2018.05.24 Thursday

リペア ファイル その460

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    ギブソン・レスポール・クラシック / ネック折れ修理(接着・タッチアップ塗装)

     

    ”チェリーレッド サンバースト”のレスポール。これが紫外線などで退色すると”レモンドロップ”になるんでしたよね?たしかそう。赤系の塗料は安定しないと言われていて、変色・退色して行きます。これはこれで面白い変化で味になります。

     

    「ネック折れ」で”亀裂”が入っています。割れ部を”接着”だけで修理することになりました。余分なところに接着剤がつかないようにマスキングしてから、粘度の違うエポキシ系接着剤 2種類を使って接着しました。

     

    エポキシ系接着剤は硬化まで時間の余裕があるので慌てず作業できますが、一度シュミレーションして工程を確認してから本番に入ります。接着後はサンディングしますので多少塗装面の色の濃い薄いができます。そこを”ぼかす”ように少し濃い目のチェリーレッドでタッチアップ(部分)塗装します。

      

     

    半艶のクリアー塗料をのっけて”使用感”のある感じで仕上げました。ヘッド表にはダメージはありませんでした。”クラシック”モデルはクルーソンのブシュタイプのペグ使用しています。

      

     

    PUはオープンタイプ。ストップテールピースの位置は、フロントボリューム・ノブの中心とテールピースの後ろのラインが重なるような位置関係です。

      

     

    『ヒスコレ』とレギュラー生産の『クラシック』では細部の忠実な表現は『ヒスコレ』に軍配が上がりますが、それでもヴィンテージ感は『クラシック』もいい線いっています。

    ’57とか’59とか元々どのモデルも仕様違いの年度別のレギュラー品でしたが、のちに評価される年度品が生まれると

    ピックアップされて、そのモデルに近づける製品が誕生するのは面白い現象ですね。

     

    関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

     

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    2018.05.20 Sunday

    リペア ファイル その459

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      Breedlove  Premier D / ネック簡易リセット・フレットすり合わせ・サドル調整

       

      ブリードラブのこの機種ははじめて見ました。単板モデルで全体シンプルながら要所を押さえたいいギターですね。

      弦高が高くなっていて「ネック元起き」が起っていたので「リセット」しました。

       

      ”ボルトオン”タイプなのでヒール部は簡単に外せますが、指板は接着してあります。こういうタイプの”ボルトオン”ネックはときどきあります。指板部は熱を加えて接着剤を弛めて外しました。

        

       

      仕込み角度をつけるためヒール部をわずか削って行きます。何度か「仮組み」して角度調整し最終確認してからボルトを締め、指板部は接着します。”ダブテール”ジョイントネックよりは比較的短い時間で「リセット」できますので、私はこのタイプを「簡易リセット」と呼んでおります。

        

      日本人は”ダブテールジョイント”のギターの方を好まれる傾向があります。米国人は合理主義なのかあまり気にしないと聞いております。日本人は法隆寺に代表される「宮大工」の国だから伝統的に”木組み”に安心感があるのかも知れません。音は両者に差がないと感じています。

       

      仕込み後のフレット調整の意味と一部減ってバラつきが出ていましたので「フレットすり合わせ」もします。平ヤスリでフレットピークを整えてから半丸ヤスリ・三角ヤスリを使い再び山頂(ピーク)を削り出します。

        

       

      ヤスリ傷が完全になくなるまでペーパーの番手を変えながら磨いて行って、最後は金属磨きで拭き上げます。ドットの位置が独特ですね。

        

       

      仕込角度を強めにしたのでサドルをかさ上げしました。アンダーサドルPUの上に1ミリの”ベークライト板”を敷きました。オベーションでもこれを使っていますね。

        

       

      仕上がったヒール部。

        

       

      「元起き」に対して「アイロン矯正」も考えられましたが、指板裏の補強材が薄く効果が少ないと判断し「リセット」としました。

        

       

      女性オーナー手作りのピックガードが添えられてかわいくなっていました。携帯でもスマホでもかわいく飾る能力は女性の方が高いです。自分で手を加えて愉しみながらオリジナルなモノに変えていくのは素敵なことですね。楽器業界も もっともっと女性の声を反映させて行くべきでしょう。

