2017.11.19 Sunday

リペア ファイル その416

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    マーチン D−28 1962製 / トップ割れ補修・トップオーバーラッカー塗装・ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ロングサドル作製・オフセット加工・ナット交換

     

    バースデー・イヤーなので購入されたというギターをオーバーホール/メンテナンスしました。いいですよね、”バースデー・イヤー” そこに愛着が湧く理由が私にも解ります。いとおしく感じるのです。若い人はどう思うかな?(早く入手した方がお得ではありますが・・・)

     

    トップに複数の割れがありました。下の写真は、古いマーチンギターでしばしば起る「マーチンクラック」と呼ばれる現象です。セル製のピックガードが経年変化で縮む時に、表板もいっしょに引っ張ってしまい表板が引き裂かれるのです。それほど深い割れでなかったので接着剤を充填修理しておきました(ひどい時はPGを外して補修をして一回り大きなPGに張り換えるのが一般的です)

      

     

    駒下からボディエンドまで伸びた割れ。湿度管理して”割れ箇所”をなるべく近づけてから接着します。裏側のパッチは無し。私は板厚が3ミリくらいのものは、パッチ補強しないで修理します。パッチが悪い訳ではないですが、パッチが板の収縮を妨げてしまう例をいくつかも見てきたので、接着強度が充分だと判断した場合は、なしで行きます。

      

     

    右肩の割れも補修。全体に細かいクラックもあったので、それをもきれいに仕上げる意味もあり「オーバー・ラッカー塗装」をすることにしました。深い傷跡がなくなる訳ではないですが、全体的に化粧直しするのです。齢を数えた顔は深みがあり素敵なので、それを隠すことなしに化粧するのです。(私はこれを前米国日本大使だった”キャロライン・ケネデー”のお顔の美しさに例えています。アンチエイジングの逆です)

      

     

    トップを軽くサンディングした後(塗装を剥がす訳ではない)、ニトロセルロース・ラッカーを数回吹きつけます。この塗装を単に「オーバー・ラッカー」と呼んだりもします。

     

    ネックの仕込み角度を適性に修正するため「ネックアイロン矯正」します。これまでに何度もフレットワークがされていて ややコンディションが落ちていましたが、レベルを上げるため「すり合わせ」や「指板修正」も念入りに行いました。

      

     

    フレットピークもつけ直します。その後磨きに入ります。

      

     

    ナットも新調。ナットの底に角度が付いているうえ 末広がりの端の処理なので、通常のナット整形より時間が掛かります。

      

     

    ロングサドルも新調。通常のナットならばナット底で弦高調整しますが、ロングサドルは上面で修正します。高さを決めたらオクターブ調整するため”オフセット”加工を施しました。

      

     

    ”割れ箇所”もトップ・オーバー・ラッカー塗装でなめらかに。塗装が痩せると多少は傷が浮き出てきますが、全体的にすっきりした印象になります。

      

     

    ヘッドの角が丸い「丸ヘッド」。私も同年代ですので このヘッドには憧れがあります。ペグはグローバー。昔のギターにはクロマチックタイプのペグが付いているのは稀で、オープンバックが普通でした(安いクロマチックペグは存在しなかった)。ゴトーもまだ世界的なメーカーでなかったので、シャーラーとグローバーが高級ギターの定番でした。はじめて触れたグローバーのスムーズなチューニング感は、オープンバックにはない感覚で気持ちがよかったのを覚えています。

      

     

    マーチン関連ブログ:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

     

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    2017.11.15 Wednesday

    リペア ファイル その415

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      ギブソン SG / ネック折れ(接着・補強・塗装)・ナット交換・ポジションマーク補修

       

      SGはマホガニー材で作られています。ボディ厚も薄いです。レス・ポールはメイプル/マホガニーでボディ厚もあるのでダイナミックレンジが広く重低音から抜ける高域まで出せますが、SGはミッドからミッドハイの太く粘ったサウンドが特徴になります。この特性をあえて生かして音作りするバンドもありますね。ここがギターサウンドの妙です。

       

      ライブでネックを折ってしまったようです。パックリ行っています。

      折れた面にエポキシ接着剤を充填するので、接着剤がはみ出しても除去しやすいようにテープで養生しました。

        

       

      接着剤を入れたら当て木をしてクランプで圧力を掛けます。そうすると接着剤が木の繊維まで入って行きます。接着したら今度は「補強材」を入れるための準備をします。

        

       

