2013.07.21 Sunday
リペアファイル その48
クラシック(ガット)ギター (茶位 作) 力木はずれ/ネックひび割れ 修理
持ち込まれたときは「2弦がビビルのでサドル調整を」ということでしたが、調べてみるとどこかが2弦に共振してビビリ音になっていることが解りました。
弦を外し、糸巻きが振動しないように押さえながら、ボディを叩き原因を探ります。これは力木はずれを確認する時の「手」です。力木の接着が切れるとビビリ音になることがあります。これはアコギ系でまず確認することですが、エレキ系ではPUなどの電装系もその要因になりますので、さらにやっかいです。
クラシック(ガット)ギターはトラスロッドが入っていないので、それは外して考えられます。スチール弦のギターはそれも要因のひとつとして考えられます。
実際のビビリの原因箇所究明には、各所をしらみつぶしに当って行くしか手がりません。経験からポイントを絞り込んでは行きますが・・・
裏板の力木を接着している様子。力木の端っこが外れていました。端っこは案外接着剤が切れて外れることが多いんですよね。
ビビリ音を止めて、終了。と思っていたらスロッテッドヘッドの糸巻き付近からネックひびが見つかりました。そこも修理しました。ほって置くと完全に割れてしまいます。
スロッテッドヘッドのガットやマーチンニューヨーカータイプでは、このように糸巻きのネジ穴付近からヘッド角度が付く付近にかけて「ひび」が入ることがあります。構造的に弱いのが原因ですから、このタイプをお持ちの方は、注意してくださいね。
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マーチンGuitar ロングサドル交換
ロングサドルを交換しました。最近のマーチンのロングサドルは旧来と違って掘り込みがしてあります。(旧来はブリッジにサドル溝が左右に抜けるように切ってあり、今より浅い溝でした。)
まずサドル長さを正確に写しとって部材をカットし、端を掘り込みのアールと同じアールに丸めます。(これは普通のサドルも同じ)
上の写真は、当工房で行なう「サドル下辺部の直線と直角を出す」ための簡単なジグです。基準面を出してから、その面に直角になるように下辺部を削るためこうしています。いくら直線が出ても直角でないとブリッジ溝とぴったり密着することはありません。
ちなみに古いギターではサドル溝は直線ではありません。トップの脹らみ伴いブリッジ溝もアールが付いています。そのアールにあわせてサドル下辺部も削る必要がありますが、70キロの弦張力により、多少のアール違いは修正されていると考えて、よっぽどアールがきつい場合以外は、サドルの下辺部は直線で仕上げています。
ここでも直線より直角でブリッジ溝と密着することの方が重要だと思っています。
サドル端をブリッジ端の内丸に合わせて加工してから、上辺部で弦高調整してやります。ここがロングサドルの手間が掛かるところです。普通のサドルでは、上辺部を一旦加工したら下辺部を削ってやることで、弦高調整できますが、ロングサドルでは、上辺部の指板アールに合わせたアールを意識しながら、サドルを低くしてやるからです。
これに弦長補正を上辺部で加工する「稜線」をいれてやるときは、さらに時間が掛かります。
だからロングサドルの交換は普通より料金が高く設定されているのです。
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ギター工房9notes HPへどうぞ(岐阜) HPのhomeで「つぶやき」はじめました。
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持ち込まれたときは「2弦がビビルのでサドル調整を」ということでしたが、調べてみるとどこかが2弦に共振してビビリ音になっていることが解りました。
弦を外し、糸巻きが振動しないように押さえながら、ボディを叩き原因を探ります。これは力木はずれを確認する時の「手」です。力木の接着が切れるとビビリ音になることがあります。これはアコギ系でまず確認することですが、エレキ系ではPUなどの電装系もその要因になりますので、さらにやっかいです。
クラシック(ガット)ギターはトラスロッドが入っていないので、それは外して考えられます。スチール弦のギターはそれも要因のひとつとして考えられます。
実際のビビリの原因箇所究明には、各所をしらみつぶしに当って行くしか手がりません。経験からポイントを絞り込んでは行きますが・・・
裏板の力木を接着している様子。力木の端っこが外れていました。端っこは案外接着剤が切れて外れることが多いんですよね。
ビビリ音を止めて、終了。と思っていたらスロッテッドヘッドの糸巻き付近からネックひびが見つかりました。そこも修理しました。ほって置くと完全に割れてしまいます。
スロッテッドヘッドのガットやマーチンニューヨーカータイプでは、このように糸巻きのネジ穴付近からヘッド角度が付く付近にかけて「ひび」が入ることがあります。構造的に弱いのが原因ですから、このタイプをお持ちの方は、注意してくださいね。
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ロングサドルを交換しました。最近のマーチンのロングサドルは旧来と違って掘り込みがしてあります。(旧来はブリッジにサドル溝が左右に抜けるように切ってあり、今より浅い溝でした。)
まずサドル長さを正確に写しとって部材をカットし、端を掘り込みのアールと同じアールに丸めます。(これは普通のサドルも同じ)
上の写真は、当工房で行なう「サドル下辺部の直線と直角を出す」ための簡単なジグです。基準面を出してから、その面に直角になるように下辺部を削るためこうしています。いくら直線が出ても直角でないとブリッジ溝とぴったり密着することはありません。
ちなみに古いギターではサドル溝は直線ではありません。トップの脹らみ伴いブリッジ溝もアールが付いています。そのアールにあわせてサドル下辺部も削る必要がありますが、70キロの弦張力により、多少のアール違いは修正されていると考えて、よっぽどアールがきつい場合以外は、サドルの下辺部は直線で仕上げています。
ここでも直線より直角でブリッジ溝と密着することの方が重要だと思っています。
サドル端をブリッジ端の内丸に合わせて加工してから、上辺部で弦高調整してやります。ここがロングサドルの手間が掛かるところです。普通のサドルでは、上辺部を一旦加工したら下辺部を削ってやることで、弦高調整できますが、ロングサドルでは、上辺部の指板アールに合わせたアールを意識しながら、サドルを低くしてやるからです。
これに弦長補正を上辺部で加工する「稜線」をいれてやるときは、さらに時間が掛かります。
だからロングサドルの交換は普通より料金が高く設定されているのです。
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