2020.07.14 Tuesday

リペア ファイル その666

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    Tokai LP model  /   フレットすり合わせ・フロントPUキャビティ穴開け・リアPU用クッション増設

     

    P-90搭載のトーカイ製のレスポールモデル。ゴールドトップ仕様でグッドルッキングです。

    P-90はシングルコイルPUなんですが、LPに搭載すると材の特性が生かされ音に厚みが生まれます。

     

    国産ギターを再認識された依頼者はギブソンLPから乗り換えられたそうです。フレットが随分摩耗しておりました。

      

    「フレットすり合わせ」します。目の細かい”油目”と呼ばれる平ヤスリで 弦との摩擦でフレットが轍(わだち)状になったフレットの窪みの底まで削り落としていきます。最も低くなったフレットレベルに全体のフレットレベルを合わせるように削り落とす作業を「すり合わせ」といいます。

     

    平ヤスリでフレットの形状が台形になってしまうので、再び「半丸」になるように各種ヤスリを駆使して台形になったフレットの角を落とすようにして再びピーク(山頂)がある形に整形してやります。

      

    ペーパーを使ってヤスリ傷を取るようにしながら磨き、最終的にフレットをバフで磨き上げて完成です。

     

    リアとフロントの音量バランスが悪かったので、PUの上下範囲を広げるためにフロント リアそれぞれ加工しました。

      

    フロントはもっと下げられるようにホールピースがボディと当たる位置に穴を開けます。リアはもっと上がる様に反発力が強いクッションに交換しました。

     

    ホールピースがググっと下がる様になりました。

      

    リアはより高く設定できるようになりました。

     

    ハムとは違いP-90だとスッキリしたフェイスですね。

      

    はじめにゴールドトップ塗装を考えたギブソンのデザイナーは”ぶっ飛んで”いたとしか思えないです。自動車塗装の応用だとしても美しい木材にラメ入りの金属っぽい塗装を施すなんて通常では考えられないですよ。

     

    トーカイは”Les Paul"でなく”Love Rock” 

      

    ロッドカバーを外すのはお気に入りのミュージシャンの影響だとか。

     

    ラッカー塗装でないの残念ですが、できがいいトーカイ製レスポール。ヨーロッパにはマニアがいるらしいです。

     

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    2020.07.10 Friday

    リペア ファイル その665

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      Martin 000-28EC / ネックリセット・トップ割れ補修・バインディング剥がれ・力木外れ・サドル交換(オフセット加工)

       

      マーチン社のエレック・クラプトンのシグネーチャーモデル”000−28EC”、OMよりもスケールが短くテンションがやや弱いためベンド(チョーキング)しやすいとかの特徴があります。

      また小振りで抱えやすいので日本人にピッタリのサイズでもありますね。

       

      ネックが”元起き”しておりヒールでも接着の剥がれが起き「弦高が高く」ピッチも不安定になっていました。

        

      持ち込んでくださった依頼者の前で点検し「ネックリセット」が必要と判断致しました。

       

      お預かりしてネック外し作業(リセット)に入ります。まず14フレット先の指板を温めて接着剤をゆるめます。

        

      そこにパレットナイフを挟み込んで完全にトップと分離させます。

       

      15フレットを抜いてそこに穴を開けスチームを注入します。(デロギン社のエスプレッソメーカーでスチームを発生させています。そう言えばこれでコーヒーを淹れたことはないなぁ)

        

      ダブテールの膠をスチームでゆるめて外すのです。

       

      わずかダブテール部が細かっためジョイント部が動いたと思われます。薄板を張り付けてきつめのダブテールを作ります。

        

      「センター出し」と適切な「仕込み角度」をゲージで確認しながら微調整していきます。

       

      接着します。

        

      15フレットを入れ戻してから全体を「すり合わせ」。

       

      再びピークを半丸ヤスリなどで切り直してからフレット一本一本を各種ペーパーを使って磨き上げます。

        

      最終フレットにクラプトンのサインインレイが入っていますね。

       

      トップの剥ぎ面に割れが入っていました。隙間ができていたのでスプルース材を楔状に加工して挿入します。

        

      飛び出した部分をカンナで取り除き、フラットに。

       

      差し込んだ材をトップ材と同じような色に「色付け」します。

        

