2021年を振り返って
あれよあれよという間に2021年が暮れようとしています。
だれもが「コロナ」で振り回された年でしたね。
音楽業界は「コロナ禍」で活動自粛を余儀なくされたミュージシャン、イベント屋さん、照明・音響屋さん、
ライブハウス、練習スタジオ、楽器屋さんが大打撃を被ってしまいました。楽器メーカーはどうか・・・
低価格帯のアコギが売れたのは事実のようですが、それでメーカーがどれほど潤ったかは不明です。
たしかに中国のOEMメーカーでは新規の受注が一年待ちとの話も聞きましたが、
人件費の高騰とかロックダウンの影響で工場がどれほど稼働しているのでしょうか。
だれも儲かっていないんじゃないかと勘繰ってしまいます。
楽器を製造するには「個人」でもできますが「メーカー」などと比べてどのような工程差などが生じるか一度まとめてみました。
「メーカー」は「工場生産方式」ですね。
専用の加工機をたくさん揃えて多くの従業員を雇い(またはパートタイマーを雇い)
ひとつの作業に特化した人材「専門工」を育成して各部署に配置し、
早く・正確に作業できるようしラインを形成しています。
ここではギターのイロハを知っている必要はありません。
近所のおばちゃんが下駄でも作るようにギターの細部を組み立てます。
ただ侮るなかれフェンダー社でPU巻きの名人として名高い「アビゲイルおばちゃん」が生まれたように
各社に名人が揃っています。
ここでは工場長など一部の人間だけギター作りの全体を知っていれば事足りるのです。
ギターの専門家が少なくても問題ありません。スピーディーに量産できることを最大の目的としています。
その結果、庶民が買える楽器から高級機まで生産できます。
「個人製作家」と「メーカー」の間には「工房メイド」が存在します。
10名弱の規模かと思います。
技術にたけた人材が複数の工程をこなしてギターを形作っています。
ギターメカニズム/音楽などそれぞれが知識があるので「音」に対して各工程で最善の処置も心得ているでしょう。
それでも一人が全行程を受け持つことは稀で、ここでも各部署でエキスパートが作業を受け持つことになります。
塗装の人がフレットを打つ技術はなかなか身に付かないでしょう。
主にハイエンドプレーヤー向きの楽器が生産されています。
「個人製作家」は1から10まで自分でギター製作を行います。
腕がいいのは当て理前で実際は10以上11も12も一人でやらなくてはなりません。
仕入れ、運搬、経理や連絡など事務作業、営業までも嫌だといえません。
近頃は広報などSNSでの発信も重要です。仕事場でギターを作るだけが仕事じゃない訳ですね。
忙しい割に効率が悪く生産本数が伸びません。営業がおろそかになる分資金繰りに苦慮しがちです。
配偶者が仕事を持っていることが多く経営を助けてもらうケースもあると聞きます。
「メーカー」でも「工房」でも「個人」でも営業が大事ですね。
楽器屋さんや問屋さんのニーズに応えるべく努力しないと仕事がもらえない構造もあるようです。
その結果、販売価格の設定が先になり原価コストが逆に決まることにもなりかねません。
「製造」と「営業」の力関係が「営業」に軍配が上がることが多いのは、かつて自動車産業で起こったことで
すでに証明されています。そうであるからこそ最近のフェンダー社やギブソン社が直販や特約店契約を
試みているのでしょう。「製造」側の売り方の変化です。
リアル店舗はネット販売に猛威にさらされ苦戦しています。またリアル店舗も資金力があるところのみ残り
後は淘汰されてしまうかも知れません。「製造業」もしかり。
と悲観論が先行してしまいましたが、有史以来人間の歴史から音楽が絶えたことはないのですから、
音楽のあるところ必ず楽器ありです。
ベートーベンの楽曲もピアノの進化とともに変化したくらいですから、
「メーカー」や「製作者」の創意工夫が今後も音楽の進化に影響を及ぼすことは間違ありません。
ひたすら現実と向き合いつつ、できることをすべてやり、アイデアを練って実行に移しましょう。
と、それくらいしか私の頭には思い浮かびませんが、やる価値のあるおもろい人生かも知れません。
最後に私の理想を語れば「家内制手工業」が「製造業」のベストなあり方ではないかと思っています。
身内が手伝っていますから収益のアップダウンを吸収してくれますし、効率化とその反対の高品質化の徹底も