       

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      2018.05.16 Wednesday

      リペア ファイル その458

      0

        Sunny D ukuleles / フレット音痴(フレットスケール補正・フレット打ち換え・サドル作製・オフセット加工)

         

        ウクレレ愛好家には有名だという”サニーおじさん”の作った一品。このおじさん 結構アバウトなのでピッチが狂っていてもおかまいなし、のよう・・・ それも味だと言われたらしい。でもコードが不協和音・・・直らないかと相談にみえました。(耳がいい方です)

         

         

        12フレットの位置からフレットスケールを割り出します。それを透明な板に写してフレットに当ててみます。少しズレていますね。また弦長を計測したらサドル位置もちょっとおかしい・・・

          

         

        「5フレット以下は使わない」と依頼者が言われるので、5フレットまでやり直すことに。まずフレットを抜いて、それからローズの薄板をフレット溝に埋め込みます。

          

         

        サンディングしてフレットを均して、正確なピッチに合わせてノコギリで溝を切り込みます。そしてフレットを打ち込んで・・・

          

         

        平ヤスリで「フレットすり合せ」をして5フレット以降の”フレット高”と同じレベルに調整します。フレットの山頂(ピーク)を三角ヤスリで「すり合わせ」で台形になったフレットを鋭角な山頂(ピーク)に切り出します。

          

         

        その後 磨いて完成。これでピッチが安定するでしょう。

          

         

        お次はサドルを作り直します。オリジナルのサドルの位置より少し前に正確なポイントがありましたので、サドルを”L”型に作製して、サドル溝を切り直すことなく正確な補正ができるようにしました。この楽器は”ローG”なので4番線には太い弦が張られています。そのため補正は後方にしてあります。

          

         

        オールコアで作られて、トップの厚さは2ミリと薄く作られています。形はドレットノートのようですね。演奏するにはピッチが正確なのがいいに決まっていますが、”ハワイアン”のゆるい雰囲気はピッチの正確性だけでは表現できないところもあるようです。というのは、ウクレレ製作家が「ギター製作家が作るウクレレは小さいギターでウクレレじゃない」「ウクレレは自由なのよ」と言われたからです。

          

        フラダンスやハワイアンキルトなどハワイアン文化の中にウクレレ・ミュージックがあって、その全体が”癒し”を醸しだしていると感じます。ユル〜い人間じゃないとウクレレが作れないと言われれば、そうかも知れないと頭の硬い私は思うのでした。

         

         

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        2018.05.12 Saturday

        リペア ファイル その457

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          ギブソン  ES−175 /  フレット交換(オーバーバインディング)・アーチトップ用ブリッジ交換(オフセット加工)

           

          ジャズギタリストの依頼者が持ち込まれたギブソンES-175。フルアコと呼ばれるタイプです。ジョーパスやパットメセニーも使っていた記憶があります。ジャズからフュージョン・ロックまで使えるギターです。

           

          長年の使用でフレットが磨耗した(ジャズの方はどのポジションも均等も減るのが特徴ですね)ので「フレット交換」になりました。バインディングのあるタイプなので、フレットもバインディングをまたぐ様に端を加工してから使います。まず、フレット溝を専用のノコギリを使ってキレイにしながら、深さを均一にします。そしてフレットタングを調節しながら打ち込んで行きます。

            

           

          打ち込み後、フレットピークを均して(フレットすり合わせ)からフレットを磨いて行きます。フレット高が高くなったのでナットも交換します。

            

           

          フレットはギブソン・ジャンボに近いJescar♯57110を使用。背はギブソン純正よりやや高いです。これにより早いパッセージが楽になるでしょう。背の高いフレットで左手の負担が減るとも言われています。

            

           

          弦は定評のあるトーマスティックのフラットワウンドです。アコギ並の太いゲージを使われますね。中空の本体を鳴らすにはこのくらいのゲージが必要になります。

            

           

          ブリッジも交換します。ブリッジの底面をアーチトップに膨らみに合うように加工します。またサドル部をオクターブ調整が正確になるようオフセット加工しました。

            