      折れた箇所をまたぐようにトリマーで溝を掘ります。この縦長の溝に”スプライン(さね)”を入れます。(中央にはトラスロッドが入っているのでその両端に2本)。ピッタリ合うようにスプラインを加工して挿入・接着。

        

       

      飛び出した部分を各種の刃ものやヤスリを使って 流れるようなラインに整形します。そしてボディカラーと同じ”ブラック”に塗装します。まず下地をつくり、その上に黒いラッカーで着色し、さらにクリアーを何度も吹いてヘッドの前後と違和感にないように塗装を重ねます。

        

       

      最後は水ペーパーで研いでバフで磨いて仕上げます。ごらんの通り。(ただ塗装が痩せて来るとスプラインの輪郭がうっすら見えてくるかな)

       

      ディッシュ・インレイが一個失われています。同じようなものを探して張り付けました。(探してみると白いのと黄色がかったものと2種類ありました。これは少し黄色ぽいのです)

        

       

      ナット端が欠けてしまっていたので交換しました。ナットそのものは塗装前に入れ直してあります(ネックとナットが繋がって見えるため)。組み立てて弦を張るときにナットに弦溝を専用ファイルで切りました。弦を張って完成。

        

       

      アングルが付いているギブソンヘッドは「ネック折れ」が発生しやすいです。トラスロッド用の”ロッドナット”がヘッド側にあるので、その部分の木部が薄くなっているためです。セットネック構造のエレキなのでボディ側に”ロッドナット”をつけられないのです。ネックに”ボリュート”をつけると「折れ」に強くなるので、最新のレスポールには”ボリュート”がありますね。ギブソンもウイークポイントを解っているのでしょう。

       

      ギブソン修理関連ブログ・http://blog.9notes.org/?eid=631

       

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      2017.11.11 Saturday

      リペア ファイル その414

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        マーチン D−28 / 「メンテナンス」弦高調整・サドル調整・バッテリーバック用 マジックテープ補修

         

        昨今は”ローズ”の輸出入規制の問題で新規の入手に手間取るともウワサされるローズサイド&バックのマーチンD−28(この楽器は70年代のもの)。D−18の甘めのマホガニートーンと対照的に倍音がきらびやかなのがローズトーンの特徴です。

         

        メインのギターがギブソンに移ったいたため出番が少なくなったとのこと。手に取ると少々弾くずらくなっていたためメンテナンスにやって来ました。弦高がやや高めになっていますが、ネックの状態はそれほど悪くありません。過去の数度の「フレットすり合わせ」でフレットが低くなっているのが「弾きにくい」原因のひとつでしょう。それでも「フレット打ち換え」はもう少し先に延ばせます。相談のうえ「サドル調整」で弦高を下げることにしました。

          

         

        ただ、サドルを下げると”弦のボールエンドからの巻上げ部分”が、サドルに乗かってしまう心配があります。そのため古い弦のボールエンドを外して 新しい弦に通してやると、ボールエンドの位置を下げることができるので そういう処置をしました。これはあくまで応急処置ですが、覚えておくと便利な方法です。

          

         

        サドルの底面を削ったため”ベタベタ”のサドルになっています。ブリッジピンからの弦の誘導溝は切ってありますので、立ち上がり角度は、かろうじて取れています。”弦のボールエンドからの巻上げ部分”がサドルに乗っていないのがお分かりですか?これでサウンドがデッドになることは避けられます。「サドル高」が低くなると音量も下がるしレスポンスも落ちるので、褒められたことはありませんが、爪弾くぐらいなら問題ありません。しばらくしたら「フレット交換」して、改めてナット&サドルを新調する予定でいます。

          

         

        アクティブPU用の”バッテリーバック”を留めるマジックテープのシールの接着力が落ちて外れてしまいました。どうしても電池交換のときに引っ張るので、弱くなってしまうんですよね。ネックブロックに付けてあった位置をバックの肩のところへ移動させます。

          

         

        このときマジックテープ裏の両面テープの接着力だけでは、再び外れるおそれもあるので、ゴム系の接着剤をわずかだけ塗っておきました。

          

         

        ボディをバフ掛けし指板もクリーニングして「メンテナンス」終了。

        ギターをケースに入れっぱなしにしたり、部屋の片隅に置きっぱなしになっていても、たまには音を出してやってください。美術館に所蔵されているバイオリンの名器”ストラディバリウス”でも定期的に弾いてやるそうです。また茶道の世界でも美術館所蔵の”お茶碗”も、ときどきそれでお茶を点てるそうです。要は”工藝”であっても”道具”は使わないと「ダメになっていくモノ」という訳です。

