2019.10.28 Monday

リペア ファイル その611

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    VG KTRーLG   / スモークド乾燥処理・サドル交換

     

    寺田楽器のオリジナルブランド”VG”。この楽器は"MUSIC LAND KEY"がオーダーした仕様で、よく練られたコンセプトでできていました。これをグレードアップすべく「スモークド乾燥」処理しました。

      

    スモークド乾燥とは・・・

    「木材を煙で燻し乾燥を早める技術は、古くは木地師たち(山の中で木を切り出しロクロで器を作る人達)が行なっていたと云われます。9notesでは、スモークドハムを作る装置を改良して「スモークド乾燥庫」を作り、実験を繰り返しながら、ギターに応用することができるようになりました。温度と燻しを木材の状態をよって微妙に調節しながら、長時間「スモーク」します。スモークすることにより、木材の細胞内のセルロースやリグニン・ヘミセルロースなど物質中の結合水が減っていき、結果、セルロース同士の結びつきが強固になっていきます。強度とともに組織の一体化が進むので振動効率も上がっていく訳です。それを9notesでは「スモークド乾燥」と呼びます。スモークされた材木(トーンウッド)は乾いた音を奏で、音量が大きくなる傾向がみられ(枯れた音というより、経年変化10年ぐらいの腰のある音の感じを得ています)、また強度が増すため、ネックやボディの剛性が上がるようになります。木肌は煙に燻され味わいがあり、経年変化を経たギターのようです。」HP・TOPページより

     

    薪を燃焼させて30時間燻しました。

     

    煤は袋で濾過しましたが、表面には若干油分が付着しますのでエチルアルコールで拭き取ります。

      

    その後はバフで磨いておきます。内部からスモークの香りが漂っています。

     

    オリジナルにはアンダーサドル式のピエゾPUが搭載されていましたが、それを外して”水牛”素材のサドルを仕込みました。

      

    硬度は牛骨より低いですが、雑味のないクリーンな出音だと感じました。

     

    シンプルなロゴデザイン。

      

    ネックをはじめトップ・バックともいいマホガニー単板を使用しています。

     

    写真がうまく撮れませんでしたが、塗装表面がいい感じを醸し出していました。たぶんこれは「吹きっぱなし」(塗装後、研磨してバフ仕上げしていなくて、つや消し塗装のように一回で仕上げた塗装)でしょう。(クリアーにわずかつや消しを交ぜてあるかな)

      

    高級感があるのでこの塗装を取り入れるところがチラホラ増えています。

     

    依頼主から感想をいただきました。

    「VG KTR-LG mahoganyのスモークド乾燥、の感想です。まるでリマスタリングしたかのように明瞭な発音になりました。ボディは以前より鳴っているようで、ストロークすると音量も上がっているように感じます。ワンランクアップしたギターになりました」

    ”リマスタリング”とは言い得て妙です。ありがとうございました。

     

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    または 080-2660-2284 まで

     

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    2019.09.18 Wednesday

    スモークド乾燥処理済み「エピフォン・テキサン」の販売

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      エピフォン・テキサン(中国製)を”スモークド乾燥”処理し、細部調整/サドル交換(オフセット加工済み)してあります。

      この個体をHP内のShopで販売します。  ¥89,800(税込み・送料込み)ソフトケース付き

      ポールマッカトニーが使ってその名をはせた”エピフォン・テキサン”。テキサンには日本製やリミテッドエディションモデルなど存在しますが、この個体は表・裏単板の廉価版でインドネシア製です。それをチューンナップすべく「スモークド乾燥」処理しました。

       

      スモーク乾燥庫で30時間薫煙しました。燻すことによって木材内部の細胞変化が起り”音の伝達率”が向上しております。「音量が大きくなる」「音の立ち上がり速度が速くなる」「全体の剛性が上がることによってサスティーンが伸びる」など感じていただけると思います。

        

       