スムーズになります。これでもし農園でもあれば食うに困らないでしょう。製品は工房内で展示販売します。
陶芸家のバーナードリーチが日本で民芸を学んで英国で実現したスタイルです。いいよなぁ。
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ギター工房9notes/勝田進
ブログ「古いギターはいい音がするのさ。」
ブログ「よごれた顔でこんにちは。」
Shop:スモークド乾燥処理済み『エピフォン・テキサン』¥ 89,800
*『ギター工房9notes』は中央自動車道 恵那ICから車で15分
#ギター修理#修理専門店#リペア・カスタム@9notes guitars#custom #guitar#Remodeling guiter#リペア
Katayama Guitar インフォメーション
調整にやって来た「Katayama Guitar(片山ギター)KE−13」をリポートします。
この楽器の特徴は新しいPUシステムが搭載されていいるところです。”SMPU”と名づけられたこのPUは従来の
”アンダー・サドル・タイプ”ではなくサドルとブリッジピンの間に取り付けられています。このPUは”コンタクト・ピエゾ”で、弦振動とトップ振動の両面を拾うことで「エアー感」のあるサウンドが得られます。
またアンダーサドルPUは、どうしても隣合った弦の振動も拾ってしまうので2〜5弦の音の分離が悪く(また音量が大きくなる傾向になる)なるのですが、この”SMPU”は分離感がいいのも特筆できます。
http://www.katayamaguitar.com/advantage
ドレッドノート・タイプのKE−13はトップ・シトカスプルース、サイド&バック・ローズウッド。中国工場で生産されていますが大変完成度が高く、国産品と比べても遜色がないレベルです。生音も十分豊かでアコギとしても通用しますね。
この機種の以前の「カタヤマ ギター」といえば、ブリッジ下に箱状の共鳴板を取り付けた「「アコースティック・チャンバー」が売りでしたが、これはそれをさらに発展させたモデルでしょう。このドレッドノートタイプ以外にもクラシックギターに”SMPU”を搭載したモデルKE−33もありますが、私がメーカー勤務時に「クラシックギターの新しいPUは俺が作る」と言っていたことがあり、ついに完成したんだ と感じました。(片山氏は元上司です。だからといってヨイショはしていませんよ。私は”開拓者”が好きなんです)
オリジナリティ溢れるこのPUシステムが多くの人の耳に届くことを祈っています。
カタヤマ ギターHP http://www.katayamaguitar.com/
関連ブログ・http://9notes.jugem.jp/?eid=305
http://9notes.jugem.jp/?eid=378
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Guo Yulong ダブルトップ・クラシギターの受注販売受付中
SINOMAN シノマン のクラシックギター受注販売
「栃の耳付き材のテレキャス」販売
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ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分
SINOMAN インフォメーション 4
"SINOMAN"のファンフレット・クラシックギター
シノマンのスタンダード・シリーズではないのですが、お客様の探して見えた「ファンフレット・クラシックギター」が試作機として上海事務所で在庫確認できたので取り寄せました。大変珍しいギターです。スティール弦のアコギでは、ちょいちょいお目にかかる「ファンフレット・ギター」ですが、クラシックギターではほとんど作例を知りません。
12フレットが指板と直交するように設計された「ファン」ですね。ナットもサドル(ブリッジも)も低音側に扇状に開いています。弦長は中央で計測して650ミリ。
”スモールマン・タイプ”の極薄トップにラティス・ブレイシング仕様、スプルーストップ・ローズ/バック(アーチバック)&サイド・サイドモニター・アームレスト・レイズドフィンガーボード・シングルホールというモダンタイプ・クラシックギターです。