         

        関連ブログ:

        マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

         

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        2017.11.08 Wednesday

        リペア ファイル その413

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          ピックガードの作り方

           

          ギターのピックガードを新たに付けたり、黒色のピックガードをべっ甲柄に付け替えたりすると、ギターのイメージがガラッと変わって愉しいものです。シート状になったピックガードの素材を,、ご自分のギターにぴったり合うように作るところをお見せしましょう。

           

          まずサウンドホール周りのバインディングの円の直径を計測し、サークルカッターで厚紙を試し切りします。それを実際のギターに当ててバインディングの円周をピッタリ合うか確認します。それから本番のシートをくり貫きます。(バインディングはoneリングから3リングといろいろありますが、どのリングに沿わせてピックガードを作るとかっこいいか検証しましょう。リングの内と外でもイメージがガラッと変わることもあります)

          この素材は大和マーク社製のべっ甲シートです。(店頭ではピックボーイなどの名で売られていますね)

           

          つぎにピックガードの外周をマジックでシートに書いて・・・(ティアドロップ型が定番ですね。)

           

          金切りバサミで切り抜きます。べつに普通のハサミやカッターでもいいのですが、この金切りハサミの便利なところはシートが皺になりにくいところです(コテ型になっている)。

           

          切り面をサンディングブロックで整えます(直角で立ち上がるブロックを使うと正確な整形ができます)。ティアドロップ型だと丸の変形ですので、このブロックで流れるようなラインを整形できます。”流れる”ラインが大事ですね。後で出てくる窪みのあるデザインは内丸部がこのブロックでは整形できません。

           

          それから「面」を取ります。ここで使うのが楽器業界で「ハブキ」と呼ばれる”かんな刃”のような刃物。これは刃を立てて使い、面を削ぐ(そぐ)感じで面取りします。西洋の”スクレーパー”のような道具です。木工一般ではなじみのない道具で日本の楽器業界独特の道具です。

          最後はバフで面を滑らかに仕上げます。

           

           

          窪みのあるデザイン またはオリジナルと同じに作る必要がある場合は「型」をオリジナルから倣って作る必要があります。

          型を使ったピックガードの作り方は、こちらが参考になります。→http://9notes.jugem.jp/?eid=345

          上下に型を挿み込んでルータートリマーで倣い加工して素材を切り出します。(少々プロの仕事になります)

           

          最後はバフで面を磨いてトロッとした感じを作ると”粋(いき)”ですよ。

           

          かつて同じようなブログをアップしていました・・そちらも参考にしてください。

          http://blog.9notes.org/?eid=342

           

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          2017.11.03 Friday

          リペア ファイル その412

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               Orville  by Gibson  LPカスタム /  ネック折れ修理(補強材入れ・塗装無し)・ポット洗浄

             

            友人から友人へと受け継がれているギターだそうで、裏面には前の所有者が張ったシールが残っていました。ネックが折れてしまい使えないので、当工房へ持ち込まれました。

             

            折れた断面に沿ってマスキングして接着剤が余分なところに着かないようにガード。接着剤を充填してから当て木をし、クランプで圧着しています。手早く作業するため一度シュミレーションしてからかかっています。

              

             

            メイプル・マホガニーの二層構造(強度を稼ぐため)になっているスプライン(さね)を割れ部をまたぐ様に入れます。(カットがないですが、スプライン様の溝切り加工をルーターでおこなっています)

              

             

            スプラインをカンナや切り出し小刀で整形して塗装面と”つらいち”になるように仕上げました。今回は「塗装なし」で仕上げるためなるべく塗装を傷つけないように作業しました。(結構、神経を使う)

              

             

            細かいペーパーで研磨した後、バフで磨き上げました。「傷跡」はギターの勲章だと思う方は「塗装なし」仕上げもありですね。(割れ部に段差が生じている場合は、もっと木地がでてしまいますが・・・・)

              

             

            Orville(オービル)は日本製のギブソンと思ったらいいんじゃないかな。塗装がウレタンなのとアッセンブリのグレードが本家に劣る以外はよくできています。(フレットはオーバーバインディングなのが演奏上Good!)

