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2017.01.05 Thursday

ブルース・スプリングスティーン自伝(上・下巻) ”Born to Run”を読んで

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    2枚組みのアルバムのようだ。1冊に収まらなかったのか?
    4時間のステージを完結しないとブルースは納得しない性格なんだな。この自伝はそれを証明している。

     

    ブルースも告白しているように「自分のすべてをここに書いていない」とある。67年の人生をたった894ページに記載させることは不可能だろう。しかし同時にこうも語っている「読者に自分の心の内を明かす」と。

     

    その最たるものは「父親」との葛藤の歴史だろう。父親に愛されていないのではないか、と疑心暗鬼だったようだ。ただこれはブルースに限ったことではなく、多くの男子は父親との距離の取り方をティーンエンジャーのころから悩んでいるものだ。(もちろん女子でも同じことが起こるが)


    青年期における自我の確立と父親の存在は、ときに激しくぶつかる。母親を独占した気持ちや 狭いながらも自分の空間を守りたい気持ちや 自信のないが激しく突きあがる衝動とそれを糾弾されたときのやり場のない気持ちが、父親に向かう。

     

    またブルースは父親が精神障害であったこと、自分にはその血統があり、ずっと躁鬱の状態にありカウンセラーにかかっていることをオープンにした。(ステージでのブルースは躁でもあったのだ)

     

     

    ブルースの父親はブルーカラーだった。貧乏の部類だったようだが音楽好きの母親がブルースにギターを買ってくれた。それが運命を決定づけたのは言うまでもないだろう。

     

    ブルースの音楽の真ん中を貫いているのは、「労働者階級の日々の生活」だ。彼の生い立ちがそうであったから、リアリティがある。

     

    ジョンレノンは「ワーキングクラス・ヒーロー」のTシャツを着ていたが、ブルースは肌にそれがプリントされている。後にビジネス的に成功してもそれを脱ぐことができない。肌そのものだからだ。

     

    彼の歌には、ブルーカラーの人々の日常が綴られているが、同時に「家族」の問題をも扱っている。
    その中で父親をいい男として取り上げることはなかった。

     

    ただし晩年は少し違った。「父親」と少しでもいい関係になろうとブルースもアプローチしたし、父親もブルースに近づいて来るようになる。子供のころは解らないが、結婚して家庭を持ち自分が父親になって はじめて父親の気持ちが理解できるようになるものだ。

     

    ロックは以前、若者の気持ちを代弁するものだったが、いつしか若者も大人になり 大人の心情を歌に込められるように来た。ロックンローラーは、父親にもなるんだぞ。

     

    いつも仕事着でいる父親は、仕事上でのつらさやそのその忍耐を子供には知られないように、家では無口なり夜は酒を浴びるようになる。それを子供は忌み嫌う。その関係から逃避しようとギターを手に取る。子供は子供でストレスを発散する場所が必要だ。ガレージをベースに、遂にはロードに出るようになる。家出だ。

     

     

    ブルースの生い立ちで重要なワードのひとつが宗教であろう。カトリック系の学校に通い自身カトリックの信者である。米国は新大陸と呼ばれカトリックから離れようとしたプロテスタントの地でもあるのだが、イタリア系の家系ではカトリックが続いている。(映画「ゴットファーザー」はその系譜)

     

    歴史を笠に荘厳で重々しく 罪と罰を押し付けるが、安心を約束する宗教。美があり聖なる力の源泉がある。ブルースはそこに根ざして歌を作っている。よくも悪くも逃れることができないのが宗教の力だ。(私もカソリック信者を親に持つ)

     

    「いったんカトリックになるといつまでもカトリックなのだ」

     

     

    ブルースの生まれた東海岸ニュージャージー州は保守的な地であり、共和党の地盤であるが近年は民主党と拮抗してるという。ブルース自身は民主党を支持を打ち出すミュージシャンとして有名だ。オバマ氏が大統領に就任したときに彼の後ろでタカミネを持って歌い、その映像が全世界に配信された。

     

    ブルーカラーは労働者の党である民主党を支持するはずであったが、今度の選挙は違った。共和党のトランプ氏を支持した率が高いという。ラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者が、かつて繁栄した製造業を取り戻したいとの幻想をトランプ氏に託したのか。

     

    ブルースのファン層の白人労働者達もトランプ支持派に含まれていただろう。人種差別問題やベトナム帰還兵の問題を取り上げて来たブルースが今後どんな歌を作るのか。トランプ支持派にも届くメッセージソングを聴かせてくれ。

     

     

    自分の歴史をたどり、再びその経験を生きることによって ブルースは、この自伝の執筆が『リハビリ』になったろう。
    「走るために生まれ」て来た男が、新たなスタートラインに立つ。

     

     

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