      スモーク後にトップをタッピングしましたら、やや硬めの音だったので力木を”はつり”ました。スモークしてあり剛性がアップされていますので、力木をスキャロップすることも可能になりました。タッピングで音確認しながら慎重に削ります。

      (上の写真は露出補正がうまくいってなくて黄色ですが、実際はもう少し褐色です)

       

      元々はShadowのピックアップシステムが搭載されていました。ですが、どうもPU出力サウンドが気に入らない・・・生音もアンダーサドルピエゾでデッド気味だったので、思い切ってシステム全部を外すことにしました。これでタイトになりました。

        

      牛骨でサドルを新調しオフセット加工しました。

       

      ヘッド回りはオリジナルのままです。

        

       

      ストラップピンもオリジナルのまま。エンドピンは内部のコードを外してあります。

        

       

      Top Material: Solid Spruce
      Back Material: Solid Mahogany
      Side Material: Mahogany
      Neck Material: Mahogany
      Scale Length: 25.5"
      Bridge Pickup: Shadow NanoFlex low-impedence
      Binding: Body - 5 ply (W/B/W/B/W); top and back
      Frets: 20; medium
      Nut Width: 1-11/16"
      Machine Heads: Vintage-style, 14:1 ratio with small cream buttons

       

       

      エレアコではなく生楽器として再生したテキサン。生音が鳴ってこそアコースティックギターですよね。

       

      スモークド乾燥とは・・・

      「木材を煙で燻し乾燥を早める技術は、古くは木地師たち(山の中で木を切り出しロクロで器を作る人達)が行なっていたと云われます。9notesでは、スモークドハムを作る装置を改良して「スモークド乾燥庫」を作り、実験を繰り返しながら、ギターに応用することができるようになりました。温度と燻しを木材の状態をよって微妙に調節しながら、長時間「スモーク」します。スモークすることにより、木材の細胞内のセルロースやリグニン・ヘミセルロースなど物質中の結合水が減っていき、結果、セルロース同士の結びつきが強固になっていきます。強度とともに組織の一体化が進むので振動効率も上がっていく訳です。それを9notesでは「スモークド乾燥」と呼びます。スモークされた材木(トーンウッド)は乾いた音を奏で、音量が大きくなる傾向がみられ(枯れた音というより、経年変化10年ぐらいの腰のある音の感じを得ています)、また強度が増すため、ネックやボディの剛性が上がるようになります。木肌は煙に燻され味わいがあり、経年変化を経たギターのようです。」HP・TOPページより

       

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      2019.08.27 Tuesday

      リペア ファイル その559 / 黒檀ブリッジピン・サドル・ナットの販売

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        ”スモークド乾燥処理”済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Setの販売

         

         

        黒檀のブリッジピンとサドルとナットを『スモークド乾燥』しました。黒檀はダイナミックレンジが広い素材です。スモークド乾燥によりレスポンスが改善されています。また従来の牛骨にはない角が取れた音”ウッディートーン”が特徴です。

         

        黒檀ブリッジピン:弦誘導用の溝穴付き。(Top5.3ミリ〜bottom4.2ミリ / 各個多少バラつきあり)

        黒檀サドル:105ミリ×14ミリ×3.3ミリ

        黒檀ナット:66ミリ×12ミリ×6.2ミリ

         

        *サドルとナットは素材ゆえギターに取り付けるには加工が必要です。

         

        HP内のShopで販売しています。

        『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Set 税込み・送料込み ¥4000

         

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        Three S  F−180 /  ナット・サドル・ブリッジピン交換

         

        上のスモークド乾燥処理済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』をオール合板製のスリーエスのOMモデルに装着しました。

         

        スモーク乾燥処理された黒檀ナットは大きめにカットされているので、それぞれのギターに合うようにナットを加工する必要があります。ノコギリやヤスリなどでラフカットした後は、外した前のナットに位置に正確に収まるように加工します。

          

        弦のサイズに合わせたナット溝を切ります。牛骨よりやや柔らかいか。

         