      そのうえからクリアーにアンバー色をやや混ぜてエアブラシでタッチアップ塗装しました。

       

      腰部でバインディングが剥がれていました。

        

      接着剤を入れて止め直しました。

       

      あとはバフで磨いてこの通り。

      外周にはヘリンボーンのバインディングが入っています。

       

      バックをタッピングするとバズ音が発生していました。力木外れですね。止め直ます。

        

      マーチン社はステッカーがないのが普通ですが、シグネーチャーの場合はその証明書のようなステッカーが貼られています。

       

      「仕込み角度」変更で元のサドルが低くなってしまったので牛骨で「サドル交換」します。(オフセット加工も)

        

      ブリッジピンからの弦の誘導溝をつけておきます。(より立ち上がり角度が強くなる)

       

      修理完了しました。

        

      ペグブッシュが6角形です。(角が一個一個不揃いなところが自然な感じ 日本メーカーはどれも同じ向きに統一してしまう嫌いが・・・)

       

      ヒールもピッタリ。

        

      マーチンは一本竿なんですね。

       

      以前はカポを付けての演奏ではピッチが不安定で心地悪かったそうですが、「リセット」と「オフセット加工」でそれも解消されました。

        

      世界的にヒットしたため出荷本数が多くトラブル機も少なからずあるのも事実ですが、元々ポテンシャルの高い楽器ですのでメンテナンスをしっかり行えば抜群の鳴りで蘇ります。この楽器にも良材が用いられていました。今後ますます愉しみです。

       

      関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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      2020.07.05 Sunday

      リペア ファイル その664

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        O.N.G Blues Guitar / ナット調整

         

        ”Blues”好きなギタリストなら知っている国産の隠れた名作ギター”O.N.G Blues Guitar”、まったく個性的ですね。

        特殊なセミアコ構造でソリッドともセミアコともとれる独特なサウンドです。

         

        ナット調整に訪れました。

          

        ここがしっかりしていないと肝心の鳴りも台無しですからね。

         

        いかにもって感じの"Bluse"インレイ。

          

        ペグはゴトー社の最高クラス”510(ゴトー)”が採用されています。ギア比が細かく微妙なチューニングもピタリと収まります。

         

        スルーネック構造のボディに削り出し中空スプルーストップを左右から張り付けてある、手の込んだ方法で作られています。

          

        ピックアップはミニハムが2発搭載されていますが、これは簡単に取り外しができてるようになっています。(PU部がユニット式になっていて好みでフルハンバッカーと交換可能できるようです)

         

        3点ロータリースイッチでPUポジションを選びます。(トグルスイッチより切り替えノイズが軽減されますよね)

          

        ストップテールピースは黒檀切り出しですが、”ロブスター(?)”が彫り込まれています。どんな意味があるのだろう・・・・

         

        メイプル3ピースのスルーネック。サイド&バックはメイプル。

          

        バインディングの入り方もこの構造ならでは。

         

        ピックガードはフレイムメイプル。

          

        全体にシースルーブルー塗装が美しい。派手めのところがアメリカンっぽいですね。

         

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        2020.07.01 Wednesday

        リペア ファイル その663

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          Antonio Marin Montero 1977 / ネック折れ(接着・補強)

           

          修理を依頼されてから、ネット検索でその楽器の価値を知って驚くことはクラシックギター修理ではときにあります。今回はそうでした。ただし、当工房では楽器が高価だからって修理代金を加算することはありません。どんな楽器も一律です。

            

          サイド&バックがハカランダのうえセラック塗装であれば高級機であることは間違いないですね。

           

          どこもかしこも丁寧な作りでしたが、いかんせん最大に広げたスリットはスロテッドヘッドのウイークポイントになっていました。

            

          ペグポスト用の穴も強度を落とします。ヒビと割れが深く入っていますので接着だけでは持ちそうもないです。

           

          割れ部をまたぐように補強材を入れて強度を稼ぐことにしました。

            

          今回の修理は「塗装なし」で仕上げることになったので、極力 塗装面に触れないように加工/仕上げることに。

           

          マホガニー材をスリットに合うサイズにするためカンナで厚み決めします。

            

          接着します。

           

          木目に沿った補強材が入りました。ペーパーが使えない(塗装面に傷が入ってしますので)ので刃物だけで仕上げてあります。

            

