リペア ファイル その544
GIBSON ES-175 1965製 / ネックヒール部のタッチアップ
いつもお世話になっています、さすらいのギタリスト”土門秀明“氏のギブソンのフルアコES−175。’65年製ですからヴィンテージですね。全体からいい味が出ています。
このネックヒール部の塗装割れだけは不自然な感じかして気になるとおっしゃります(あっちこっちクラックがあったり傷があるのですが、ここだけはアウトと言われる)。うーん・・・・うまく直せるかなぁ・・と心配しましたが、引き受けた以上はやらなくては。ヴィンテージ修理はきれいになってもダメなので思案します。
茶系と黒の染料系塗料をミックスしながら色合わせします。いきなり本番はまずいので似たようなピースで実験してから本番に挑みます。下手にマスキングするとテープを剥がすときに古い塗膜もいっしょに剥がれてしまうので、マスキングテープを掌に一度くっつけて油分を与え粘着力を緩めてから使用しています。
薄めの塗料をほんのわずか盛っては乾かし盛っては乾かし、拡大鏡を使いながらタッチアップしていきます。手が震えます。(アル中ではないよ・・・)
なんとか完了。(こんだけにも結構な時間がかかっています)ヴィンテージ修理はやり過ぎないよいに注意しています。やり過ぎたら元に戻せませんから・・・一歩手前で止めるのを理想としています。
どこもここも枯れています。甘くて切ない音がします。
土門さんは将来ジャズも弾くつもりだとか。ということは只今勉強中なのでしょうか?プロの方だからそれも射程距離にあるのでしょう。羨ましい。これを引っ提げてJAZZやったら渋いですよね。
ラッカー塗装は経年変化で自然とクラックが入ってきます。そこが年輪を感じさせ ただの「中古品」ではなく「ヴィンテージ」としてくれるポイントのひとつです。ラッカー塗装のよさでね。ウレタンやポリエステル塗料では、いくら経年変化があってもこの枯れていく気配が感じられません。
塗装が剥げるのもまたよし。
傷も味わいのうちになりますし、塗装の透け・焼けも趣きに奥行きを与えてくれます。
べた褒めですが、特別骨董趣味はありません。人間には古いものを味わう感性が古今東西どこにもありますね。古い楽器は姿だけでなく音の変化もあります。ヴィンテージとして残っていく楽器はもともと音の素性のいいものが多く、それゆえ大切にされたり譲り受けられたりしています。結果古い楽器は、耳障りな倍音成分が減退してさらに心地よさを感じる音に変化していくことが多いです。
ヘッドのペグの配列は最近のものより下がっています。この方がナットよりヘッド角度にプラスのベクトルが働きます。当然鳴りにも影響を与えます。
オリジナルパーツが多く残っているうえコンディションもいい楽器でした。
ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631
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