        細かいペーパーで磨くと艶が出てきます。

         

        この機のペグは精度の高いゴトー社製のオープンタイプのものに交換されています。

          

        70年代の国産普及機には安価なペグが使用されていますので、スムーズな弦の巻き上げができませんでしたが、ゴトー社製に交換することによって安定したチューニングが可能になりました。

         

        プラスチック製のナットをスモーク乾燥処理された黒檀サドルに交換します。この素材も大きめですのでブリッジのサドル溝にぴったり合うように加工します。

          

        ブリッジピンのテーパーも各ギターによってわずかに違っています。ジャストフィットするためにはブリッジのピン穴をリーマーで調整してやるとピッタリ合います。

         

        ブリッジはローズ製ですが、黒く染めてありました。

        ブリッジ・ピン・サドルなど全体がブラックに統一されてクールですね。

         

        さて その出音は”ブルージー”でした。サスティーンはさほどなく単音の切れがよく音の粒立ちが感じられます。倍音も控えめでゴージャス感がないのが逆に魅力です。合板トップとの相性がいいかも。

          

        上のセットをご購入下り、ナット・サドル交換をご希望の方には¥10,000(サービス可価格)で御取り付け致します。(税別)

        詳しくはメールでお問い合わせください。

         

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        2019.08.23 Friday

        リペア ファイル その558

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          ギブソン J−45 / スモークド乾燥処理・ペグ交換

           

          ホームページの「スモークド乾燥処理」のブログを見ていただき、遠方から依頼をいただきました。昨今はネットと宅配の普及で日本国内の情報と流通のスピードの格差はずいぶんなくなりました。地方に住む私にとってもありがたいことです。

          「楽器のスペックも作りもいいのに、どうも思ったような音がしない・・・」と感じたられた場合、当工房の「スモークド乾燥」処理はいかがでしょうか?

           

          お預かりのギターに装備されているパーツをすべて外して裸にスモーク乾燥庫に吊るします。油分の少ない広葉樹を薪にして煙を庫内に充満させて燻煙していきます。2日から3日に分けて30時間以上「スモーク」乾燥しています。

            

          火の粉が庫内に舞うこともあるのでギターにはカバーを掛けてありますが、布の隙間から煙/ガス/熱がギターに浸透して木材の細胞に変化を起こします。

           

          『スモークド乾燥』を施すと細胞レベルで下記のような変化があると思われます。

          「木材の細胞には、多くのセルロースと少量のリグニン・ヘミセルロースなどの物質があり、セルロース間に結合水が存在する。その結合水がスモーク効果によって減っていくと、セルロース同士が結びつき強固になっていく。そのため剛性がアップし、また音の伝導率がアップされる」科学分析はしていないですが、このように考えています。

           

          ボディに付着したヤニをアルコールで拭き取り、バフで磨いて仕上げます。

          燻した結果、トップの材木がやや痩せたり白いバインディングとかに焼け色(黄色系)が付いたりすることはあります。

           

          ペグを交換します。近年製はグローバーのロトマチック式ペグが標準装備されていますが、以前のJー45に使われていたクルーソン式ペグに交換です。オープンタイプのペグの方が軽いのでサウンドも開放的で明るくなる傾向があります。(この交換にはポスト穴を加工なしで行える”コンバージョンブッシュ”が必要です)

            

          また「ネック折れ」回避にもいいです。(ヘッドが重いと倒したりぶつけたりしたときのダメージが大きいので)

           

          ボディ各所に歴戦の痕が・・・

            

          ナット・サドルはオリジナルのままです。

           

          完成!どうしても燻した匂いが残るのですが、この点はご了承ください。(この匂いでバーボンが飲めると言ってくださる方もいました)

          依頼主から”感想”をいただきました。

           