              

             

            ブラック・ビューティーの呼び名にふさわしいレスポール・カスタム。スタンダードより粘っこい音が特徴です。黒いボディに上下2本の太めのバインディングが楽器を引き締めてくれますね。スタンダードとはまた違った味がありカッコいい。

             

             

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            2017.10.29 Sunday

            リペア ファイル その411

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              テイラー NC-32CE / ネックリセット・シム作製・フレットすり合わせ・サドル加工(音量調整)

               

              弦高が高くなってしまい演奏しにくくなって出番が少なくなったテーラー・エレガット。ネックの仕込み角度を変更すれば、弦高を下げられるので「ネックリセット」することになりました。

               

              テーラーは「ボルトジョイント・ネック」ですので、ネジを弛めてやればネックを外すことができます。テーラー専用の道具は持っていないので自前の道具を改良してあり、それを使ってネックを外します。

              テーラー社に持ち込めば専用シムの交換をするのでしょうが、私はそれを作製することになります。

               

              このショットで複数のシムが見えますが、白っぽいメイプル製と一番奥のローズのシムは私が製作したもの。テーラーのはマホガニーでできています。シムにはテーパー加工がしてあります。右の写真はそれを組んだものです。(オリジナルの上に作製したシムを載せてあります)

                

               

              ネックを組み直してから、磨り減ったフレットを修正するために「フレットすり合わせ」作業に入ります。ピークを整えてから(台形になる)再びピーク(山頂)を切り出して、その後一本一本磨いて行きます。

                

               

              ネック仕込み角度が変更されました。黒檀指板の下にテーパーシムが挿まれているのが解りますか?こうするとネックの方から弦に近づいて行くのですよ。その結果、ナットとサドルの高さを変更することなしに、「弦高を下げる」ことができます。これが「ネックリセット」作業の結果となります。そのメカニズムは原寸図面を書くと解りやすいですが、言葉で説明するとややこしいですね。

               

              エレガットの出力バランスが悪く、出音にバラつきがあるとのことで、その解消のためサドル底面に加工をしています。アンダーサドルピエゾの場合、1弦と6弦は隣の弦の干渉が片側だけなので2〜5弦と比べて小さくなる傾向があります。そこで底との接触面積を小さくするため弦の真下に穴を開け、ピエゾの掛かる圧力を調整します。それで音出したら2と3弦はまだ大きかったのでさらに面積を減らして調整しました。生音も大切なのでその塩梅も必要です。

                

               

              底面で調整しているので見た目は変わりません。ピエゾは思った以上にデリケートですのでゴミなどが挟まったりしても、音量差が出ます。カッタウエイのガットギターはハイポジションの演奏性にたけていますね。

                

               

              近年はガットギター用の弦は進化しており、音質や音量もかなり選ぶことができるようになりました。プロのガット演奏者はそれを熟知して自分好みの音を作っています。勉強になります。 

              弾きやすくなり出音もバランスよくなり再び出番が多くなりそう とのこと。うれしいです。

               

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              2017.10.25 Wednesday

              リペア ファイル その410

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                First Man  Bass  / トラスロッド折れ・トラスロッド交換・指板交換・アッセンブリやり直し    その2

                 

                リペアファイル その409 でお届けした「ネック再生工程」の後「ネック塗装」と「組み立て」に入りました。

                ネックに指板を取り付けると、どうしても目地の段差が出るのでそれを払うと木地が出てしまいます。そこを黒く塗る必要がありますし、指板脇にもクリアーを吹く必要があります。クリアーラッカーで仕上げて水研磨・バフ磨きします。

                 

                中空ボディです。バイオリンのように「魂柱・サウンドポスト」が立っています。ただこれはトップが下がらないための”つっか棒”でしょう。PUの配線をやり直し合しアウトプットジャックを米国製パーツに交換しました。ブランコテールピースに繋がる弦アースも配線します。

                  

                 

                フロントパネルにフロントPU・リアPUのオンオフスイッチに1V1Tの配置がされています。なぜかサイドにもジャック用穴が開いていたのでそこはダミーのジャックを取り付けてふさいでおきました。

                 

                ネックポケットの加工をやり直しました。仕込み角度が曖昧でネックとポケットの間に隙間がありました。角度をつけたシムをローズ単板で作製して装着。

                 

                完成しました。ベース弦の張力にも余裕で耐えられる剛性の強いネックに生まれ変わりました。

                ファーストマン独特のピックガード。バットマンみたいですね。

                  

                 

                ヘッドはヘフナーにはない堂々たる”スクロール(渦巻き)”が付いています。バイオリンに近づけようとしているのが解ります。バイオリンと比べると簡易のスクロールですが・・・ここが最大の特徴ですね。

                  

                 