          端材で色合わせしてから木部をステインで着色です。

           

          一回だけセラックをサービスで塗っておきました。

            

          修理箇所を解りにくくするにはどうしても「塗装作業」が必要ですが、今回はそれなしの依頼に応えました。

           

          立て掛けてあったのが倒れた拍子に「折れた」と思われますが、一部糸巻も変形していました。

            

          シングルホールのベーシックな作りのブリッジ。ここもハカランダ製。

           

          「セラック塗装」は熟練をようする塗装ですが、完璧と言えるほどの塗りでした。惚れ惚れ・・・

            

          ハカランダのボディは倍音が豊かで振動に対して反応が早いので最高のギター材なんですが、それをこの楽器の音からも頷けます。

           

          内部からライトを当てると透けて見えます。それだけ薄いということです。薄くしても強度が保てるだけのトップ材は数ある材料の中から選びに選んでやっとあるぐらいでしょう。天然素材ですから良材はわずかです。(そのためダブルトップが進化してきたと言えますね)

            

          一級のクラシックギターに求められるのは、”音質の素晴らしさ”はもちろん”遠達性 ””音量” ”反応の速さ”ですが、この楽器もまさしくそうでした。

           

          プラス ”気品”が備わっていました。きっとAntonio氏がそういう感じの人なんでしょう。

           

          クラシックギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=648

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          2020.06.23 Tuesday

          リペア ファイル その662

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            マーチン CTM OM-18 DB  / フレットすり合わせ・メンテナンス(調整)

             

            カスタムショップ製のマーチンOM-18。米国ギター3大メーカー(フェンダー・ギブソン・マーチンそれに+1とすればテーラーを加えることもできるかな)は、どこも通常ラインと違うカスタムラインを持っていますね。

            フレットの減りと全体メンテナンスも考慮して「フレットすり合わせ」と全体調整を行いました。

             

            フレットピークを平ヤスリで整えます。頂点(ピーク)が擦れて台形になるので再び半丸ヤスリや三角ヤスリで頂点をつけ直します。

              

             

            フレットは弦との摩擦で徐々に減ってきますが、減った分、弦との接地面積が増えるためピッチのズレや雑音が発生しやすくなります。

             

            半丸に切り直したらヤスリ傷を完全に取り去るために粗いペーパー(#180)から番手を上げながら細かいペーパー(#3000)までを使ってフレットを磨いていきます。

              

            最終的にはバフで磨いてピカピカに仕上げます。

             

            ボディもバフで磨いてクリーニング。

              

            ロングサドル仕様です。端っこが丸いのは落とし込んである証拠。(最近はここも四角に加工して落とし込んであるのが解らなくする加工がされていることも)

             

            ペグのボタンは”バタービーンズ”型。

              

            トップ材はアディロンダック・スプルースと思われます。マーチン黄金期のトップ材はこれでしたね。

             

            バックandサイド材は杢が入ったマホガニーでした。珍しい!

              

            隣は000ですが、ボディの深さの違いに注目。ネック元で95ミリ、ボディエンドで115ミリありドレットノート並みです。

             

            ボディマスが十分なので低域の迫力は特筆ものでした。Dタイプと同じ弦長25.4inch、その分パワーもあります。

            カスタムショップ製のギターは個性があって興味深いです。

             

            関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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            2020.06.18 Thursday

            リペア ファイル その661

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              Fender Japan ST53-58 93〜94製 / スモークド乾燥処理・レリック マルチレイヤード塗装・フレット交換(丸め処理)・ナット交換・ブリッジ交換・アッセンブリ交換・キャビティシールド処理・PU交換(Teisco Gold Foil)・ペグ交換

               

              93年製のフェンダージャパン ストラトキャスター(2 Tone sunburst)をモディファイ(Modify)しました。

              PUは”テスコ Gold Foil”を搭載。

               

              2トーンサンバーストのボディ/ネックを30時間燻します。この”スモークド乾燥”によって材の安定化と音の伝導率を向上させています。ガス化された煙が媒体として木材内部まで熱を伝え細胞に変化を与えます。

                

              Teisco Gold Foil PUを搭載すべくキャビティに埋め木をします。

               

              PUが少々大きいため既存のピックガードでは代用できないため”赤べっ甲”でPGを新調しました。

                