          *

          音はといいますと、チューニングしてる時からはっきりと振動が強く伝わって来る印象でした。解放弦でジャラ〜ンとストロークした瞬間、「な、何ィ!!こ、これは!!!」と音が飛んでいく印象でした!!そしてデカい!! とても面白くて、しばらく弾き倒してました!! 軽やかとは違う、キレ味といいますか、スモークする前と同じギターとは思えません!!これは最高です!!アタックの音がガンガン飛んでいく、ガラッとしたキレ味のある音に見事変わりました!! 弾いていて楽しいです!!! J-45を購入時に親しい知人に見せびらかしたのですが「これがギブソン?」とイマイチな感想しか頂けませんでしたが、説得力あるサウンドに変化したので、早速見せびらかして来ます。笑 低音の「ギャッ」とも「グジャッ」とも言えるアタック音がクリアに出てきた感じは凄くします!! ジャキジャキにデカい音、弱く弾いても綺麗に輪郭を感じます!! スモーク前はどこか湿った感じでした。 勝田さんにお願いして大正解でした!!

          *

          こちらこそ、ありがとうございました。

           

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          2019.07.27 Saturday

          リペア ファイル その552

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            スモークド乾燥処理”アルダー”ボディのストラト製作

             

            カスタム・ストラトの製作を依頼されました。スモークド乾燥処理をしてあるネックとボディを使ってどんな理想のギターを作るか、依頼主と相談のうえ ボディは「2Pアルダー」、ネックは「メイプル指板」で「P−90を2個」乗っけた「木目が生きる」カラーリングのストラトにすると、決まりました。

            ボディのカラーリングを決め、それに合うピックガードとパーツ類の色も決めました。(今回は基本的にホワイトに統一しました)

             

            すでに「スモーク」してあるボディを手直しし、ネックも好みの握りと指板アールに各種刃物を使って修正しました。

              

            ネックは”ミズメ”という国産希少材です。カエデより腰がある材でかつては「弓」に使われた材です。(ミズメ:カバノキ属 「梓(あずさ)」とも、桜材にも似ているので”ミズメザクラ”とも呼ばれる)ネックには最適材と私は考えています。

             

            ピックガードやPUの位置決めをするため仮組みします。ピックガードは”白ラメ”素材で作製しました。

              

            ボディをザクった後 塗装しました。見本の写真を見ながら「LPのチェリーサンバーストよりも赤系を抑えた」カラーリングを施しました。依頼主の希望に沿う色を表現するのはなかなか難しいです。

             

            フレット打ちを済ませてネックも塗装します。「スモーク」ですでに焼け色が付いていますので、全体のトーンを揃えるため若干ブラウン系の色を載せました。

             

            塗装完了後、フレットに載った塗装を取りつつ フレットピークを整え磨いて完成させます。

              

            電装系のセッッティング。アセンブリは米国系パーツでPUは”ディマジオDP167”ペグとブリッジはゴトー製です。

             

            1・6弦を張ってセンターラインの確認をしてPGをボディにネジ締めして取り付けます。

              

            ネックの仕込み角度も確認。サドルの「イモネジの頭が引っ込み過ぎず出過ぎず」がブリッジの基本設計に沿ったところに収まるのが正解。

             

            2PUなので3wayスイッチで1V1T仕様です。P−90はシングルでもパワーがあるのでポットは300Ωで、コンデンサーはオレンジドロップの0.033uFを選びました。

              

            白ラメのピックガードは煌びやかで高級感がありますね。

             

            ネックはミズメ材に張りメイプル仕様です。ネック強度のアップを計ってエボニー材で補強してあります。

              

            中央にスカンクラインが走っています。

             

            「9notes」のロゴが入ります。ペグはゴートー製でHAP機能付き。

              

            1~4弦までポストの出を短くしてナットからのテンションを稼いでいます。

             

            ネックの握りは、1F裏から15F裏まで厚さが均一になるよう加工してあります。

              

            「木目を生かす」塗装なので基本はシースルーでサンバースト部でも木目が透けて見えます。

             