           

          3対3のギブソンヘッドはすべてのメーカーの手本です(もう一社がマーチン)。フルアコは伝統的にメイプルネックが使われることが多いですね。これはたぶんギブソン社がバイオリン属を作っていた名残だと思います。ヘッド裏にはボリュートがあります。(レスポールもこうすればいいのに)

            

           

          PUは’57クラシックが搭載されています。ポットはひとつずつ金属の筒状の箱に収められていてノイズ対策が施されています。さすが高級機! トップ&バックは合板製で”L5”とか”スーパー400”のような単板削り出しではないですが、その分 大出力での演奏はこちらの方が分がいいと思われます。

            

           

          ジャズ演奏にはフルアコと思われがちですが、昨今はソリッドタイプのエレキで演奏するミュージシャンも多いそうです。ただしかし、フルアコの方が絵になりますね。また、ふくよかなサウンドはこのボディからしか生まれません。フロントPUから奏でられるメローでジャジーなサウンドが即興で自在な世界を作り出します。

           

          関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

           

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          2018.05.08 Tuesday

          リペア ファイル その456

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            マーチン HD−28V / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換・ロングサドル交換(オフセット加工)

             

            きれいに使われているマーチンHD−28V。世界大戦前に作られていたドレットノートの復刻版ですね。ブレイシングの位置が現在より少しサウンドホール寄りになっている『フォワード シフテッド ブレイシング』が大きな特徴で、トップの剛性は落ちますが、トップ振動幅が大きくなって”鳴り”がいいと言われています。”剛性”を取るか”鳴り”を取るか悩ましいところ・・・

             

            トラスロッドが入っているタイプですが、弦高が高くなっていました。「ネックアイロン矯正」で仕込み角度をつけながら ネックも少し逆反りさせます。

              

             

            数度の矯正で仕込み角度がついたネック。ここでフレットの頂点(ピーク)を整えてやります。平ヤスリで「フレットすり合わせ」をします。頂点がヤスリで少し平らになるので、再び鋭い頂点をつけるべく三角ヤスリや半丸ヤスリで フレットを一本一本削り出します。

              

             

            最後はフレットを磨いて仕上げます。ナットも交換します。ミカルタでしたが牛骨に。ミカルタは音の定位が高めで明るいサウンドですが、牛骨だともう少し下がって太めのサウンドに感じます。

              

             

            ロングサドルも牛骨に交換します。下の写真はオリジナルです。これを観ると普通のロングサドルだと思うでしょ。私もそう思いました。ロングサドルは底が接着されていて外せませんので、いつものように”あぜ引きノコ”でサドルの中央を切り込んで、パチンと割って外そうとしたのですが・・・外れない・・底より底がある・・・どうなってるの?

              

             

            なんと、掘り込んであったのです。私の知る範囲では”掘り込み式”のロングサドルでは、端が丸くなっていて一瞥してそれと解るのですが、HDでは端を四角にして普通のロングサドルと区別つかないように加工していました。ロングサドルは溝が浅くなりサドルが前屈みになりやすい傾向があるため”掘り込み式”が考えられたと思うのですが、深くなって安定したならば接着しないでもいいのではないか・・・と突っ込みたくなります。 見栄えは大戦前仕様であるが実は最新式であるところがマーチンのこだわりですね。

              

             

            ブリッジピン穴に弦通し用の溝がないため、6弦などがピンがきつくなりやすく弦交換がしづらいので、溝を切っておきました。ブリッジピンの頭がこれで揃います。

              

             

            ピッチ調整のための「オフセット加工」も施しました。

             

            弦高が下がってもサドル高は変わらないで仕上がりました。サウンドは音の輪郭がはっきりし雑味のなく品があります。材料もいい素材で構成されているので、これからさらに育ってくると思います。

             

            往年のヴィンテージマーチンファンも唸らせるHD−28V。マーチンはこれからも歴史を積み重ねて行くのでしょう。

            バタービーンズ・タイプのペグボタンがかわいいですね。

             

            関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

             

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            2018.05.04 Friday