              位置決めしてPU穴開けし、ボディにザクリ加工を施します。

               

              多層塗装(マルチレイヤード塗装)にするべく、サンバーストの上に白色を吹いてサンバーストを消したうえ、ライトブラウン色の塗料を吹き付けました。

                

              同時にネック指板面とピックガードも塗装しておきます。

               

              ボディカラーにはTAMIYAの”ライトブラウン”LPー77を選択。https://www.tamiya.com/japan/products/82177/index.htmlを色見本として使ってください。色はライティングや写真の露出で変化していますので、このブログの写真の色はあくまで参考程度でお願いします。

                

              それでもこのカットが一番原色に近いかな。

               

              フレットをミディアムゲージのJESCAR #55090に交換しました。

                

              指板のアールは円錐形に加工(コンパウンドラディアス指板)し、1フレットは7.25R、21フレットは9Rに変更してあります。

               

              フレット端は丸め(ボールエンド)処理してあります。指板面が広く使えます。

                

              ナットはオイルドボーンに交換。ペグはゴートー製”HAP"に交換してあります。ポストを低く設定できるので3弦にもテンションが掛けられGood。

               

              ピックアップはOEMメーカーでデッドストックになっていた品で”テスコ Gold Foil”。推定30年前のオリジナルPUでシールドのゴム部分が経年変化で硬くなっていましたのでPU解体してシールドを交換しました。(抵抗値6.3〜6.5㏀)

                

              いたってシンプルな構造です。マグネットの周りにコイルが巻きつけてあるだけです。このPUの音は独特でライ・クーダー使用で有名になりましたね。PUメーカーの”Lollar Pickips"がコピーモデルを作るほど定評があります。

               

              アジャストができるようにパットを敷く加工を施しました。

                

              アッセンブリは米国製パーツで固めました。コンデンサーはオレンジドロップ。

               

              アウトプットジャック は” Pure Tone Jack”を採用しました。

                

              トレモロスプリングは”Raw Vintage"RVTS-1 。

               

              サドルも同じく”Raw Vintage"RVS-112でピッチサイズは11.2ミリに。フェンダージャパンの多くは10.8ミリですが、ここは米国仕様にするべくブリッジベースとインナシャーブロックも11.2ミリ用に交換してあります。もちろんスチール製のブロックです。

                

              金属パーツはピカピカでは味がないので腐蝕加工しておきました。

               

              1ボリューム・1トーン・3wayトグルスイッチ。ノブはフェンダーアンプのものにしました。レトロ感出てない?

                

              ボディ全体にレリック加工してあります。

               

              57年モデルなのでメイプルネックです。

                

              ハードレリックとまでは行きませんが、角はすり減っている感じを出してあります。(きれい系のレリック)

               

              マルチレイヤード(多層塗装)なのでのライトブラウンの下からホワイトが覗きその下から2Tone sunburstが出ています。

                

              PUはヴィンテージ系のSTピックアップよりやや出力があります。エッジがない丸めの出音で独特のサウンド感があります。

               

              写真でうまく撮れないのですが、塗装面のクラック処理もしてあります。

              レリック マルチレイヤードの第3弾でこの個体は次回のブログで販売する予定です。どうぞご期待ください!

               

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              2020.06.14 Sunday

              リペア ファイル その660

              0

                マーチンD-28 / リフレット(コンパウンドラディアス指板加工)・ナット交換・サドル交換(オフセット加工)

                 

                フィンガーピッキングギタリスト所有のマーチン”ニッパチ”。当工房で調整して快調との評価を戴いていますが、ご購入下さった 「ギブソンJ−45・Remodeling」のサウンドとプレイヤビリティを気に入ってくださり、この楽器にもコンパウンドラディアス指板加工をとの御依頼を受けました。

                 

                まだフレットは十分な高さがありましたが、JESCAR ♯55090フレットとラディアス指板をお望みでしたので「フレット交換」作業に入ります。

                  

                どの楽器にもラディアス指板ができるかの判断は、指板の厚さやネックの反り状況によって違って来ます。この個体はOKでした。

                 

                「ギブソンJ−45・Remodeling」のフィーリングが最高なのでその感じをより長く愉しみたいとの希望から、同じJESCAR ♯55090でもより硬度が高い”Evolution-Gold”を選択しました。ニッケル合金とステンレスの中間の硬さで、ステンレスの金属音を嫌がる方に最適です。