            スモーク効果で「反応の速さ」が特徴でしょう。また「コンプ感」も感じられます。ノイズも少なく生鳴りもいいです。

            目止めにウレタン系を1回使い、後はニトロセルロース・ラッカーで仕上げています。将来、ラッカークラックが入りヴィンテージ化しても愛され続けているギターであることが、製作家の願いです。

             

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            スモークド乾燥処理済み『 ギブソン J-45 ・Remodeling』の販売

             

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            2019.07.05 Friday

            リペア ファイル その548 その2

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              SINOMAN ファンフレット・クラシックギター その2 / スモークド乾燥処理・フレット交換(フレット端の丸め処理)・ナット交換・サドル交換・ペグ交換

               

              ファンフレットのクラシックギターを30時間燻しました。このギターは『スモールマンタイプ』でトップが非常に薄くできています。内部から光を当てると力木のシルエットが透けて見えるほどです。力木は『ラティス』で格子状になっています。トップが薄い分全体を補強しているのですが、その力木も非常に細いです。”軽いトップ”を目指してこういう構造になっています。

              なぜ、軽いトップを目指しているのかと言えば、弦振動を音信号に変えるとき「効率」を考えてのことです。その結果、音量がアップしまた反応が早くなります。昨今の音楽シーンのニーズに応える現代的なギターが『スモールマンタイプ』と言えるでしょう。(あるいは、『ダブルトップギター』もそう)

               

              糸巻を交換しグレードアップしました。(ゴトー 35G3600C)

                

              ナットも交換しました。ナットも斜めなのでいつもとちょっと勝手が違います。

               

              フレットはジャンボタイプです。オリジナルもこのタイプが打ってありましたが、太く背が高いフレットを使うのも昨今の流行です。(セーハが楽になると言われています)

                

              レイズドフィンガーボードを採用しています。ハイフレットの演奏性向上のためとトップへの弦進入角度が強くなるため振動効率がよくなると言われています。

               

              アームレスト付き。ボディサイドにモニター用の小穴が開いています。バックはこの写真でうまく表現できていませんが、アーチドバックです。本物の『スモールマン』はハカランダ削り出しですが、この楽器は整形合板で作られています。アーチドバックにすると内部に力木が必要なくなるので音の反射がよくなるでしょうね。

                

               

              『スモールマンタイプ』はトップを「軽く」作るため弦張力に弱くなるのをカバーするために、トップの下側に型枠が入っていて強度を稼ぐ工夫がされています。表側はスタンダードなクラシックギターのようですが、内部構造はまったく新しいデザインがされています。この独創性は、オーストラリアの製作者『グレッグ・スモールマン』の長年の研究によって生まれました。

              英国人ギタリスト”ジョン・ウイリアムス”がオーストラリアの山中に住む”グレッグ・スモールマン”に会いに行く動画は感動的です。

              https://www.youtube.com/watch?v=E2Dq2x8CeS4&feature=youtu.be

               

              この楽器はその『スモールマン』を”ファンフレット”にしているという画期的なものです。それをさらに”スモークド乾燥”するという世界的に見ても初めての試みだと思われます。

               

              依頼者からコメントを頂きました。

              ケースを開けてみると香ばしい燻製の香りがしました。・・・・約一ヶ月ぶりの演奏になりますが、音の変化は明らかでした。まず音量が上がり、コシのある音になっています。レスポンスも早くなり、もともと低音が強めの楽器でしたがより低音が響くようになって印象を受けました。悪くなったところは何もなく、良い意味で想像以上の変化を感じました。

               

              ありがとうございました!