                黒い塗装で全体が締まって見え 精悍な出で立ちです。全体も磨いてありますので黒光しています。サウンドは「らしい」音です。何にって?思われるでしょうが、”時代の音”がします。エレキが来日した頃の・・・(私はまだ幼少で記憶にないですが、昔の音源からありありとイメージできます。その音と一致しているのです)

                  

                 

                 

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                2017.10.21 Saturday

                リペア ファイル その409

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                  First Man  Bass  / トラスロッド折れ・トラスロッド交換・指板交換・アッセンブリやり直し

                   

                  若い人には馴染みのないブランドかも知れないですね。「ファーストマン」は日本のブランドです。GSブームの頃「ブルーコメッツ」が使用していたブランドだそうです(私もGSブームのころは知らない) この楽器は”ヘフナーBass”に似たタイプですが、もっと角が尖がったヴァイオリン型のギターとベースもありました。

                  ロッドが折れてネックが大きく反っていました。またアッセンブリも外されていたので、そこも修理して音が出るように直しました。トータルすると大掛かりな修理だったので2回に分けて紹介します。

                   

                  指板が薄くフレットタングの張りだけでベース弦の張力に耐えられないと判断。そこで指板を1ミリ厚くし黒檀指板に張り替えることにしました。当然ロッドも交換します。フレットを抜いてからアイロンなどを使い指板を剥がしました。ロッドはギター用のものが使われていてネックエンドまで届いていませんでした。

                    

                   

                  いろいろ探しましたが、ミディアムスケールBass用のトラスロッドは既製品で見つかりませんでした。なのでギター用を改良して使うことにし、エンド部は黒檀ブロックを2本挿入して補強することにしました。(完成品のネックで加工する時に保持するのが難しく思ったより手間取った)

                    

                   

                  ロッドが”くの字”にカーブするように溝が加工されています。エンドは黒檀で補強。縞黒檀の指板材を用意して、12Fの倍数から算出したスケール表とオリジナルのスケールと確認しています。昔は結構アバウトなフレットスケールが多かったもので・・・しかし、ほとんど計測表と一致していました。優秀!

                    

                   

                  フレット溝を手ノコで切り込んでいます。昨今はNCルーターの時代なので0.00以下まで切り分けることができるようになっていますが、1本だけその作業を外部に依頼する訳にはいかないです。ホスコのベイシックな道具ですが、これを駆使して手ノコで加工。(ただし、正確に切れるように創意工夫がしてありますよ)  端の処理をしてから(下図)、指板アールゲーシで確認しながら台直しカンナとペーパーブロックで指板を完成させます。

                    

                   

                  オリジナルと同じ径のポジションマークを入れて行きます。お次はフレット打ち(ロッドが交換されたといえども、ここでも指板の剛性を意識してやっています)。

                    

                   

                  フレットピークを整えるため「すり合わせ」してから、ピークをヤスリで切り直し、最後は磨き上げます。ゼロフレットが採用されています。その下には真新しいロッド用のネジが。細かな所でオリジナルに合わせて作り直さないといけないパーツがあり、このネジの受け部分も真鍮を切り出してはめてあります。

                    

                  これからネックは塗装に入ります。次週”続き”を報告します。

                   

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                  2017.10.13 Friday

                  リペア ファイル その408

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                    ヤマハ Lー6  / ロッド折れ・アイロン矯正・フレット交換(オーバーバインディング)・力木はずれ・ネックひび割れ

                     

                    ジャパン・ヴィンテージ・アコースティックの中でもずっと評価の高いヤマハのL-6。オール単板モデルで表板は”エゾ松”。スプルースでなく国産材で音のいい表板 ”エゾ松”を探し当てたのですからヤマハさんもたいしたものです。私もそれに惹かれて”エゾ松”ブロック材を銘木屋から入手して持っています。(作れる日はいつ来るのだろう・・・)

                      

                     

                    ロッドが切れていました。反りがひどくて弦高が高くなってしまい弾けません。こうなったら(指板を外して)「ロッド交換」か、ロッドのないマーチンで行う技法のフレットタングでネックの剛性を作る「フット打ち換え」になります。今回は「フレット交換」で対処します。ネックが反ったまま、指板面をストレートに調整すると指板の先端とはじが薄くなってしまうので、「アイロン矯正」でフレットを真っ直ぐにしてから「交換」します。

                      

                     

                    ネックにひびが入っていたので、ここは「アイロン矯正」の前に修理しておきした。

                      

                     