ファンフレット仕様では低音側は弦長が長いため「テンション」が強くなります。そのため高音側はバランスを取るため「ハイテンション弦」を使うことが多いです。
出音は標準タイプの”スモールマン”と同じく反応速度が速く、音量があります。低音側は力強い響きがあり、これならば調弦をドロップしても張りのある音がするな、と感じました。使い方によっては表現力豊かな楽器になるでしょう。可能性のある仕様ですね。
SINOMAN クラシックギター関連・http://9notes.jugem.jp/?eid=541
http://9notes.jugem.jp/?eid=530
http://9notes.jugem.jp/?eid=520
シノマンの取り扱いは終了しました(2017.5.6)
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「栃の耳付き材のテレキャス」販売
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AIERSI インフォメーション
”Aiersi”ギターのご紹介です。修理・調整のため当工房にやって来た”Aiersi・モデルLe Grande”。オール単板で細部までよく出来た中国製のギターです。
指板はエボニーでポジションマークがなく高級な感じがします。サウンドホールの口輪(ロゼット)は木象嵌されています。NCルーターの仕事ですね。最新機が導入されていることが解ります。
やや”なで肩”のボディシェイプですが、容量はドレットノートと同じくらいありそうです。トップはスプルースでグレードはAA以上でしょう。このモデルにはサイド・バックに『ココボロ』が採用されています。ほかに『コア』のモデルもあります。
ヘッドはコンパクトにまとまっています。ネック裏にはボリュートがありネック折れには強いでしょう。またネックにはエボニーがサンドイッチされている構造で、クラシックギターなどでよく見かけるネック強度を上げる工夫がされています。
音質の決めては『ラティス・ブレイシング』です。トップをスピーカーコーンのように”上下に震動させる”理論に基づき作られています。弦振動への反応が早いのが特徴ですね。
ボディには『アームレスト』加工が施されています。量産メーカーでこのような加工がされているのは、国産では「アストリアス」くらいしか思い当たりませんが、高級中国製のアコギでは普通のようになって来ています。まだ国産のギターの優位性は私は残ると思いますが、コストパフォーマンスでは断然中国製が勝ります。単に安いだけでなく加工技術と材料の良さは特筆モノです。
細部の詰めの部分は、米国製>日本製>中国製になりますが、これはイコール”ギター音楽文化”の差と言えると思います。ただそれもメキメキ接近していますが・・・
取り扱いは終了しました(2017.5.6)
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「栃の耳付き材のテレキャス」販売
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リペア ファイル その248 または SINOMAN インフォメーション 3
グランド・シノマン / 各種調整・サブサドル製作
弦高を下げると「ビビリ」音が出るポジションがあるとのことで調整に来たシノマン社の最高峰『グランド・シノマン』。スモールマン・タイプのよくできた楽器でした。
ややピークの高いところがあったので部分削りしました。これは弦高も通常の12F・4−3ミリならば問題ないレベルです。これより下げるとピッキングによっては”ビビリ音”が出るので、調整がシビアになります。
サドルの底面の精度を出すのも調整の大切な仕事です。ジグを使い直線と直角面を出します。
ブリッジは”ダブルホール”仕様です。オリジナルより低くなるサドルを『サブサドル』として用意しました。2種類の高さをご自身で選ぶことができるようにしました。ここは低めのサドルで設定・調整します。
内部は”ラティス・ブレイシング”になっています。トップも極薄に仕上げられていて反応の早いギターになっています。また音量もあります。トップ振動を妨げないように”アームレスト”が付いています。