            リペア ファイル その455

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              Guo Yulong CONCERT  / トップ割れ・破損修理・再塗装

               

              ”ガオユーロン”と表記してきましたが、中国語の発音上”クォーユロン”が近いとのこと。これからはそう表記したいと思います。

              バッハ協会理事長の加藤政幸先生のクォーユロン・コンサートモデル。海外演奏旅行中に飛行機事故で表板が大きく破損してしまいました。たぶんケースごと落下したのだと思います。底をぶつけてトップの弱い部分・力木沿いに割れたのでしょう。

               

              ボトムが「くしゃ」とつぶれています。サイドも割れています。力木に沿って亀裂が数箇所入っています。Guoのギターは”ダブルトップ”仕様なのでトップは『杉・ハニカムコア・杉』と3層になっています。単板の割れとは違うので構造を理解したうえで修理しました。

                

               

              まずトップの歪みを取りながら割れ部分を接着します。接着剤をある程度擦り込んで接着し乾燥させてから、さらに接着剤を流して固定します。ハニカムコアゆえその隙間にどんどん接着剤が侵入して行きますから、いったん割れ部分で膜をつくってせき止めてから断面を接着するイメージです。

                

               

              このコンサートモデルは”ダブルバック”仕様でもあります。ジリコテの裏板の内側にもう一枚裏板が張ってあります。つまりギター内部が2層になっているのです。そのためギター内部に手が入りません。クランプを工夫して使いながら、パッチを貼り付けて行きます。

                

               

              自作のパッチ。0・5ミリのマホガニー2枚を木目を互い違いにして貼り合わせています。丸いのと半丸を用意して、力木のすぐ脇は半丸、もう少し離れている割れ部は丸いパッチを貼りつけています。(シープレス材のダブルバックが見えますか?これで低音部をバスレフ効果で増長しているのでしょう)

                

               

              ボトムの亀裂はライナーに沿って木目を分断しながら入っています。ここの処理をどうするか考えた末、亀裂部をまたぐように薄板を貼り付けることにしました。強度を稼ぐためです。まず型を作ってルーターで表面を取り除きます。薄っすらハニカムコアが見えます。(ダブルトップはコア内の隙間分 軽くなりまた強度があり理想的なトップ材です)

                

               

              バイオリン用の杢のある薄いメイプル材を貼り付けました。この楽器にはアームレストが標準装備なので、そのデザインとマッチするような補強材の形にし かつ着色しました。

                

               

              トップ全体を塗装します。Guoはウレタン塗装なので同じくウレタンで仕上げています。

               

              完成。アームレストもつけ直しました。サイドの割れも修復してあります。

                

               

              ブリッジはダブルホール仕様。サイド&バックはジリコテ材です。うつくしい杢目ですね。

                

               

              レイズドフィンガーボード仕様。最近のGuono力木はラティスブレイシングではなくトーレスタイプのファンブレイシングを採用しています。サドルとナットは先生自身の手が加えれられていました。ベストな弦高設置はご自身で行うのがベストですね。

                

               

              どうやって修理するか考える時間が結構必要でした。楽器としてうつくしい形を維持したうえ強度を保ち、音質をできるだけ損なわないようどう修理をするか、勉強にもなった仕事でした。

               

               

              クラシックギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=648

               

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              2018.04.30 Monday

              リペア ファイル その454

              0

                タカミネ PT207 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・駒下補強・弦アース加工・サドル交換

                 

                ノンカッタウエイ/コア材仕様のタカミネです。ネックの元起きとトップ膨らみがやや進行していたため弦高が高くなっていました。トップの膨らみは駒の後方のみでさほど問題ではないですが、弦のボールエンドを下げてサドルへ掛かるモーメントを増やすべく駒下に補強材を入れました。

                 

                ネックアイロン矯正で仕込み角度の調整を行います。なかなか戻ってくれませんが、何度も熱と圧を掛けて少しずつ動かします。14フレット以降で逆折れ気味にするためフレットピークを整える必要が出ます。

                  

                 

