2019.12.10 Tuesday

リペア ファイル その621

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    Three S  GR-20     / ブリッジ上面削り・サドル溝埋め戻し・溝切り直し・サドル調整・ブリッジ黒染め

     

    失われたブランド「鈴木バイオリン製造」の”Three S  (スリーエス)”です。ネックの状態は良い方でしたが、経年変化によりトップが若干膨らみ「弦高が高い」状態になっていました。

    こういうケースでは、サドルを削って下げるのが一番最初に考えることですが、サドルを削って下げるとブリッジと同じ高さにまでなってしまうことがあります。そんな場合、ブリッジの厚みが十分と判断したときは、ブリッジの上面を削ってサドルとブリッジピンとの落差を確保する加工をします。

     

    そのとき、サドルの溝が覗くと浅いことがままあります。(国産ギターではしばしばみられます。サドル溝があまり深く加工されていない)これではサドルがペラペラで出音は不安定になり、またサドルが弦の圧力により前側に倒れたりしてよくありません。

      

    こんな場合は一旦溝を同じような木材で溝を埋めてから、ブリッジ上面をさらに削り込み、サドルの頂点とブリッジピンまでの「弦の立ち上がり角度」を取るように加工していきます。

     

    弦長も新たに計測し直してから、ルーターで再びサドル溝を切り直す加工を施します。

      

     

    こんな感じ。オリジナルと再計測の位置が若干違いますね。1弦側がやや後ろに下がっています。

      

    ピン穴の面をつけ直します。(弦の誘導溝はすでに加工してあるので、そのまま使う)

     

    サンディングして形を整えます。

      

    ローズを黒檀風に黒く染めてありましたが上面を削ったためローズ色が出てきてしまいました。なので黒く染め直ました。

     

    サドルはオフセット加工済みタスクを入れました。

      

    サドル高を下げてあるので弦高を下げるのに成功しています。それでいてサドルの山頂(ピーク)とブリッジピン穴との落差(「弦の立ち上がり角度」)が取れているので、弦の圧力がトップにきちんと伝わりサウンドも痩せることなく、ギターを復活させることができました。

     

    ギャラガースタイルなのでヘッドデザインやピックガードが特徴ありますね。

      

    ロゴは初代”Three S ”式。

     

    サウンドはキレがよく音圧も十分あります。合板トップなれど枯れ具合がよく倍音は多くはないですが、とても軽快な音で鳴ってくれました。古いギターのよさが出ています。修理しながら使い続けて欲しいですね。

     

    Three S 関連ブログ:

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    NINJA TOOLS

     

     

    2019.12.06 Friday

    リペア ファイル その620

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      Chaki  ウッドベース / ネックヘッド折れ・ヒール部折れ・電池用スナップ交換

       

      中津川市のライブハウス”Breath”からの依頼、ウッドベースのネック折れ修理。ロカビリーで演奏するウッドベースなので少々荒く扱ったのでしょうか。ネックがヒールのところから完全に折れていました。

        

      一度修復した痕もあるので近いところで2回目の事故になります。

       

      ネックヘッドにも損傷がありました。深い亀裂が数か所入っています。

        

      接着剤がほかに移らないようにマスキングしてから、亀裂の接着剤を充填しクランプで圧力を掛けて接着します。

       

      ネックヘッドには60キロ以上の負担が掛かるので接着だけでは不安です。亀裂を横断するように木栓(ダボ)を入れることに。

        

      木栓自体が飾りに見える位置に穴を開け、ダボを挿入しました。

       

      ヒール部は木栓とビスを併用することにしました。正統的なリぺアでは、指板を外したり ネックヒールを一旦ボディから外してから内部から加工するのが本当ですが、大掛かりな修理になるので作業代金もそれなりになります。

        

      今回はリーズナブルに仕上げたかったので、指板に直接穴を開ける方法を取りました。片方の穴はビス用の穴で、ネジ留めで固定することに(錆びたりしないので将来三度目の修理するとき外しやすいように真鍮製のビスを選択)します。これで接着剤が固まるまで十分にホールドできます。(もちろん補強の意味もある)

       

      ヒールが接着されたら、もう片方の穴をヒールの奥まで伸ばして長い木栓(ダボ)を打ち込みました。前回の割れ部も跨ぐことができたので強度が全体的にアップされたと思います。

        

      蓋をするため穴は2重加工になっている。

       

      蓋をします。指板はメイプルできていたので同じメイプルの木端(こば)面が繋がるように木栓を作って入れてあります。(木口面を使うと仕上げたときに色が違ってみえるから)

        

      全体をサンディングするとメイプルの白っぽい色が現れましたので、全体を黒く染め直しました。

       