                    シマ黒檀が染めてあっての「黒い指板」でしたので擦っていくと縞が現れます。でもこれも味があっていいですね。アール定規で計測しながら指板を真っ直ぐに整形。その後フレット溝を右下の写真のような道具を使って掃除しながら、溝の調整をします。(なるべく広がらないように)

                      

                     

                    フレットタングで指板をクサビを打つ感じで、反りの具合を見ながら、また溝の幅をゲージで計測しながら、タングを調節して打ち込んで行きます。その後、フレットピークをヤスリで均して・・・

                      

                     

                    少し台形になったピークを専用ヤスリでピークをつけ直し、ペーパーで磨いて完了。

                      

                     

                    力木も外れていました。この写真はトップの力木をくっ付けている図ですが、主な「力木外れ」は裏板でして忙しくて写真を撮り忘れてしまいました。過去に直してあったのですが、その周辺がまた外れて・・・結局全部の裏板の力木を再接着しました。そんな力木外れのL-6は何本も見ましたから、当時の材木の乾燥具合に問題があったのでは・・・と推測しています。(ヤマハの名誉に掛けて言いますと、70年代のヤマハの材料管理は業界随一だったと昔の職人さんから聞いています。なので昨今の移住空間の乾燥が猛烈だから、と言い換えます。昔はオール単板モデルは少なかったからなぁ)

                     

                    ”Y”をモチーフにしたヘッドデザイン。ロッドカバーはローズ(プラスチックでない)。

                      

                     

                    ピックガードはセル製で現代の塩ビとは趣きが違います。出音はゴージャスな感じで倍音が多いです。それでいて基音もしっかり発音されていますから、単音の抜けもいいです。

                      

                    修理を施しながら何代も残り続けて欲しい日本の名器ですね。(いい楽器が残ってこそ日本のポピュラー音楽シーンにも歴史が積み重なれていくと思うのです)

                     

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                    2017.10.09 Monday

                    リペア ファイル その407

                    0

                      マーチン 1997 limited edition CEO-1R / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換(匠製)・サドル調整

                       

                      日本の市場ではあまり見かけない仕様のマーチンギターです。”CEO’s choice"でとありシリアル番号入りでした。CEO自ら厳選した素材を使用したということでしょう。質のいい材料が使われています。

                       

                      ロッドのあるタイプでしたが若干の順反りが見受けられます。アイロン矯正で仕込み角度を付けてサドル高を上げてなお「弦高を下げる」まで角度変更にトライ。ネックは個体差があるので全て狙い通りにはなりませんが、なるべく希望設定に近づけるようアイロン矯正を繰り返します。

                        

                       

                      アイロン矯正後は「フレットすり合わせ」して最終的にフレットを磨き上げて終えます。中抜きしてあるペンタゴン・インレイが斬新ですね。最終フレットにはCEOのサインのインレイが入っています。 14Fから「仕込み角度」が付いています。

                        

                       

                      ナットも交換しました。しっかりくっ付いていましたので”アゼ挽きノコ”でナットに切り込みを入れて割って外します。交換パーツは「匠製」のナット。密度の高い牛骨ナットです。

                        

                       

                      ぴったり合うように加工して、依頼主の要望でやや鋭角な形のナットの整形しました。タイトなサウンドで音の立ち上がりの良さが見込めます。

                        

                       

                      下の写真は元の状態です。サドルの出代が少ないです。ブリッジに注目してもらいたいです。ブリッジピン穴からサドルへ向かって弦の誘導溝がルター加工で切ってあります。それもかなり深く。ブリッジピン穴の真ん中くらいから弦がサドルへ向かって立ち上がって来る感じで理想的な設定です。日本仕様のほかのマーチンにも付けてもらいたいくらい。ただピンが若干硬かったのでリーマーで修正しました。

                        

                       

                      サドルは作り変えずに依頼主と相談のうえ底面にローズを貼り付けました。ウッディなサウンドも加味されます。右の写真のようにサドルの出代が多くなったのが解りますか。

                        

                       

                      力木のパターンも通常とは少し違っていました。サウンドホールの補強ブレイシングがネックブロックに繋がっていたりして、かつて修理した”マーチンとトーマス・ハンフリーとのコラボしたクラシックギター”と似た補強の仕様で、ここに新たな理論が採用されているように感じました。トップ全体を鳴らそうとしているのかと想像しています。(通常はエックスブレイシングの上の部分は鳴らさない構造なので)

                      音の質もクオリティーが高くマーチンの新たな境地を見た思いです。

                       

                      マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                       

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