                 

                オーバーバインディングなのでフレット端が処理されています。それとステンレス棒が入っているところは、跨ぐ様にフレットタングを加工してあります。

                  

                 

                「すり合わせ」と「フレット整形」「磨き」を終えてリセット前のカット。

                 

                弦溝を確認したところ、6弦だけ低くなっていました。たぶんチューニングするたびに擦れて下がって来たのでしょう。素材は象牙製で作り換えはもったいないので、そこだけ鋸刃(テーブルソーで加工)でカットし、牛骨ピースで補修しました。(象牙はいい素材ですが私は基本的に使いません。象の保護が優先されると考えるからです。需要があると密猟を助長させかねません)

                  

                 

                簡易の処置ですが、精度高く加工すれば音にはまったく問題ありません。(これだけですが加工時間もけっこうかかります)

                 

                8弦すべてチューニングしたら、まだ「腰折れ」は残っていました。補強がまだ不足だったのです。しかしそれも想定してフレットを背の高いジャンボフレットに交換してありますから、弦を外して再びハイフレット部の「すり合わせ」でフレットピークを調整しました。サドルも各弦のバランスと弦高を見ながら調整してあります。

                  

                 

                ジャンボフレットに交換して演奏に支障はないか心配でしたが、そんなことはなく「セーハなどすべてにおいて楽になった」と返事を頂きました。「響きも楽器のもつもつ可能性を引き上げていただけたように感じています」ともおしゃってくださりました。このフリッツ・ミューラーのように設計思想が確立している楽器は、そこを変えないでリペアすることが大事だと思います。なおかつ良くしないといけないのは言うまでもないこと。

                 

                関連ブログ:http://blog.9notes.org/?eid=571

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                2017.08.10 Thursday

                リペア ファイル その334

                0

                  マーチン 000−28 / ブリッジ浮き・ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・サドル交換(オフセット加工)

                   

                  クラプトンがアンプラグドで使って以来 世界的にヒットした”マーチン000−28”ですが、元々はDタイプ以前の弦長の短いギターとしてずっと作られて来た機種です。(ほかにも”0””00”とかある) ”000”をスケールアップしたのが”OM”です。

                   

                  ブリッジ浮きがあるとのことで、一旦外してから改めて「にかわ」で接着をお勧めしました。ラバーヒーターを使って外しているカットですが、しっかり付いていて中々外れる気配がしません。もっと攻めれば外せるのですが、ブリッジの裏側を多少は傷めることになるのでその案を変更して「エポキシ接着剤の充填」にしました。

                    

                   

                  マーチン修理は「にかわ」を使うのを大原則にしている当工房ですが、今回はそれを曲げてエポキシを使いました。その方が楽器にダメージを与えずサウンドを維持できると判断したからです。極わずかに隙間ができた程度なのでそうしました。(エポキシは熱で弛めることができるのでブリッジ全体の接着力を落ちてきたら、今度こそヒーターで外して「にかわ」接着しますね。)

                   

                  「ネック元起き」が進ん来たので「アイロンヒーター」でネック矯正しました。14フレット付近から折れ曲がるように矯正しています。こうして「仕込み角度」をつけるのです。

                    

                   

                  次ぎは「フレットすり合わせ」、平ヤスリでフレットピークを整えます。その後 台形になったフレットに再びピーク(山頂)を三角ヤスリと半丸ヤスリで付け直し、そのヤスリの傷をペーパーの番手を変えながら消して、最後はピカピカになるまで磨き上げます。

                    

                   

                  マーチンブリッジには、ブリッジピン用穴に弦通しの溝が切ってあるのとないのとありますが、これはないタイプ。6弦5弦はないとピンがタイトになり過ぎて抜けにくいでしょ、切った方が実用性が高いと思います。サドルへの誘導溝も切って「立ち上がり角度」を稼ぎます。

                    

                   

                  下図はオリジナルサドル。なぜか半分”日焼け色”塗装がしてあります。(米国人の美学と想像しています)仕込み角度が付いた分、弦高が低くなったのでオリジナルが使えず、新たにサドルを牛骨で作りました。(オフセット加工も)立ち上がり角度が強くなったので、サドルへの圧力が増えました。そういう場合 サドルピークを鋭角に作製すると弦が喰い込みやすくなるので、ここはあえて緩いピークを作ってあります。

                    

                   

                  ナット側は、タイトで立ち上がりのいい音を目指して 鋭角なピークを削り出して弦の接地面積を減らす加工を施しました。

                    