      目違い(木部の段差)を取ると塗装が部分的に剥げてしまうので、軽く色合わせのタッチアップ塗装をして完成。

        

       

      木栓も染めるとほとんど分かりません。

        

      修理部の強度の問題と修理の効率化をクリアしてお値打ちに仕上げることができました。(ない頭は使いましたが)

       

      電装系もチェック。電池ボックスのバッテリースナップが壊れていたので交換しました。

        

      EMGのピクッアップとコンタクトピエゾが別々で出力できるようになっています。ピエゾはスラップ音を拾うためのもととお聞きしました。たしかにロカビリーでは指板を叩くような”リムショット”音がアンサンブル内でカッコよく響いてましたね。

       

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      2019.12.02 Monday

      リペア ファイル その619

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        Switch RSD-45 /  PU取り付け・弦高調整

         

        ハイエンドのアコギショップ”ドルフィンギターズ”のオリジナルブランド”スイッチ”。アディロンダック・スプルースにハカランダのバック&サイド装備のJ−45タイプギターです。

        力木などもギブソンに似せた作りで本家に迫る、それ以上を狙ったギターですね。

         

        この機にピエゾPUを搭載します。PUは充電機内蔵がされた”Misi(マイサイ)”が持ち込まれました。

         

        エンドピンジャック一体型Pプリアンプを装着するためにボディエンドに穴を拡張して入れます。

          

        アンダーサドル・ピエゾがサドル溝に敷かれるので底面に穴を開けます(そのカットがなかった・・・)。

         

        コントロール部はVとTですが、サウンドホール脇裏のスペースにそれを取り付けるスペースがないのと、プリント基板の半田がゴツゴツしていたので、収まりがいいようにスプルース材を整形して裏面に張り付けました。

          

         

        コントロール部の上面に木片が挟んであるのが解るかな?

          

        アンダーサドルピエゾを敷いたため、弦高が高くなります。その分をサドル底面を削って調整しました。

         

        完成。 ツーリングの口輪が入っているのね。ピックガードは厚いものが貼られています。

          

        ヘッドデザインもいい塩梅にオリジナルとギブソンらしさが調和しています。

         

        このポテンシャルから鳴らない理由を見つける方が難しい。唯一欠点を上げるなら「アバウトな部分」がないこと。ギブソンが愛されるのは、「アバウトさ」「ルーズさ」が憎めないからでしょう。(それが行く着くと経営破綻に追いこまれるけど・・・)

          

        日本人の「ものつくり」はどうしても完璧さを求めすぎで「遊間(あそび)」が少ない気がします。

         

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        2019.11.27 Wednesday

        リペア ファイル その618

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          マーチンD-28 / ナット交換

           

          マーチンギターはケースを開けた途端、マーチン独特の匂いが漂います。どこかノスタルジーをそそる懐かしい匂いに感じますが、私だけ?

          ナットの弦溝が低くなっていました。長年 弦をチューニングしたり緩めたりしているとナットのところで摩擦が生じ、弦溝が擦れて減ってフレット高より下がってしまう現象がおきます。こうなったら「ナット交換」ですね。

           

          大きめの牛骨ブランクを指板幅に合うようにカットします。

            

          それを今度は厚みを揃えるために、片面を細かいペーパーで磨いて仕上げてから、反対の面を欲しい厚みまでベルトサンダーで一気に削り、最後は平らな面にペーパーを張り付けたところで微調整しながら削ってネックにタイトに納めるように仕上げます。(最近のマーチンのナットは底面が斜めでないのでその分労力が助かります)

           

          ナット端は末広がりになっているので、その角度に合うようにジグを使って削っていきます。

            

          荒いペーパーを使い角度を出すのですが、最後はピカピカ面に仕上げたいので前のペーパー痕が消せるように、番手を順次変えながら削っていきます。その際ネックの幅より短くならないように気をつけます。(ピカピカになったけど短くなってしまったりする失敗も時々やりかします。そうなったらもう一度作り直し・・・)

           

          写真のようにしてナットにフレットRを写し取ります。

            

          その線までベルトサンダーで削り落とします。

           

          1〜6弦までの弦溝をマーキングしました。基本的には以前と同じ間隔で写し取りますが、「フレット交換」した後では適度に修正した間隔にすることもあります。

            

          弦と弦との間隔は、弦の中心を等間隔にする場合と 各弦の太さが違うことを考慮して弦の端と端が等間隔になるようにする場合と2種類あります。

           

          ナット弦溝を専用ヤスリで切ってから、ナットの整形をする方法を私は取っています(ナットを外して整形する人もいます)。ネック上でヤスリやペーパーで整形するので、本体に傷がつかないようにうまく養生してやることが大切です。