               

              クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

               

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              2019.06.30 Sunday

              リペア ファイル その548 その1

              0

                SINOMAN ファンフレット・クラシックギター その1 / スモークド乾燥処理・フレット交換(フレット端の丸め処理)・ナット交換・サドル交換・ペグ交換

                 

                数年前に当工房で発注/仕入れしたSINOMAN社のファンフレット・クラシックギターを『スモークド乾燥』処理したうえチューンナップをして欲しいと依頼されました。元々鳴るギターでしたが、さらに燻煙することで剛性と音伝導率アップを計ります。

                 

                フレットワークをやり直すことにしましたので、フレットを抜いたうえ『スモークド乾燥』庫で36時間燻しました。指板にもたっぷり煙を吸わせることでネックの剛性もアップするでしょう。

                  

                燻した後は全体に油分が付着しますので、それをエチルアルコールで拭き取ります。

                 

                中国メイドの楽器のレベルは相当上がっていて日本製をも凌駕します。ただ全体にフレットワークはやや甘いので、

                ここを改善するべくフレットを交換しました。黒檀指板で両端には同じく黒檀のバインディングが巻いてあるのでフレットタングが指板横から見えない仕様です。フレットは「オーバーバインディング」します。

                  

                ネックの反り具合をみながら適正なタング厚を調整し、同時にタング端の処理も行ってからフレットを打ち込んで行きます。

                 

                フレットピークを整えます。その後再びピークを丸めてから今度はフレット端を丸める処理を一本一本行います。ファンフレット仕様なので指板に直角にはなっていなくて、ある一点から扇状(ファン)にフレット溝が切られています。したがってフレット端の処理も一様ではありませんでした(はじめての経験でした)。

                  

                ファンフレットは低音側をロングスケールにすることで張力アップ効果があり、パワフルな低域が期待できます。扇状に広がるフレットは実際演奏してみると、通常のスケールとさほど違和感なく弾けるといわれています。エレキやアコギではときどき見かけるようになってきましたが、クラギでは大変珍しいです。

                 

                最終的に磨きあげるとご覧の通り。丸め処理でプレヤビリティーも向上します。

                  

                アームレストの仕上げもいまいちだったので磨き直しておきました。(塗装のムラも全体に見直して補修しておきました)

                 

                ナット・サドルも新調しました。1弦と6弦を張って12フレットでの弦高レベルを確かめサドル高を仮決めします。本決めは、6本の弦を張ってから調弦しネックとトップが張力によって変化するのを確かめてから、もう一度12フレットでのレベルを計測して決定します。

                  

                何度も弦を張ったり緩めたりするので弦がヘタってくるのが難です。弦高調整用と出荷用とトータル弦2セット分を請求できれば、本当はいいのですが・・・そこまではできないので1本でやりくりしています。

                 

                次回に続く。

                 

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                2019.05.18 Saturday

                リペア ファイル その538

                0

                  Gretsch G613IT-62VS  / ”スモークド乾燥”処理

                   

                  ハイスペックのグレッチギター。ホーローボディにTVジョーンズ製の”フィルタートロン”PUが搭載されています。ハンバッカーPUなれど低出力でクリーンなサウンドを醸し出します。とてもいいギターですが、少し「若い音」でした。この件で”スモークド乾燥”処理を依頼されたのでしょう。依頼される多くは、この楽器の本来のクオリティーはもっとあるんじゃないか?という期待からだと思います。それにお応えするひとつの答えが”スモークド乾燥”です。

                  ギターはアコースティックギター・エレクトリックギター共に本体(ネック・ボディ)の”鳴り”が出音に影響されます。弦振動の伝達の密度や濃度が出力に影響されるのです。”燻煙”の作用が木部の細胞内に変化をもたらし振動能率を改善します。

                   

                  乾燥庫に入れたグレッチ。窯から出る煙が乾燥庫に充満します。その際に若干火の粉も飛ぶのでギターに網掛けしています。

                   

                  袋から取り出したカット。油分・ヤニなどが袋に付着しています。煙とともに熱も加わるのでほんの少し焼け色が付きます。

                    

                   

                  本体(ボディ・ネック)にも少しヤニが付きますので、それをエチルアルコールで拭き取るときれいになります。

                   