トップは『米杉・ウエスタンレッド・シダー』でサイド・バックは『メキシカン・ローズウッド』の単板仕様でバックはアーチトップに削り出してあります。つや消し塗装で高級感もあります。また塗装膜も薄いので「鳴り」にこだわった仕様なのが解ります。
難なのがこの糸巻きくらいでしょうか。ここを高い機種に交換すればべストですね。ラベルももっと凝ればいいのに・・・
個人的には、Guo Yulongの『モデルSolisut 』よりもこちらの方をお勧めしたいです。価格はこちらの方がお安いですが、鳴りと完成度はこちらに軍配が上がるかと。だたし、この手の楽器は作家モノとは違い個性がないですね。Guo Yulongの『チェンバー・コンサート』とは音の個性や深みが違うことはたしかです。
一度「スモールマン・タイプ」のギターを使ってみたいという方には、もってこいの楽器だと思います。
取り扱いは終了しました(2017.5.6)
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「栃の耳付き材のテレキャス」販売
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SINOMAN インフォメーション 2
SINOMAN シノマン のクラシックギター販売のお知らせ
搭載した写真は「シノマンclassicギター・スモールマンtypeの(ラティス・ブレイシング 表板スプルース・サイド&バック フレイムメイプル」仕様です。
メイプルカスタム・表板はスプルースでサイド・バックはフレイム(虎杢)がたくさん出たメイプルが使われています。バックは単板削り出しでアーチバックになっています。ヴァイオリンで使われる材木構成です。
力木はラティス・ブレイシングです。表板も薄く1・5ミリ程度で表からの光線を通しています。ラティスブレイシング・アーチバック仕様でまさに「スモールマン」を彷彿させる仕様になっています。(お値段は30分の1ですね)
アームレスト付き。 ダブルホール仕様ではありません。
ややペグのランクが低いかな?(これは後から交換できるパーツですから、そんなに問題ないです)ロゼットのインレイも凝った模様が使われて好印象です。
「スモールマンtype」ゆえ音量は申し分ありません。材料も極上です。日本でこの材料を選択したら3倍でも元は取れないでしょう。それくらい昨今の中国製のギターは、材木が世界中から集めっておりグレードも上がっております。ただ音の品に関しては、同じ中国製でも個人作家の「Guo Yulong(ガオ ユーロン)」の方が上品で艶があります。
取り扱いは終了しました(2017・5・6)
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Shop「アーム付きアコギ/9notes カスタム・ゼロワン」販売中
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ハンドクラフト2016・リポート
私のブースにも「なんぢゃこりゃ?」とアーム付きのアコギ「カスタムゼロワン」に興味を持ってくださるお客様も多かったです。
その中でもプロのギタリスト・堀尾和孝氏に「完成度が高い」と行ってくださったことが素直に嬉しく感じましたし、元バブルガムブラザースのギタリスト・土門秀明氏に「ばからしいのがいい」と言って戴きました。また郷ひろみ氏のバックを務めるギタリスト・小南和磨氏や矢沢永吉氏の新バンドZ'sの若きギタリスト・椿本 匡賜氏(バッキー)にも好印象を持っていただきました。
スモークド乾燥処理・漆生地固めの栃耳付き材のテレキャスも「鳴ってるね」との評価も戴きましたよ。シングルコイル・サウンドでバキバキ鳴るのでカッティングが切れ切れです。
ここ錦糸町の産業会館ホールの照明がやや薄暗いのが残念でしたが、どのブースでも試奏の熱演が繰り広げられていました。たしかに試奏目的のお客様が多く、販売に繋がらないのが製作者サイドの悩みですが、こういうフェスは数少ないのでプレーヤーに実際に楽器に触れてもらう機会としては貴重な時です。
同業者が一日前に完成したと話していましたが、どの人もそんな具合(私も似たようなもの)だと思います。出品楽器は日頃の仕事の合間に製作するので、どうしても遅れがちになってしまうのです。そんな反省から毎年早めに仕上げようと考えるのですが、気が付くと期日が迫っています。来年はそうならないうようにしよう、と今年も思っています。