            

          完成しました。

           

          最近のマーチン社は”ベアクロウ(熊の爪痕)”が入ったトップ材を使うようになりました。昔はどのメーカーもこれを嫌ったこともありましたが、個人製作家が高級機でこれをあえて使うようになったことから、メーカーもやるようになりましたね。杢が曲がってこう見えるのでよくないという説がある一方、腰のある材が多いから良しとする説いろいろあります。

            

          私は個人的に”ベアクロウ”材が好きな方です。きれいだと思うし、基本的にいい材であることから”はねる(使わない)”理由に当たらないからです。古い職人さん古い店員さんはダメ出ししますが、天然素材であるのでまったく無傷・無垢ばかりとはいきませんよ。天然資源枯渇と言われる昨今 基準も変えていかねばなりません。

           

           

          関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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          2019.11.23 Saturday

          リペア ファイル その617

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            PRS SE CUSTOM /  フレットすり合わせ

             

            人気のあるPRS(ポール・リード・スミス)の廉価版である”SE”シリーズ。上級機のいいところを継承しているので安心感があります。

            ギブソンLPとフェンダーSTの中間のスケールであり、ハンバッカーPUとシングルPUの両方の出音を再現できるので”一粒で二度おいしい”と使い勝手に定評あり。

             

            弦高を下げたときにビビり音がでなきいように、またイントネーションも改善するように「フレットすり合わせ」をしました。フレットに轍(わだち)ができるとピッチ/イントネーションが不安定になります。

               

            フレットを平ヤスリで削るとフレットピーク全体に凸凹があったのが判明。最近はフレットの打ち込み技術が向上しているので、多くのメーカーでも出荷前に「すり合わせ」をしなくなっていると思われます。”PLEK”なる全自動フレットすり合わせマシーンを導入しているメーカーはそれを使っているでしょうが、手作業でも同じレベルの仕事はできます。

             

            フレットピークを揃えたら、今度は再びフレットピークを三角ヤスリと半丸ヤスリを駆使して鋭角に研ぎ出します。

              

            ネックは弦を張った状態と緩めた状態ではピークが変化しますので、どの程度変化するか見越してピークの調整がしてあります。それを再現するジグも”StewMack”から発売されていますから、それを使う工房も増えていますね。

             

            当工房は勘を頼りにやっています。(それでも数をやっていますからご安心ください。小僧のときは半日に3本くらいやるのがノルマでしたから・・・もっとも昨今のフレットワークは私がリペア工房で見習い/小僧やっていた30年前より質があがっているので、そんなに早くはできないですが)

             

            フレットを一本一本磨いて仕上げます。(指板面もクリーニングしてあります)

            「すり合わせ」は単にピークを揃えたりするだけでなく、チョーキングしたときに音詰まりしないようにフレット上で”コンパウンド・ラディアス”(円錐形)のように調整してあります。

             

            3:3のヘッド。ストラト似の”Slvir Sky”もこの形状だったのでPRSは3:3こだわっていますね。

              

            操作性がよく安定感のあるトレモロユニット。トーンノブをプッシュ・プルしてタップできます。

             

            上級機ほど彫りが深くないボディフェイス。それでも”杢”にこだわっているところがPRS。

              

             

            「フレットすり合わせ」をするとフィンガリングのストレスが軽減し、イントネーションはもとより音の立ち上がりやサスティーンも改善されます。フレットは徐々に減っていくので劣化はあまり感じられないのが実情ですが、「フレットすり合わせ」をするとその違いを感じられることでしょう。

            いつか”Slvir Sky”のSE版もでるのかな?

             

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            2019.11.18 Monday

            リペア ファイル その616

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              Chaki ウッドベース / ボディ・バック剥がれ

               

              チャキ製のウッドベースです。フォークやブルーグラスで使えば”ウッドベース”と呼ばれ、オーケストラなら”コントラバス”と呼ばれますが、同じ楽器です。前者は主に指弾きで後者は弓弾きの違いはありますが。

              (チャキはアーチトップの楽器を得意としていました。憂歌団の勘太郎が持っていたアーチトップのジャズギターもチャキ製でした)

               

              合板製のとトップ&バックですが、バックの合板ラミネート層が剥がれて広がってしまっていました。そのため異音がします。(振動で共振するためでしょう)

               

              マスキングテープで養生し接着剤(タイトボンド)を隙間から流し込んでから、パレットナイフで奥まで届くように広げます。

               

              クランピング。

              はみ出したボンドはお湯に浸した布で拭き取ります。

               

