リペア ファイル その618
マーチンD-28 / ナット交換
マーチンギターはケースを開けた途端、マーチン独特の匂いが漂います。どこかノスタルジーをそそる懐かしい匂いに感じますが、私だけ?
ナットの弦溝が低くなっていました。長年 弦をチューニングしたり緩めたりしているとナットのところで摩擦が生じ、弦溝が擦れて減ってフレット高より下がってしまう現象がおきます。こうなったら「ナット交換」ですね。
大きめの牛骨ブランクを指板幅に合うようにカットします。
それを今度は厚みを揃えるために、片面を細かいペーパーで磨いて仕上げてから、反対の面を欲しい厚みまでベルトサンダーで一気に削り、最後は平らな面にペーパーを張り付けたところで微調整しながら削ってネックにタイトに納めるように仕上げます。(最近のマーチンのナットは底面が斜めでないのでその分労力が助かります)
ナット端は末広がりになっているので、その角度に合うようにジグを使って削っていきます。
荒いペーパーを使い角度を出すのですが、最後はピカピカ面に仕上げたいので前のペーパー痕が消せるように、番手を順次変えながら削っていきます。その際ネックの幅より短くならないように気をつけます。(ピカピカになったけど短くなってしまったりする失敗も時々やりかします。そうなったらもう一度作り直し・・・)
写真のようにしてナットにフレットRを写し取ります。
その線までベルトサンダーで削り落とします。
1〜6弦までの弦溝をマーキングしました。基本的には以前と同じ間隔で写し取りますが、「フレット交換」した後では適度に修正した間隔にすることもあります。
弦と弦との間隔は、弦の中心を等間隔にする場合と 各弦の太さが違うことを考慮して弦の端と端が等間隔になるようにする場合と2種類あります。
ナット弦溝を専用ヤスリで切ってから、ナットの整形をする方法を私は取っています(ナットを外して整形する人もいます)。ネック上でヤスリやペーパーで整形するので、本体に傷がつかないようにうまく養生してやることが大切です。
完成しました。
最近のマーチン社は”ベアクロウ(熊の爪痕)”が入ったトップ材を使うようになりました。昔はどのメーカーもこれを嫌ったこともありましたが、個人製作家が高級機でこれをあえて使うようになったことから、メーカーもやるようになりましたね。杢が曲がってこう見えるのでよくないという説がある一方、腰のある材が多いから良しとする説いろいろあります。
私は個人的に”ベアクロウ”材が好きな方です。きれいだと思うし、基本的にいい材であることから”はねる(使わない)”理由に当たらないからです。古い職人さん古い店員さんはダメ出ししますが、天然素材であるのでまったく無傷・無垢ばかりとはいきませんよ。天然資源枯渇と言われる昨今 基準も変えていかねばなりません。
関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307
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