このフェスはお客様の声を実際直に聞ける機会であるとともに、同業者や関係者と意見交換や情報収集の場としても貴重です。メーカー中心の「楽器フェア」や楽器店中心の「メッセ」と違う機能がここにあると思います。個人製作者・小規模メーカー・問屋にとってはありがたいですね。
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Shop「アーム付きアコギ/9notes カスタム・ゼロワン」販売中
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SINOMAN インフォメーション
SINOMAN シノマン のクラシックギター
搭載した写真は「シノマンBowlカッタウェイclassicギター・表板米杉・サイド&バックインディアンローズウッド」仕様です。
このタイプは、本格的なクラシックギター向きと言うより、ボサノバやポピュラーミュージック用に最適でしょう。
ハイポジションが弾きやすいように「カッタウエイ」仕様で、肘が当たるところを「エルボーカット」してあります。表板は杉(もしくは松)の単板でサイド・バックはローズの合板です。
サドルに音信号の伝達に優れる「アルミニウム」が使われています(標準の牛骨もある)。
力木はファンブ・レイシングが使われています。
若干作りが粗いですが、このレベルの楽器としては鳴りがいいです。ここが最大の売り文句になります。
この楽器に後付けピックアップを搭載して使う方も多いです。外に持ち出すには手頃だと思います。
取り扱いは終了しました。(2017・5・6)
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Shop「耳付き」テレキャス・ボディ材 販売
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古楽器
スペインに古楽器のセミナーに参加した折に現地の製作家から手に入れたのが、下の写真「シトールcitol」または「ギターン」と呼ばれる楽器です。バロック以前の楽器は残っているものが少なく、この手の楽器は宗教画を参考にしたり教会の彫刻を参考にしたりして復元するそうです。
軽くかかえて三味線の撥(ばち)のようなもので弾いていました。軽くて案外大きな音がしました。
表板はスプルースでサイド・バックはメイプルのようですが、メイプルよりももっと密度が薄く軽い材でした。(ポプラのようでもありメイプルのようでもあります)3コース6弦で、木のフレットがついています。指板下に隙間があるのは、ガットをここで結んでフレットにできるようになっているからです。
ヘッドと裏側の棒が繋がっているのは、ネック強度を稼ぐねらいがあるからでしょう。ブリッジは高くヴァイオリンの駒のようですが、内部に魂柱はありません。たぶん力木は弦に対して直角のブレイシングが2から3本入っていると想像しています。
リュートの流れを組んでいますが、ギターの原型のような楽器です。装飾が、かわいらしい・やさしい感じを生んでいます。弦をかき鳴らして歌の伴奏に使います。ガット弦でテンションは弱く ギターほど豊かな音ではないですが、琵琶みたいに硬い音ではありません。やわらかい音でした。
もうひとつは、帰国途中に寄ったトルコで買った民芸品の楽器です。数ある中から一番楽器として使えるものを選んだそうです。「ケメンチェ」または「ケマンチェ」と呼ばれる民族フィドルです。ヴァイオリンの祖先ですね。弓は指を伸ばして毛を張るようにしてこすって演奏します。
糸倉の構造が面白かったです。ペグの先端が櫛のようになっていて、そこに弦の先端を挟んでからペグに巻きつけていきます。サウンドは、擦弦楽器の音がしました(当然か)。ロングトーンが表現できるのが擦弦楽器の特徴です。これも案外大きな音がしました。
姪っ子が言うには、「古楽器族の演奏は音が小さいと言われているけれど、歌の伴奏に使う楽器なので小さければ役に立たないので、それはおかしい」。そう考えると現代人が想像しているよりもっと大きな音がしてたはずです。バロック以前の楽器や譜面の読解は、ヨーロッパでも近年研究がやっと進んできた分野だそうで、これから新たな発見が期待されています。