              ボンドが乾いてから音を出して共振していないか確かめました。大丈夫です。

              塗装が剥がれていた箇所にセラックを塗っておきました。

               

              オール合板の普及機ですのでパーフリングは木象嵌ではなく、手書きでラインが入れてあります。(これはこれで職人技ですね)

               

              一見ネックに”杢”が入っているように見えるでしょ。実は塗装の”ぼかし”でそれを表現しているのです。(これもすごいよ)

              日本では”茶木”や”鈴木”がヴァイオリン属の楽器を製造していましたが、主に普及機やスチューデントモデルでした。安価な楽器の質がどうのこうのと言う人がいますが、そういうモデルがあってこそ多くの人が楽器に触れることができたのです。その中のわずかな人が後々名プレーヤーになって高価な楽器に移っていきます。普及機から高級機まであってこそ、音楽シーンが存在するといっても過言ではないでしょう。

               

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              2019.11.14 Thursday

              リペア ファイル その615

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                GIBSON  ファイヤーバード /  ヴァイブローラ取り付け加工・フレットすり合わせ・ナット交換

                 

                依頼主が高校生のときに手に入れた70年代製のギブソン・ファイヤーバード。ストップテールピースをトレモロユニットの”ヴァイブローラ”に交換させて再び使用したいとのこと。

                 

                弦アースを新たに取らなければならないので、ブリッジアンカー部より取ることにしました。

                  

                 

                ブリッジはサドルが回転してアーミングをスムーズにする「Tone Pros」製に交換。

                  

                いろんな画像を検索しながらオリジナルの位置に近いところへヴァイブローラの位置決めをしました。

                 

                取り付け完成。

                  

                一度取り付けたのですが、弦留めからサドルへの立ち上がり角度が浅いためテンションがゆるいことに気が付きました。仕込み角度の関係だと思われます。なのでビス止めにスペイサーを作製して挟み、弦留め位置を下げる加工をしました。

                 

                元々太く低いフレットでしたが、弾き込んであったので結構減りが激しかった。きつめにヤスリ掛けしてから半丸ヤスリと三角ヤスリを駆使して再びアールを付け直しました。

                  

                 

                フレットに残ったヤスリ傷をペーパー各種の番手を変えながら磨き上げて行きます。

                  

                ファイヤーバードといえばミニハンバッカーPU。60年代製がマウントされていて惚れ惚れする出音でした。

                 

                ナット溝もすでに低くなっていたので交換しました。

                  

                バンジョータイプのペグもこの機を決定づけるトレードマークでしたね。

                 

                2V2Tの配列も微妙で独特。

                  

                ファイヤーバードの特徴を製作者目線で語ると、ルックスやヘッドではなくて”スルーネック”構造だと言いたい。ヘッドからのボディエンドまで一本の材木で作る構造は、それまで例がなかったのではないかな?この構造は製造現場ではやっかいなんですよ。取り回しが大変だし、材木も長いものを用意してくちゃならない。生産効率を考えるとあまりいい方法でない。

                 

                しかしながらこの後、アレンビックとかBCリッチとかスルーネック構造が出て来ました。ルックスや構造など時代を先取りしていた感があります。ギブソン社は元々革新的なメーカーだったんです。

                 

                ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

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                2019.11.10 Sunday

                リペア ファイル その614

                0

                  アイバニーズ AEB10EN /   トップ塗装面ひび割れ

                   

                  シニアになる根っからのベースマンがメインで使用しているアコギベース。軽くて取り回しがいいのが その理由だそうですが、たしかにウッドベースでは大きいしエレキベースでは重いですね。

                  ”アンプラグド”シーンでも使用頻度が高い機種で、各メーカーで作られています。隠れたヒット商品とも言えます。

                   

                  炎天下の自動車の中に置いておいたらトップの塗装に”ひび割れ”がおきました(今年はそんな例が多い)。合板トップのおかげか”ひび割れ”は塗装面だけなのが不幸中の幸い。

                  ポリエステル塗装であったので、隙間に瞬間接着剤を流し込ん”割れ面”を塞ぎます。

                   

                  はみ出した接着剤とわずかな段差を♯1000番〜のペーパーをブロックに包んで取り除きます。

                    

                  バフで磨いて元通りに。(ラッカー塗装塗料ではこうはいきませんが・・・・)

                   

                  フラットワウンド弦を使用していました。

                    

                  アンダーサドルPUで弦振動を拾いアンプで増幅して出力しますが、ボディが中空構造なのでふくよかなアコースティックサウンドになります。サスティーンはウッドベースより長くエレキベースより短いかな。

                   