                  ヤニを取ったらバフで磨き上げます。”スモーク”する前に電装系を外した際に ポットに番号を振って起きました。その順番に従い組直して行きます。グレッチは特殊なスイッチが多いので間違えないように・・・

                    

                  セミアコは内部に手が届かないので組み直しに手間取ることしばし。痒いところに手が届かない感じです。

                   

                  ゼロフレットを採用しています。

                    

                  マスターボリュームが右肩にあるのは便利ですね。一方トーンコントロールは左肩にある3wayスイッチでキャパシティーの容量で変化を付けるプリセット型となっています。右下の3wayスイッチはスタンバイスイッチなるもので、センターにすると出力しない仕組み。

                   

                  ハンバッカーPUですが、サウンドはシングルに近いですね。STシングルともP90とも違う”フィルタートロン”独特のサウンドは、グレッチギターのカラーを特徴付けています。

                    

                   

                  ”スモークド乾燥”処理により生音がアップ。また音の立ち上がり、音の深み(倍音構成の改善)が増してます。枯れたサウンドではなく弾き込んで”鳴り出した”音だと想像していただけますか。

                  ”スモーク”の匂いが残りますが、タバコの臭いとは質が違い”スモークドハム”や”スモークドサーモン”の匂いに近いです。半年くらいでほとんど消えますが、これだけはご容赦ください。

                   

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                  2019.03.12 Tuesday

                  スモークド乾燥処理済み「ホセ・アントニオ No.1」の感想

                  0

                    HP内にあるshopで販売した スモークド乾燥処理をした「ホセ・アントニオ No.1」を購入者からレポートを頂きました。本人の承諾を得て購入後のこのギターに関するレポートをアップさせてもらいます。

                     

                    ”スモークド乾燥”を施したクラシックギターの様子をつぶさにレポートしてくれています。

                     

                     

                      

                     

                      

                     

                      

                     

                    「ホセ・アントニオ購入してほぼひと月ということで、まだ音は変化しつつある感じですが、とりあえずこの時点での感想です。

                     

                    最初の強烈な匂いもだいぶ落ち着いてきて、弾かなければ気にならなくなりました。ただ鳴らし始めると、匂い粒子が目をさますのか、サウンドホールから漂ってきます。それにも慣れてきましたが、温湿度によって強弱の変化はあるようです。ちなみにギターは18畳の杉壁の部屋に吊るして保管。

                     

                    最初ギターが届いた時にも何か違うなと思ったのですが、スモーク後のバフ掛けとか細かく調整が加わっているようで、そのあたりのひショップさんとひと手間ふた手間、注がれた目と手の名残がギターにまた違った感じを与えています。


                    この価格で単板とは思い切っていますが、材のランクはもちろん超高級機に劣ってはいるものの、ギターとして良くできていると感じました。

                     

                    肝心の音ですが、匂いが気にならなくなって弾く時間も増えてきたせいか、お互いに気持ちが通うようになってきた感じで、少しずつ鳴り始めています。説明にある通り、やはり10年程度以上のエージングと言うべきなのか、新品でもヴィンテージでもない、ヌーベル・ヴィンージ?やはりその途中の音という感じです。


                    というより、そう言われてみればそうかなという印象。明るい音色、音量はけっこうある、何か発音が明瞭という感じ。サステイン良好、特にホール感というのか全体の響きがエフェクトがかかったようでこれだけでも高ポイントです。高音側に比べると低音の方がまだほぐれてないという感じもします。

                     

                    音の立ち上がりがいいのか、最初はじゃじゃ馬かと思っていたものの、ソフトにヴィブラートをかければ、割と素直にかかってくれる。そう思いなおして弾いてみると、このギター反応がいいので弾きやすい。昨晩など思いっ切りスローで「酒とバラの日々」とかを鳴らしてみたら、メロディーとコード進行の重なり具合、その絶妙さに不覚にもグッときてしまった。


                    この時点で、自分のレパートリーを一曲でも、ワンフレーズでもそれまでにない感じで歌ってくれれば、もうスタメン確定です

                     