                   

                  「すり合わせ」でフレットの減り(轍 わだち)も解消したので音程もしっかりました。指板もクリーニング。

                    

                   

                  フィンガーピッカーの依頼者は、”000”ではドロップチューニングはつらいと感じていらっしゃりましたが(弦長が短いのでドロップにするとテンションがさらになくなるので)今回のリペアでテンションとタイトさが出たので、使える楽器になったとおっしゃって下さいました。さらにスカスカだった「音の間」に”余韻”が表れたとも。

                  「楽曲と演奏スタイル、楽器のチューンは密接だ」と改めて感じた仕事でした。

                   

                  マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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                  2017.08.06 Sunday

                  リペア ファイル その333

                  0

                    オベーション model 1983-B /  電池ボックス新設・電装系チェック・ロゼット剥がれ補修・弦高調整

                     

                    ナロウボディのオベーションです。エレアコ界では一世を風靡したオベーションですが、近頃はテーラーに押され気味です。でも私はそのオリジナル性の高さを買っており、再びポピュラリティーが出ると信じています。

                     

                    オリジナルの電池ボックスはボディにビスで取り付けられていますが、交換時に外したりするときの手間が面倒でした(左の写真)。これをLRバックスのバッテリーバックに交換し、バッテリースナップもファイバーを使ったものに交換しました。

                      

                     

                    ロゼット(リング)が浮いて剥がれて来ました。接着剤が切れたのですね。再び接着剤を流し込みしっかり圧着します。

                      

                     

                    はい、元通り。透明のプラスティックリングの下に本物のアバロン貝の薄板が敷かれてピカピカ輝いています。

                     

                    電装系もチェックしました。オベーションはサドルとピエゾが一体化していますが、シールドのつなぎ目がビロビロしています。これを剥がして新品の絶縁テープを巻き直しました。

                      

                     

                    出力の要、エンドピンジャックでノイズが発生することも多いので、綿棒にコンパウンドを付けて磨き/クリーニングしておきます。

                     

                    オベーションはサドル下のファイバー製の薄板が敷かれていて、これによって”弦高”を調整されています。弦高を下げたいときは,この板を抜いて調整します。(ナット溝も点検します)

                     

                    表板をバフで磨いてきれいになりました。オベーションはファンブレーシング/グラスファイバー・バックと独創性の高いギターのようですが、カーマン社の創業者は中世の楽器の音を模したと聞いたことがあります。なるほどその音をPUで増幅すれば近代でも通用する、と言えますね。

                     

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                    2017.08.03 Thursday

                    リペア ファイル その332

                    0

                      ヤマハ The FG / ペグ交換・弦高調整

                       

                      ヤマハの”赤ラベル”はジャパンヴィンテージの定番になりましたが、ヤマハはこれをリアル化しました。『The FG』を作ったのです。最初は冗談かと思いましたが、実際 弾いてみて「これは本気だ」と感じました。

                       

                      オープンバックタイプの糸巻きを、ゴトー製の”510”に交換します。ブッシュを抜きときに塗装を傷めることがあるんですよね。このまま放置すると塗装と木地の間の隙間が広がってしまうので、瞬間接着剤をその隙間にうまく流し込んで止めます。

                        

                       

                      レトロな感じとモダンな感じがうまくマッチしていますね。 ”510”のギヤ比は1:18または1:21になっており 通常にギヤ比より大きく細かなチュ−ニングに適しています。

                        

                       

                      弦高を下げて欲しいとの要望でサドルを下げて12F 6弦2ミリ 1弦1.5ミリに設定しました。(わずかですがナット溝も調整。両支点で弦高調整します)古いFGはローズブリッジを黒く染めてありますが、このthe FGは黒檀が使用されています。

                        

                      全体に軽く作られていて無駄なところが見受けられません。トップのスプルース・バック&サイドのマホガニーなどの木材も厳選(ピアノやクラシックギターの製造で豊富な材のストックがある)されていて国内生産品の良さが出ています。オールドファン対象の企画なんでしょうが、それを超えています。

                       

                      かつて国内でヤマハのギターがOEM生産されていた時、他のメーカーのギターよりもヤマハブランドの品質管理が厳しかったと聞きます。製造を委託された方は手間がかかりやっかいでしょうが、ブランドを守る育てるとはそういうことでしょう。

                      Lシリーズとは違う味のあるFG。現代の”赤レベル”は新たな伝説を作るかもしれません。

                       

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