楽器の歴史を図解した本が「マール社発行・楽器」です。海外の研究者が著した本の翻訳本です。私の楽器製作のはじまりはパイプオルガンでしたが、現在生業にしているギターはじめすべての楽器に興味があります。この本はそれらをすべて網羅しており、音を発する原理まで遡って人間の文化の発展とともに変化していく様を見ることが出来ます。
「ギターン」や「リラ」やその仲間も載っていました。楽器は、発祥地からシルクロードやさまざまな海の道・山の道を辿って形を変えながら世界中に広がって行きました。
楽器の音が出る仕組みは昔も今もほとんど変わりがないですね。現在はエレクトロニクス技術を使って音を発することができますが、結局最後は空気を振動させて耳に届くものです。最終的にはアナログでしか表現できないのが音楽です。
音楽や楽器の発展は宗教と結びつくものが多いですが、これも人間の魂の根源に働きかけるので「必然」で生まれたものでしょう。そう考えると人間にとって楽器は、なくてはならないモノのひとつであることは、間違いありません。
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消える森
6月7日 朝日新聞・日曜版”GLOBE”で「消える北米の森」という記事が載った。
コロラド州のウルフクリークの写真はキクイムシと山火事によって見渡す限りの「枯れ山」と化していた。内容なナショナル ジオグラフィック日本版の要約だが、北米ではアメリカマツキクイムシによって「松枯れ」が起こっているという。
日本でも「松枯れ」被害は甚大で10数年前からこの地(岐阜県恵那市)でも確認されていた。そしてここ最近(一〜二年)の間に今度は「楢枯れ」がこの山で起こりつつある。これはカシノナガキクイムシによるというのだ。
さて「松枯れ」や「楢枯れ」の原因だが、キクイムシが樹木の中に病原菌を運ぶことから起こるらしい。樹木が菌に汚染され立ち枯れする。菌を運ぶキクイムシも多く発生しているのだろう。キクイムシの移動に伴い被害が広がっていく。
ギターやヴァイオリンの反響板である表板は、スプルースでできていることが多い。日本ではスプルースのことを「松」と呼ぶ。木目が細かいものでないといい音がしないので、樹齢100年から300年くらいの樹木がそれに使われる。
音や見栄えに影響するから木地に節や染みや斑点などは嫌われ捨てられている。実に贅沢な材料であるのだ。寿司でいったら大トロが楽器材だろう。その原材料の森が消えつつあるという記事は、衝撃ではあったが自分の周りの山々を身近で見ていたので、「やはりそうか」と思わずにはいられなかった。
新緑の山々に茶色の樹木が点在する姿は、恐ろしいものだ。最初は「なんだろうあの茶色の樹は?」と思っていたが、農道脇の松が楢や樫が茶色で突っ立っているのを見ていたから、「この山全体に及んでいるのだ」と連想するのにそう時間はかからなかったのだ。(松も楢も実を付けるので、それが枯れたらそれを食べていた動物は山を降りることも意味する。熊やイノシシからリスやムササビもそうだ)
新聞の記事にはなかったが、20数年前からその傾向が日本各地で現れはじめていて、当時のテレビの特集でその原因を探っていた。番組の中で「酸性雨」がその遠因ではないかと。私もそう思う。菌もキクイムシもそれが増える環境が整ったから増えただけで、それを殺す薬を撒いたり新薬を作っても退治できないと思う。
その根本原因に対して働きかけないと解決しない。
新聞には「酸性雨」のことはなかったが、「干ばつでストレスを受けている世界中の森が、地球温暖化の影響を受けて、崩壊しつつある」と結ばれていた。「森が崩壊する」「森が消える」の言葉の意味は、「人間が崩壊する」「人間が消える」と同じと断言できるだろう。
消費が無限に拡大することは無理なのだ。大トロを食べ続けることは無理なのだ。欲望が拡大すればすれほど「森」は「消える」。
裏山まで茶色の立木が迫った現実を、報告しておく。
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- 2021年を振り返って (12/29)
- Katayama Guitar インフォメーション (03/17)
- SINOMAN インフォメーション 4 (03/09)
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