                「フレット擦り合せ」をピークを調整して、再び各種ヤスリを駆使して山頂を切り出します。その後ペーパーを使い磨きピカピカに。

                  

                 

                タカミネのピックアップを取り外してバラしました。(この作業は得意です。なんたって何万本もやっていますから)補強材に銅箔を貼って弦アースを取れるように加工してあります。アウトプットへ繋いでノイズを低減させます。

                  

                 

                補強材を圧着します。
                  

                タカミネのピックアップシステムは、大きな圧電素子を上下からボルト締めしてあるのでハウリングに強いです。この強さがウエスとコーストのミュージシャンのロードツアーで証明されたことから、タカミネの評価が高まったと聞きます。

                 

                サドルは2wayで弦長補正・ピッチ調整に優れています。端が欠けていたのでサドルも作り変えました(オリジナルは少々ルーズな作りなので、弦交換のときにサドルを落として逆向きに付けられた個体を時々見ます。一応説明しておくとルーズなのはわざとで、この方がピエゾに圧がかかりやすいからです)

                  

                 

                逆折れぎみに仕込み角度が付きました。

                 

                ラージヘッド。イーグルスの故グレン・フライもラージヘッドのタカミネを愛用していました。タカミネ「グレンフライ」モデルもノンカッタウエイの「丸」型でしたね。

                  

                タカミネの古い職人さんが「昔はコアのタカミネと言われたもんだ」と言った言葉を思い出しました。合板ですが裏面にも杢入り付き板を使用していることから、コアが豊富な時代なことがあったことが解ります。

                 

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                2018.04.26 Thursday

                リペア ファイル その453

                0

                  SUZUKI”4”ウクレレ / ボディサイド(胴)割れ修理

                   

                  日本で最初の楽器メーカー”SUZUKI(鈴木)”製のウクレレです。”鈴木”は明治時代よりヴァイオリン製造をはじめ、後にマンドリン・ギター・ウクレレなど弦楽器をファクトリーメイドで生産しました。名古屋市が発祥の地だったので、関連会社(楽器問屋・楽器材木商・メーカーなど)がこの地域に多く生まれる結果となります。(ほとんど同時期に浜松からは、オルガンの”ヤマハ(山葉)”が出ました。この2社が日本の楽器つくりの元祖ですよ)

                   

                  名古屋の本社のほか、岐阜県恵那や長野県木曽にも下請け/関連工場を持っており、低価格帯のバイオリンを中心に生産していました。それ以外の楽器「ギター・マンドリン・ウクレレ」はこの2社で作られたものです。

                    

                   

                  ボディサイドがパカーンと割れてしまっています。ペグが回らず叩いたら胴/側が裂けてしまったそうです。ネックブロックも割れていました。サイド&バックは桂(かつら)材の単板で出来ていてサイドは柾目板なので裂けたのです。(合板ではこうならない)

                    

                   

                  ニカワを流して接着します。あて木を作っておいて素早くクランプが掛けられるようにしてあります。ボディボトムも接着。(接着面が長いので2回に分けて作業しました)

                    

                   

                  今回は塗装はなしで接着のみ。塗装も薄く仕上がっていましたので結果この方法がよかったです。(ウクレレは塗装が薄いに越したことはないです)

                   

                  カワイイ! トップはスプルースです。その出音のやわらかでふくよかなこと。たまたまリペア依頼で見えていたギターの先生が欲しがっておりました。このウクレレはヤフオクで3000円ぐらいだったと聞きます。オール単板でしかも珍しい国産材の”桂”が使われているのでお買い得でしたね。まぁ、これは昔の量産品ですから付加価値がつくような楽器ではないのですが、依頼主は大満足で「心地いい!」と喜んでくれました。

                    

                   

                   

                  関連ブログ:日本のヴァイオリン製作の先駆者「鈴木政吉」

                   

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                  2018.04.22 Sunday

                  リペア ファイル その452

                  0

                    Killer Guitars  KB-CRIMINAL BASS Twin JB / 塗装割修理

                     

                    国産ハイエンドギター・ブランド「キラー」のベース。ESPの関連会社で高崎晃のギターを製作・プロデュースし名を上げました。”ヘビメタ”御用達ブランドとも言えます。細部まで作り込んであるのが特徴です。