                  

                この指板に合うよう用にタングを調整しています。

                 

                ネックの剛性も出音に影響しますので、最適な反り具合を得るべくフレットを一本一本打ち込んで行きます。その後「すり合わせ」してレベルを整え、磨き作業に入ります。

                  

                完成。フレットはややゴールドっぽい色をしているのが特徴です。(酸化するとほとんどニッケルと変わりないですが・・・)

                 

                1Fは14ラディアス(指板アール)、指板エンドは16ラディアス。

                  

                 

                フレット高が高くなるので当然ナットも交換します。

                  

                オリジナルのマーチンのナットよりも鋭角なナットに整形してあります。

                 

                前のサドルでは低くなり過ぎるので、サドルも交換します。サドルトップのアール形状もコンパウンドラディアス指板に合わせて緩やかになります。

                  

                音の分離を考えてサドル下面に”架橋加工”しました。(どの楽器にもこの加工を適用するといいのではなく、個体の傾向と演奏者のプレイスタイルに合わせて判断しています)

                 

                オフセット加工を施してあります。

                  

                ブリッジピンがややヘタっていたので、その後当工房の「スモークド乾燥済み黒檀ブリッジピン」と交換されました。

                 

                全ての作業完了後、依頼者に試奏して頂きましたが「さらに良くなった」と絶賛して頂きました。

                  

                「ギブソンJ−45・Remodeling」とこのD-28は、自動車で例えるとポルシェとフェラーリを持っているようなものだと喜んでくださっています。現在、闘病中とのことですが早く元気になって存分に弾きまくってください。

                 

                関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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                2020.06.09 Tuesday

                リペア ファイル その659

                0

                  Vanzandt STV /   ボディカラー・リフィニッシュ(ボディ再塗装)

                   

                  ヴァンザント製のストラト(ハカランダ指板)。

                  元々レリック仕様でしたが手を加え”ハードレリック”になっており 少々行き過ぎていたのと、カラーリング変更を考えていたのを合わせて再塗装することに。

                   

                  ソニックブルーを”オリンピックホワイト”に塗り直します。

                    

                  クラックや傷はなるべくそのままにしたまま剥げた部分を中心に手を加えます。

                   

                  サンディングします。

                    

                  再塗装する前にボディに残っているシリコン系の油分を専用洗浄剤で何度もクリーニングします。

                   

                  生地が出ているので下地を作ってから、顔料系の白ラッカーを何度も塗って下の空色を完全に消します。

                  それからクリアーラッカー塗装で仕上げます。真新しい感じでは台無しなのでやや艶を落として仕上げてあります。

                   

                  電装系はVanzandtオリジナル。

                    

                  ヴィンテージ系PUの世界では絶大なる信頼を得ていますね。

                   

                  組み直し完成。下地のクラックがトップラッカーが乾燥で痩せるほどに浮かび上がってきます。

                    

                  軽いスワンプアッシュボディに22フレット仕様。

                   

                  ネックも非常に薄いラッカー塗装が施されています。

                    

                  控えめな傷も全体に味を出しています。

                   

                  出音は間違いない音” 枯れて(耳障りな倍音が少ない)いながら音圧がある”サウンドです。

                    

                  Vanzandt 好きです。

                   

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                  2020.06.05 Friday

                  リペア ファイル その658

                  0

                    ヤマハL−6  /   ネックアイロン矯正・リフレット(オーバーバインディング仕様)・ナット交換・サドル調整

                     

                    L-6の前期モデルと聞いています。ポジションマークが5Fから始まっていますし(後期は3Fから)バックはパリサンドルの単板でした。トップは蝦夷松。

                     

                    弦高が高かったうえにフレットの減り/轍(わだち)が限界点を超えていましたので、フレット交換することになりました。ネックが元起き状態でしたので「ネックアイロン矯正」してから交換することに。(そのまま指板を削ってしまうと薄くなってしまうため)

                     

                    指板アールを確認しながら”台直しカンナ”を使いながらストレートな指板を作ります。

                      

                    指板にバインディングが巻いてあるので「オーバーバインディング」仕様にするべく、フレット端を一本一本 専用ジグで処理しています。

                     

                    フレットタング(足の突起)を調節しながら”強度がある”ネックにするためフレットを打ち込んでいます。

                      

                    平ヤスリでフレットピークを調整します。

                     

                    半丸ヤスリで再びピーク(頂点)をつけ直し、そのヤスリ傷をペーパーで取っていきます。

                      

                    ペーパーの番手を上げながら、最終的にバフで磨き上げて完成!