                    個人的感想として、お店で買うギターにはまだ「製品」の部分が残っていて、そこからの弾き込みで徐々に自分の「楽器」に変貌していくと思うのですが、このギターはもうすでにその「楽器」に近づいている印象があります。


                    きっとこれは、スペイン産とショップさんとのコラボまたはハイブリッドと言うべく、スモーク処理による市販品とは別物のカスタムギターなのだと納得。」

                     

                    ****(後日のメールより)

                     

                    「まだまだ半信半疑なのですが・・・今朝も出勤前にちょって鳴らしてみたのですが、やっぱり、ホセは鳴るんですよ。

                     

                    すーっと気持ちよく。すぐ曲の世界が立ち上がってくる。単に杉というだけではなさそうで、例えてみれば、美声の女子アナのようで、もう発声そのものが心地よい。やっぱりこれは現実だと認めざるを得ない(笑)

                     

                    最初の匂いは、けっこうハードルで反応はかなり個人差があると思いますが、ここをクリアーしてでも、自分にとってのギター王国を目指す旅人(笑)は必ず何人かいると思います。」

                     

                    ***(Kさんありがとうございました)

                    (匂いのことなど、当工房でこうは表現できないこともレポートしてありリアリティーがあるかと思います。音に関しての感覚は個人差がありますが、”スモーク”効果を少しでも言葉で感じていただけたら嬉しいです)

                     

                    関連ブログ:http://blog.9notes.org/?eid=754

                     

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                    2018.11.19 Monday

                    スモークド乾燥処理スモークド済み「ホセ・アントニオ No.1」の販売

                    0

                      スペイン製クラシックギター「JOSE ANTONIO No1」(杉)を”スモークド乾燥”処理し、細部調整してあります。

                      この個体をHP内のShopで販売致します。   ¥125,000(税込み・送料込み)ハードケース付き

                      クラシックギターの普及機はトップ単板、サイド&バックが合板製のものが2〜5万で販売されており、一方プロユースの高級機は50万以上、コンクールの使用に耐えられる楽器は100万以上します。この機はオール単板仕様であり、スモークド乾燥処理をすることにより中級機(20万以上)としての実力を備えています。音量・バランス・ハイポジでの音の伸びなどご満足いただけると思います。オール単板の良品「クラシックギター」をお探しの方にお勧めします。

                       

                       

                      スモーク乾燥庫で30時間薫煙しました。燻すことによって木材内部の細胞変化が起り”音の伝達率”が向上しております。「音量が大きくなる」「音の立ち上がり速度が速くなる」「全体の剛性が上がることによってサスティーンが伸びる」など感じていただけると思います。

                       

                      トップは杉単板、サイド&バックはローズ単板、弦長650ミリ。ブリッジには”ダブルホール”が採用されています。ダブルホール仕様はサドルへ掛かるテンションが増すため、音の立ち上がりに優れます。

                        

                      弦高は12フレットで1弦2・5ミリ 6弦4ミリと低めに調整してあります。

                       

                      指板は黒檀が使われ、指板がサウンドホールへ向かってやや傾斜しています。簡易の”レーズドフィンガーボード”になっています。演奏性能向上のためというよりトップに対して角度を付けることによって、弦振動のエネルギーロスを減らす設計だと私は解釈しています。

                        

                      フレットはミディアムゲージ仕様で背が高く 早弾きに有利で、また左指への負担軽減になるでしょう。

                       

                      糸巻きは高級機には劣りますが、実用には問題ありません。マホガニーネックの中央には黒檀が挟んであり”木芯”として強度を稼いでいます。ジョイント方法は「スペイン式」でネックとヒールブロックが一体化しています。

                        

                       

                      Top/Solid Cedar
                      Back & sides/Solid Rosewood
                      Fingerboard/Ebony
                      Scale/650 mm
                      Nut Width/52 mm

                       

                       

                       

                      Made in Spain

                       

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