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2017.12.07 Thursday

リペア ファイル その419

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    Greg  Smollman 1981  / バックのオーバーラッカー塗装・ヘッド塗装打痕修理&塗装・サドル交換・調整

     

    ギタリスト大手文明氏所有の”スモールマン”が各種調整のためやって来ました。クラシックギター製作の歴史を塗り替えた小さな巨人”スモールマン”。革命的な楽器です。特筆すべきはその音量とレスポンスの早さで、特殊な構造がそれを可能にしました。それは限界まで薄くしたトップとそれを補強する材の構成です。後ほどその写真をご覧ください。

     

    ヘッドに打痕がありました。ペグ取り付けサイドも過去に補修した際に着色されており、それも元通りに修復しました。打痕のところにラッカーを盛って塗装面を作り直します。

      

     

    そこからはトップコーティングのためラッカー塗装を施します。サイドは木地まで剥がしてからの塗装なので下地からやり直しています。右の写真は塗装完了後組み立てした図ですが、左右のペグの位置がわずかずれていました。6弦側の方がナットに近づけて取り付けられていて、ナットからの角度が強く強くなるように考えられています。

      

     

    バックの塗装も剥がれ箇所があったので、オーバーラッカー塗装しました。サイド&バックの元々の塗装もニトロセルロース・ラッカーでした。

     

    バックはハカランダ材を削り出してヴァイオリンのようなラウンドバックになっています。この構造だと裏の力木は必要ないので、反射音が早くサウンドホールから出てくれる(反応が早い)のではないか?と私は推測しています。それにしてもハカランダを削り出すなんて、なんて贅沢なんでしょう。

      

     

    この楽器に関して「もっとふくよかな音で鳴って欲しい」とのご希望に添って、解決策を練ってみました。少し高域側の響きが弱いのもその一因かと思い、そこをもっと鳴らそうと考えました。サドル高を換えることができない状態なので、テンション増を計るため『クリアトーン』を使ってみます。これは「ダブルホール」と同じ効果が得られる商品です。いろいろなタイプの商品が発売されていますが、アルミは軽量なのと音伝導率がいいのでこれをチョイス。(ゴトーのクラシックギター用最高級ペグ”510”の軸がアルミ製なのもこの理由でしょう)

    それとサドルを象牙からタスクに交換します。この狙いは軽量化と「明るめのサウンド」を欲するからです。伝統的なクラシックギターで『タスク』を使うことは稀ですが、スモールマンには合う、と判断しました。

     

    装着前にサドル溝の底面の精度を上げておきます。ややアールが付いた指板に合わせてタスクを整形します。

      

     

    1〜3弦のみ『クリアトーン』を使用。こうすることでバランスをとろう、と意図です。『クリアトーン』を使うことでサドルへ掛かる圧力が増え、弦振動がトップへ伝たわる量がアップします。このように楽器の特性と好みの音を求めて、『クリアトーン』などのパッチを使用することが可能です。ペグ側でも同じことが言えます。弦の巻き方や巻き数を変えることでナットからペグへの角度を変化させることができます。

      

    ナットやサドルへの圧力は角度で変化しますが、弦はチューニングするので弦の「テンション」は変化しません。ただ「テンション感」は若干違って来ます。ナットやサドル付近の弦の「テンション感」は強く感じるかも知れません。これは弦が硬くなるからと思われます。ナットやサドルから少し離れれば「テンション感」の変化はあまり感じないでしょう。

     

    1弦側の指板面を大きく削ってありました。これで『トーションネック』を形取っているのだと思います。演奏性の向上のためですね。ネックヒールも直角にえぐってあり、ハイポジションが弾きやすくなるように工夫されています。この辺りのアイデアも現代的です。

      

     

    ギター内部のカットです。薄い杉(シーダー)トップを軽い素材のバルサ材を使いラティス・ブレシングで組んであります。ただこのままでは剛性が弱いので、その上にカーボン素材で補強してあります。革新的なアイデアです。ギタートップを『平面スピーカー』の様に作ってあり、サイド&バックは共振しないように頑丈に作る”設計思想”が、スモーマンのオリジナリティです。

      

     

    トップの塗装は、セラックです。オリジナルから塗り替えられているようですが、とてもきれいに仕上げられていました。トップのみセラック塗装してあるのは、トップの塗装膜をできるだけ薄く仕上げたいからでしょう。タッピングするとその反応の良さとスネアドラムを叩いているような切れの良さを感じます。

      

     

    この楽器を世界的に有名にしたのが英国人ギタリスト”ジョン・ウイリアムス”で、彼の愛機として多くの人に知られることになりました。オーストラリアの山中に住む”グレッグ・スモールマン”に会いに行く動画は感動的です。

    https://youtu.be/E2Dq2x8CeS4

     

     

    クラシックギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=648

     

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