                     

                    ピックガードは依頼主のオリジナルを貼る予定。

                      

                    バックはパリサンドル単板。(つまりローウッドのことですね。同じ種族でも産地によって名称が変わったりメーカーの都合で独特な呼び名を付けることも・・・)

                     

                    ナットも牛骨で新調します(当工房ではフレット交換の中にナット交換もふくまれています)。

                      

                    yamahaのya ”Y”の字型のヘッドデザイン。

                     

                    L−6のラベル。

                      

                    サドルも微調整して弦高が適正に・・・(12Fで1弦2ミリ 6弦2.5ミリ)

                     

                    真っすぐなネック。

                      

                    蝦夷松のトップ材は、日本国内でヤマハが発見した優れモノです。檜/ヒノキや松・コウヤマキなど針葉樹の種類が豊富な我が国ですが、洋楽器のトップ材になるような薄くしても剛性が保てる木材がほとんどありませんでした。そんな中、ヤマハは松科トウヒ属のエゾ松をギタートップ材として採用しました。(松科マツ属のアカ松・クロ松とは別もの)

                     

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                    2020.06.01 Monday

                    リペア ファイル その657

                    0

                      マーチン HD-28V /  ストラップピン穴埋め・トップクラック修理・フレット交換・ナット交換

                       

                      マーチンの代名詞ともいえる「D-28」。28Vは”フォワードシフテッドブレイシング”仕様ですね。ロウアーバウツ(下半身)の振動できる範囲が広くなっていますので鳴り重視の設計です。

                      ただ、弦張力に引っ張られてトップが膨らむ可能性があるので、現在はXブレイシングは下げぎみなのが一般的になっています。(トップの作りは「剛性」と「鳴り」のバランスが難しく、歴史的に試行錯誤が続いています)

                       

                      ネックヒールに取り付けたストラップピンを外したので、その穴をマホガニー材で木栓を作って埋めました。

                        

                      塗料の吸い込みを考えながらちょこっと着色しました(吸い込み量が多いと濃くなる)

                       

                      トップの中央、ブックマッチの中央ラインのボトムにわずかクラックが入っていました。

                        

                      裏面まで達していない軽傷なので接着剤を充填して固定しました。

                       

                      フレットが随分減っていましたので、フレットも交換することになりました。フレットが減って交換する時期は、指板のメンテナンスをやる丁度いいタイミングでもあります。指板の歪みや曲がりをできるだけ修正してやります(ただし、あまりストレートを追い求めると指板を薄くし過ぎる嫌いがあるのでほどほどに)

                        

                      修正したらフレット溝が浅くなることがありますから、溝をノコで切り直します。(ノコには丁度いい深さにするためのガイドが付いている)

                       

                      タングを微調整しながらフレットを打ち込んで行きます。この技術がないとロッドないの古いマーチンの場合、弦張力に対抗するネックが作れません。(この楽器はロッドあり)

                        

                      全体を軽く「すり合わせ」してピークを整え、その後半丸ヤスリでピークをつけ直します。

                       

                      ペーパーの番手を#180〜#3000まで変えながら磨き上げて行きます。

                        

                      ナットも牛骨で新調。

                       

                      ナット溝を弦のゲージに合わせた専用ファイルで切ります。

                        

                      最終的に4・5・6弦は弦の半分ぐらいが埋まる様ににナット上面を削って仕上げています。

                       

                      完成。

                        

                      ヴィンテージタイプの細めのフレットが打ってあります。

                       

                      オープンタイプのペグ。バインディングはヘリンボーン(ニシンの骨)。

                        

                      サドルはロングサドル。

                       

                      もともと軽快に鳴ってくれていた個体でしたが、フレット交換したことでプレーヤービリイティが向上し”音楽”に没頭できる状態に。

                      フレットは徐々に減って行くのでイントネーションや音の立ち上がり劣化に気が付きにくいものです。「フレット交換」によってそれが解決されるので音質がよくなるのを感じますよ。

                       

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