                     

                    塗装面に亀裂が生じました。木部が動いたのかどうか不明ですが、塗装面にわずか段差ができています。キラキラのファイヤーバードはシールだと思われます(最近は本物の貝に肉薄する表現がシールでできるようになりました)。亀裂に接着剤を充填して乾燥後にペーパーで段差を解消してからバフで磨くしか手がありません。亀裂が解らないように修復するのは無理でした。

                    黒い塗装に入った亀裂は特に目立ちます。白系ならばもう少しごまかせるんですが・・・

                     

                    黒色は傷も目立ちますので、全体もバフで磨いて艶を出しておきました。

                    PUはフロントはPBタイプでリアはJBタイプが2連にしてあります。1ボリュームにミックス用のバランサーというシンプルな回路です。JB2連というのは面白い仕様ですね(ハンバッカーに近い配線なのかな?)。トップに船型ジャックプレートがあるベースは珍しいですが、なるほどこれは使いやすいですね。

                     

                    ブリッジは一段落とし込んであります。これでサドル高を稼げますね。その結果弦通し穴までの立ち上がり角度が取れます。後ろがザクってあるので弦交換もスムーズです。細かい芸が出ていますね。

                     

                    ヘッドはフェンダーよりやや小ぶりです。またペグが扇状に並べられていて人間工学的に優れもんです。

                     

                    ネックはデープジョイントでボディに差し込まれていて強度・サスティーンに有利な構造です。トップの左半分は斜めに削られていて大きなエルボーカット面が施されています。ボディはアルダーか、軽いです。トーンポットをつければどのジャンルにも対応できる汎用性の高い楽器だと感じました。

                     

                     

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                    2018.04.18 Wednesday

                    リペア ファイル その451

                    0

                      ギブソン ハミングバード2016 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・サドル調整・ナット調整

                       

                      Gibson Hummingbird Standard   なんと言ってもこのピックガードが特徴です。ハチドリが蜜を吸っている図柄がいいですよね。スクエアーショルダーはマーチンのドレッドノートとほぼ同じですが、カラーリングやピックガードなどの違いから(もちろんサウンドからも)ファンを作って来ました。

                      今年になってGibson社の経営不振が報道されており、ファンの多くが心配して動向を見守っています。

                       

                      「ネック元起き」で弦高が高くなっています。ネックを「アイロン矯正」して仕込み角度をつけてやります。一度では狙った角度にならないので複数回で曲げています。それからフレットの頂点(ピーク)の高さ(レベル)を整えるために「フレットすり合わせ」を行います。

                        

                       

                      平ヤスリでピークを擦ってあるので、再び鋭角なピークをつけるため 三角ヤスリなど専用のフレットファイルを使って整形します。その後はフレットに残ったヤスリ傷をペーパーの番手を変えながら 磨いてきれいに仕上げます。

                       

                      ご覧の通りピカピカに。ピークレベルが下がったためナット溝も少し切り込んで調整します。

                        

                       

                      14フレット付近から若干角度が付いています。ネックも逆反りぎみに「矯正」してあるのでトラスロッドにも余裕が生まれした。

                       

                      仕込み角度が付いたため 弦高を下げながらサドル高を”かさ上げ”することになりました。黒檀の薄板をサドル溝に敷きます。最近のギブソンアコギにはL.R.バッグス社のアンダーサドル式ピエゾ『エレメント』が搭載されていて、サドルの下にピエゾが敷かれています。その上に薄板を敷く格好になっています。

                        

                       

                      パワフルによく鳴る個体です。ギブソンアコギの多くはマーチンと違ってバック&サイドにはローズを使うことが少なくマホガニーなので倍音こそ少なめですが、深いローと抜けたハイ・厚いミッドが塊となって出音します。そこがロック向きだと思われる由縁でしょうが、実際はオールマイティーな楽器だと思います。

                        

                      ギブソン社はなんとしても今後も残ってもらわないといけない米国の企業・ブランドです。救済されんことを祈る!

                       

                      ギブソンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=631

                       

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