                  国産品ではないですが、全体がうまくまとめられたコストパフォーマンスの高いBASSになっていました。

                    

                  年齢が高くになるにつれ軽い楽器を欲する傾向があります。日本では45歳から65歳くらいの現役プレーヤーが多いので、この世代にあった楽器の開発(本物を知る世代なので安かろう悪かろうではダメで、少々高くても質のいいものが欲している)が望まれます。

                   

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                  2019.11.06 Wednesday

                  リペア ファイル その613

                  0

                    マーチン D−45 VR /  バインディング剥がれ

                     

                    マーチン社の最高峰、泣く子も黙る”D−45”。最高級の木材を贅沢に使用し 外周には貝を散らばめゴージャスなルックです。サウンドもまたゴージャスで豊饒な音の渦を感じます。その特徴を生かしたアルバムがニールヤングの『ハーヴェスト』、名盤でしたね。

                    このモデルはプリウォースタイルでヘキサゴンインレイではなくスノウフレイクインレイ。

                     

                    トップ・腰のバインディングが縮んで剥がれて来ています。セル製なので縮むことがあります。

                    本当は腰の部分でバインディング少し切って貼り付けると密着するのですが、切るには忍びない・・・

                     

                    そこでパイプクランプで圧を掛けて接着することにしました。

                      

                    セルをドライヤーで温めながら柔らかくしてから接着剤を差し込みクランピングします。

                     

                    完成。

                    はみ出した接着剤をサンディングしてからバフで磨いてあります。

                     

                    マーチンCEOのサインが入っています。

                      

                    角ばったヘッドに縦ロゴ。

                     

                    表裏は当然ながらネックヒール部やサイドバインディングの上下ともに貝が巻いてあるところが”45”ですね。

                     

                    ロングサドルにべっ甲柄のピックガード。

                      

                    以前このタイプにピックアップを取り付けたことがありました。http://blog.9notes.org/?eid=715いずれにしても生鳴りが基本であることは変わりありません。

                    メンテナンスを怠らずいつまでも最高の状態で演奏して欲しいです。

                     

                    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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                    2019.11.02 Saturday

                    リペア ファイル その612

                    0

                      S.yairi  YD-305 /  ブリッジピン脇の割れ補修・ブリッジ染め直し

                       

                      ジャパンヴィンテージ・アコースティックの中でも人気が高い”S・ヤイリ”。後期と呼ぶ80年代に入ってからのモデルとお聞きしましたが、S.yairi ファンの方は細かいところまでよくご存じなのでこちらが勉強になります。

                      私の親方がS.yairi で修行された方なのでS.yairi にシンパシーを感じています。

                       

                      ブリッジがピン穴に沿って割れています。ピン穴上に木目が来てたまたま裂けてきたものでしょう。そんなにあることではありませんが、これはローズを染めてある代物で本物の黒檀よりは若干強度は落ちますね。

                        

                      接着剤を内部に十分浸透させながら接着し、隙間は黒檀の粉で埋めてあります。

                       

                      目違いをサンディングして面一にしてから、

                        

                      ピン穴の面取り部が小さくなったところを再び面を取っておきます。

                       

                      全体をサンディングしてから一度水拭きして毛羽立たせてから、もう一度細かいペーパーで仕上げます。

                        

                      「黒染め」します。私は「ビゲンの髪染め」を使っています。(メーカーでは薬品で焼きます)

                       

                      最後は番手の細かいスティールタワシで磨きます。

                        

                      後期のYD-305はボディ側に”ロッド締め”がありますが、古いのはナットの下に”ロッド締め”が隠されていてのを見たことがあります。なので簡単にロッド調整できなかったですね。

                       

                      ロゴ以外はどこまでもマーチンをコピーしています。

                        

                      ダイモンドボリュートは手で仕上げてあるので少し丸みを帯びています。シャーラーペグですね。

                       

                      トップ単板・バックは3ピース単板仕様でサイドはローズ合板です。これがオール単板だと後期のYD-306になるとのこと。

                        

                      上機モデルにはハカランダを使ったYD-308がありますが、前期のYD-306には一部ハカランダを使っているらしく、ややっこしいです。

                       

                      古いメーカーの内情を少しは知っていますが、昔は結構アバウトな管理体制で仕様変更も現場ではあまり徹底されていなかったようです。シリアルナンバーも元々生産管理のためにつけているので、外部の人には分かりにくくしてあります。(でないと経営状況とか解ってしまいますから)

                      70年から80年にかけて「フォーク」ブームでとにかくギターが売れた時代です。出来栄えは玉石混淆でしたが、この楽器はもちろん”玉”。爆鳴りしてました。音がでかい!です。

                       

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